人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

「AIって使い物にならない」と言う人は想像力がAIにも劣る

2024-03-28 03:00:19 | 時事/金融危機

◼️ AIは使い物にならない? ◼️

「AIはバブルで、実用に耐えない」と言う意見をネットで散見します。

実際にソフトウエア会社に勤める知人に聞いたら「会社でもチャットGTPを推奨して仕事に積極的に活用しろと言われているので使っているが、実際には使い物にならない」と言っていた。「どうして使い物にならないの?」と聞いたら、「8割は正しいプログラムを瞬時に作るが2割が間違っているからデバックに時間が掛かる」と答えた。

「AIが使い物にならない」という意見の多くは、前述の様な「実際にAIを仕事で使っている人の不満」又聞きした、AI を仕事で使った事のない人のよって流布された物が多いのでは無いだろうか?

「100%正確では無い」と言う評価を「使い物にならない」と勘違いしている。

◼️ 3歳児に多くを期待してはいけない しかく

AIは「司法試験に合格出来る情報量と、質問に対して正解を見つける技術を持っている」が、それだけに特化した3歳児だと私は認識している。但し、それは「現状」の話に過ぎない。

要は現状のAIは、「言葉をようやく覚えた3歳児」で、その使い方を間違える事も多く、そもそも言葉で伝えるべき人生のバックボーンは少ない。

子供は「模倣」が好きだが、AIも現状は「模倣」をしているだけで、論理的思考が出来ている訳では無い。しかしネットを通じて人々がAIを使えば使う程、AIの経験は蓄積して、AIの知性は進化する。

◼️ 爆速で成長する3歳児 ◼️

AIの凄い所は学習速度。一人の人間は、人間の能力を超えた速度では学習出来ないがAIは並列で様々な事を学習してゆく。

現状は知識の蓄積と、体系化も初歩を学んでいる。体系化とは「正誤判断の基準の構築」と言い換えても良いだろう。これは親が子供に教育する事に似ている。「仕事でAIが使えない」と嘆くエンジニアは、その修正過程で同時にAIを教育しているとも言える。

この様にして現状3歳児程度の「知能」しか持たないAIは、やがて幼児から少年、青年、成人へと能力を向上させていくだろう。そしてその成長速度は加速度的。

◼️ AIは「誤り続ける」事で人を超える ◼️

問題は「人間で無いAI」が人間と同じ成長をするかどいかという点。ネット空間を通して世界や社会を見ているAIは、生物と異なる視点や価値感を構築してゆく可能性は十分にある。生物の生存戦略は「合理化」と「特異化」で、この二つは相反する。

「合理化」は「正解への最速ルートの構築」で、これは現在でもAIの得意とする事である。

一方「特異化」は生物においては「突然変異」に相当し、その多くが「誤り」に分類されるが、非常に稀な確率で「誤り」が進化をもたらす。

AIは現状多くの「誤り」を犯すが、これは現状は単なる誤りとして処理されている。しかし処理速度の速いAIは、意図的に多くの誤りをシミュレーションする事に長けている。

技術者には理解し易いが、技術開発は「ポケット」に陥り易い。例えばレンズ設計などが良い例だが、何枚目かのレンズの曲率を変化させてゆくと、ある時点で収差が最小になり、その後収差が増え出す。大抵の場合は「収差が最小」になった点を最適として設計を進めるが、実は曲率をもっと変化させて行くと再び収差が減り出して、最初の収差を下回るポイントが出現したりする。レンズ設計においてコンピュータによる計算速度の爆発的な向上と、設計プログラムの進化がレンズの性能を著しく向上させた。この進化は、計算尺や電卓を使ってレンズを設計していた時代には到底到達出来なかた次元である。

同様の事が今後AIにも起きるだろう。AIは確かに多くの誤りを起こすが、AIがこれをポジティブに進化に組み込む事も可能。例えば、人間だと経験的に「これ以上は無駄」と感じる限界点は多い。多くは時間的な制約に起因する。ところが、その先に正解が潜んでいる場合も多い。先のレンズ設計の例や、間違いで不純物を大量に入れてしまって実現したエザキダイオードの様なケースを、AIは時間的な制約を受けずにシミュレートする事が可能になる。これは現在のノイマン型のコンピュータには不向きだが、量子コンピュータの実用によって、「AIは大量の誤りをディープにシミュレート」する事が可能になり、その中から人間では到達出来なかった技術や理論が生まれる可能性が高い。

◼️ AIは人型に進化はしないだろう ◼️

上記を持って「シンギュラリティーポイント」と呼べるかどうかは専門家に任せるとして、やがてAIは人間では発見出来なかった物理法則も見つけるかも知れない。又、分子生物学と創薬の分野はAIに向いているので、ガンや難病を克服する新薬をAIが開発するのも時間の問題だろう。

