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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

仮想通貨時代のアングラマネー・・・偽札は可能か?

2018-01-31 06:02:00 | 時事/金融危機
 

■ 仮想通貨天国 ■

仮想通貨「NEM」がハッキングされ盗まれたとして世間を騒がせtえいます。

世界の国々が仮想通貨に何等かの規制を掛けようとしている中で、日本は取引所を登録制にする法改正を行い、政府が仮想通貨にお墨付きを与えた状態。中国や韓国が規制に動く中で、日本が仮想通貨の最後の受け皿になっている。

仮想通貨に投資している人は、ごく一部ですが、高いレバレッジを掛けた信用取引をする人も居ます。日々乱高下する仮想通貨で信用取引するなど競馬や競輪などのギャンブルより危険ですが、だからこそ一部の人達の射幸心を刺激します。


■ 仮想通貨のストレステスト ■ 

狂騒状態の仮想通貨市場を日本政府が野放しにしている事は不可解です。麻生財務大臣は「何でも規制で自由な競争や技術の発展を妨げるのはどうか・・・」と発言し、およそ「規制好き」の日本政府とは思えなスタンスです。

私は現在、仮想通貨が野放しにされている理由は、公定仮想通貨導入前の「ストレステスト」が実施されているのだと妄想しています。

ブロックチェーン技術は確かに優れた技術ですが、これをハッキングしたり、改ざんしたりする技術も日進月歩です。高度な暗号化とて量子コンピューターの時代になれば短時間で解読されてしまいます。

この様に不正技術とイタチごっこになるであろうブロックチェイン技術が、どんな危険性を持っているか、オープンな環境で検証実権を行っていのが現在の「フリーな仮想通貨」の状況。

さらに言えば、技術的な問題点が有る、或いは、将来的に問題が出るかも知れない「電子通貨」を人々が通貨として認めるかどうかのストレステストも同時に行われているのでは無いか・・・。

現実の世界でもお金は「盗難」や「不正引き出し」の危険性を持っていますが、人々は現在のお金が便利だから、それを使う事を止めません。同様に、多少の危険性があっても仮想通貨が便利ならば人々はその価値を認める・・・こんな検証がされているのかも知れません。

但し、現在の仮想通貨は「投資」や「投機」の対象でしかありませんから、実用性というよりは「資産」としての価値がどの位いストレスに強いかが試されています。

■ トレース機能が働いている ■

今回の事件で興味深いのは、中国で開発された「NEM]という仮想通貨でも、トレース機能がきちんと働いている事。ハッキングされた交換所から不正に引き出された仮想通貨は、ブロックテインに記録された軌跡をトレースする事で、現在の保有者のアドレスが特定されています。

不正に引き出しをした犯人は、このアドレスからの取引を監視されている限り、不正に入手した仮想通貨を売買する事は難しいのかも知れません。

■ 犯人は何故、仮想通貨を売らなかったのか? ■

今回の事件で不可解なのは、犯人が何故、不正に入手した仮想通貨を直ぐに売却しなかったのかという点。コインチェック社が不正引き出しに気付くまで時間的なタイムラグが在ります。

その間に、いくちかの仮想通貨に次々に交換して、最後に不正口座に現金を入金させる手口を使われたら、トレースは追い付かなかったかも知れません。(SF小説の読み過ぎでしょうか?)

何となく今回の事件は、「事件を起こす事が目的」であった様な気がしてなりません・・・。コインチェック社が、自己資本で保障すると直ぐに発表した事も含めて・・・気になります。

■ 仮想通貨はアングラマネーを焙り出せるのか? ■

高度なセキュリティーと、履歴を保有する事でその流通がトレーサビリティーな仮想通貨は、マネーロンダリングに耐性があると言われています。一方で実際には仮想通貨がアングラマネーのマネーロンダロングに利用されている事も事実です。

