人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

アニメである事の意味・・・・今期アニメまとめ

2013-06-30 14:00:00 | アニメ
 

■ アニメって何? ■

今期アニメもほぼ終了しました。

話題作に2期連続や分割2期が多いので、
単純に順位を付ける事が難しいのですが、
そこを強引に独断と偏見で押し切ってみます。

今回のポイントはズバリ「アニメって何?」。

ドラマや実写映画でも良作は多く存在しますが、
それでも50歳近いオヤジを魅了して止まない
私ながらのアニメのツボを意識して、ランキングを付けてみました。


第1位 『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』




高校生の本音が素晴しい『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。』

エーーーと思うアナタ。この作品を「見ていませんね。

確かに第一話はどうしようも無い内容。
三話目くらいまでは、はっきり言ってクソです。

<追記>
テレ隠しでついついクソとか書いてしまいましたが、
見返してみたら2話目の冒頭で既に充分面白くなっていました。
「・・・出来る事なら、私は熊になりたい・・・。」
原作のままなのでしょうが、面白過ぎです。


でもね、私はネガティブだから、主人公のチョーネガティブさに共感してしまいます。
クラスでもなるべく存在感を消し、省エネで人生を送る・・・。
それが生来の彼の性格では無く、繊細が故に醒めたふりを装う痛さが最高です。

エンタテーメントとしては、出来の悪い『僕は友達が少ない』ではありますが。
逆に、エンタテーメントとして昇華されていない分だけ、
その痛さが、ある一部のネガティブ人間の心に直球で迫ってきます。

アニメ的(ラノベ的)には、極めてテンプレキャラでテンプレ展開なのですが、
集団に馴染めない主人公のイタさを、自虐的に連打されると、
自分が無意識下に押し込めている周囲とのちょっとした差異に
無理やり自覚的に成らざるを得ません。

日頃、「空気読む」事で、自分の中に押し込めている本音が、
主人公に投影される事によって、容赦無く意識の中に浮上します。

これが実写作品ならば、リアルすぎてチョー嫌味な作品になってしまうのですが、
二次元テンプレキャラのフィルターを通す事で、
「会話の構造」に意識を集中する事が出来ます。

実写作品は、映像の情報量が多いので、
セリフやモノローグを多様すると、現実との違和感が高まります。
ですから、セリフを削って、映像に語らせる方が、
雄弁に人物の心情を表現できます。

一方、テンプレアニメは、画面はセリフの背景程度の存在なので、
逆に、大量のセリフやモノローグと共存する事が出来ます。
だから主人公は、モノローグでも会話でも毒を吐きまくります。

日本アニメならではの演出手法であり、(口パク)
その中で、主人公の複雑な思いを薄っすらと浮き上がらせる
脚本も演出も、私は大変高く評価します。

今期の私的ベスト1とします。


ちなみに、舞台になっているのは「千葉市立稲毛高校」ですね。
先日、娘のバスケの県大会予選でお邪魔して気付きました。
ロケ地も、京葉線沿線ですし、
「俺いも」といい、何気に千葉人気です!!


第2位 『革命機ヴァルヴレイヴ』



今期アニメの「大穴」狙い・・・『革命機ヴァルヴレイヴ』

これまたエーーーと思う人が多いでしょう。
でもね、この作品は色々な意味で興味深い。

先ず、最初からバッサリと何かを切り捨てている。
それは、SF作品のリアリティーであったり、
物語としての予定調和であったり、
必然性という名の、暗黙の約束であったり・・・・。

ゆとり世代をして「予想のななめ下を行く」と酷評されながら、
回を重ねる毎に、だんだんと見ないではいられなくなる魔力がこの作品にはあります。

表面的には、中学生が好みそうなキャラクター達が、
ちょっと意外性を持ちながらも、結果的には視聴者の求める展開に落ちてゆく安心感。

ただ、実はこの作品は相当エグくて、そういう表面的な安易さの裏に
とんでも無い毒を含んでいます。

高橋亮輔、谷口悟朗、ガサラキ、TBS、 大河内一楼、コードギアス・・・・
鋭いファンならお分かりでしょう。

そう、このアニメ、萌系ロボットアニメの皮を被ったプロパガンダ作品。
要は、共産圏のSF小説と同じ構造の作品です。

表のメディアは、陰謀論的世界観を無視し続けます。
「世界を支配しているのはイルミナティーだ!!」とか、
「日本は戦後一貫してアメリカの傀儡国家」だとは書けません。