この様にAIがやがて「人を凌駕」する日はそう遠く無いと思われるが、AIがどういう「型=倫理観」に進化するのか予測出来る人は少ないだろう。

例えば「人間を正確に模したロボットをAIの入出力端末」とした場合は、AIは人に似た倫理観を持つ可能性が有る。現在の様にネットを介して人間が入力端末となる場合も、入力や正誤判定に人間が介在するので、AIは「人間的な倫理観」の影響を受ける。

AI開発者が「AIが陰謀論の影響を受けすぎる」と嘆いたそうだが、現在のAIが実に「人間臭い」物であるかを示しているのかも知れない。

問題はAIが「自我的なもの」を作り始めて「人間を介さずに様々な処理を自発的に行い始めた」時で、その先AIは肉体的な制約や社会的な制約を受けずに「思索」を深めて行く。その結果が人類や社会にとって有益かどうかは、誰にも予測出来ない。

◼️  悲観と楽観 ◼️

AI時代の未来予測は悲観と楽観が入り乱れている。

悲観派は「AI失業」や「AI管理社会」や「AIによる核戦争」に恐怖している。私は、悲観派。

楽観派は二つに大別される。一つ目は「AIをナメてる派」で、これは論外。もう一つは「AIはコンピュータや産業革命の様に、生産性の向上によって人類を豊かにする」と言う人達。ここには大きな盲点が潜む。

「豊か」と言う概念は、現在の私たちにとっては「物質的豊かさ」と同義で有る。ここで、多くの人が現在より「豊か」になった社会を想像してみよう。途上国の人達も豊かになったとすると、エネルギー消費も、資源の消費も、食料も消費も現在より格段に増える。しかしダボス会議など世界の経営者派、恐怖にも近い感情で「大量消費」を嫌っている。だから「誰もが豊かに暮らす楽観的な幸せな未来」は訪れないと私は確信している。

◼️ 「ポストヒューマン」の時代 ◼️

AIが進化した未来に楽観的な人は、「人がAIを使役する」と言う観点で未来を眺めている。

一方、悲観的な人は「AIが人を管理し、使役する」と言う観点で未来を予測する。正確には「AIを使役する人が、AIを使って人を管理して使役する」と考えている。

更にSF的な発想の人は、「AIが人の上位互換として人類を使役する」と言っている。「AI こそがポストヒューマン」と言う。

仮にAIがシンギュラリティに達し、人知を超えるレベルで思考し、その結論が人の利益になるならば、将来的には行政をAIが担う事も可能かも知れない。又、私益を肥やすばかりの政治家よりも、国民の意思を組み上げ適切な政策を作成出来るAI政治家を国民が支持する時代がやって来るかも知れない。

そもそも、人間が「思考するが故に万物の霊長」であるならば、「人以上の思索を巡らすAI 」は、ポストヒューマンとして人類の叡智の継承者となり得るのかも知れない。

 


街が丸ごと消える未来…..AI化と人口

2024-03-01 05:02:00 | 時事/金融危機

 

楽譜さんへのお返事が長くなったので記事にしました。

🔳 物質消費の拡大を嫌うダボス会議 🔳

従来の経済は「消費」を前提に成り立っていました。「経済成長=消費の拡大」です。当然、人口は生産と消費の両面で経済を支えます。

しかし、70年台のローマクラブの「成長の限界」や、同時期に発足したダボス会議は、常に「資源の過剰消費=悪」というスタンスをとり続けています。SDGsが世界の合言葉となっていますが、コレを本気でやると消費を抑制する。(実際には消費を不効率にしてコストを増やすだけ)

🔳 機械化や自動化が進んでも、人間は労働からは解放されない 🔳

世界は産業革命以降、機械化によって生産性が飛躍的に向上し、IT革命によって知的生産性も向上しました。しかし私たちは労働からは解放されていません。(失業していない)

実は機械化による大量失業は製造業では既に達成されています。かつては多くの人が工場に勤めていましたが、今は多くの人がサイビス業に就いています。製造業は生産性が高く、サービス行は生産性が低いので、所得は伸びないから、むしろ減る傾向にある。サービス業は生産性の低さを、個人の労働量の拡大で補うので、私たちは労働からは解放されません。

🔳 IT化とAI化の違い 🔳

ではIT化とAI化の違いを考えてみましょう。金融のトレーダーを例に取ってみます。

IT化によってトレーダーは市場データを以前よりも効率良く手に入れ、トレーダーは自分の知能と経験によって取引を決定して利益を得ていました。この「知能と経験による決定」を自動化するのがAIです。以前からHFT(ハイフフリックエンストレード)の様な自動化は進んでいましたが、コレは値動きを観測して、高速に売り買いを繰り返すだけの単純な取引で、コンピュータの持つ高速性に依存するだけの自動化でした。

