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WIN WIN のウクライナ戦争

2023-06-08 04:19:35 | 時事/金融危機

BBCより

 

■ 米露どちらにも正義は存在しないウクライナ戦争 ■

ウクライナ戦争においてメディアは「侵攻を開始したロシアは悪」という立場を取り、陰謀論者の多くは「ロシア系住民をネオナチに虐殺から救ったロシアは正義」という立場を取ります。私もどちらかと言えば後者寄りですが、しかし、基本的に、この戦争は「アメリカとロシアの共同作戦」と解釈しています。

 

■ ロシアのメリット ■

上の地図は現在のロシアの支配地域を示すものですが、ロシア語系住民の多い地域を制圧しています。下の地図はウクライナにおけるロシア語系住民の割合を色別に示したものですが、ロシアに近い東部に行くに従い、ロシア語を話す住人は多くなります。ロシア語系住民は、マイダン革命以降ウクライナでは迫害されていたので、住民の多くは現在のウクライナ政府に反感を持っており、ロシアへの編入が比較的容易に進みます。

ロシアとしても「迫害されているロシア系住民を救う為の戦争」という大義名分が立ちやすい。

 

日経新聞 より

 

 

実はウクライナのロシア国境に近い地域は地下資源も豊富で、ソ連時代から工業化も進んでいた。ロシアにとってこの地域を併合する事は、住民の保護以上のメリットが存在します。

 

■ 農地を巨大アグリカンパニーに売り渡したゼレンスキー ■

 

工業化が進んだ東部に対して、西部は農業が主な産業です。ウクライナは黒土と呼ばれる腐植質に富んだ肥沃な大地の、穀倉地帯が有名で小麦などの生産量が多い。ソビエト時代は国営農場や集団農場として、農地は国の物でしたが、ウクライナが独立した後、農地は農民に分配されています。農地を手にした農民は、農地をオレガリヒに貸す様になります。

2020年にゼレンスキーは農地法を制定させ、農地の所有と売買の権利を国民に与えました。この法律には国内の反発も強かった。特に農地を外国企業が独占する危険性があるからです。ゼレンスキーは新型コロナを利用して強引にこの法案を可決させますが、表向きは外国人の農地の取得は国民投票で決めるとされた。しかし、実際には3年以上ウクライナで活動している外国企業の農地買収を認めるという内容だった。

心配された通り、個人所有となった農地の多くを外国企業に売ってしまった。腐敗した地方政府も、同様でした。2022年にはバイエル、モンサント、コーテバ、カーギルの3社がすでにウクライナの黒土の優良農地1670万ヘクタールを支配して、多くの農民が小作農になった。昨年辺り、オデッサ港からの小麦輸出が滞って問題となっていました。「メディアは小麦が輸出出来ずに農民が困っている」といった報道を繰り返していましたが、困っていたのは欧米の巨大アグリ企業です。

実はロシアもソビエト崩壊後に、同じ状況に陥りました。国有財産であった石油やガスなどの地下資源をオレガリヒと呼ばれる新興財閥が独占し、さらに欧米の企業が農地を買収していった。この状況にストップを掛けたのがプーチンです。オレガリヒを次々に逮捕し、西側資本をロシアから追い出します。

 

■ ウクライナの国有財産の管理をブラックロックに委託したゼレンスキー ■

ゼレンスキーはさらにウクライナの資金と資源や国有企業などの管理を、世界最大の投資会社のブラックロックに委ねる法案にサインした。これでウクライナの財産は、ブラックロックが管理する事になります。名目上は「民間委託」或いは「コンサルティング」ですが、実際には国家財産の乗っ取りです。

現在、西側諸国の国民は「ウクライナの国民を救う為に援助が必要」と洗脳され、税金から多額の支援金がウクライナに送られていますが、これをブラックロックはオフショアに持ち出していると噂されています。要はウクライナの支援金が、「より利益の高い運用目的」に転用されているのです。ブラックロックは運用益の中からコンサルティング料をせしめますが「運用」自体が市場操作に使われている可能性があると私は妄想しています。インフレの進行で本来下落が続くであろう資産市場が妙に安定しているのは何故か・・・。

 

