人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

非凡とは何か・・・原恵一/カラフル

2010-08-28 15:50:00 | アニメ


■ ハンカチ持参で劇場へ行くべし ■

「クレヨンしんちゃん・大人帝国の逆襲」、「あっぱれ戦国大合戦」の二作品で、日本中のお父さん、お母さんに感動の涙を流させた原恵一。実写映画を含めても、現在の日本で最も優れた監督である彼の最新作が、森絵都原作の「カラフル」です。

原作は昨日、このブログで紹介した様に、良い子の中学生・高校生の読書感想文にぴったりの「読みやすくて、分かりやすくて、感動できる」作品です。

ブログで予告した通り、家内を連れて劇場へ行ってきました。
彼女は前半はコクリ、コクリと居眠りをしていたくせに、気付くと感涙にむせび、ティッシュでハナをかんでいました。良い場面で、グシュグシュと・・・。

とにかくハンカチ持参で劇場にGO!・・・・おしまい。


■ 無駄の排除 ■



原恵一版「カラフル」は、原作を忠実にトレースしながらも、作品に隠されていた全く別の側面に光を当てています。児童小説である原作が、子供達に分かりやすい様に、多少現実離れした人物の性格付けやエピソードを用いてストーリーを展開しています。

原はこの「小説的な無駄」を一切排除しています。母親の浮気の動機も、真が父を嫌悪したエピソードも、兄の弟に対する嫌がらせも、バッサリ切り捨ててて、小林家を全国のどこにでもある普通の一家庭として定義しています。

その上で、それぞれの人間関係を映像によって緻密に浮き彫りにしていきます。

■ スクリーンに「我が家」が現れる ■

室内のシーン、特に食卓のシーンはホームビデオで取った様な、一見すると雑にも思える構図を積み上げていきます。狭い室内で壁を背にして撮影しているかの様な、アップ気味の顔の映像。手前に座る人物の背中越しの映像・・。

するとどうでしょう。スクリーンに映しだされているシーンは、段々と我が家の食卓の様に思えてきます。何処も特別でない、ありぐれた一家の食卓。そこに居るのは、妻であり子供達であり、私自身であるかの様な感覚が沸いて来ます。

今、小林家でおきている事を、わが家、わが身の事態として観客は感じ始めます。

■ 風景の力 ■

一方、屋外のシーンは感動的な映像に溢れています。

等々力渓谷の清流。多摩川の土手。玉電跡の遊歩道。これらの過剰なまでの緻密に書き込まれた風景は、私達にその場所の空気や風を運んできてくれます。

圧巻は、真が天使のプラプラと別れる学校の屋上のシーン。夕暮れの刻々と変化する空の色が時間の変化を刻み、気付くと冬の夕暮れの大気が劇場内に満ちています。

私達はその景色の中で、確かに小林真の気持ちを感じ取る事が出来ます。

■ アニメでしか出来ない事 ■

「河童のクウ」も実写的な構図が多かった原恵一ですが、「カラフル」では、「実写」で簡単に撮れる映像を、あえて手書きにしています。

原自身、かつてインタビューで、「声優の声が気持ち悪く、アニメ的な動きや構図が嫌いだ」と語っています。では何故手間を掛けてアニメを撮るのかと問われて「手書きの絵でしか出ない味がある」と語っています。

この「アニメでしか出ない味」とは何でしょう?
それは、「完全にコントロールされた世界」なのかもしれません。

ラフな背景も、緻密な背景も、そのシーンに必要な絵は、原のイメージのまま作り出せるのがアニメです。それは、時間をも超越して、既に無くなってしまった玉電を、カラーの映像で走らせる事もアニメでは自在です。

この「完全演出」が可能なゆえに、原はアニメに拘るのかもしれません。
原アニメの中では、原は完全無欠な創造主であるのです。

■ 抑制 ■

しかし原はアニメの持つ「完全世界」をあえて抑制し、封印しています。

アングルは決して「実際のカメラ」の取りうるアングルから逸脱しません。
この抑制は「人物」にも及び、人々がアニメキャラ的振る舞いをする事はありません。

この「自己規制による不自由」さを正面からブレークスルーした先に、原恵一だけが到達できる極限の表現世界が存在している様です。

■ 映画自体が小林真 ■

「カラフル」の前半は、音楽も色彩も動きも少なく、抑圧的な空気が支配しています。
家内などは、眠気を催していましたが、この単調で息苦しい世界が小林真の感じている世界なのです。