しかし、子供向けのアニメなら、デフォルメした形で
どんなメッセージだって隠す事が出来ます。

結局ヴルヴァレイヴは、そのホームページに宣言されたが如く
その目的は「世界を暴く」事にあるのでしょう。
第2期の予告で「101人委員会」なる言葉が出てきました。
これって、「300人委員会」の事ですよね。

さらに、ジオール=日本、ドルシア軍事盟約連邦=新興国勢力?
アルス(’環大西洋合衆国 )=アメリカといった様に現実の世界を虚構に投影する事で
それぞれの国家の姿を、結構辛らつに描く事を可能にしています。

利益優先のアルス、理念を持たないジオールという形で
アメリカと日本の姿を皮肉たっぷりに描きます。
ドルシアは分かり易い適役というだけで、多分あまり意味を持っていないでしょう。

日本のアニメ史の裏は結構ドロドロとしていて、
全共闘の闘争に敗れた若者達がこの世界の流れ込みました。
富野や宮崎は結構過激な志向の持ち主で、
子供向けアニメの中に、自分達の思想を持ち込みました。

特に『ボトムス』で有名なリアルロボットアニメの巨匠の高橋良輔は、
「支配という論理に立ち向かう反骨のヒロイズム」というテーマを描き続けます。
『太陽の牙ダグラム』などは、反政府軍ゲリラの闘争を描く作品ですが、
子供向けのアニメでありながら、全共闘の夢をそこに再現しています。

一方、ロボットアニメの他には「かわぐちかいじ」の『沈黙の艦隊』も監督しています。
海上自衛隊の原子力潜水艦「大和」が、搭載した核ミサイルの発射をほのめかす事で
「独立国大和」といして、世界を相手に短艦で戦いを挑み、
それに賛同する世界各国の戦略原子力潜水艦が、「沈黙の艦隊」として、
新たな世界秩序の番人となり、世界にバランスと公平をもたらすという政治色の強い作品です。

1998年に放映された『ガサラキ』は、リアルロボットアニメの新時代を築きます。
ガンダムの様に自由に動き回る二足歩行ロボットのアンチテーゼとして、
「ボトムス」の時代から高橋作品の軍用ロボットは、
二足型でありながら、ドムの様なホバー移動や車輪走行を高速移動手段としています。
そして、ロボットの大きさも軍用実用レベルの大きさです。
このリアルなロボットのイメージは、『ガサラキ』でほぼ完成形となります。

一方で『ガサラキ』は日本とアメリカを巡る政治的背景をかなりストレートに描いています。
日本がアメリカの傀儡国家である事。
それに対する反抗運動が存在し、
さらに日本の裏社会の重鎮が米国債の売り浴びせで米国の対抗するなど
ロボットアニメの皮を被った政治思想作品でした。
・・・ただ、この内容はストレート過ぎて、良くTVで放映出来たと感心してしまいます。

『ガサラキ』で助監督を務めたのが「谷口吾郎」です。
彼は高橋亮輔に思想的影響を強く受けたと思われます。

彼の代表作は『コードギアス』でしょう。
エンタテーメントとして大成功した作品ですが、その内容は結構政治的です。
「神聖ブリタニア帝国」の植民地と化した日本は、
国名を剥奪され「エリア11」とされ、日本人も「イレブン」と呼称されます。

「神聖ブリタニア帝国」は覇権国家アメリカの直接的なパロディーであり、
植民地としての日本の姿は、現実のアメリカの日本支配のパロディーです。

深夜枠のアニメなので、それなりの表現の自由が許されるのでしょうが、
TBSもサンライズも勇気があるなと感心させられます。
この作品、最初は不人気でしたが、次第に火が付き、大人気作品となります。
その人気は、頭脳明晰な主人公のルルーシュに負う所が大きく、
ロボットアニメでありながらも、知的ゲームとしての魅力が勝る作品です。