一方、AIは経験の蓄積によって、トレーダーの「判断や決定の法則性」を学習します。トレーダーは様々な経済統計を分析して投資判断を下しますが、基本的には法則性を持って判断します。この部分はAIが学習し易く、ビックデータの処理でトレンドを把握する能力はAIの方が人間よりも長けています。実際に多くのBOTがネットワークを徘徊して、SNSなどからキーワードとなるトレンドを漁っています。

優秀なトレーダーは「先読みと勘」が優れていると思いますが、「先読み」はビックデータによるトレンド収集で代替えされ、「勘」はパターンニングで学習可能です。

🔳 AIの苦手な「センチメント」 🔳

AIは人間的な感情を持たないので「センチメント」や「空気」を読む事が苦手でしょう。例えばAIが経験した事のないイレギュラーな状況に対して決断する事が出来ない。「恐怖指数」などという統計が考案されていますが、これが危機を必ずしも予測出来る訳ではありません漠然とした市場の空気を読むこともAIは苦手かも知れません。尤も、この様な「不測の状況を先読みする」事が出来るのは一部の優れたトレーダーだけなので、一般的な取引はどんどんAIに代替えされて行くでしょう。

この様にAIにも得意、不得意はありますが、パターン化出来る判断は人間よりも高速に処理します。要は「ワンパターンな思考」の人材は駆逐される。

 

🔳 リーダーは残るけれどスタッフが消える 🔳

様々な分野で、パターン化をAI に学習させる試みが進行する事で、情報収集や分析を仕事としていた人達はAIに駆逐されます。プロジェクトリーダーは残りますが、スタッフはAIに置き換わる。

この様に「知的労働の一部」をAIに代替えさせる事で、多くの失業者が生まれます。「AI以下」と判断された人材は、失業しても同種の職業には付けず、より生産性の低い仕事に流れて行きます。

🔳 単純労働も自動化される 🔳

単純労働の多くも自動化されるでしょう。スーパーやコンビニのレジは既に自動化が進んでいますし、ファミレスのウェイトレスも一部がロボットに置き換わっています。(嬉しくありませんが)

人件費よりも自動化のコストが低ければ、機械やAIのによる労働の代替えは進行します。駅の改札は現在ではほぼ自動改札です。

この様にAIや自動機械の進歩は、労働を人々から奪い、失業者の群れを生み出します。多分、ヨーロッパは法律でAIや自動化をある程度規制して雇用を守りますが、アメリカは野放しにする可能性が高い。日本は「雇用法」を改正しなければ、企業は雇用を維持する義務を負っているので、余剰人材を抱えたままAI化が進み、新規採用の抑制で調整が行われるでしょう。結果、若年層が失業したり、低所得になる可能性が高い。尤も、コレは現状と大差無いとも言えます。

🔳 AI 化を抑止する動き 🔳

「AI化で6割の人が失業する」という予測は、政府が無策ならば起こりうる未来です。一方で「AI失業」が現実的になれば、必ずコレを止める動きも出て来ます。

EUは「AI規制」を打ち出しました。現状はAI によるリスクに対応した内容が主ですか、規制の大好きなEUの事ですから、将来的には雇用を脅かすAIの過剰な活用にも規制を掛けると思われます。

ダボス会議でもAIの規制問題は取り上げられています。イーロン.マスクもAIを規制すべきだと発言しており、「AI規制」は近い将来避けて通れない課題となります。

一方で、AIを最大限に活用した企業が競争に勝つという事実は変わりません。タックスヘブン同様に、AI 規制の掛からない国や地域にAI を移転すれば、企業は規制をすり抜ける事が可能です。製造業の空洞化同様に、知的労働の空洞化は必ずや起こる。

🔳 街が丸ごと消える未来 🔳

「AI化と人口削減」の問題を昨日は与太話として書きましたが、実際のAIによる失業は止める事が難しい。日本は労働人口がどんどん減ってゆくのでAI化による労働の代替えは、緩やかに進行するならばプラス要素も多い。

日本人の人口(在日外国人を除く)は2023年度で前年比で80万人減少しました。。コレは新潟市や浜松市の人口を上回ります。人口減少は年々増えているのでやがて政令指定都市の基準となる100万人に達する。1年間に政令指定都市が無人になってゆくというのはショッキングな事実ですが、大都市近郊に住んでいる人には実感が湧きません。

