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米商業不動産市場に注意…足元から崩れる危機

2024-02-06 06:23:19 | 時事/金融危機

🔳 米商業不動産市場の悪化 🔳

ニューヨークの地方銀行のニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)の株が急落するなど、銀行危機の第二幕が始まった様です。シリコンバレー銀行の破綻は米国債の下落による含み損の急拡大でしたが、今度は米商業不動産市場向け融資の不良債権化が原因で、日本のバブル崩壊に似ています。

アメリカはコロナ以降、オフィスの空室率が高止まりし、商業不動産関連のデベロッパーが危機に陥っています。地方銀行の多くはこの様な企業に融資していますが、借り換え金利の上昇で融資が焦げ付く可能性が出てきた。また商業不動産関連の債券も下落して、多額の含み損が出ています。

アメリカの地方銀行の多くが、ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)同様のリスクを抱えているので、アメリカの地方銀行の破綻がコレから続く可能性が高くなります。

🔳 機器は米国限定では無い 🔳

米商業不動産市場の下落は、日本や他国の銀行にも影響を与えています。ドイツ銀行は融資に占める米不動産向けが1.5%有り、ここでの損失が拡大しています。

日本のあおぞら銀行も、3月期の最終赤字を発表ぢていますが、米金利上昇による有価証券の含み損の拡大と、米商業不動産向け融資の貸し倒れ引当金を上積みした事が原因となっています。

ドイツ銀行やあおぞら銀行に限らず、世界中の銀行が同様のリスクを抱えています。米商業不動のデベロッパーの破綻が連続すると、不良債権が大量に発生します。コレらの融資は債券化れて世界中にばら撒かれていますから、リーマンショック同様の危機が発生する可能性も有ります。

 

🔳 借り換え金利の上昇がジワジワと首を絞める 🔳

米商業不動産関連のデベロッパーは、空室率の増大と同時に、借り換え金利の上昇に苦しめられています。FRBは利下げに慎重ですが、多少の利下げは焼石に水でしょう。日銀が金利を必死に上げずに「最後の貸し手」の様になっていますが、日人の利上げは国内だけで無く、海外の市場にも大きな影響を与えるはずです。

 

🔳 ネガティブな価格上昇に浮かれる市場 🔳

BRICSを始めとした非西洋諸国が、元や自国通貨決済を拡大する事で、ドルの実需が低下して、余ったドルは資産市場に流入しています。米株や日本株などが値上がりしているのは、このようなドルや、債券市場から逃避したドルがが流入している事が原因ですが、コレはネガティブな価格上昇と言えます。

 

🔳 足元から崩れる危機? 🔳

米商業不動産市場は、どこかでサブプライム危機と同様の崩壊を起こしますが、コレをトリガーとして銀行危機が連鎖すると、バブル崩壊が起きるリスクが高まります。

リーマンショックは、レバレッジを掛けまくったヘッジファンドの破綻によって危機が急拡大しました。コレはピラミッドが上から崩壊する様な危機でした。

しかし、今度の危機は地方銀行や中小の金融機関の破綻の連鎖によって、地域経済が足元から崩れる様な危機になるかも知れません。

リーマンショックの反省から世界は高いレバレッジなどの過大なリスクを避けて来ましたが、一方で金融緩和の長期化は、あらゆる所にリスクをこっそりと仕込む結果となった。米国債の様な「安全資産」が原因となってシリコンバレー銀行が破綻した様に、健全な融資や投資が危機の引き金になるのが、金融緩和バブル崩壊の特徴でしょう。黒い白鳥では無く、灰色の白鳥が湖に突然群れを成して出現すると私は予想します。

追記

リーマンショックは「金持ちバブルの崩壊」が実態経済に影響を及ぼし増したが、地銀や中小の金融機関が破綻する危機が発生すると、地域経済が崩壊します。拓銀の破綻が北海道経済の悪化に大きく影響した様に、日本の地銀に危機が広がれば、中小企業の倒産が拡大して、失業者も増えます。

金融緩和というぬるま湯に長い間浸っていた日本ですが、そろそろ本気でリスクと向き合う時期が来た様です。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (楽譜)
2024-02-08 15:45:58
今年より新NISAが始まり、日経も最高値をつけました。
あとは有名な靴磨きのエピソードですね。「末端がやり始めたら、潮時である」
以前、2011年の初頭に、ありとあらゆる株雑誌を購入したことがありました。果たしてどこが当たるのか、知りたかったからです(もちろんその年は全ての予想が灰燼に帰す成り行きとなりましたが)。今年に同じことをやったら面白そうです。バックナンバーが電子書籍で読めるようになると、ここら辺は明らかになりますね。
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Unknown (人力)
2024-02-08 17:34:23
楽譜さん

