人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

チャイナクライシス・・・あの国は良く分からん・・・

2013-06-26 09:07:00 | 時事/金融危機
 

■ 中国バブルはとうとう弾けるのか? ■

中国という国は「白髪三千丈(はくはつさんぜんじょう)」の国だけあって、
とにかく数字が大きくなる傾向があります。
伝統的に数字を「盛る」文化なのですね。

ですから、経済統計も、地方の末端から中央に上がって来るあいだに
地方政府の担当者達が、少しずつ「盛って」しまいす。
先日も、地方当局が工業生産を4倍近くに過大報告していたことが判明しましたが、
これって、もう水増しのレベルでは無くて、水の方が主体になってますから・・・。

まあ、そんな国の事だから、経済統計から景気の実態が分かり難いのですが、
それでも、「不動産バブル」が深刻化している事は確かです。

今まで、バブル崩壊をどうやって食い止めていたのか疑問ではあるのですが、
「負債を隠す」なんて事は平気で行なわれているのでしょう。


■ システム障害って、「取り付け騒ぎ」でしょう? ■

「影子銀行」抑制の為の緩和縮小は、短期金利の急上昇や、
周辺アジア地域からの、資金回帰という現象を生んでいます。

特に、銀行間短期金利が急上昇した事は、
小さな地方銀行などの資金調達が難しくなっている事を意味します。

昨日、中国国内でATMのシステムトラブルが報道されていますが、
これは、地方銀行などで、「取り付け騒ぎ」が起きているのでは無いかと疑われます。

中国中央銀行は、金利上昇後、1行だけに資金供給をしていましたが、
昨日は複数の地方銀行に現金を投入した模様です。
要は、地方の中小の銀行から信用不安が拡大し始めているのです。

こういった小さな危機が重なっていくと、信用はどんどん収縮して行きます。
今までの信用拡大が異常だったので、収縮過程で金融システムは深刻な状態に陥ります。

ただ、リーマンショックは実体の無い債権や証券に
レバレッジを掛け捲って投資した危機であるのに対して、
中国バブルは、典型的な土地や開発バブルなので、
バブル崩壊の規模としては、GDP比にすれば日本のバブル崩壊に誓い規模かも知れません。

「影子銀行」の保有する債権が破綻して、借金棒引きの様な状態で、
「影子銀行」の投資者達が被害を被る結果に終わるのかも知れません。

銀行も経営内容の悪い銀行は淘汰され、
健全な銀行は政府がしっかり保護するのでは無いでしょうか。

■ 問題はチャイナマネーの逆流 ■

問題はチャイナマネーが流入していた国々から、これが引き上げられる事です。
シンガポール、マレーシア、香港、台湾、フィリピンなどでは
資産市場が相当落ち込むはずです。

日本とて例外では無く、都市部や観光地に流入していたチャイナマネーに影響を与えます。
尤も、中国の場合、共産党幹部など富裕層は危機に際しては
われ先に資産の海外逃亡を図るでしょうから、
東京などはむしろその受け皿となる可能性もあります。

資金と一緒に共産党幹部の妻子らが逃げて来るのでしょう。

■ 何故この時期にFRBと足並みを揃える必要があるのか? ■

問題は、「何故この時期に?」という疑問です。

バブルが崩壊寸前なのか、それともFRBの緩和縮小に歩調を合わせたのか?

私は習近平は太子党で、上海閥とも関係が深いので、
その金融政策は、アメリカの意向をある程度反映するものだと妄想しています。
特に米中首脳会談の直後だけに、そこで8時間も何が討議されたのかが気になります。

世間では、CIAによる情報収集問題で米中が反目している様に思われていますが、
どうやら、金融に関しては、完全に歩調を合わせている様に感じられます。

今回はFRBの緩和予測でアメリカからの投資が中国市場から引き上げた結果、
中国で資金の逆転が生じたと見るのが時系列的は正しい見方です。
通常なら、中央銀行が資金供給してショックを和らげる場面ですが、
中国中央銀行は、逆に引締めを行って、流動性が欠如する様に誘導しています。


では、その目的とは何か?