■ ロシアは最新兵器の見本市として、西側諸国は古い兵器を捨てて新しい兵器を買う為に戦争を利用 ■

ウクライナ戦争でロシアは最新兵器を投入しています。特に極超音速ミサイルは、アメリカのパトリオット防空システムを軽々と撃破したり、その極めて高い運動エネルギーで分厚い花崗岩を貫通して地下施設を破壊したりと、西側の軍事関係者を震撼させています。飛行起動を自在に変更しながらマッハ10で飛行するキンシャールはレーザー以外では迎撃不可能です。今、仮に米露が直接戦闘をした場合、極超音速ミサイルに対してアメリカの空母は無防備です。4000人以上の乗員が載る海に浮かぶ棺桶同然とも言えます。中国の精密弾道弾も誘導が可能なので、アメリカの誇る空母機動部隊は、時代遅れの戦術となっている。

一方、西側諸国は敢えて軍備においてロシアに花を持たせている様に見える。攻撃力の高い兵器や、最新兵器は供与せず、蓄電池の劣化で破棄寸前のシャベリンを供与したり、賞味切れ前の弾薬を大量にウクライナに送っています。これらを国内で処理するにはコストが掛かりますが、ウクライナに送るのにはコストが掛からず、「支援」という新な予算が付く。さらに、ロシアの最新兵器の威力を国民に見せつける事で、新型兵器の開発や配備への予算が確保し易くなる。

この様に、戦争は軍事産業にとっては、ショールームであると当時に、新旧兵器の新陳代謝を進める役割を担っている。軍事産業にとっては、対戦相手は敵では無く、ビジネスパートナーとも言える。

 

■ WIN WIN のウクライナ戦争 ■

ネット界隈では米英がウクライナの停戦を邪魔していると言われますが、戦争開始からロシアは圧倒的な戦力を小出しにして、戦争の決着を先延ばしにしています。その間に、資源国の多くがBRICs陣営に加わり、中東の産油国が長年のワダカマリを解消して国交を回復しています。ドルによる貿易決済は依然として84%と高いものがありますが、原油決済において人民元がシェアを伸ばしています。ウクライナ戦争でロシアをSWIFTから締め出すという形で、ドルを制裁手段に使った事が、アメリカを好ましく思っていない国々のドル離れの引き金を引いた。更に欧米各国はロシアの海外資産を凍結、接収するという強盗行為まで働いたのだから尚更です。既に外貨準備におけるドル離れは顕著になっており、一部の国はドルの行先に懸念を抱き始めている。

戦争が長引けば長引く程、ドルの覇権は崩れ、資源価格の高騰により、西側諸国はインフレによって資産市場が崩壊に追い込まれて行く。

一方、アメリカのバイデン政権は、敢えてウクライナ戦争を長引かせる事で、アメリカや西側諸国を窮地に追い込んでいる。その最大の犠牲者はヨーロッパで、ロシアからのガスの輸入を停止させられただけで無く、ガスパイプラインまで戦争のドサクサに紛れて破壊された。エネルギーコストの増大は、ヨーロッパをインフレによって締め上げている。

ただ、ウクライナ戦争の影響は、ドル覇権の崩壊という形で、アメリカにも致命傷を与えつつある。これをバイデンが無視している事こそが、ウクライナ戦争の最大の疑問であり、多分、それこそがこの戦争の目的だと私は妄想している。ダボス会議が提唱する「グレートリセット」という言葉が一人歩きして、様々な憶測を呼んでいるが、西側諸国においてリセットされるのは、民主主義や国民国家では無いかと私は疑っている。日本でも強引にマイナンバーカードの普及が進められているが、デジタル化されたあらゆる個人情報を誰がどうやって使うのかが、次の時代の鍵になる。「企業が国家を支配する」時代のモデルは、ウクライナで既に始まっているが、ウクライナだけに留まるのか・・・・。

 

■ ヨーロッパの次は日本 ■

ウクライナ戦争でババを引かされたのはヨーロッパだが、これは日本にとって対岸の火事では無い。米中の対立が意図的に仕組まれている以上、アジアでも同様の戦争が起る事は確実です。多分、台湾がその舞台になりますが、日本はNATO諸国同様に、その紛争に巻き込まれます。安倍政権、岸田政権と軍拡路線が急激に進んでいますが、既に筋書きが決まっているのでしょう。

ヨーロッパ諸国も、日本も、自国に不利益な事を敢えて受け入れている様に見えるが・・・アメリカの崩壊を待っている様にも見える。仮に在日米軍、在韓米軍が撤退した場合、日本は中露と直接交渉する立場になりますが、敵地攻撃力を持たない国の交渉力は低い。きっち海洋アジア諸国は、NATO型の集団安全保障体制を結んで、中露と敵対的では無いが、従属的でも無い関係を模索して行くのでしょう。(願望ですが)