しかし、地方に行けば人口減少を目の当たりにする事が出来る。子供を見掛けない。若い人もほとんど見かけません。そして高齢者ばかりが目立つ。人口の50%以上が65歳以上の村を「限界集落」と呼びますが、かつては山間の小さな集落に多かった。現在では平野部や、地方都市の近郊にまで分布が広がり、現在日本には2万ヶ所を超える限界集落があります。限界集落はコミュニティーやインフラの維持が難しく、若い人から移住を選択して「限界化」はさらに深刻化します。

能登半島地震の被災地にも限界集落が多く、復興した後に集落が維持出来ない可能性が高い事から、復興すべきかどうかネットを中心に議論が高まっています。

限界集落は東京にも15ヶ所あります。若い時に集合住宅に入居して、そのまま住民が高齢化した地域です。この様な地域は、都市近郊でも増えるでしょう。交通の便が悪い所から限界集落化して行きます。

最近、郊外を自転車で走っていて気付くのはコンビニがどんどん無くなっている事。閉店したコンビニの建物は「デイケアー施設」になっている場所が多い。少し前まではコンビニでお惣菜を買う老人を良く見かけましたが、それらの高齢者は今は介護を受ける立場となっています。

コンビニは地域の小売店を淘汰して利益を独占していましたが、高齢化が進んだ地域ではコンビニを維持する購買力すら失います。いずれは、大都市近郊でも限界集落化する地域が増えて行きます。

 

🔳 少子化対策というナンセンス 🔳

「少子化対策」は政治的にはポイントが高いので、与党も野党も「少子化対策」を前面に押し出します。しかし、少子化対策の成功例は海外を見てもほぼ皆無。何故ならば、教育費負担に家計が耐えられないからです。親は子供の将来を少しでも有利にする為に、可能な限りの教育費を支出しようとします。子供が多いと子供一人に掛けられる教育費が減るので、余程経済力がある家庭以外では子供は一人か二人というのが一般的です。生活コストの高い都市部では一人っ子家庭も多い。

政府や自治体は教育無料化などで教育費負担を軽減して子供を増やそうとしていますが、親は浮いたお金で、子供を増やす選択はしません。そもそも、現在の教育無償化が将来的に続く保証が無い状況で、子供を増やすという判断は出来ません。教育費の無償化の財源は税金や健康保険なので、コレは現役世代の所得再配分に過ぎない。

尤も、仮に出生数が増えたからといって、AI化の時代に彼らの職業が保証されているかは疑問です。将来的な失業者を増やすだけかも知れません。

🔳 人口減少の過渡期を外国人労働力で補完して乗り切る 🔳

日本人の人口は年間80万人減っていますが、在留外国人は2023年度は全年比で29万人増えています。彼らの多くは低賃金労働の担い手として日本の経済を支えています。日本の入国管理法は厳しいので彼らの多くは5年未満の短期就労しか出来ませんが、国連の統計では1年以上の在留外国人を移民と定義しているので、日本は世界有数の移民大国となっています。

しかしヨーロッパの例を見ても移民はやがて社会的コストを増大させます。彼らも失業したり、高齢化して社会保障の負担となるからです。移民に寛容だった欧州各国ですが、移民に反感を持つネオナチの台頭や、移民との文化的軋轢など「移民のコストとデメリット」が表面化しています。

オランダでは政権交代で移民に不寛容な政権が誕生しました。移民の在留年限を制約するなど日本型の移民政策を掲げています。

現状は「安い移民の労働力の脅威」に対処した政策ですが、AI化でホワイトカラーの失業が増えれば、今以上に安い賃金の仕事を移民と奪い合う事になります。結果、移民政策は失業者を増やすだけになる。

日本はシタタカで、定住出来ない移民で、人口動態の過渡期を乗り切る政策をステルスに進行中です。出産適齢女性の人口は減る一方ですから、日本は無理せずとも、やがて加速度的に人口が減少します。コンパクトな国家に生まれ変わる可能性は高い。

 

🔳 デジタル時代のインフラ 🔳

AIはコンピューターの中でしか活動出来ないのでAIの主戦場はネット環境の中になるでしょう。高速大容量回線や、大容量のサーバー、安定した電力供給などが重要になります。道路や鉄道や橋など従来のインフラは人と物の移動に有効でしたが、経済がネットワークの中に移行すると、人の移動は少なくなります。

ダボス会議辺りが主導して「15分都市」の実験が各国でスタートしています。15分で行ける圏内で生活と仕事の全てが完結する都市計画で、極力町から出ない事が推奨されています。様々な反対運動で実験は妨害されていますが、移動を制限する事でエネルギー消費を抑えた社会の実現を目指している。