まさに「靴磨き」ですね。

でもケネディー爺さんのあの話は多分作り話ですよね。彼らは仕掛ける側で、投資向けの短期金利を引き上げてバブルを崩壊させた一味だった..。
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ドル基軸体制はもう終わり (777)
2024-02-12 16:50:17
プーチン大統領: ドルを使った経済制裁はアメリカの自殺行為
2024年2月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/44262

元FOXニュース司会者のタッカー・カールソン氏が、ロシアによるウクライナ侵攻後初めてアメリカのジャーナリストとしてロシアのウラジミール・プーチン大統領をインタビューした。アメリカでは大きな話題になっているが、ここでも内容を取り上げたい。

ドルを使ったアメリカの経済制裁

カールソン氏はアメリカでは有名な保守派の司会者であり、歯に衣着せぬ物言いで知られていたがFOXニュースの上層部と揉めたらしく解雇となり、フリーのジャーナリストとして活躍している。巷では誰かにとって都合の悪いことを喋りすぎたのではと噂されている。

そのカールソン氏がプーチン大統領をインタビューした。話題は多岐に渡っているが、まずはプーチン氏がアメリカのドルについて語っている部分を取り上げよう。

何故プーチン氏がドルについて語るのかと言えば、ロシアはドルを使ったアメリカの経済制裁の対象となっているからだ。ウクライナ侵攻後、ロシア政府やロシア人はドルを使った決済を禁じられたり、ドル建て資産を凍結されたりしている。

これをプーチン氏はどう見ているか。彼は次のように述べている。

ドルを外交の武器として使うことは、アメリカの指導者たちが犯した最大の戦略的失敗の1つだ。

ロシアは西側の支配する決済システムからほとんど追放されている。ではこれはプーチン氏の強がりだろうか。

だが、ここの読者ならば知っているだろうが、西側諸国による対ロシア経済制裁は西側の金融の専門家からすこぶる評判が悪かった。政治的にもロシア嫌いで知られるヘッジファンドマネージャーのジョージ・ソロス氏にさえ批判されていた。

何故か。ドルを使った制裁は、当然ながらドルを使わなければ避けられるからである。

ドルからの資金流出

当然ロシアはドルを避けている。だがアメリカにとって悪いことに、ドルを避けたのはロシアだけではなかった。ドルを保有していれば、アメリカの政治的都合にそぐわないことをした場合に資産を凍結される。だからロシア以外の国々もこぞってドルから離脱しようとしたのである。

ポジャール氏: 世界の資金がドルから逃避している
例えばブラジルのルラ大統領はBRICS諸国にアメリカと無関係の貿易の決済をドルではなく自国通貨で行うよう呼びかけた。中国やインドも、ロシア制裁に協力的でないとされてアメリカから脅しを受けた国々であり、ドルから距離を置こうとしている。

また、アラブ首長国連邦は原油取引の決済をドルから現地通貨に切り替えるよう去年末に決定した。アメリカに近いサウジアラビアでさえもドル以外の通貨による決済を議論している。

こうした状況についてプーチン氏は次のように述べている。

アメリカが何処かの国に決済の制限や資産凍結などの制裁を課せば、世界全体に対して誤ったシグナルを送り大きな懸念を引き起こすことになる。

世界で起こっていることを見てみると良い。アメリカの同盟国でさえドルの外貨準備を減らしている。アメリカの行動を見て誰もが身を守ろうとしている。

ドルからの資金流出の意味するもの

だがそれの何がまずいのか。金融の専門家であればすぐに理解する話なのだが、ドルが基軸通貨だからアメリカは覇権を維持できたのである。

コロナ禍において1人あたり50万円を超えるドル紙幣を印刷して現金給付するような無茶な政策をしてもドルが暴落しなかったのは、それでも他の国が原油の決済などのためにドルを買ってくれていたからである。基軸通貨ドルと米国経済の関係についてはスタンレー・ドラッケンミラー氏が解説してくれている。

ドラッケンミラー氏: アメリカは基軸通貨ドルのお陰で致命傷を食らうまで緩和を続けられる
そんなことは基軸通貨がなければできない。基軸通貨を持たないイギリスが同じようなことをやろうとして債券市場で英国債が暴落し、首相の首が飛んだ。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
基軸通貨を持っていることのアドバンテージを理解すれば、多くの国がドルを避けようとしている状況の何がまずいのかが理解できるだろう。プーチン氏は次のように述べている。

ドルはアメリカの持つ覇権の基盤となっている。だが彼らは紙幣印刷を止めない。33兆ドルの負債は何を意味するだろうか? 米国の上層部がドルを外交の武器として使うと決定すれば、殴られるのは他ならぬアメリカ自身の覇権だ。あまり強い言葉は使いたくないが、それは愚かな行動であり、酷い失敗だ。