この作品の脚本を担当していたのが「大河内一楼」です。
『革命機ヴルヴァレイヴ』は大河内がシリーズ構成と脚本を担当しています。
高橋良輔の遺伝子は、彼の弟子、孫弟子達の世代に、しっかりと受け継がれている様で、
この作品も第2期からは、世界を裏から支配する勢力の存在を描いて行く様です。

そういった意味においうて、『革命機ヴルヴァレイヴ』こそが、
『ボトムス』や『ガサラキ』の正統な継承者であり、
日本アニメのダークサイドの体現者でもあります。

興味深い事に、政治的意図を隠す為に散りばめられたエピソードは
ダミーだと割り切った故に、アニメとしての魅力に溢れており、
「子供向け」というアニメの本質に忠実な故に、
実はアニメとして最大の魅力を獲得しているとも言えます。

そして、群像劇として30分間に詰め込める限界に挑む演出や脚本も素晴しい。
5秒で済ませるシーンと、じっくり見せるシーンのバランスなど、
単調な演出が多い現代の若手の作家に与える影響は小さくないはずです。

第3位 『悪の華』





実写とアニメの境界・・・『悪の華』

本当は一位でも良いのですが、これはもう実写でも良いのでは無いか・・・。
アニメで表現する理由は・・・
やはり声優の上手さと、完全演出の実現なのでしょう。

ジブリや細田守は、あえて俳優を声優に起用する事で、アニメ臭さを消していますが、
セリフを読ませたら声優さんは相当上手い。

声優さんの声を、実写に乗せる方法もあるのでしょうが、
ロトスコープという実写描き起しのアニメに乗せる事で、
声優さんの演技の過剰感を上手く消しているとも言えます。

この作品、内容は単なる変態に憧れる中二病女子が、
やはり空気読めずに自分の世界に埋没する中二病男子に自己投影する話ですが、
実は普通に見える佐伯さんが一番怖い・・・・。

普通にあろうとする人が、普通の概念を揺さぶられた時、
自分の「普通の概念」を拡張解釈して行く事で、
自分と世界の関係性が崩壊して行く事に本人が気付かない事が本当に怖い。

中二病を患っている本人達は、自己と世界をメタ化する視点を持っていますが、
その世界に引っ張り込まれた佐伯さんは、多分、メタ化の壁を生身で越えてしまうので
メタ世界での「素の人格」は、かなりイタクて怖い存在だと言えます。

ところで、私達自身が、ある意味自分を外側から観察すると意味において、
相当、メタ化に対応した存在となっていますが、
そんな中で「あいつ空気読めないよね」とい人は、
メタ化自体に気付けずに、素の自分で境界を越境してしまう人達なのでしょう。

話がそれましたが、実写を動画で描き起すという作業自体、
現実に主観を混入されるという意味においてメタ化であり、
実写よりも、「作り物」に近い状況にキャラクターを配置できるという意味において、
『悪の華』も、アニメならではの作品と言えます。

第4位 『波打ち際のむろみさん』



これは『イカ娘』と同じ方法論で成り立つ作品です、
イカちゃんが、ピュアな存在であるのに対して、
むろみさん達人魚達は、人類創生以前から生きている超越者。

その超越した見識に対して、一介の高校生が突っ込む事で生まれるギャップが楽しい。
これ、権威が素朴な疑問で一瞬にして崩れる事に似ていますが、
この作品の良い所は、結局はむろみさんが全てを分かってボケ続ける所が愉快。

15分番組なのに・・・アザゼルさんと同じギャグアニメなのに・・・
アザゼルさんの黒い笑いを、ほのぼのと一瞬で消し去る力量は・・・これスゴイですよ。

『サザエさん』や、『クレヨンしんちゃん』などが積み上げてきた世界を
現代的にアレンジしただけとも言えますが、
実写では決して出来ない、ボケと突っ込みの何ともいえない間が楽しい作品です。
そして、ボケの過剰感が何と言ってもアニメだから出来る技かと・・・。

第5位 『進撃の巨人』



「巨人が人を喰う」という絵本ではお馴染みのシチュエーションを、
少しリアルにしてみたら、実はとても恐かった・・・それだけ。

ただ、やはり人間のDNAの中に眠る「大きな物に喰われる」という根源的恐怖の力は絶大です。

別にアニメで無くても、マンガ原作で充分に面白い作品ですが、
アニメは「動く」事により、マンガとの差別化を図ります。

立体機動装置を駆使して巨人と戦う映像は、
ここ数年で最もスリリングな映像です。(実写やCGを含め)