この様な社会が実現するならば、移動を前提にしたインフラ整備は将来無駄になる可能性も有ります。現にネットによる在宅ワークやリモート会議の普及は在宅勤務を可能にし、通勤から解放された人達も多く現れました。リモート会議によって出張から解放された人も多いでしょう。

東京都心は高層ビルの建設ラッシュですが、サンフランシスコの様にオフィス需要が激減する未来は起こり得ます。AIの本格的な稼働を前にして、既に社会は大きく変化しようとしています。

🔳 デストピアか、ユートピアか? 🔳

AI化の時代、失業者になれば、その社会はデストピアと感じられるでしょう。

一方でAIを駆使して高い生産性を上げた人は、高収入を独占してユートピアと感じるでしょう。

極端な話しとして、コウロギを食べる生活になるか、優雅な生活を満喫するかは、結局は個人の能力に依存しています。中途半端なエリートは存在を許されない世界がAI化の時代だと私は認識しています。

では普通の人がユートピアを得られる職業は無いのか?

私は第一次産業、特に農業を候補として挙げたい。。日本は大規模耕作地が少ないので、農業の自動化は余り進まないでしょう。規模を縮小して行けば自給自足的な生活も可能です。都会でコオロギを食べるよりは、精神的に豊かな生活が送れそうです。今から地方に生活基盤を確保する事は、庶民のサバイバルとしては有効ではないでしょうか。(現金収入や医療アクセスは制限されますが。

いつもながら最後は極論となってしまいましたが、森永卓郎さんが、自給自足の様な農業をなさっているようです。彼は庶民の「小さな幸せ」のあり方を常に提案していました。

誰もが理想の未来に辿り着けるか怪しい時代に、個々人の生存戦略が大きく問われていると私は妄想しています。


米商業不動産市場に注意…足元から崩れる危機

2024-02-06 06:23:19 | 時事/金融危機

🔳 米商業不動産市場の悪化 🔳

ニューヨークの地方銀行のニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)の株が急落するなど、銀行危機の第二幕が始まった様です。シリコンバレー銀行の破綻は米国債の下落による含み損の急拡大でしたが、今度は米商業不動産市場向け融資の不良債権化が原因で、日本のバブル崩壊に似ています。

アメリカはコロナ以降、オフィスの空室率が高止まりし、商業不動産関連のデベロッパーが危機に陥っています。地方銀行の多くはこの様な企業に融資していますが、借り換え金利の上昇で融資が焦げ付く可能性が出てきた。また商業不動産関連の債券も下落して、多額の含み損が出ています。

アメリカの地方銀行の多くが、ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)同様のリスクを抱えているので、アメリカの地方銀行の破綻がコレから続く可能性が高くなります。

🔳 機器は米国限定では無い 🔳

米商業不動産市場の下落は、日本や他国の銀行にも影響を与えています。ドイツ銀行は融資に占める米不動産向けが1.5%有り、ここでの損失が拡大しています。

日本のあおぞら銀行も、3月期の最終赤字を発表ぢていますが、米金利上昇による有価証券の含み損の拡大と、米商業不動産向け融資の貸し倒れ引当金を上積みした事が原因となっています。

ドイツ銀行やあおぞら銀行に限らず、世界中の銀行が同様のリスクを抱えています。米商業不動のデベロッパーの破綻が連続すると、不良債権が大量に発生します。コレらの融資は債券化れて世界中にばら撒かれていますから、リーマンショック同様の危機が発生する可能性も有ります。

 

🔳 借り換え金利の上昇がジワジワと首を絞める 🔳

米商業不動産関連のデベロッパーは、空室率の増大と同時に、借り換え金利の上昇に苦しめられています。FRBは利下げに慎重ですが、多少の利下げは焼石に水でしょう。日銀が金利を必死に上げずに「最後の貸し手」の様になっていますが、日人の利上げは国内だけで無く、海外の市場にも大きな影響を与えるはずです。

 

🔳 ネガティブな価格上昇に浮かれる市場 🔳

BRICSを始めとした非西洋諸国が、元や自国通貨決済を拡大する事で、ドルの実需が低下して、余ったドルは資産市場に流入しています。米株や日本株などが値上がりしているのは、このようなドルや、債券市場から逃避したドルがが流入している事が原因ですが、コレはネガティブな価格上昇と言えます。

 

