POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 「肺気腫(pulmonary emphysema)」という病気(疾患)があります。ヒトの肺の中には、「肺胞(alveolus)」と呼ばれる風船のような気体(ガス)の入る袋が無数に(数億個)あります。「気腫(emphysema)」とは、気体(ガス)の入る袋が異常に膨らみ(「腫」とは「腫れる(はれる)」こと)、破壊されることを意味します。ゴム風船に空気を吹き込み過ぎると割れますが、あれと似たような現象が起きるのです。気腫の英名“emphysema”(エンフィズィーマ)はギリシャ語由来で、「吹く」という語根から成り立ち、「膨らむ」ことを意味しているようです。

 肺胞は、気体(ガス)が溜っている「肺胞腔」と、これを囲む「肺胞上皮」からなっています。肺胞上皮には、コラーゲンと弾性繊維を含み、伸縮を可能にしています。しかし、加齢によって、この弾力性は失われていき、破裂することもでてきます。ゴム風船も幾度となく、膨らませたり、しぼめたりを繰り返していると、ある日突然破裂します。それと同じことなのでしょう。肺胞は、6~7億個もあるといわれます。徐々に減っていくとしても寿命が尽きるまでには、足りそうな気もします。

 しかし、肺胞の破壊を加速する習慣があります。それは「喫煙習慣」です。長期にわたる喫煙は、「肺気腫」の原因になります。丈夫なゴム風船を作るメーカーもあれば、そうでないメーカーもあるように、丈夫な肺胞を作る遺伝子もあれば、そうでない遺伝子もあります。また、環境によっても大きく左右されます。長年の喫煙習慣が肺気腫を必ず発病させるとはいえないのです。

 しかし、こんなデータがあります。喫煙習慣の有無でCOPDにかかっている人の割合(有病率)を比較してみると、非喫煙者(タバコを吸ったことがない人)では5%弱であるのに対し、喫煙者(現在、または過去に喫煙している人)では12%以上になっているようです。有病率は2倍以上なのです。喫煙習慣はCOPDに罹る確率を高めています。

 1950年4月10日生まれという和田アキ子さんは、現在(2011年8月14日)、61歳です。その彼女、ヘビースモーカーだったそうですが、2008年、人間ドックで肺気腫の一種、「慢性中等度閉塞性呼吸不全」と診断され、将来動脈硬化や心筋梗塞になる恐れがあると、医者に指摘されたそうです。



 そのことで禁煙を始めた和田さんは、2009年8月、禁煙1周年を記念して、宝島社から「禁煙アッコ 和田アキ子禁煙事件」を出版します。放送作家の「鈴木おさむ」氏が構成をしています。さらに、2011年5月11日、日本ベーリンガーインゲルハイムとファイザーが展開するCOPDの啓発活動の「COPD広報大使」に就任することになります。

 その記念イベントで、和田さんは「3年前にかかりつけ医に診てもらったところ、肺気腫と言われ、このまま吸っていたらCOPDになると言われた。しかし、自覚症状もないため、過信していたのだが、放っておくと歌が歌えなくなるかも知れないと強く言われたことで、禁煙しようと決めた。」と語ったといいます。

 「COPD(シーオーピーディー)」は、“Chronic Obstructive Pulmonary Disease”の頭文字からとったもので、“Pulmonary Disease”(PD)で「肺疾患」を意味し、“lung disease”(LD)と言い換えることもできます。病気(疾患)の分類の1つに、「急性(acute)」と「慢性(chronic)」があります。急性とは、疾患が急激に発症し、経過の短いことをいい、慢性とは徐々に発症し、経過が長いことをいいます。「閉塞性(へいそくせい、obstructive)」とは、疾患により気体や液体の通り道が炎症や脂肪の蓄積などで狭まって(せばまって)いくことをいいます。

 以前、肺気腫と呼ばれていた疾患と「慢性気管支炎(chronic bronchitis)」と呼ばれていた疾患は、双方とも喫煙が関係し、また、両者が通常合併することから、分類することの必要性が少ないと認識されるようになり、「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」と総称されるようになります。「肺気腫と言われ、このまま吸っていたらCOPDになる」という発言は、COPDが悪化することを表現したかったものと思われます。

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬は、抗コリン薬やβ刺激薬などの気管支拡張薬が処方されます。抗コリン薬に分類される気管支拡張薬「スピリーバ」は、チオトロピウム臭化物水和物を成分とし、副交感神経を亢進させるアセチルコリンという物質を抑えます。副交感神経の働きが弱まると、気管平滑筋が緩み、気管支が広がり、呼吸が楽になります。

 2004年12月に発売が開始された「スピリーバ(Spiriva)」を製造販売する「日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社」および「ファイザー株式会社」は、COPDに関する情報提供を目的としたサイト「COPD-jp.com」を運営し、2011年8月13日からは(8月26日まで)、和田アキ子さんが出演するテレビCMを全国で放映開始することとなりました。(このテレビCMをネットで見るには、ここをクリック

 「世界保健機構(WHO)」の統計によると、世界では2億人ほど(世界人口は約70億人)がCOPDに罹患しているといいます。年間300万人ほどがCOPDで亡くなるのだそうで、乳がんと糖尿病を合わせた死者数よりも多いようです。日本では、500万人以上がCOPDに罹患していると推計されていて、その中で実際に治療を受けているのはわずか20万人にも満たないのだそうです。COPDの治療薬の潜在的需要は非常に大きなものと言えそうです。

 喫煙者を減らせば、社会が負担する治療費を減らすことができるのですが、なかなかそうはいきません。身近でいうと私や妻や上の息子「優也」もタバコを吸いませんが、私の母は最近までタバコを吸っていました。たびたびの「禁煙」の説得も功をなさず、歳を重ねたことで、気力が減退し、息子の説得に応じたのが最近です。母にタバコを教えた私の弟はいまだ吸っているようです。喫煙者が非喫煙者になるには大きな努力がいるようです。

 喫煙者は「肺ガンを発癌するリスク」を知っていることが多い。それでも吸い続けています。タバコを吸いながら、福島第一原子力発電所が漏出させた「放射性物質」の人体に及ぼす影響を講釈している老人を見かけることもあります。「私はあなたが吸っているタバコの「副流煙」も怖い」と言ってやりたいこともあります。

 社会にかける負担の多い「喫煙」が法律の力を借りることなく減少していく時代は来るのでしょうか。「分煙」が進んできていることは非喫煙者がリスクから解放されて望ましいことですが、健康保険制度などにかかる負担は減少していません。「COPD」の広報が実を結ぶことを期待したいところです。治療薬の使用が増加するということではなく、COPDを恐れて喫煙者が減少するという意味で、、、

 あなたが長期にわたってタバコを吸っていて、咳(せき)、痰(たん)、息切れが気になるようになっていたら、歳のせいにしないで、一度COPDを疑ってみては、、、タバコをやめる気になりますよ。



                   (この項 健人のパパ)

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