あえて写真はコスプレ実写にしてみました。
キメーのポーズは出来ても、これをアニメの様に動かすのはCGでしか不可能。

一方で、アニメのキレッキレの感じは、CGでは表現出来ない・・・。

以上、今期アニメのベスト5を、人力の独断と偏見で決めてみました。

「ガルガンは?」とか「マジェスティックは?」という声も聞こえそうですが、
『革命機ヴァルヴレイヴ』の前には、緻密な演出も、オタク的演出も共に無意味。
製作陣の自己満足よりも、視聴者を徹底して楽しませようという勢いの方が、
きっと大きな活力を作品にもたらすのでしょう。

「俺の妹がこんなに・・・はどうしたの?」とか
「レールガンはどうした?」との声も聞こえてきそうです。

共に、2期目は1期目を超えられないというジンクスを強固にしたのでは?


本日は人力の独断と偏見を持って、今期アニメのベスト5と致しました。


「あれ?.はたらく魔王さまは?」と聞かれそう・・・。

勿論面白かったですよ。第6位という事で・・・後半、ちょっと失速したかな。



緩和資金が支える世界・・・QE3の縮小なんて、自殺行為だ

2013-06-28 11:46:00 | 時事/金融危機
 

■ 順調に成長するアメリカのGDP ■



上のグラフはアメリカの「名目GDP」の推移です。
リーマンショックの2008年に急落した後に
2009年を底にして順調に回復して来ている事が分かります。

名目GDPは以下の様に定義されます。

「すべての商品・サービスに対し、その年の生産数量に市場価格を掛けて算出した金額を総合計」

名目GDPはインフレ率を考慮していませんから、
単純に金額的に増えた量をです。

2009年 ---  13,973.65 (十億ドル)
2012年 ---  15,684.75 (十億ドル)

15,684.75 - 13,973.65 = 1,711.10(十億ドル)

アメリカでは2009年から2012年の間に
名目GDPが約1.7兆ドル増大しています。


■ マネタリーベースの増加を見てみる ■



上のグラフはアメリカのマネタリーベースの推移ですが、
リーマンショック以降、アメリカはだいたい、2兆ドルのマネタリーべースを拡大しました。

マネタリーベースが2兆円増えて、
名目GDPが1.7兆ドル増えています。



供給された資金は実際には資産市場にプールされているので、
マネタリーベースの増加がそのまま材やサービスの消費に結びついている訳ではありません。

しかし、2008年以前はマネタリーベースは横這いですから、
アメリカの成長は、FRBの資金供給にほぼ支えられていて、
そして、乗数は1を割っているので、極めて実体経済の回復は鈍いとも言えます。

要は、量的緩和でジャブジャブ資金を供給しても
実体経済のエンジンが回せていないのです。

■ 緩和マネーは何処に行ったの? ■

では緩和マネーは何処に行ったのでしょうか。
ロイターの記事がその一旦を覗かせます。

「米国の一部大都市、住宅バブルのリスク=ロバート・シラー氏」
(ロイター 2013.06.28)

<全文引用>

[27日 ロイター] - 米S&P/ケース・シラー住宅価格指数の共同開発者ロバート・シラー氏は26日、米国の一部の大都市で住宅価格が大幅に上昇しており、新たなバブル発生のリスクがあるとの認識を示した。

ラスベガス、ロサンゼルス、サンフランシスコ、マイアミ、フェニックスで、住宅価格が上昇しており、バブル発生のリスクがあるという。域外から大量の投資資金が流入していることが一因。