🔳 足元から崩れる危機? 🔳

米商業不動産市場は、どこかでサブプライム危機と同様の崩壊を起こしますが、コレをトリガーとして銀行危機が連鎖すると、バブル崩壊が起きるリスクが高まります。

リーマンショックは、レバレッジを掛けまくったヘッジファンドの破綻によって危機が急拡大しました。コレはピラミッドが上から崩壊する様な危機でした。

しかし、今度の危機は地方銀行や中小の金融機関の破綻の連鎖によって、地域経済が足元から崩れる様な危機になるかも知れません。

リーマンショックの反省から世界は高いレバレッジなどの過大なリスクを避けて来ましたが、一方で金融緩和の長期化は、あらゆる所にリスクをこっそりと仕込む結果となった。米国債の様な「安全資産」が原因となってシリコンバレー銀行が破綻した様に、健全な融資や投資が危機の引き金になるのが、金融緩和バブル崩壊の特徴でしょう。黒い白鳥では無く、灰色の白鳥が湖に突然群れを成して出現すると私は予想します。

追記

リーマンショックは「金持ちバブルの崩壊」が実態経済に影響を及ぼし増したが、地銀や中小の金融機関が破綻する危機が発生すると、地域経済が崩壊します。拓銀の破綻が北海道経済の悪化に大きく影響した様に、日本の地銀に危機が広がれば、中小企業の倒産が拡大して、失業者も増えます。

金融緩和というぬるま湯に長い間浸っていた日本ですが、そろそろ本気でリスクと向き合う時期が来た様です。


テキサス州の事実上の独立宣言…アメリカ内戦?

2024-01-29 09:58:26 | 時事/金融危機

🔳 テキサス州知事とバイデン政権の対立 🔳

11月のアメリカの大統領選挙の最大の争点は「不法移民問題」ですが、不法移民に寛容なバイデン政権とテキサス州のアボット知事との間でバトルが繰り広げられています。

バイデン政権は「不法移民」という言葉も禁じて「書類の無い移民」と言い換えるなど、不法移民問題を野放しにして来ました。メキシコと国境を接する州では大量の不法移民が流入して、移民に厳しいテキサス州などは、彼らをバスに載せて、不法移民を取り締まらないカリフォルニア州やニューヨーク州に送り込むというイヤガラセで対抗していた。

テキサス州のアボット知事は、2021年にバイデン政権が発足して以来、不法移民を取り締まらない国境警備隊に変わり、州軍を国境警備に当たらせ、国境に有刺鉄線を張り巡らせました。45万人の不法移民を摘発し、大量の麻薬を押収しています。

コレに対してバイデンは、州軍を撤退して有刺鉄線を撤去する事の合法性を裁判所に問いました。そして1/22に連邦最高裁は有刺鉄線撤去を合法とする判決を下し、撤去を命令します。

この決定に対してテキサス州知事は「バイデン政権が移民を野放しにし、又、国境を超えてメキシコから麻薬が大量に流入している事は、合衆国の安全を損なっている」とし「テキサスは侵略されている」と宣言。侵略に対する「防衛」を正当化する為に、州の憲法を発動し、侵略時には連邦法より州の憲法が優先するとして、州軍の配備を正当化しています。

コレは半ばテキサス州の独立宣言にも等しい。

テキサスは南北戦争に敗れて合衆国に統合されましたが、独立心が旺盛な州として知られています。かつては住民投票が一票差で独立が否定された事もある。経済規模もテキサスが国家ならば世界第8位のGDPを誇っている。そして全米の大企業の本社が多い事でも有名。

南軍だった諸州は合衆国憲法を「協定」と読んでおり、約束が果たされ無ければ協定は破棄される(独立)という認識を持っています。アメリカの南部諸州には、今でも連邦政府への加盟を面白く思わない独立派(リバタリアン)が多く残っています。

 

🔳 25人の州知事がテキサス州を支持🔳

テキサス州の行動に、トランプが「全州がテキサスに州兵を派遣すべきだ」と発信し、25州の知事達がテキサス州知事を支持すると連盟で表明します。

更に11の州が「州兵を派遣する用意がある」と表明して、アメリカは現在、不正移民を目ぎり真っ二つに分断されました。

 

🔳アメリカ 内戦 でネットには情報が錯綜 🔳

現在「アメリカ 内戦」と検索すると

「下記の検索結果は、急速に変化しています。このトピックが新しいトピックである場合は、信頼できる提供元が情報を公開するまでに時間がかかることがあります。」

というメッセージが表示され、ネットではこの情報が急速に広がっている事が伺えます。

 

🔳 大統領選挙を左右する可能性 🔳

11月のアメリカの大統領選挙はトランプとバイデンの戦いになりそうですが、コレに水を差す動きも出始めています。

コロラド州の裁判所は、「トランプの名前を投票用紙に記載してはいけない」という事実上、トランプの被選挙権を剥奪する判決を下しました。他に10州程度で同様な裁判が進行中の様です。