ですから、早乙女君との交流が始まった瞬間から、世界は一遍します。風景は光に満ち、風が流れ、音が溢れ出します。小林真の世界が動き始めたのを、観客は実感します。



■ アリエッティーの対極にある「非凡」 ■

ジブリの「借り暮らしのアリエッティー」は、アニメでしか作れない美しさに溢れています。しかし、作家の努力の殆どは、ジブリアニメを再現する事に傾けられ、ジブリの世界は現実の世の中から隔絶した理想郷となっています。

一方、原恵一の「カラフル」は、積極的に現実の世界にコミットし、現実の世界を改変しようと試みます。作家としてのスケールが格段に大きいのです。

大人も子供も、「カラフル」を見た後は、見る前と何か違った存在になっています。
親は子供を、子供は親を、そして友人を、もう少ししっかり見つめようという決意を胸に劇場を出る事でしょう。

そして現実の夕焼けを見て、「カラフル」の世界が、自分達の住むこの現実に他ならない事に気付くのです。

夏休みの読書感想文が終わらないお子様に・・・カラフル

2010-08-28 08:03:00 | 


■ 読書感想が決まらない ■

夏休みも残り数日となりました。お子様達の宿題はお済でしょうか。
この時期になると最大の難関は「読書感想文」ではないでしょうか?

「面白くて」「子供の為になって」、「かつ感想文が書き易い本」はなかなか見つかりません。

■ 「嵐が丘」は読めなかった ■

中学2年の娘は、読書好きです。「伊坂幸太郎」も「乙一」も「恩田陸」も大好きですし、「三崎 亜記」でも平気で読みます。

しかし、彼女に近代小説を読ませると、途端に挫折します。

そこで、「文学少女」という現在人気のライトノベルを読ませてみました。「文学少女」は、文芸部の美少女の部長と部員が、文学作品に良く似た事件に巻き込まれるシリーズです。

これがとても面白くて、1作目は太宰治の「人間失格」、二作目はエミリー・ブロンテの「嵐が丘」に似た事件に翻弄されます。娘とその友人達は、私の目論見通り、すっかり夢中で全巻を読破しました。そして、当然、題材になった名作の数々に興味が向かうと思いきや・・・駄目でした。

そこで、読書感想文の本として、「嵐が丘」を買ってみました。ヒース・クリフのダークヒーローぶりがクールなこの本なら、今時の子供でも興味を持つかと思ったのですが、何と1ページも読めないそうです・・・?

出版当時、問題作として社会に受け入れられなかった程「早すぎた名作」である嵐が丘も、今時の中学生に掛かっては過去の遺物なのでしょうか・・・。サービス満点の小説に慣れ親しんだ娘達には、どうも展開がダルくて受け入れられないようです。

■ 「カラフル」を与えてみる ■

そこで、「今風の本」に変更する事にしました。
昨年は「アヒルと鴨とコインロッカー」で苦労したので(読んで面白しろい本と、読書感想文が書ける本は違います)、今年は「中学生が感動して、教訓を得られる本」を選ぶ事にしました。

そして選んだのが森絵都の「カラフル」です。

単に、原恵一の映画の前に、私が原作を読みたかっただけとも言えますが・・・。

■ これこそ読書感想文の為にある本 ■

「おめでとうございます。抽選に当たりました!」という天使の一言で、死んで魂だけになったボクは、自殺した小林真の肉体に乗り移って、「自分が死んだ理由」を見つけるという修行をするハメになります。どいやらボクは罪を犯した魂らしく、この修行に合格しなければ、輪廻のサイクルから永遠に外れてしまう様なのです。尤も、投げやりなボクにはどうでも良い事に思えますが・・・。

ボクが乗り移った肉体は、中学3年生の小林真です。小林真は睡眠薬を飲んで命を落としました。彼は家族と思いを寄せる後輩の、知りたくない姿を知ってしまったのです。

生き返ったボクは、修行に消極的です。いえ、むしろ投げやりです。だから小林真も適当に演じています。周囲はその変化に気付きますが、どうやら小林真はクラスでも浮いた存在らしく、変なチビ女が彼の変化の真相を執拗に追求してくる以外は、誰も彼に関わりを持ちません。

そんな小林真の楽しみは美術部で絵を描く事。小学生の頃からコンクールで入選をする程、小林真は絵が上手です。小林真になったボクも放課後の美術室に向かいます。尤もボクの目的は「桑原ひろか」に会う事。ひろかこそが彼の自殺の原因ともなった、小林真がひそかに思いを寄せる後輩です。ところが、ボクもひろかに心を奪われてしまいます。あるいは小林真の肉体が反応したのかもしれません。