実は世界の経済における地下経済の規模はかなり大きく、先進国でもGDP比で1割以上、イタリアなどの南欧諸国では3割に近い。

これらの地下経済で使用するお金が仮想通貨に置き換わり、仮に政府や中央銀行が把握する事となると、かなり困った事態が生じます。

ですから、仮に次世代の通貨が公定の仮想通貨になったとしても、地下経済は何等かの形でマネーロンダリングを手法を確保する必要が有ります。現在も北朝鮮製の偽ドルは、一部でこの様な目的で重宝されていると言われています。(足の付かないマネー)

■ 偽札の役割を担う仮想通貨が生まれる? ■

インドのルピーやユーロは高額紙幣を廃止しています。それは紙幣がマネーロンダリングの温床になっているからです。銀行口座間の資金の流れはトレース出来ますが、現金化されると追跡は難しくなります。高額紙幣の存在は、持ち運びや保管の上でもマネーロンダリングに便利なのです。

これとは別にタンス預金にも便利です。ですから、政府や中央銀行は「管理出来ないお金」である紙幣を将来的には廃止したい。各国中央銀行が仮想通貨に並々ならぬ興味を寄せる理由の一つです。

一方、地下経済や庶民は、国家の監視の目を逃れる仮想通貨を渇望するはずです。

■ 意図的にセキュリティーの弱い仮想通貨を発行する国が現れるだろう ■

現実の世界では、スイスやオフショアの地域など、意図的に顧客情報を開示しないタックス・インがマネーロンダリングの舞台となっています。これらの国や地域が規制されないのは、世界の経営者がこれらのスステムを利用しているからに他なりません。

仮に公定仮想通貨が実現しても、きっと抜け穴は残されるハズ。それは意図的に匿名性を担保した仮想通貨を発行する国が現れるであろうという事。

そして、それは北朝鮮の様な無法者国家では無く、スイスだったり、リキテンシュタインなどという「れっきとした怪しげな国家」なのかも知れません。

■ 実はドルが最大のアングラマネーだった・・・ ■

尤も、歴史を振り返ると、政情の不安定な国や、経済の混乱した国では、自国通貨よりもドルの信用が高く、地下経済もドルを好む傾向が在りました。

そう考えると・・・意外にも「バーチャル・ドル」が最大のアングラマネーになる事も考えられます。偽ドル札の様な「裏コード」のある「バーチャル・ドル」が密かに発行されたりして・・。


バーチャルな経済空間と仮想通貨・・・既存通貨システムの限界

2018-01-24 04:12:00 | 時事/金融危機
 

■ 通貨とは国民の借金である ■

1) 中央銀行は間接的に国債を買い入れて通貨を発行する
2) 国債は将来的な国民の納税によって償還される
3) 通貨とは将来的な国民の財産や労働を前借りした借用証書である
4) 信用創造という借金増殖システムにより、国民の借金が膨らむ事で経済は拡大する

現在の通貨システムは「蜃気楼」の様なもので、「将来の富が拡大する」=「経済成長」という幻想によって支えられれいます。

1) 経済成長によって国債は税金によってきちんと返済される
2) 経済成長によって民間の借金は踏み倒される事無くきちんと返済される

プライマリーバランスが重視されるのは、「借金は返済される」という幻想が、通貨システムや信用創造システムの根幹を支えているからに他なりません。

■ ドルはアメリカ人の借金である ■

1) FRBはドルを発行して米国債を購入している
2) ドル紙幣は小口の米国債である
3) 世界の国々は基軸通貨であるドルを手に入れようとしている
4) 世界の国々は米国債も手に入れようとしている
5) 世界の国々は、アメリカ人の借金を喜んで買っている

基軸通貨のメリットとは、貿易や金融取引に用いられる事で、自国の借金を他国に付け替える事の権利に他なりません。

世界の経済規模が拡大し続け、ドルの需要が拡大し続ける限り、アメリカは借金を膨らめる事が出来るのです。

■ 既に1980年代には実体経済の規模を借金が越えている ■

1) アメリカ人の借金がアメリカの金の備蓄量では賄えなくなった
2) ニクソンショックによってドルは幾らでも発行出来る様になった(金兌換停止)
3) 借金を踏み倒す為に、石油ショックによってドルを減価した(修正ブレトンウッズ体制)