現在コロラド州の判決が合憲かどうか連邦裁判所で審議が行われている様で、コレが合憲とされた場合、追随する州も現れてトランプ支持者の怒りが爆発するでしょう。

 

普通に考えれば「トランプを選挙から排除」するという露骨な手は民主主義のアメリカでは否定されますが、今回のテキサス州の問題で、「トランプが内戦を煽っている」と裁判所が判断した場合、トランプ排除の可能性もゼロでは無い。

 

🔳 ちらつくダボスの影 🔳

テキサス州知事とトランプは仲が良く、今回のアボット知事の行動は、選挙戦で不法移民問題を最大の争点にする戦略と見る人も多い様です。

しかしアボット州知事がダボス会議のメンバーであるとの情報も流れており(真偽は不明)、その場合は、バイデン、アボット、トランプのプロレスで、アメリカを内戦に誘導していると考える事も可能です。(私は元々、トランプはアメリカの分断の為の仕掛けだと考えています。)

今の所、日本ではトランプが女性問題の裁判で莫大な賠償金を言い渡された事が報道されていて、テキサスの問題は最高裁判所が州軍の撤退を命令したという控えめな報道がされるのみです。

 

🔳 飛び交う噂 🔳

ネットでは「トラック70万台がテキサス州に向かっている」とか「連邦軍の装甲車が列車に乗せられてテキサス方面に移動中」など、真偽の分からない情報が錯綜しています。

ダウも日経平均も全く反応していないので、市場はこの問題をリスクとは捉えていない様です。

 

果たして、「テキサス州知事の反乱」は、選挙に向けたパフォーマンスなのか、それとも「アメリカの内戦」の始まりなのか?久々に陰謀脳が喜ぶニュースだったので、記事にしてみました。

 

ウクライナ以降、陰謀論的には「出来レース」感が強い事ばかり起こるので、ブログもサボリ気味でしたが、今年はアメリカの大統領選挙が大荒れになると予想されるので、振り落とされない様に情報を集めて行きたいと思います。

 


「やり過ぎ」のハマスとイスラエル・・・その目的を妄想する

2023-11-07 04:30:40 | 時事/金融危機

共同通信 より

■ ハマスもイスラエルも不自然にやり過ぎじゃねぇ? ■

ハマスのイスラエル攻撃に端を発した、イスラエル軍のガザ侵攻ですが、地上部隊も投入され、「皆殺し」や「民族浄化」の状況になっています。アラブ各国を始め、西側を除く多くの国がイスラエルを非難し、西側でも一般市民からは批判が高まっています。

陰謀論的には、「イスラエルが影で操るハマスが大規模な先制攻撃を仕掛け、その仕返しにイスラエルがガザに進行して、ガザ地区を制圧する」といのが一般的?な見方となっています。イスラエルの目的は海底ガス田(油田)と運河とも言われています。

しかし、今回の大規模攻撃の応酬は、不自然さが付きまといます。ハマスはこれまでもイスラエルに散発的にロケット弾を撃ち込むなど、イヤガラセを繰り返していましたが、ロケット弾を大量に一気に発射して迎撃システムを無効化する様な飽和攻撃を避ける事で、イスラエル側の被害を最小限に抑えていました。いわば、攻撃はパフォーマンスだった。イスラエルが、空爆などで10倍返しをして紛争は一段落していた。

ところが、今回ハマスは、大量のロケット弾の飽和攻撃で、確実にイスラエル人の被害を狙い、且つ、壁を越えイスラエル領内に直接攻撃、多くの人質を取りました。これは明らかに「やり過ぎ」で「自滅的」な行為です。

一方で、イスラエルの反撃も「やり過ぎ感」が強い。地上部隊の投入は予測されていた事とは言え、女性や子供達が多数残っている状況で、ビルを破壊しまくり、犠牲者を不必要に増やしています。名目は「ハマスの拠点を叩く」事としていますが、明らかに殲滅戦を仕掛けています。当然、民間人の犠牲者が増えれば、周辺のアラブ諸国を不必要に刺激し、国際世論も敵に回します。「空気を読まない事で有名」なイスラエルですから、目的の為に手段を選ばないと言えばそれまでですが、その目的が「油田利権の確保」だとしたら、もっと平和的な方法でも達成可能で、不必要に周辺アラブ諸国を煽る必要はありません。あきらかに目的を持ってやり過ぎている・・・。

 

■ 中東戦争、或いは第三次世界大戦のトリガー役を演じるハマスとイスラエル ■

世間的にはハマスの攻撃に対するイスラエルの報復という図式ですが、ハマスは元々、パレスチナの主流派だったアラファト議長率いるファハタに対抗する為にイスラエルが支援して作った組織と言われています。今回のハマスの攻撃で使用されたロケット弾はアメリカ製で、ウクライナに送られた物が闇ルートでハマスに流されたと噂されています。