常識的に考えれば、FRBの緩和縮小の影響を軽減する目的・・・そう考えます。

FRBの緩和縮小が景気回復の結果であるならば、ドルは値上がりし金利が上昇します。
中国としては、それを待ってから緩和縮小しても何ら問題は有りません。
その方が、中国経済への影響も軽微です。
そう考えると、現時点ので引締めは逆効果しかありません。

では、FRBの出口戦略が失敗するケースはどうでしょうか?
世界的な金融危機が発生する場合・・・・
中国バブルが最高潮から崩壊するのと、既に少し萎んでからプシューーとなるのが良いか。
アジア周辺国にとっても、少し調整された後の崩壊の方が被害は少ない様に思います。

非常に概念的ではありますが、「破裂」よりは「空気が抜ける」方が安全。

これは、中国のみならず、チャイナマネーの影響を受ける世界全体のメリットにもなります。

■ ソフトランディングかハードランディングか? ■

そろそろ世界経済はエマージェンシーサインが点滅し、
乗客たちは、ポケットからペンを抜いたり、
前傾姿勢の説明を聞いたりする状況でしょうか?

シティーバンクとバンカメがFRBに金融危機発生時の独自対策を提出したのも気になります。

世界がショックに備えようとしている時、
日本だけが年金資金と日銀資金で株の買い支えに余念がありません。

日本の国債金利は米国債金利と連動する傾向が強いのですが、
米国債金利がジワジワと上層を続けています。

そんな中、周回遅れの異次元緩和に突入した日本ははたして無事で居られるのか?
国内政治は参議院選挙に目を奪われて、ニュースも世界経済の変調を軽く扱っています。

当然、投資をされている方々は、戦々恐々とした状態でしょうが、
はたして、リーマンショック後の様に、ソフトランディングとなるのか、
それとも、今回こそはハードランディングとなるのか、
しばらくは、世界経済の情勢から目が離せません。


そして、危機はブラックスワン宜しく、全く意外な所から出現するはずです。





最新の画像もっと見る

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (高橋)
2013-06-26 21:20:21
5月に高値で買った株、ひとつはようやく買値に戻ったので、先日、売りましたが、残りはまだまだ無理そうです。さて、どうしたものやら。今、全部売っても、4月に、一度売った時点ではややプラスだったのですから、結果的には、赤、ではなさそうですが、売るタイミングが今の東京市場では、なかなかつかめません。東証の売買高が異常に低いですから。一部上場の株でも、板、すかすかです。しかし壁街の守護神、オバマが、世界クラッシュ作戦を飲むとは思えないのですが。中国が米国債、売りに出したら、バーナンキ、首でしょうし。
返信する
Unknown (高橋)
2013-06-26 22:06:45
米国も、そして日本も、チャイナ、を利用して、株価下落で、資金の国債への移動による、金利の低下、を企てているとしたら、でもそうはならず、株も国債も売りだー、になっています、としたら、クラッシュ間近、ですな。まあもともと、中国は、設備投資含めて、世界の過剰生産性の元凶でしたが、それを今、調整して、世界的デフレを止め、インフレにするのか。しかしそれだと、中国、リスク被りすぎで、半島あたりで、戦争、でしょうし。何よりも、グローバル経済戦略、そのものが崩れます。TPPどころか、地域内経済の、見直しです。
返信する
Unknown (人力)
2013-06-27 02:34:52
高橋さん