4) 1980年代に金融システムの拡大が始まった(金融革命・レーガノミクス)
5) 実体経済に変わり、資産市場がドルの需要を生み出す様になった
6) 資産市場は需給バランスが崩れやすくバブルの生成と崩壊を繰り返しながら拡大した

ニクソンショック以降、いくらでも増える事が出来る様になったドルは、石油バブル(オイルショックによる原油価格の上昇)と、金融市場のバブルによって、ドルの需要を生み出して来ました。

■ 大量に発行された通貨の一部が実体経済を拡大する ■

1) 大量に発行された通貨は、主に資産市場における需要で信用創造を繰り返して増大する
2) 資産市場から溢れ出した通貨が、実体経済に流入して経済を拡大させる

サマーズなどが言い出した「長期停滞論」は、世界の実態経済を拡大する為には、資産市場のバブルが不可欠と看破しています。

■ 既にアメリカや日本において通貨の量は、将来の経済成長の範囲を超えている ■

1) 中央銀行は通貨の発行を実体経済のインフレ率を基準に調整している
2) 通貨の需要は主に実体経済では無く、資産市場の需要によって生まれている
3) 実体経済の成長率が鈍ると、通貨が過剰供給となる
4) 実体経済の成長力が鈍った経済では、通貨が過剰供給され、実体経済の将来の規模を簡単越えてしまう

日本の国債発行残高がGDPの200%を超えたなどと報道されますが、資産市場に資金と供給する為に過剰に通過が発行され、通貨の大本となる国債も大量に必要とされた結果とも言えます。

増えすぎた国債の償還を済成長によて賄う事は不可能です。

■ 国債発行の縛りが、通貨の拡大の足枷になる ■

1) リーマンショック以降の金融緩和は資産市場の維持の為に必要だった
2) 現在の資産市場の規模はリーマンショック以前の規模を越えている
3) 次なる金融崩壊によって、再びお大量の通貨発行が必用になる
4) 国債をベースにした通貨発行は「国債発行量」という制約によって通貨供給の制約が掛かる
5) 通貨発行量に制約によって資産市場の崩壊の歯止めが掛からなくなる
6) 中央銀行が国債以外の大量の資産(株式や債権)を買い入れて通貨を大増刷する

リーマンショック以降の金融緩和で、FRBはMBS(住宅担保証券)を大量に購入し、その市場の崩壊を防ぎました。日銀は今でも大量の株式EFTや不動産REITを購入して市場を支えています。

次なる金融ショックが発生すれば、各国中央銀行はもっと大量に、そして広範に、様々なゴミの様な資産を買い入れるので、中央銀行のバランスシートは「ゴミ溜め」と化すでしょう。事、ここに至って通貨の信用危機が発生するハズです。

■ 現在の通貨システムの真の姿 ■

1) 金兌換通貨
2) 石油兌換通貨
3) 資産兌換通貨

あまり指摘されてはいませんが、現在のドルの価値を支えているのは原油決済通貨としての価値いてでは無く、資産市場(金融市場)で使用される「トークン」(引換券)としての価値です。

「資産市場で使われるトークン(引換券)が実体経済でも流通している」というのが、現在の通貨システムの本当の姿なのかも知れません。問題は「トークン」を生み出す資産市場がバブルの生成と崩壊を繰り返して不安定な事。

■ バーチャル化する経済 ■

陰謀論者の多くが、次なる金融危機によって通貨の信用危機が発生して、中国やロシアなどは金兌換制の復活によって通貨の価値を守るだろうと予想しています。しかし、これは実体経済主体の非常に保守的な通貨観を基本とした考え方に過ぎない。

一方で、金融市場などは既に実体を持たない「バーチャルな取引空間」と化しています。取引するものは価値の無い「二酸化炭素」でも何でも構わないのです。ただ、大量のお金が流入し動き回る事で信用創造の歯車が回り、お金がお金を生んでゆく世界。

既に、通貨の発行は「国民経済」という実体を離れ、バーチャルな世界に依存し始めているのが現在の通貨・金融システムの姿だとするならば、通貨の発行も、バーチャルに対応する必要が有ります。

