POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 夫の書棚に、「話を聞かない男、地図が読めない女(アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ著)」という本があります。読んだことはないのですが、タイトルだけで男女の性差について書かれている本だと想像はつきます。確かに、我が家の夫は私の話を右の耳から左の耳へと流してしまう「話を聞かない男」です(ことによると、年齢のせいで記憶力が減退し、聞いたことを片っ端から忘れてしまい、右の耳から入ったことが左の耳からすぐ抜けていくのかも知れません)が、地図が読めるので頼りになります。夫を旅行に連れ出す第一の理由かも。

 ひとりで旅行に出かけ、ベトナム縦断、パリ子供服買出し、台湾周遊、韓国食べ歩き、などをしましたが、女性の一人旅はやはり身の安全のために緊張を強いられるもの。屈強な体格の夫ではないのです(痩せ型)が、いるのといないのでは旅のストレスに大きな違いがあります。しかし、この夫、隙あらば、タコ糸を自ら切って逃げ出す奴凧です。現地で地図を手に入れると、もうそわそわです。地図を片手にカメラを持って出かけたがります。何をするではなく、通りを歩き廻りたいのです。足早に歩き廻る夫につき合うつもりはありません。

 夫は地図を片手に1人で歩き廻るのが大好きで、一人歩きを認めてしまうと、朝出かけたまま夕方まで帰ってきません。チェンマイでも、“NANCY CHANDLER'S MAP OF CHIANG MAI”という地図を250バーツ(20バーツの1品料理が12品ほども買える。680円ほど)も出して手に入れたようで、ちょっと2時間ほど出かけてくる、と言ったまま4時間ほども帰ってきませんでした。息子(今回は息子を連れての3人旅)も、事故に遭ったのではないかと心配しだします。汗だくになって夫が帰って来ます。「着替えに帰ってきた」って、また出かけるつもり? 2人で引き止めます。不満そうでしたが、我が子には従いました。



 チェンマイの旧市街は1辺が1.8kmほどの正方形の区域で、濠が廻っており、時計回りに車の交通が制限されている外堀通りと、反時計回りの内堀通りがあります。宿泊していたホリデーインから歩き出した夫は、旧市街に入る5つの門をカメラにおさめるために、東南の端のカタム・コーナーに数十分かけて到着し、反時計回りに一周を試みます。



 ターペー門を通り、東北の端のスリプーム・コーナーを左折し、チャンプアック門を通り、西北の端のフアリン・コーナーに達し、スアンドーク門を通り、西南の端を左に曲がり、スアンプルン門とチェンマイ門を通り、カタム・コーナーに戻ったそうです。楽しそうに話す夫を見て、「男」というものが理解できません。濠は1辺が歩いて20分ほどの長さだそうで、ということは1周するのに80分も歩き続けていたことになります。チェンマイはいま猛烈に暑い時期です。その中をただ歩く、というのは私には狂気の沙汰です。ことによると、これは夫だけの病気かも知れません。



 この後、ターペー門に戻り、私が行きたいと言っていた、「サンデーマーケット」の下見をしたそうです。ターペー門から西へ「ワット・プラ・シン」というタイ仏教のお寺まで続く「ラチャダムヌーン通り」では、日曜日の午後4時頃から車の交通を遮断して、通りの両側に露店が所狭しと並んで、衣類、アクセサリー、小物、工芸品、絵、楽器、玩具、食べ物、飲み物などが売られます。通りの中央のところどころでは盲目のストリートパフォーマーがグループで演奏をしていたりなどします。日本でいうなら、毎週、お祭りが開かれ、露店が並ぶようなものです。

 このサンデーマーケットは、2004年に始まったそうですから、歴史は浅く、ターペー門の東側のターペー通りから西側のラチャダムヌーン通りに開催場所が移動し、その規模が大きくなっていったようです。この通りを下見した夫いわく、「普段は何の変哲もない通りだよ」ですって。そりゃそうでしょ。下見がどうして必要なの?



 ホリデーインから無料のシャトル・サービスでセントラル・プラザに出て食事をして、サンデーマーケットの開始時間までしばらく時間を潰します。セントラル・プラザのトゥクトゥク乗り場には基準となる料金が表示されていました。ターペー門までは、60バーツ。ソンテオを拾っても1人20バーツかかりますから、3人ならば同じ料金がかかることになります。しかし、息子「健人」は、チェンマイの暑さに負けて外に出たがらないので、エアコンのきいたホテルの部屋に残してきました。

 いち早くサンデーマーケットに行きたがる夫を抑え、無料のシャトル・サービスを待って、ターペー門の近くにあるアモーラ・ターペーで降りて、ターペー門に向かうことにしました。上手に節約して、サンデーマーケットでお土産を買いたいのです。最近知り合いが結婚しました。仕事が忙しくて新婚旅行にも行けないという2人に仕事も大事だけども人生を楽しむことも大事だということをそれとなく気付いてもらうために旅に出かけたくなる気にさせる物が何かあればとやって来ました。



 お返しを、と考えなければならないほど高価には見えず、それでいて(自己満足でしょうが)贈り手のセンスを感じさせる物、そんなものを探して、露店をひとつひとつ見て廻ります。一生懸命働いている自分へのご褒美も探してまわります。一生懸命働いて、節約して、お金を貯めて、そして旅に出て来ているのです。節約して、お金を貯めて、そして使わずにいる父からは、道楽者と思われているようで、「お金持ちだからそうやってよく海外旅行に行けるんだよな」と言われますが、人生は楽しまなくっちゃね。

 しかし、めぼしいものが見つかりません。探し方が悪いのでしょうか。いろいろと見てまわるのですが、なかなかこれはというものに出会わないのです。夫はカメラ片手にふらっといなくなってしまいました。私につきあうのに飽きたようです。この人の波から私を見つけ出す自信があるのでしょうか。サンデーマーケットは旧市街を東西に走るラチャダムヌーン通りと南北に走るプラ・ポック・クラオ通りの一部で十字を描くように広がり、広さを誇ります。長さにして、合計で2km以上にはなるはずです。

 でも、夫は私を見つけました。私はお土産を見つけられませんでした。土曜日を待って、旧市街の外、チェンマイ門の近く、ウアライ通りで開かれるサタデーマーケットに期待することにして、プラ・ポック・クラオ通りの南でトゥクトゥクを拾い、ホリデーインに帰りました。 

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