小林真の肉体を借りているボクですが、だんだんと「小林真の真実」がボクの心を痛めつけます。母親の不倫を生理的に嫌悪し、意地悪な兄を憎み、ひろかの援助交際に傷つきます。いつしかボクは小林真と同じ苦しみに沈んでいきます。

しかし、変化もります。小林真をダサイと思うボクは、髪をムースで固め、小林真の貯めた小遣いで最新のスニーカーを買って登校します。すると、同級生の早乙女君が声を掛けてくれます。「それ、高かったでしょう。」

早乙女君はボクの初めての友達になります。そして彼との交流が、ボクを少しずつ変えていきます。


・・・文体はライトノベルよりも児童文学的で、「つるん」としていて平易。設定は子供でも理解できる内容で、感情も複雑ではありません。しかし、しっかり考えさせられて、しっかりと泣けます・・・大人の私でも。

■ 「カラフル」とは人間の多様性の事 ■

題名の「カラフル」とは、人間の多様性の事です。

自分の世界で精一杯の中学生の小林真にとって、他人の多様性を受け入れる余裕はありません。そして、自分自身の多様性にも気付けないで自殺します。

しかし、代役として、投げやりに小林真を生きるボクには、周囲が冷静に見え始めます。母の真の姿、父との関わり、兄の言動の裏側、ひろかの悩み・・・。

灰色だと思っていた世界は、実は様々な色彩が混じりあってできていたのです。そう、世界は実に「カラフル」だったのです。

■ これから映画に行ってきます ■

今年は娘は一気に感想文を書き上げました。内容は良かったと思います。

ご褒美に原恵一のカラフルのアニメ映画を見に行かせました。本を読まない兄を護衛に付けて。

二人とも感動して帰ってきました。
兄も泣いたと言います。
「原作を読むか?」と聞いたら、「読まない」と一蹴されましたが・・・。

これから家内と映画館に行って、思い切り泣いてこようと思います。

夏休み、読書感想文にお困りのお子様に「カラフル」は一押しです。そして、ご家族で読んで、ご家族で映画に行って感動の涙を流して下さい。

ドルはユーロと円で違う顔を持つ・・・円高を喜ぶアメリカ

2010-08-26 04:59:00 | 時事/金融危機
■ ドル/ユーロ (3年間)■


■ ドル/円   (3年間)■


上のグラフはここ3年間の「ドル/ユーロ」と「ドル/円」の為替相場です。日頃ドル/円相場ばかり気にしている私達は、ドルは一環して弱くなっていると思い込んでいますが、リーマンショック後、ドルはユーロに対しては値下がりしていません。

■ ユーロを攻撃するドル ■

ドル/ユーロ相場を見ていると、ユーロに対してドルが値下がりし始めると、ドルが急に持ち直す傾向が見て取れます。

① 基本的に供給過剰なドルはユーロに対して下落するバイアスが掛かっている
② リーマンショックでドルの流動性が欠如し、世界がドルを求め、ドルが上昇
③ 危機後、ドルは再びユーロに対して下落
④ ギリシア危機が発生し、ユーロが下落

発足当時は1ユーロ1ドル程度でしたから、現状ユーロはドルに対して2割程下落しています。

ドルもユーロも国際決済通貨として機軸通貨の地位を競っています。歴史的にもドルは優位に立っていますが、無尽蔵に発行されるドルはユーロに対して減価するのは当然の結果です。ところが、ドルが下落するとイベントが発生して、対ユーロでドルが持ち直します。

■ 円高を望むアメリカ ■

一方、「ドル/円」は一環して下落しています。円に対しドルは実力通りの動きをしています。現在、ドルは85円を切り、70円台を目指して下落中です。

「円高=ドル安」はアメリカに多くのメリットを生じます

① 自動車など国内産業の保護
② 輸出促進
③ 同額の「円」で購入できる米国債の額が増える
④ ドルの増刷で、対外債務の負担を軽減する

日銀の介入が期待されていますが、アメリカは80円を切るまで日本政府に介入を禁じていると言われています。

■ 円高デメリットのウソ ■

日本では「円高は輸出企業の業績を悪化させる」と喧伝されています。

しかしトヨタをはじめ輸出企業もバカではありません。ドルの長期的下落は当然予測されていますから、為替予約やプット・オプションを通じて為替リスクをヘッジしています。

尤も、長期に渡る円高基調は、価格の引き上げという形で消費者に転化されるので、日本企業の売り上げを圧迫する要因には変わりありませんが・・・。


■ 脱ドルが進んでいる ■

平成22年上期の日本の貿易取引通貨別比率は輸出で米ドル48.6%、円41.0%、ユーロ6.3%、輸入では米ドル71.7%、円23.6%、ユーロ3.2%となっています。