■ 仮想通貨が何故必要とされるのか? ■

暴落によって信用が試されている仮想通貨ですが、ビットコインの様な民間が勝手に発行する仮想通貨は規制によって一瞬で崩壊するハズです。

一方で、ビットコインなどが野放しにされている期間で、仮想通貨の実証実験は確実に進歩しています。ハッキングに対する耐性や、発行額が拡大するにしたがってブロックが超大化して実用性が損なわれる問題、マイニングコストが増大し過ぎると、マイニング自体が無益な行為となる問題・・・現在の仮想通貨が抱える問題をクリアしなければ、「公的通貨」として仮想通貨を利用する事は出来ません。

しかし、経済がバーチャル化する将来において、金融調整機能をマトモに維持する為には通貨のバーチャル化は不可欠でしょう。現在の様に国債市場を通して金利操作を行うシステムでは、バーチャル化した経済空間のスピードに着いて行く事は不可能です。

■ 銀行や口座が不要となる時代 ■

仮想通貨の最大の利点は、銀行や預金口座という「遅いシステム」を介さなくとも、金利操作がダイレクトに出来る点では無いでしょうか?

要は仮想通貨そのものに金利をダイレクトに反映させる事が可能。(当然、徴税などもダイレクトにする事が出来ます)

小さな国家では、中央銀行は仮想通貨を通じて、直接個人の保有する「お金」を管理する事が可能になりますし、大きな国では銀行を介在した分散型システムを構築しても良い。ここにおける銀行は単に「管理者」に過ぎません。

■ 徹底した情報化が実体経済を発展させる ■

現在の実態経済の投資は、あるビジネスモデルに対して、銀行の融資か、株式や社債の発行によって資金が集められます。

ただ、現在でも「証券化」の技術によって個々の案件は、データ化され、金融市場でバーチャルに取引されています。この世界では価値やリスクは金利に置き換えられ数値化され、取引を繰り返す内に、元の資産が何であったのかも分からなくなります。

従来は銀行員が多くの経験によって融資や金利を決定していましたが、将来的には、AIが個人の膨大なデータを元に、融資や金利を決定し、瞬時に債権は証券化(=データ化)されて、バーチャルな金融空間に拡散する時代がやって来るのか知れません。

AIはネット空間に拡散する個人や企業の情報、例えば学歴や年収、購買傾向や、ネットアクセスの記録から知性や性格までも割り出して融資の参考にするハズです。これらは従来は銀行員が個人の繋がりと経験から獲得していた情報ですが、ビックデータを統計的に処理する行為に代替可能です。

■ 現在の通貨システムの徹底した破壊が必用 ■

ちょっとSF的妄想が暴走しましたが、この様な「バーチャル経済空間」実現の為には、現在の通貨システムを根本的に破壊する必要が有ります。

・・・だから未曽有の金融危機や、或いは戦争といったショックドクトリンが必用とされている・・・トランプが大統領を務めているアメリカを見ると、何だかヤバイ気がします。

「オレは天才だから、現在の金融システムを破壊してやった」とツイートする日が来ないとも限らない・・・・。


『宇宙よりも遠い場所』プチ聖地巡礼・・・「しらせ」探訪

2018-01-22 08:50:00 | アニメ
 

最新記事を追加しました。「しらせ」船内ツアーです。
下のリンクから是非。

『宇宙よりも遠い場所』聖地巡礼2・・・船橋港SHIRASEツアー




今期イチオシアニメの『宇宙よりも遠い場所』。聖地は彼女達の通う高校の有る群馬県館林市周辺、観測船「しらせ」が停泊している呉(追記参照)、そして素晴らしいチェースシオンの舞台となった歌舞伎町といった所でしょうか。

現役「しらせ」を見に呉に出かけるというのが王道の聖地巡礼ですが、お金と時間が掛かる。そこで東京近辺に在住の方にプチ聖地巡礼のご案内。



実は「宗谷」「ふじ」に次ぐ3代目南極観測船「しらせ」は、退役後、ウェザーニュース社が買い取り、その装備であった氷床観測機器を今でも活用しているらしい。そして、船体は千葉県の船橋港に係留して、これも観測所として活用しています。