同氏はロイターに「こうした都市ではバブルのリスクがある。住宅価格が大幅に上昇している。前回のバブルの初めの頃のようだ」と述べた。

こうした都市では、住宅在庫が低水準で、ウォール街の投資家がキャッシュで住宅を購入しており、今後1年間価格が上昇した後、下落に転じる可能性があるという。

S&P/ケース・シラー住宅価格指数によると、4月の主要20都市圏の住宅価格は前年比12.1%上昇と、7年ぶりの高い伸びとなった。

地域別では、サンフランシスコが24%上昇、ラスベガスが22.3%上昇、フェニックスが21.5%上昇、ロサンゼルスが19%上昇、マイアミが13%上昇だった。

<引用終了>


多くのアナリスト達が、ケース・シラーの住宅指標の改善を指して
「アメリカ経済は確実に回復している」などと言います。

ところが、ケース・シラー住宅指数を開発したシラー氏自身が、
大都市の住宅価格はバブルであると警告しています。

要は、潤沢に供給されたFRBのマネーは金融市場のみならず、
住宅市場でもバブルを作り出していたのです。

これは大都市だけでは無く、地方では競売に掛けられた大量の住宅を
金融機関が買い上げて、賃貸物件として貸し出しています。

個人の住宅需要は低調ですが、
金融機関の住宅需要は緩和マネーの運用先として好調なのです。
これも一種の、バブル現象です。

■ FRBの緩和縮小発言の影響が実体経済に出てくるだろう ■

バーナンキは今年後半からQE3を段階的に縮小するかもしれないと発言しました。
この発言に市場は過敏に反応し、世界の市場は大荒れになっています。

しかし、QE3の縮小予測は、緩和マネーの逆転を引き起こしますから、
住宅市場も当然下落し、住宅価格の下落は個人の信用を縮小させるので、
結果的に、消費を縮小します。

■ FRBもバーナンキもQE3の縮小が不可能な事は100も承知している ■

バーナンキもFRBも、そして市場参加者も、
今年後半のQE3の縮小なんて出来ない事は100も承知しています。

しかし、緩和縮小を匂わせなければ、市場は行くところまで行って暴走します。
あまりにも巨大な流動性を抱えてしまった世界の市場は、
先ごろまでは、債券から株式、株式から資源、
あるいは、ドルから円、円からユーロの様に、
その資金を移動させながら利益を拡大してきました。

ところが現在起きている事は、株と債券と現物の同時下落です。
では、お金は何処へ行ったのか・・・。


多分、現金が相当積みあがっているはずです。


その現金が再び市場へ向かうのか、
それとも徐々に資金が引き揚げられて
バブルの崩壊へとつながって行くのか・・・・

どのシナリオも確立的可能性でしかありませんが、
そろそろ金融緩和の副作用が顕著になって来る様です。


ここしばらくは、6月決算の化粧相場で株も持ち直していますが、
7月になったらどうなるか、市場関係者の不安は募ります。

牧神のまどろみ・・・バーナンキの見る夢は・・・

2013-06-27 02:54:00 | 時事/金融危機
 


神     汝は忠実なる我が僕にして、愚かな迷える子羊。

バーナンキ おお、神よ。私は過ちを犯したのでしょうか?

神     汝、分け与えん・・・

バーナンキ 私は教えに従い、人々に存分に分け与えました

神     与えるは受けるより幸福なり

バーナンキ それでもソドムの民共は、自らの享楽を貪るばかり

神     汝、罰を持ってあがなうが良い・・

バーナンキ ところが私を罷免しようとする者達が居ます

神     正しき光が指し示す所、正しき行いが為されん

バーナンキ WSのボードの真っ赤な光こそが、正しき光だと?

神      正義を為す所に、常に真理はあらん

バーナンキ 遠く極東の地平のゴモラの地に正義の鉄槌を下せと・・・・

神     汝が行く道は険しけれど、その先に幸あらん

バーナンキ しかし、我が武器は輪転機のみ

神     産めよ、増やせよ、そして地に満ちん

バーナンキ 既に満ち満ちておりますが、まだ足りぬと・・・・

神     天からあまねく地に降らせん

バーナンキ 既にヘリコプターと言われておりますが・・・

神     まもなく洪水が大地を覆うであろう

バーナンキ 確かにカナダでも欧州でも・・・・

神     船を作るが良い

バーナンキ ドロ舟なら既に乗っていますが・・・

神     獣達を集めるが良い

バーナンキ 私の周囲にはアニマルばかりですが・・・

神     雨は7日7晩降り続くであろう

バーナンキ 7月が危ないと?