アジア向け輸出が増大している事の表れでしょうが、不況下の物価を考慮すると、円高のデメリットよりメリットの方が大きくなりつつあります。

■ 円高を楽しもう ■

スーパーに行けば円高のメリットを実感します。以前は「高い」と思っていた輸入牛肉も国産豚肉以下の価格です。

バブルの頃、カッコ付けて飲んでいたフォアローゼスも、国産大衆ウィスキー並みの価格です。

不景気で人々の気持ちがなかなか消費に向かいませんが、案外現在の日本は消費天国なのかもしれません。

原子力発電所と核兵器・・・核をめぐる二つの欺瞞

2010-08-22 11:05:00 | 時事/金融危機




■ イランの原発が稼動 ■

ロシアの技術支援で建設されていたイランのブシェール原発(100万キロワット)が昨日燃料棒を挿入して稼動を開始しました。

アメリカは核兵器開発の繋がるとして長らくイランの原子力開発に反対していましたが、先にオバマ大統領はブシェール原発の稼動を容認する発言をし、その結果の稼動開始です。

ロシアはイランに原子力発電や天然ガスの利権を持っており、従来アメリカのイラン政策には反対の立場を表明していましたが、先に発表されたアメリカのイラン制裁にロシアが協力的な立場を取ったので、その結果の原発稼動とも言われています。

■ 原発と核兵器開発は直結しない ■

北朝鮮にしてもイランにしても、アメリカに対抗する国家の原発開発にアメリカが反対する理由は、使用済核燃料からプルトニュウムを抽出して長崎型の原子力爆弾を製造される心配があるからです。

しかし、商業用原子炉で生成するプルトニウム同位体の不純物が多く、複雑な構造の起爆装置を必要とします。

① 核反応は核反応物質の原子核から中性子を放出して核分裂を起こす。
② 放出された中性子は他の原子核に衝突して核分裂を起こし、さらに中性子を放出
③ 核物質の密度が臨界を越えると、核分裂が爆発的に加速して核爆発を起こす

④ 核兵器の起爆装置としては、爆薬で直線的に核物質を衝突させるガンバレル型の製造が容易。
⑤ 核兵器に使用されるプルトニウムはPu(239)である。
⑥ 同位体であるPu(240)が1%混入すると、反応速度が飛躍的に高まり、
  ガンバレル型起爆装置では核爆発以前に装置自体が破壊されてしまう。
⑦ 商業用の軽水炉で生成されるプルトニウムは20%のPu(240)の混入がある。

以上の事から、イランで軽水炉が稼動したとしても、簡単に原爆が製造できるかというと問題はそう易しくはありません。不純物の多いプルトニウムで核爆発を発生させる為には、インプルージョン式という複雑な起爆装置が必要になります。

⑧ インプルージョン式起爆装置は球体の表面から中心に反応物質を圧縮して臨界状態を作利出す。
⑨ 球体表面の爆薬の爆発の圧力によって、反応物質を圧縮する。
⑩ 爆薬の爆発のタイミングの極小さなズレで、臨界は達成されない。

以上の様に、イランで商業用の軽水炉が稼動して、仮にプルトニウムが抽出されたとしても、精密で複雑な構造のインプロージョン型の起爆装置が製造できなければ、即核兵器の開発には繋がりません。

■ 当分はロシアが再処理を担当する ■

ブシェール原発の核燃料の再処理はロシアが担当するので、ロシアが加担しない限り、イランが核兵器用のプルトニウムを手にする事はありません。

■ 高濃縮ウランによる核兵器 ■

アメリカが今回イランの原子炉稼動を認めた理由には、ロシアが供与する商業用の原子炉からは核兵器が製造される可能性がほぼゼロだからです。

一方、イランは広島型原発で用いられた原爆の材料である高濃縮ウランの製造をあきらめた訳では無いようです。

アフマデネジャド大統領は、イランがウランの濃縮を行うのはイランの権利であると主張しています。

今回のロシア製原発の稼動は、イランの独自のウラン濃縮の必要性を否定する上でも必要であったと言えます。

■ 北朝鮮でも同じ過程と辿った ■

ここで思い出されるのが北朝鮮の核開発です。

北朝鮮は兵器レベルのプルトニウムが生成出来る黒煙炉を独自開発しますが、アメリカはこれを阻止する為に、西側諸国の強力で軽水炉を建造する事を北朝鮮に合意させます。クリントン政権時代の事です。