船名を「SHIRAASE」とローマ字表記にしてはいますが、オレンジ色の船体は現役当初のまま。レーダーサイトが搭載されていますが、これは東京湾の上空観測用のレーダーに換装されているらしい・・。(自信ありません)


この旧「しらせ」、スクラップに成りかけた所を、4千万円でウェザーニュース社が買い取り、観測機器の有効活用と、船体は観測所と同時に、見学コースとして一般に公開しています。まさにグッジョブ。




係留されている場所は、サッポロビールの千葉工場の隣接地。実はビール工場見学とセットで「SHIRASE]の見学ができる。

早速自転車で出かけてみましたが、残念ながら日曜日は予約はいっぱい。仕方無く、ビール園の敷地内からスマホで写真を撮って、プチ聖地巡礼とします。(係留されている岸壁は立ち入り禁止)

しかし、タダでは起きません。ネットで見学コースの予約をしました。見学料、ビール代込みでお一人様1000円なのでタダではありませんが・・・。


呉まではとても行けないという「よりもい」ファンの皆さん。予約が殺到する前に如何でしょうか。

ちなみに見学料は「SHIRASE]の維持費と係留費用のタシになるハズです。

<追記>

ちょっと「アレ?」っと思って調べたのですが、現役「しらせ」の母港は横須賀港。文科省の予算建造されていますが、所属は海上自衛隊。乗組員も全て海上自衛隊の隊員。観測隊チームは空路でオーストラリアに行き、そこから乗船します。

作中では呉で一般公開されていますが、これは群馬を一人で離れた事の無い女子高生が、意を決して一人で広島に行くというプチ冒険の為のアレンジかと。


砕氷船という性格上、舟のロール(横揺れ)を抑えるフィンが無く、凄まじく横揺れが酷いらしい。「旧しらせ」は時化(しけ)で50度以上船体が傾いた記録を持っているらしい・・・。これ、絶対船酔いで吐きますよね・・・。

ジャンク債市場の恐怖・・・金利上昇の影響

2018-01-22 07:09:00 | 時事/金融危機
 


「フィナンシャル。ポインター」より

米国10年債金利が節目と言われた2.6%を超えましたね。次は3%を目指すのか・・・。FRBの利上げの為には長期金利の上昇は好ましいですが、一方でジャンク債市場の危険度は拡大するはず。

リスク資産のジャンク債金利は本来株価との連動性が高いのですが、これが5年以上乖離しています。ジャンク債の金利が上がっていない・・。これは明らかに「買われ過ぎ」なのですが、少しでも金利を得ようとする過剰流動性の受け皿になっていた。

ところが、より安全資産である米国債金利が上昇して来ると、ジャンク債の金利はリスクに見合わないものとなり、ある時点で一気に資金流出が起きるハズ。シェール企業などが資金調達をジャンク債市場に依存していますが、ここが崩れると「原油高」を求める圧力が高まります。中東で一発!!なんて良からぬ事を考える輩も出て来るかも。

エクソンモービルも巨大なシェール企業の一つになっています。そして国務長官は・・・。

イカン、妄想が暴走した。

マンガの実写化はこうで無いと・・・『青い春』

2018-01-20 05:53:00 | 映画
 


『青い春』より

■ 初めてamazon prime に入っていて良かったと思う ■

amazon prime の年会費を収めているのに、動画の無料視聴が出来ると知らなかった私。数か月前のその事実に気付き、プライム・ビデオのページを開くのですが・・・アニメしか見るものが無い。映画『長い言い訳』を見直せたのは良かったのですが、その他の実写映画で観るものが無い・・・。

そんな折、『青い春』という映画を興味本位で観始めて、10秒で名作と確信しました。何故かって、画面からきちんと映画の空気感が伝わって来たから。

■ マンガ原作を実写化する意味 ■

『青い春』は松本大洋のマンガの実写化です(原作未読)。松本作品を実写化して成功した先例に窪塚洋介が主演した『ピンポン』が有ります。あの作品は、マンガの雰囲気を良く残して成功しています。まさに「実写によるマンガの再現」。