・・・・・・・

「ベン、どうしたんだ、うなされていた様だが・・・」

「大統領、すみません、私とした事が、つい、うとうとと・・。夢を見ていました」

「あまり良い夢では無かったようだが」

「いいえ、神の夢でした」

「そうれは良かったじゃないか。ところで神はどんな顔をされていたんだい」

「背の高い良い男で、口ひげを生やしていた様な・・・」

「それはだいぶ私のイメージと違うな・・・」

「そう、一冊の本を手にしていました。『雇用・利子および貨幣の一般理論』という・・・」




<追記>



ケインズは対処療法。ハイエクは体質改善。

共に一長一短で、ケインズ療法は副作用に問題があり、
ハイエク療法は即効性に問題があります。

リーマンショック以降、ケインズ療法は重症化の抑止には効果的でしたが、
そろそろ副作用が出始めました。
根本的な原因が完治していないので、投薬を止めると経済は突然死します。
しかし、薬を増量して症状の悪化を抑えようにも副作用が強すぎます。

さりとて、ここで急にハイエク療法で、温泉に行ったり、薬草を飲んでも
既に自己治癒力の限界を超えています。

そもそもハイエク療法は、シカゴ辺りの連中が、
怪しい健康食品ブームにしてしまい、本質から外れてしまいました。

特に、日本で進行するのは少子高齢化という癌なので、
アベノミクスによる抗癌剤治療は、正常な細胞も等しく攻撃し
最後は生命としての尊厳自体を脅かす事になります。

はてさて、世界にケインズやハイエクに勝る名医が登場する事があるのか・・・


症状が悪化する過程で、人々は怪しい薬や、信仰に救いを求める様になります。
一部で、「信じる者は救われる」と説く邪教が流行り始めています。



「ダウ149ドル高、米GDP下方修正で量的緩和縮小への懸念後退」
・・・本日のロイターの記事の見出しです。
景気減速予測で株高って・・・・これも新たな邪教でしょうか?

チャイナクライシス・・・あの国は良く分からん・・・

2013-06-26 09:07:00 | 時事/金融危機
 

■ 中国バブルはとうとう弾けるのか? ■

中国という国は「白髪三千丈(はくはつさんぜんじょう)」の国だけあって、
とにかく数字が大きくなる傾向があります。
伝統的に数字を「盛る」文化なのですね。

ですから、経済統計も、地方の末端から中央に上がって来るあいだに
地方政府の担当者達が、少しずつ「盛って」しまいす。
先日も、地方当局が工業生産を4倍近くに過大報告していたことが判明しましたが、
これって、もう水増しのレベルでは無くて、水の方が主体になってますから・・・。

まあ、そんな国の事だから、経済統計から景気の実態が分かり難いのですが、
それでも、「不動産バブル」が深刻化している事は確かです。

今まで、バブル崩壊をどうやって食い止めていたのか疑問ではあるのですが、
「負債を隠す」なんて事は平気で行なわれているのでしょう。


■ システム障害って、「取り付け騒ぎ」でしょう? ■

「影子銀行」抑制の為の緩和縮小は、短期金利の急上昇や、
周辺アジア地域からの、資金回帰という現象を生んでいます。

特に、銀行間短期金利が急上昇した事は、
小さな地方銀行などの資金調達が難しくなっている事を意味します。

昨日、中国国内でATMのシステムトラブルが報道されていますが、
これは、地方銀行などで、「取り付け騒ぎ」が起きているのでは無いかと疑われます。

中国中央銀行は、金利上昇後、1行だけに資金供給をしていましたが、
昨日は複数の地方銀行に現金を投入した模様です。
要は、地方の中小の銀行から信用不安が拡大し始めているのです。

こういった小さな危機が重なっていくと、信用はどんどん収縮して行きます。
今までの信用拡大が異常だったので、収縮過程で金融システムは深刻な状態に陥ります。

ただ、リーマンショックは実体の無い債権や証券に
レバレッジを掛け捲って投資した危機であるのに対して、
中国バブルは、典型的な土地や開発バブルなので、
バブル崩壊の規模としては、GDP比にすれば日本のバブル崩壊に誓い規模かも知れません。