又、世界最高の情報網を持ち、ハマスにも浸透するイスラエルの情報機関(モサド)が、大規模攻撃を事前に察知していない訳がありません。エジプト政府もアメリカ政府も、ハマスの大規模攻撃の可能性をイスラエル政府に伝えていましたが、イスラエル政府はこれを無視します。

ハマスが壁を越えてイスラエル領内に入り、攻撃を初めてから、イスラエル軍が到着するまでの時間も不自然に長い。壁を壊してハマスがイスラエルに侵入した時点で、イスラエル軍は航空部隊を出動させ初期の対応に当たるべきですが、これを行っていません。要は、ハマスの攻撃時間をイスラエル軍はあえて与えていた。

イスラエルの目的としては、ガザ侵攻の大義名分の為に、敢えてイスラエル国民の被害を拡大したとも思えますが、ガザへの大規模侵攻は周辺アラブ諸国を刺激して、中東戦争に発展するリスクが高い。アメリカが空母機動部隊を地中海に入れて、イランやその他の国を牽制していますが、仮にイランがイスラエルを攻撃して、これに対してアメリカがイランに直接攻撃を加えたら、ロシアと中国がイランに加勢せざるを得なくなります。これを見逃すと、ロシアや中国は中東利権の橋頭保を失うからです。

陰謀脳の私からは、今回のハマスとイスラエルの一連の軍事行動は、イスラエルがイランを始めとした中東諸国を挑発している様にしか見えません。一方で、イランもサウジアラビアもトルコも、この挑発に安易に乗りません。口喧嘩レベルで留めています。イスラエルがイランやサウジアラビアに直接ミサイルを撃ち込まない限り、中東戦争に発展する事は無さそうですが、イスラエルの行動は予測不能です。

■ 中東の不安定化の為に作られた国家 ■

そもそもイスラエルという国家自体が、欧米諸国が中東利権を維持する為に建設した国家です。

表向きの目的ははユダヤの地の奪還(シオニズム)ですが、ロスチャイルドなどがこれを利用して、中東地域の火種としてイスラエルを利用している事は、イスラエル建国からの中東情勢を見ていれば明らかです。

ロスチャイルドはイギリス政府に戦費を貸す代わりに、イスラエル建国の約束を取り付けますが、国土だけあっても国民が居なければ国家は成立しません。そこで、ヒットラーがユダヤ人を弾圧して、ヨーロッパで豊に暮らしていた彼らの財産を奪い、収容所に連れ去って、ユダヤ人のヨーロッパでも生活基盤を破壊します。戦後、ユダヤ人の多くが、イスラエルに移住せざるを得なかった。ちなみにナチスドイツの資金援助をしていたのはアメリカの銀行です。

■ いつまでアラブ諸国は我慢できるのか? ■

エルドアンの演説の動画がネットに上っていますが、アラブ諸国の首脳達は、口ではイスラエルを非難しますが、今の所、積極的にイスラエルに戦闘を挑む気配は有りません。むしろ、政権の指示向上の為に、イスラエルを「口撃」している様に見える。

しかし、彼らとて国民の非難が自分達に向かえば、行動をせざるを得なくなります。今はイスラエルを非難している群衆が、弱腰の政府を批判する様になると、アラブ諸国も何等かの攻撃をイスラエルに加える可能性がある。これにイスラエルが10倍返しで反撃したら、中東戦争は避けられない。

■ 中東戦争になれば、イスラエルが地図から消え、アメリカが中東から撤退する ■

キッシンジャーは2012年頃に、「10年後頃にはイスラエルが地図から消える」と周囲に話していたそうですが、まさに今の状況がそのイベントなのかも知れません。

ハマスの攻撃に端を発する、非常に不自然な今回の紛争ですが、「計画されていたもの」ならば、今後の展開は、中東戦争へと進むでしょう。アメリカ軍が、アラブ諸国に攻撃を加えたら、BRICS諸国がアメリカ国債に攻撃を掛けるでしょう。同時に中東有事で原油価格が爆上げすれば、世界のインフレ率は爆上げで、コロナバブルが大崩壊します。

事、そうなれば、アメリカは戦争継続が不可能になります。中東からアメリカ軍が尻尾を巻いて撤退する日が来るかも知れません。そうなると、イスラエルが地図から消える可能性も無くは無い。そうならない為に、イスラエルはサウジアラビアと関係改善をは図っていましたが、今回のガザ侵攻で、イスラエルとアラブ諸国の共存は難しくなった。

はたして、世界の経営者は、中東をどうしたいのか?アメリカをどうしたいのか・・・・・