しかし、その後、北朝鮮が秘密裏にウラン濃縮を行っている疑いが発覚し、軽水炉の県建設は凍結されます。これを受けて北朝鮮は寧辺(ヨンビョン)の原子炉を稼動し、原爆用のプルトニウムを抽出したと言われています。

■ 核兵器開発の必要性 ■

表面上だけ見れば、北朝鮮もイランも核兵器を開発する必要性があります。

アメリカを始め、世界を敵に回して自国が生き延びる為には、「核兵器」が不可欠だからです。核兵器は弱小国が強国を相手に取引するには、最強のカードである事は、北朝鮮を見ても明らかです。

■ 第二次大戦の戦勝国特権としての核兵器 ■

当初の核保有国は、アメリカ・ソ連・イギリス・フランス・中国の五カ国でした。これは第二次大戦の戦勝国です。

敗戦国である日本やドイツは高い技術力を誇りながらも、核兵器の保有は認められません。日本はイランと同様、燃料の再処理を他国に依存していましたが、現在は六ヶ所村の再処理工場が試験運転をしています。

原爆が投下された国としての、日本の核兵器に対するアレルギーの強さゆえに、再処理が認められているとも言えます。

■ 地域の緊張を高める「新核保有国」 ■

現在、戦勝5カ国の他に、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮が核兵器を保有していると言われています。

イスラエルはアラブ諸国と、インドとパキスタンは相互に、北朝鮮は世界に対して緊張関係を持っています。

東西冷戦が終結した現在、この新たな核兵器が世界の平和を脅かしています。

■ 誰が各技術を供与したのか? ■

北朝鮮、パキスタンの核開発は、パキスタンのカーン博士の技術の下に、ならず者国家が結集した結果だと言われています。

核開発には、複雑な構造の起爆装置の開発や、特殊な遠心分離機をその他多くの技術的難題が立ちふさがります。

それを、この国際核シンジケートは、裏の世界で、世界の監視の目を盗んで達成して行ったと言われています。

・・・不思議な話です。核物質も、開発装置も国際的に監視されている中で、これらの問題国家がミスミス核兵器を開発出来たというならば、世界の諜報機関はずいぶんと「間抜け」としか言い様がありません。

むしろ、裏で核開発を手引きした者の存在を暗示させさえします。

■ 緊張を永続させる核兵器 ■

北朝鮮のみならず、核保有国に対しては、大国と言えども安易に攻撃を加える事は出来ません。

尤も、核兵器を搭載できるミサイル(ロケット)と、ミサイルに搭載できる小型核弾頭を開発しなければ、それらの核兵器はアメリカやその他の国を直接脅かすものではありあません。

北朝鮮の弾頭は巨大で、テポドンの積載量では核弾頭を搭載出来ません。

これらの国の所有する核兵器の脅威は、「地域限定」であり、むしろ紛争を抱える地域の抑止と緊張の永続化に寄与しています。

核兵器が東西冷戦を膠着状態にしたのと同じ働きを、ならずもの国家の核兵器は有しています。この点からも、これらの国々の核兵器は、世界を動かす者達にとって都合の良いものとなっています。

■ 本当に困るのは日本の核武装 ■

アメリカが一番恐れているのは、実は「日本の核武装」です。

日本は戦後アメリカの属領として、その保護の下経済発展し、その見返りとしてアメリカ国債を買い支える事で、アメリカの繁栄を支え、その崩壊の時期を遅らせています。

ギブ&テイクとも言えますが、見ようによっては、ヤクザにミカジメ料を払って守ってもらっている状態です。

日本が「核武装」すれば、表面上は日本はアメリカに守ってもらう必要が無くなります。町に自警団が出来て、ヤクザを追い出すのと同じです。

アメリカが日本の核武装を恐れるのは、日本が自主防衛を実現したら、ミカジメ料が得られなくなり、アメリカが崩壊してしまうからで、日本からの核攻撃を恐れている訳ではありません。

■ 技術的には弾道弾も作れる日本 ■

1tからの荷物を宇宙に打ち上げる事の出来るH2ロケットは、言うなれば大陸間弾道弾です。

小惑星探査衛星のハヤブサの大気圏再突入カプセルの、耐熱シールドは、核弾頭に不可欠で、各国門外不出の技術です。オーストラリアに落下したハヤブサのカプセルの大気圏突入を各国の情報機関は大きな興味を持って見守りました。

