■ 「いつまでも、モリカケじゃないだろう」という意見の問題点 ■
「いつまでもモリカケ問題ばかり追求していないで、きちんと予算審議やその方の重要法案の審議をして欲しい」という一見良識的な意見が増えています。
私はこの意見にピーーー!!とイエローカードを差し出したい。
「政治家が信用出来ない」のは昔からの事ですが、疑惑が発覚した場合は政治家はきちんと「社会の裁き」を受ける事は大変重要な事だと思います。
日本人の多くがサラリーマンで税金は給料から天引きされるので、自分の納税金額を把握していない方が多い。しかし、健康保険税や年金も含めると、サラリーマンの給与に占める税率は40%に近い。これだけ多くの税金を負担しているのだから、その税金が正しく使われているかをチェックするのは国民の義務です。
森友問題にしても、加計問題にしても、国家の財産や、地方の税金が正しく使われているかが問われているのであり、安倍首相がそれに関与していたかどうかを証明する事に大した意味は有りません。
安倍首相の責任問題は、税金の使い方が間違っていたと判断された時、政府の代表としての責任が生じる訳で、国民は選挙で責任を追及するなり、しないなりを決めればよいのです。
ですから予算委員会で議論すべきは、国家の財産である国有地がきちんと適正な価格で売却されたかどうかで、安倍首相に対する忖度があったとか、安倍首相が秘書官や首相夫人付きを利用して破格の値引きを強制した・・・なんて事は、国民が勝手に判断すれば良い事です。
同様に加計問題の本質も、多額の税金が補助金として投入される事の費用対効果や、提示された建設コストが正しいものであったかチェックする事に重要性があります。
ここに問題が有ったと明確になったならば、国民はおのずと「何が原因か」を想像して、選挙によって原因を排除すれば良いだけです。
■ 会計検査院の報告は加計隠しの煙幕では無いか? ■
会計検査院が森友学園への国有地の売却と価格設定に問題が有るのでは無いかとの見解を示し、森友問題に対する野党の追及が厳しくなっています。
多分、政府は「今後、この様なケースが発生しない様にルールを変更し、管理を徹底する」とうだけで、森友学園予定地を再ボーリングしてゴミの量を確認する事はしないでしょう。
森友問題で直接責任を問えるのは、価格交渉の音声データを公開された財務省の職員ぐらいで、財務省が証拠を破棄している(表向きは)以上は、佐川元理財局長の責任追及も難しいはずです。多分、ここら辺が落としどころで、但し、彼の罪を裁判で立証する事は困難かも知れません。
問題は会計検査院の報告で、野党の追及が森友学園問題に集中してしまう事です。
森友学園問題は籠池夫妻が詐欺の容疑で逮捕された事で、既に小学校の開校は中止され、国有地売却も白紙に戻っているハズ。後は登記上、学校敷地の所有者を財務省に戻し、学校の校舎を解体するか、新たな事業者が校舎コミで買い取って有効利用するかの問題となりあます。
森友問題は既に「オワコン」に近い。
一方、加計学園は、今後、今治市と愛媛県が補助金の額を決定する最重要イベントが残っているので、「税金の無駄使いを許さない」という国民の権利を行使するならば、こちらの方が重要となります。そもそも、補助金が額が96億円と、森友学園など問題にならない程大きい。
■ 今治市の第三者委員会は、案の定、「建設費用に問題は無い」との答申を出した ■
今治市も愛媛県も、今治市が設置した第三者委員会の答申が出てから補助金を予算化するとしていますが、第三者委員会は「建設業者からヒアリングして価格は適性だった」との判断を下しています。
これ、泥棒に「お前は泥棒か?」と聞いて「いいえ」と答えた返事を鵜呑みにするのと同じ状況ですが、これで今治市と愛媛県は補助金支給が正当化されたとするハズです。
■ 騒いでいるのはプロ市民で、住民は「空気」を読んで騒がない ■
本来は今治市民が大騒ぎして、住民訴訟を起こすなり、補助金の差し止めを要求するなどの行動を起こすべきですが、そうなってはいません。騒いでいるのは一部のプロ市民です。
自民党が強い地方都市では、下手に騒ぐと周囲から白い目で見られる恐れがあります。ですから、今治市民は黙っています。彼らが騒ぎ出すのは、今治市の財政が銚子市の様に逼迫して、市民病院が閉鎖されるなどの実害が生じてからになるハズです。
「ここで安倍首相に恩を売っておけば将来見返りがあるかも知れない」とか、「経緯はどうあれ加計学園が開学して若者が増えれば地域の活性化につながる」と考えているかも知れません。
そもそも、獣医学部開設の経済効果に期待しているのは、アパート経営者や、地元の商店の方々でしょう。彼ら個人事業主はあまり税金を納めていない方が多い。
今治市で補助金分の税金を実際に負担するのはサラリーマンの方々のハズです。しかし、彼らは納税意識が薄く、故に政治意識も高くはありません。自分達の税金が、一部の自営業者と学校関係者と、政治家や銀行の利益にすり替わってしまうという認識が無いのです。
■ 民主主義の根幹が問われている ■
ラフに言ってしまえば、民主主義とは、国民や住民が選んだ議員に、税金の使い方を委ねるシステムです。
「いつまでもモリカケじゃないだろう」という意見には、この視点が欠落している様に感じます。
「日本は北朝鮮のミサイルの脅威に晒されているのだから、憲法改正の方が重要」とか、「日本の自主防衛はアメリカの属国からの脱却の第一歩」と主張する最近の風潮は、「税金の使い方を検証する」という国民の義務を軽視し過ぎていると感じます。
尤も彼らは「生活保護を在日や外国人に支給するのはオカシイ」という点へのチェックは厳しい。実は私も同意見ではありますが・・・。少なくとも日本国籍を取得してから生活保護申請をして頂きたいとは思っています。