『ピンポン』では成功していた「実写によるマンガの再現」ですが、この手の作品は駄作が多い。話題の『コウノトリ』も、あの髪型を見ただけで観る気が失せます。何か勘違いしています。マンガはデフォルメを得意とする表現ジャンルですが、実写でそれを真似る必要は微塵も無い。実写には実写の「お作法」というものが有るのです。

『青い春』はマンガを下地にしながらも、その表現は抑制的で、実写映画の作法に則った作品。

「実写映画の法則」って何かと聞かれたら、私は「人物の実在感」と答えます。フィルムやスクリーンという偽物の二次元の中に、体温や役者の周辺の空気感をどれだけ再現出来るか・・・この一時に尽きる。それは単なる「リアリティー」では無く、表現としての統一感。監督が、役者も背景も光も音響も、全て自分の支配下に置いた時に出現する「空間」。それが映画の作法に則った時のみに出現する次元だと私は妄想しています。

『青い春』ではマンガ原作独特の「ケレンミ」もしっかりと残しながらも、豊田利晃監督はフィルムの中の次元を完璧に自分の支配下に置いています。

■ タランティーノよりも純粋な暴力のオンパレード ■

落ちこぼれ男子校の不良グループは、「ベランダゲーム」で新年度の番長を決める。屋上の手摺の外側に立って、体を外側に投げ出して、何回手が叩けるかという度胸試し。今年の番長は8回手を叩いた九条になりますが、彼は何を考えているか分からない寡黙な性格。但し、カリスマ性が有り、不良達の一目を置いています。

不良達は将来の目的も無く学校に通っていますが、学校だけは好きな様で、授業はサボるものの、校売のおばちゃん(小泉今日子)と親しかったり、校長(マメ山田)と不思議な交流を続けています。

そんな気ままに見える不良達ですが、抑えきれない「焦燥」を誰もが抱えています。それは漠然とした不安や焦りに見えますが、根本的な所では九条のカリスマ性に対する潜在的な嫉妬なのかも知れません。

彼らのコミュニケーションは暴力を基本としています。グループの外側への暴力は結束を意味し、グループ内の暴力は、伝わらぬ思いを相手にぶつける手段として機能します。

九条の幼馴染の青木は、九条のパシリと揶揄されても気にしていません。九条と彼の間には小学生時代からの不思議な繋がりが有るからです。しかし、些細な事からその繋がりに自信を持てなくなった青木は九条に敵対する様になります。それは「オレを見てくれよ」という悲痛な叫びですが、感情を表に出さない九条は、その叫びに応える事は有りません。次第に追い詰められた青木は・・・屋上に立ち、一人ベランダゲームに挑みます。

普通の方が見るには暴力描写が過激で「見るに堪えない」作品ですが、その暴力からは「キリキリ」とした切実さと純粋さが伝わって来ます。

暴力を特徴とする監督にクエンティー・タランティーノが挙げられますが、彼は日本のヤクザ映画から「暴力の快感」だけを感じ取っただけで、暴力と表裏一体の「純粋性」には気づいていません。

『青い春』の暴力は、ライアン・ゴズリングが内気な「逃が屋」の役を好演したニコラス・ウィンディング・レフン監督の『drive』に似ています。何かを守る為の純粋な暴力。

『drive』のゴズリングが守ったものは無力な母子ですが、『青い春』で不良高校生達が守ろうとしたのは、形のはっきりしない彼らの居場所だったのでは無いか・・・。

■ 暗い青春映画の金字塔の一つになるだろう ■

青春映画と言えば、アイドルタレントが出演してやたらチャラチャラとした作品を想像しがちですが、「暗い青春映画」も数多く存在します。ぱっと思い浮かぶのは岩井俊二監督の『リリい・シュシュのすべて』。

私などはキラキラした青春の思い出は少なく、明るい青春映画に共感を覚える事は難しい。そんな、暗い青春を送った方ならば、この作品の素晴らしさも理解出来ようかと・・・。



本日は、良識的ま大人や、婦女子なら絶対に眉を顰めるであろう素晴らしい映画の『青い春』について、簡単に紹介しました。



最期に松田龍平っていい役者ですね。改めて関心しました。