核弾頭も大気圏突入カプセルも、進行方向の空気を断熱圧縮する事で数千度の高温プラズマが発生し、断熱技術が無ければ核弾頭も再突入の熱で破壊してしまいます。日本は樹脂とカーボンの混合シールドを用い、この問題をクリアーしています。

打ち上げ技術も、制御技術も、大気圏再突入技術も有する日本は、核弾頭させ製造すれば、いつでもICBMを製造する事が出来ます。

日本のシミュレーション技術をすれば、起爆装置の製造も短時間で可能です。

■ マスコミを通じて核アレルギーを蔓延させるCIA ■

「核廃絶」は被爆国家としての日本の悲願です。アメリカとCIAは戦後、マスコミを総動員し、さらには学校教育も活用して、日本人を核アレルギー人種にしてきました。

今年、ルース駐日大使が広島の原爆式典に参加して話題となりましたが、日本人が核武装のメリットに目覚めない為には、多少の譲歩もアメリカにはメリットの方が大きいのです。

■ だからといって「核武装」してはいけない ■

メリットの多い日本の核武装ですが、もし日本が核武装しようものなら、全国に散らばる米軍は全力でそれを防ぐでしょう。

さらに日本の核武装は、日本の軍備拡張を警戒する韓国、中国を始めアジアの多くの国々の反発を招き、アジアでの日本の地位を崩壊させます。

■ 韓国の核武装 ■

韓国は北朝鮮と国境を接しているので、秘密裏にウラン濃縮を試み、それが露見して国際的な非難を浴びました。歴史的にみて大国の重圧に怯える韓国はそれでも核兵器保有の野心は捨てていないでしょう。「日本が持てない核」を保有する優越感に彼らはあがなえません。南北統一の暁には、韓国は北朝鮮の核の所有権を主張するでしょう。

アメリカの影響力がアジアで残っていれば、アメリカは韓国を核武装させて、中国とロシアに対抗させて、緊張の永続的維持を図るかもしれません。

■ 核をめぐる二重の欺瞞 ■

戦後日本人は核をめぐる二重の欺瞞に欺かれてきました。

一つは、日本の核武装のメリットを教えられない事。
そしてもう一つは、北朝鮮を含めならず者国家の核が、地域を安定化させている事。

さらに最近ではロスチャイルドを中心とする「原発クリーンエネルギー論」という欺瞞も加わります。

私達日本人は、「核の本当の力」を知らずに世界を見ていました。

ネットの時代、いつまでも「何も知らない日本人」ではいられません。
尤も、真実を知った人たちは、反動で極端な選択をしがちです。
ネット右翼の核武装論が良い例です。

唯一の被爆国家として、これからは「核の真実」を知りながらも、「核の廃絶」を訴え続ける義務が私達にはあります。


妄想の翼を思い切り広げてみると・・・

2010-08-19 11:49:00 | 時事/金融危機



■ 何故か85円を切らないドル/円相場 ■

米経済の二番底懸念が現実化して円高(ドル安)が進行しています。菅首相が「介入」について日銀と話をする様です。

マスコミ各社は、菅内閣は現状「口先介入」はしているが、実際の「円売りドル買い」のオペレーションはしていないと報じています。

ドル/円相場は、1ドル86円付近で行ったり来たりしています。一瞬、84円台を付けましたが、その後は85円を回復しています。

しかし、現状のドルの実力がはたして85円かと問えば、多くの人が80円を割っていると答えるでしょう。それでは、市場参加者達、特に円安(ドル高)に賭ける方々は、何を基準にドルを買っているのでしょうか?

■ 特別会計がドルを買い支えているのではないか? ■

ここで気になるのが「特別会計」です。政府日銀とも表立っては「ドル買いオペ」を否定していますが、ドルの実力に反して1ドル85円をキープしているのは、裏で大きなお金がドルを買い支えている事を示すのではないでしょうか?