「影子銀行」の保有する債権が破綻して、借金棒引きの様な状態で、
「影子銀行」の投資者達が被害を被る結果に終わるのかも知れません。

銀行も経営内容の悪い銀行は淘汰され、
健全な銀行は政府がしっかり保護するのでは無いでしょうか。

■ 問題はチャイナマネーの逆流 ■

問題はチャイナマネーが流入していた国々から、これが引き上げられる事です。
シンガポール、マレーシア、香港、台湾、フィリピンなどでは
資産市場が相当落ち込むはずです。

日本とて例外では無く、都市部や観光地に流入していたチャイナマネーに影響を与えます。
尤も、中国の場合、共産党幹部など富裕層は危機に際しては
われ先に資産の海外逃亡を図るでしょうから、
東京などはむしろその受け皿となる可能性もあります。

資金と一緒に共産党幹部の妻子らが逃げて来るのでしょう。

■ 何故この時期にFRBと足並みを揃える必要があるのか? ■

問題は、「何故この時期に?」という疑問です。

バブルが崩壊寸前なのか、それともFRBの緩和縮小に歩調を合わせたのか?

私は習近平は太子党で、上海閥とも関係が深いので、
その金融政策は、アメリカの意向をある程度反映するものだと妄想しています。
特に米中首脳会談の直後だけに、そこで8時間も何が討議されたのかが気になります。

世間では、CIAによる情報収集問題で米中が反目している様に思われていますが、
どうやら、金融に関しては、完全に歩調を合わせている様に感じられます。

今回はFRBの緩和予測でアメリカからの投資が中国市場から引き上げた結果、
中国で資金の逆転が生じたと見るのが時系列的は正しい見方です。
通常なら、中央銀行が資金供給してショックを和らげる場面ですが、
中国中央銀行は、逆に引締めを行って、流動性が欠如する様に誘導しています。


では、その目的とは何か?

常識的に考えれば、FRBの緩和縮小の影響を軽減する目的・・・そう考えます。

FRBの緩和縮小が景気回復の結果であるならば、ドルは値上がりし金利が上昇します。
中国としては、それを待ってから緩和縮小しても何ら問題は有りません。
その方が、中国経済への影響も軽微です。
そう考えると、現時点ので引締めは逆効果しかありません。

では、FRBの出口戦略が失敗するケースはどうでしょうか?
世界的な金融危機が発生する場合・・・・
中国バブルが最高潮から崩壊するのと、既に少し萎んでからプシューーとなるのが良いか。
アジア周辺国にとっても、少し調整された後の崩壊の方が被害は少ない様に思います。

非常に概念的ではありますが、「破裂」よりは「空気が抜ける」方が安全。

これは、中国のみならず、チャイナマネーの影響を受ける世界全体のメリットにもなります。

■ ソフトランディングかハードランディングか? ■

そろそろ世界経済はエマージェンシーサインが点滅し、
乗客たちは、ポケットからペンを抜いたり、
前傾姿勢の説明を聞いたりする状況でしょうか?

シティーバンクとバンカメがFRBに金融危機発生時の独自対策を提出したのも気になります。

世界がショックに備えようとしている時、
日本だけが年金資金と日銀資金で株の買い支えに余念がありません。

日本の国債金利は米国債金利と連動する傾向が強いのですが、
米国債金利がジワジワと上層を続けています。

そんな中、周回遅れの異次元緩和に突入した日本ははたして無事で居られるのか?
国内政治は参議院選挙に目を奪われて、ニュースも世界経済の変調を軽く扱っています。

当然、投資をされている方々は、戦々恐々とした状態でしょうが、
はたして、リーマンショック後の様に、ソフトランディングとなるのか、
それとも、今回こそはハードランディングとなるのか、
しばらくは、世界経済の情勢から目が離せません。


そして、危機はブラックスワン宜しく、全く意外な所から出現するはずです。





ケインズVSハイエク 第2ラウンド

2013-06-25 10:58:00 | 時事/金融危機
 



『ケインズVSハイエク』の第二ラウンドを見つけました。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=-65T-ZqINwI#at=534

ケインズは後世に間違った解釈を受けていますよね。彼は政府の介入の効果も、そしてその限界にも自覚的でした。

オーストリア学派も、シカゴ学派に引き継がれる時点で、本質や目的自体が180度変質してしまいました。

この二つの「勘違い」が現在の状況の元凶なのかも知れませんね。



第一ラウンドはこちら。

http://www.youtube.com/watch?v=3EkcQJkudoY