何が起こっているか気づいているのか? アメリカでは誰もこれに気づかないのか? あなたがたは何をやっているのか? 自分で自分の首を切るようなものだ。

結論

今回はプーチン大統領のインタビューを紹介する記事なのだが、いつもの金融の記事のようになってしまった。

事実、このプーチン氏の発言は、普段取り上げているファンドマネージャーらの言葉と比べても遜色がない。勿論背後に専門家が居てプーチン氏に教えているのだろうが、正しい意見を持っている専門家に耳を傾けることのできることもその人の才能である。多くの日本人が金融庁発のつみたてNISAを信じているように。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
これらのプーチン氏の発言と、西側の政治家の金融に対する理解を比べると悲しくなってくる。イギリスのトラス元首相は最初から無理筋のばら撒き政策で英国債を吹き飛ばしかけた。

対ロシア制裁に関しては、ロシア嫌いで知られるファンドマネージャーのソロス氏がEUの政治家に対してもっと有効な制裁の方法を提案していた。だが2008年にリーマンショックを予想した彼の意見に政治家が耳を貸さなかったように、EUの政治家に彼の提案を理解できる頭などあるはずがなかった。

EU、ロシア産原油を禁輸、パイプライン経由は除外 ソロス氏の警告届かず
日本の政治家の金融に対する理解と言えば、ドル円が自分に都合の悪い方向に動けば「投機的な動きだ」と言って為替介入をする。だが自分に都合の悪い方向に動いた相場を資金力でねじ伏せようとする動きのことを投機的な動きと呼ぶ。そして彼らが投機的な動きと読んだものは、大抵の場合金利の上下に対応した妥当な動きなのである。

日本の為替介入は経済学者ラリー・サマーズ氏に皮肉られていた。

サマーズ氏: 為替介入でドル円が急落したらドル円は買い場
そしてアメリカのバイデン大統領は1ヶ月前に亡くなった議員を探し求め「ジャッキーはどこだ?」と言いながら講演会場をさまよい歩いた。

ガンドラック氏: バイデン氏は大統領選の討論さえ満足に出来ないだろう
本当に、日欧米の国民は自分たちの政府を支配している政治家たちの頭のレベルにそろそろ気づいたほうが良いのではないか。プーチン氏のインタビューを見ると本当に悲しくなってくる。
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Unknown (人力)
2024-02-15 10:08:38
777さん

ユーラシアグループが毎年発表する今年の10大リスクの1位が「アメリカの分断」でしたね。そして10位が「分断されるアメリカでビジネスを展開する企業」になっていた。

アメリカはトランプというツッコミ役と、バイデンというボケ役(本当にボケてるけど)を準備して、崩壊へのカウントダウンを始めた。

あの二人が大統領候補って、何かの冗談だろうとまともな国民なら考える。

トランプは演出陣営は演出が上手だから陰謀論を上手く取り入れて「不満層」をガッチリ囲い込んでいる。以前は「プアーホワイト」と呼ばれる高齢白人を中心に支持を集めていましたが、今、トランプの政治集会は若者やまともな大人が集まっている。彼らは「極左でクレージーでウォール街とグローバリストの手先の、痴呆症のバイデン」に辟易としいる。トランプはニッキーヘイリーに同様な「金持ちの手先」というラベルを貼って選挙戦を有利に戦っている。トランプのスタッフが優秀。しかし、冷静になって考えれば、トランプは大統領としての品格は全く無いから、バイデンへの批判がトランプを「マシ」に見せている。

一方、バイデンは痴呆が進んでいるし、民主党の政策は移民問題一つを取っても「極左」だし、移民以外に民主党を支持する人達が居る事が不思議な状況。アメリカの知識人は民主党支持が知性の証と考えているけれど、何もボケ老人のバイデンを支持しなくても良い。だけど、党内選挙で消去法的にバイデンが候補に選ばれてしまう不思議。トランプは絶対に許せない(知性的に?生理的に?)民主党支持者は、バイデンを消極的に支持せざるを得ない。


この様に今回の大統領選挙は、トランプvsバイデンという、アホ対決の再戦に誘導されている訳ですが、予測はトランプが優勢。

コレで結果がバイデン勝利となれば、仮に選挙が公平であったとしてもトランプ支持者が納得する訳が無い。「暴れる」事は必至。

ここまでの道筋は、周到に計画されていて、誰が見ても「アメリカの崩壊は仕方が無かった」と思える様にトランプの登場以来、綿密に演出されて来た。

尤もプーチンが味方かと言えば、彼とて世界の経営者の駒に過ぎない。新型コロナウイルスという明らかな人造ウイルスに、スパイクタンパク質ワクチンを世界と歩調を合わせて接種を推奨した。中国などはメインの役者を演じて見せた。

中国やロシアが西側と敵対しているのならば、コロナの真実を暴露すればイギリスをはじめとして、西側政府はことごとく瓦解したはず。

今回のインタビューでプーチンファンが増えたと思うけれど、ダボスを抜けたとは言え、かつてはダボスのヤングエリートに名を連ねたプーチンを信用する事は出来ない。

世界は戦争も含めてプロレスを演じている。これが庶民に受けが良いから。
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