私は今年前半での調整は予測していなかったのですが、一端危機が意識されると、過剰流動性相場は案外と脆いですね。

邦銀ではありませんが、皆が現金を積み上げて、流動性が徐々に枯渇し、結局FRBにしても、中国人民銀行にしても流動性供与を余儀なくなれるのでしょう。

極端な金融緩和は、その出口政策で躓き、さらなる緩和へと進む中で、最終的には通貨や国債の信用を損なって行くのでしょう。

その過程で、流動性が供与される度に市場はリスクを選好し、国債などに圧力を掛ける事でさらなる流動性を催促する事を覚えます。

なぜ、これ程までの資金を投入して、景気が回復しないのか中央銀行も頭を痛めている事でしょう。

1) 資産市場の巨大化と高速化、そしてグローバル化
2) 労働者の賃金による再配分率の低下

結局、強欲な資本主義は、効率を追求するあまり、自ら崩壊するのでしょう。

経済が再び力強く回復する為には、イノベイションを持つか、システムを一度破壊して、新たなシステムに移行するしか方法はありません。

かつては戦争がイノベイション(技術創出)と、システム破壊、そして古い製造設備の破壊、破壊による新たな需要創出という役目を担っていましたが、この究極のケインズ政策を禁じ手とするならば、世界は新たな方法でこれらを実現しなければなりません。

製造設備の新陳代謝や需要創出が、新興国の発展で実現可能かと考えられていましたが、世界はいつまで経ってもデカップリング出来ず、崩壊は新興国から始まります。

これは日本の景気悪化が地方経済から進行する事に似ています。結局グローバル化とは、世界が一つの国に近づく事と同義なのかも知れません。

・・・あれ、ワンワールド!?
返信する
Unknown (高橋)
2013-06-27 15:21:45
中国は、元の、ドル固定を、はずせと言われているのか。では、そのはずし方、で、景気を悪化させておいて、はずすのか。今回の銀行危機は中国内では、元の刷りまくりといつもの幹部粛清で乗り越えるつもりだろうが、それでも倒産続出での景気悪化で、日本の輸出は円安でもダウン、アベノミクス、行き詰まり、となると、穴掘りワンワンか、ケインズ、又、シャベルもって来ます。
返信する
Unknown (人力)
2013-06-27 17:50:58
高橋さん

中国は特殊な国ですから、最後は「徳政令」で地方政府の借金帳消しという手段もありそうですね。どうせ、水膨れした分が消え去るだけで、巨大な実体経済や製造設備や労働力はそのままですからね。

普通は、借金帳消しは国民が許しませんが、独裁国家ですから、何でも有かと・・・不良債権を一気に処理して、銀行の損失を預金者に付け替えて終わりかと・・・。

意外と復活は早いのでは無いかと思っています。
ただ、今回はちょっと強引に資金を絞ったので、様子見だった様にも思います。結局、アジアと世界の金融市場がビビッてしまった・・・そんな所では無いでしょうか。

ドルとのペッグを外すと人民元がいきなり上昇して、輸出競争力が減少します。プラザ合意で日本は円高不況に見舞われて、金利を下げた事がバブルに繋がりましたが、中国は既にバブルですから、人民元が切り上げられたら一体どうなるのでしょう?予測不能ですね。
返信する
Unknown (のり)
2013-06-28 06:28:33
中国との貿易は、ドルで決済しているんですか?
なんでもありの国の、人民元を手にしても
仕方ない気がしますが。
企業はただ物が売れればいいのでしょうか?
今までは、日本あるいは欧米向けに、安いものを作って売るために、企業が中国で生産していたのでしょうが
富裕層が出て、中間層が増えると、市場としてみるようになっています。見識のない私ですので、変なコメントかもしれません。お許しください。
返信する
Unknown (人力)
2013-06-28 08:52:23
のりさん

基本はドル、最近は円建て輸出も増えています。問題は中国国内取引の支払いで、売り上げに対しては人民元払い。ところが、支払いに関しては以前はドルを要求されることも多かったと聞きます。

人民元は管理通貨なので、容易に中国国外に持ち出す事も出来ません。

現在が改善されたかどうか、ちょっと調べてみないと分かりませんが、元が国際通貨となるには、中国はまだ様々な民主主義や資本主義の洗礼を受けなければなりません。

もっとも、アフリカなアジアの諸国との貿易決済では元は既に国際通貨として機能しています。国境付近の貿易を中心に、元がジワジワと浸透しています。
返信する

コメントを投稿