外為特会は2001年以前は、その収支すら明らかにされていない状態でした。ですから現在、特別会計で10兆円、20兆円規模のドル買いオペレーションをしていても、国民は知る由もありません。

表向きだけ、菅総理と日銀が口裏を合わせていれば、誰も分かりません。

■ アメリカ国債を買い支える郵貯資金・メガバンク・生保マネー ■

板垣英憲氏はブログで、ジャパンハンドラーのピーター・グリーンと小沢一郎が密かに八丈島で密会し、郵貯マネー10兆円の米国債購入で「小沢総理」の手打ちをしたのではないかと言っています。

根拠は定かではありませんが、その後、新聞やテレビの論調は、反小沢色が薄らぎ、森元首相の息子の逮捕や、ハマコーの逮捕、NHKの影山解説員の自殺など、旧勢力のトカゲの尻尾切りが相次いで起こりました。

民主党政権発足直後、日本政府の米国債保有高こそ増えませんでしたが、郵貯、メガバンク、生保はアメリカ国債を買い増していた様で、日本の民間の米国債保有高が膨らんでいました。

メガバンクは政府の支持で、海外での自己取引で米国債を買い支えているようです。

■ 国民の知らない所で、国民の資産がアメリカに貢がれている ■

私達は国を信用して税金を黙々と納税し、銀行や生命保険や郵貯を信じて、苦しい家計から貯金をしています。

その様な私達の資産は、ジャンク債同然のアメリカ国債に次々と姿を変えているのです。

中国を始め世界の国々は、長期の米国債を手放し、2年物などの短期国債にシフトしてリスクを減らしています。一方、日本はアメリカの長期国債を買い支えています。20年後、30年後に、地球上のアメリカ連邦政府は存在しているのでしょうか?

銀行も生保も郵貯も信用出来ないならば、私達は自分の資産は自分で守るしかありません。

■ 最悪のシナリオ ■

中間選挙でアメリカの民主党の大敗の可能性は濃厚です。
支持率の低下した政権は、戦争にその解決の糸口を求めます。

ラマダン明けの9月から、アメリカは中東有事を仕掛ける可能性は否定出来ません。
恐らくイスラエルのイラン原子力施設空爆という形を取るでしょう。

しかし、アメリカは今回はイスラエルに加担しないかも知れません。イスラエルはイランやレバノン、シリア、トルコを相手に、屈辱的な停戦を受け入れるか、自爆的核攻撃を敢行するしか選択肢が無くなります。

そこで裏切られたイスラエルは、モサドを使って「オバマ暗殺」を企てるかもしれません。あるいは、モサドやアメリカのユダヤロビーに罪を着せ易い状況を作り出すでしょう。

■ オバマ・ショック ■

人気が低迷しているとは言え、「大統領暗殺」は大問題です。

アメリカでは失業した黒人達が各地で暴動を起こすでしょう。それに乗じて、ヒスパニックやアジア系、その他の貧しいマイノリティー達が暴動に加担し、全米がパニックに陥るも知れません。

そこで「FEMA」の出番がやってきます。

FEMA(フィーマ:フェデラル・エマージェンシー・マネージメント・エージェンシー Federal Emergency Management Agency 「アメリカ連邦緊急事態管理庁 」と言う大統領直属の治安維持組織です。

FEMAは自然災害や大規模な騒乱などに対抗する為に、強力な権限を与えられた組織です。カーター大統領が作った組織で、以前は大統領の直属組織でした。

FEMAは発足当時より、その巨大な権限ゆえに、「アメリカ国民を統制する為に設けられた組織」という噂が絶えません。「統制」を嫌うリバタリアン達の妄想なのでしょうが、全米で暴動が発生する様な事態に対応するのはFEAMです。

■ 地方から崩壊する米国 ■

今アメリカは地方から崩壊しています。全米最大の州であるカルフォルニアは財政難から借用書を発行する有様です。オバマの出身地のイリノイ州では、州からの支払いが半年も滞っているものもある状態です。

連邦政府が借金ズブズブならば、州政府も借金で首の回らない状態です。

生活保護や教育、ゴミの収集など、国民の生活に密接に関わる分野が音を立てて崩壊しようとしています。国民の不満は、連邦政府の金融規制法案などよりは、ゴミの収集が来ない事で爆発します。

もし、中東で有事が勃発すれば、原油価格が高騰し、ガソリンを始め多くの物価が高騰します。

事ここに至って、アメリカの生活に困窮し市民達が穏やかで居られる訳がありません。

そこに、「自分達の黒人大統領」が暗殺されたとなれば、暴動の炎が一気に吹き上がり、アメリカは内部から崩壊します。

■ 非常事態宣言とデフォルト ■

FEMAの発動と同時に、非常事態宣言が発動され、アメリカは一気に統制モードに突入します。

ヒラリー・クリントンが臨時大統領に就任し、「デフォルト」を宣言することでしょう。国内で黒煙と火の手が上がる映像を見せられた世界の国々が、強くアメリカを糾弾する事は出来ません。

こうして、アメリカの崩壊と引き換えに、ドルを通じて集められた富は、ヨーロッパのどこかに静かに眠って次の出番を待つ事になります。

■ アメリカの歴史はヨーロッパからの独立の歴史 ■

アメリカの歴史はヨーロッパからの独立の歴史です。

アメリカ建国からしばらくしてニューヨークに渡ったヨーロッパの銀行家達は、1913年に連邦銀行を設立して、政府に資金を供与する事で、アメリカの乗っ取りに成功します。

古くからのアメリカの住民達は、リバタリアンとして連邦政府からの独立と、ドルからの独立を目指して戦いますが、彼らは次第に追い詰められ、今では市井でティーパティーを開いてストレスを解消する集団となっています。

一方、アメリカを支配したヨーロッパの金融資本にも内紛が発生します。ロスチャイルドの現地支配人であったロックフェラーが、ロスチャイルドを出し抜いて、アメリカの利権を手中に収めようとしたのです。

意図的に金利を引き下げ、投資バブルを誘発し、その後金利を引き上げてバブルを崩壊させます。これが、1920年の世界恐慌の真相です。
恐慌で二束三文の値打ちと化した、アメリカの民族資本の銀行や企業を、ロックフェラーは手に入れ、アメリカの覇権を握ります。

■ 日本を支配したCIAとロックフェラー ■

日本は第二次世界大戦前までは、イギリスのロスチャイルドの支配下でしたが、対戦後に主人が変わります。

GHQのマッカーサーは多分、ロスチャイルド系の人材として、日本の戦後統治を行います。財閥解体や農地開放など、マイルドな社会主義改革を行います。アメリカのリベラル勢力が日本国憲法を草案して、日本に実験的な理想郷を作ろうとします。

しかし、アメリカ本国でロックフェラーの勢力が急激に台頭し、CIAと国務省が中心になってGHQからマッカーサーを追放します。ロックフェラーの勢力は、日本の再軍備と産業振興を通して、日本利権を築き上げて行きます。

戦後復興と日本の再建を願う、旧陸軍や海軍の参謀達が、CIAと共謀して、日本の戦後の青写真を作って行きます。自民党の黎明期がこれに当たります。

これ以降、日本はジャパンハンドラーと呼ばれる、ロックフエラーやCIAに組する者達の支配する国となります。

■ ロックフェラーの斜陽 ■

長らく世界に君臨したデイビット・ロックフェラーも95歳を越え、とうとう寝たきり状態になった様です。後継者と目された人物は、先日オーストラリアで不審な死を遂げています。

帝王の死期が近づき、アメリカでは急激にデビット・ロックフェラーの甥であり、本家の嫡男であるジェイ・ロックフェラーが台頭しています。

ジェイ・ロックフェラーはゴールドマンサックスのオーナーであり、ロスチャイルドのアメリカの代理人でもあります。

D・ロックフェラーは戦争を武器に、ヨーロッパを抑えてアメリカの覇権を追求しました。共和党はロックフェラーとアメリカの独立派(リバタリアン)に支えられた党です。

一方、民主党はロスチャイルドを中心とする金融資本家達と、イルミナティーがマルクスと共に創出した、社会主義者(労働組合)に支えられた党です。彼らにはアメリカはの拘りはありません。彼らの目的は世界革命と世界政府です。

■ 世界に呼応する日本 ■

菅政権は、日本初の左翼政権です。菅政権の成立と、ロスチャイルドを中心とする世界の流れは無関係では無いでしょう。

日本の左翼政権樹立に肝を冷やしたのは、ジャパンハンドラー達です。彼らはロックフェラー=CIAとして、ロスチャイルドの息にの掛かった小沢一郎を必死に排斥していましたが、小沢ー鳩山が退いた後には、何と社会主義政権が出来上がっていたのです。

そこで、CIAは慌てて、マスコミを使って菅政権バッシングを展開します。

宿敵、小沢一郎とも手打ちをして、左翼政権よりはましな、小沢を中心とする大連立政権樹立を後押しする様です。

■ 後戻りできない世界 ■

ロックフェラー=軍産複合体がどんなに画策しようと、たとえ戦争を起こそうとも、世界はある方向に向かって変わろうとしています。

成長の限界に達した世界を、再び成長の軌道に乗せるのは、先進国の衰退と、新興国の成長しかありません。

戦争か大規模の経済破壊しか、この目的を達成する事が出来ない事は、歴史が物語っています。我々が選べるのは、「戦争か経済崩壊か」という選択肢です。

さて、イランーイスラエル戦争は起きるのか?
オバマ・ショックは起きるのか?

今日は、妄想の翼を思い切り広げてみました。・・・だって暑さで脳が溶けてますから・・。