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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

ドルとアメリカにトドメを刺すトランプ

2025-04-11 04:49:41 | 時事/金融危機

■ ニュートラルを取り戻すハズが・・・ ■

皆さま、ご無沙汰しております。

しばらくブログを書かずにいましたが、不人気のYoutuber同様に、ブログ作者も「何か刺激的なネタは無いか」というバイアスが掛かり、世の中を変なフィルターで見るクセが付いてしまいます。その内に、「自分の現実」と「世間の現実」に大きな隔たりが生まれ、「あれ、オレって変な妄想に取りつかれていないか」と不安になって来ました。他人との会話でも、心の中で「全く嚙み合わない自分」を絶えず意識してしまうのは、結構シンドイものです。

ブログをしばらく書かないでいれば、「ノーマル」に近づくかなと、ブログをお休みさせて頂いておりました。これで少しはニュートラルに戻るかなと思っていましたが、結果は全く効果はありません。いえ、益々陰謀脳が肥大化してしまった。

これって、ブログという妄想の捌け口が無いと、ヤバイ事になるのでは無いか・・・・。

そんなこんなで、しばらく振りにブログを書いてみます。

■ トランプはクレージーでバカと思い込むバカ ■

最近、ノーマルな方々と話していて気になるのは「トランプはクレージーだから」とか「トランプはバカだから」といった枕詞。これは非常に危険で「トランプはクレージーだから何をするか分からない」「トランプはバカだから自分の政策を理解出来ない」と思い込んだ時点で、トランプやその背後に居るであろう者達の思考を理解する努力を止めてしまいます。

トランプはそれなりに成功したビジネスマンですから、少なくとも市井のサラリーマンに比べてその能力が劣るとは思えません。まして、トランプを裏で操る者達がトランプに繰り出させる数々の政策の結果を予見できないハズがありません。

彼らは「トランプというクレージーなアイコン」によって、政策の本質から庶民のみならず、専門家と呼ばれる(実は素人)人達からも、トランプの政策の目的を隠そうとしていると私は考えています。

「トランプはバカと言う人は真性のバカ」だと私は断言します。トランプはバカのリトマス試験紙なのです。

 

■ ウクライナ政策は、オバマ政権、バイデン政権、トランプ政権の外交政策は一環している ■

「民主党と共和党は対立している」というのも、バカのリトマス試験紙の一つです。オバマ政権、第一次トランプ政権、バイデン政権の外交政策を見れば、そこに一貫性がある事が分かります。

ウクライナを例に挙げるならば、オバマ政権の時にオレンジ革命が起こされウクライナを内戦状態にしました。第一次トランプ政権下でも国務省を中心としたウクライナ工作に大きな変化は見られません。バイデン政権でウクライナ戦争が始まります。

バイデンは口では勇ましい事を言いながらも、米軍を戦争に投入する事もせず、武器の供与も小出しにしてウクライナがジリ貧になるような支援しかしていません。そして、いよいよウクライナの戦争継続能力に疑問が持たれた時点で、トランプが再選して、ロシアと停戦交渉を始めた。要はバイデン政権はトランプ登場の場を温めたとも言える。

ウクライナ戦争で何が変わったか・・・これこそが重要であり、歴代米政権の目的です。

 

1)北欧3国がNATOに加盟した。

2)アメリカがウクライナ戦争の主導権をヨーロッパに移そうしている。

3)アメリカ抜きのNATOの強化をヨーロッパ各国に要求している。

軍事的には、ウクライナ戦争の結果、米軍はヨーロパでの軍事的影響力を自ら縮小しています。

 

4)ウクライナの国有資産の運用のコンサルタントにブラックロックが選ばれる

5)肥沃な農地の多くが食料メジャーによって買い占められた

6)地下資源を戦争の代償として支払う可能性が高まった

経済的には、ウクライナの資産は、戦争の代償として民間企業に簒奪されたと言えるでしょう。

 

ウクライナ戦争の結果から見えて来るのは、「ヨーロッパの米軍を縮小」する事と、「ウクライナを民営化」するという2点です。

 

■ 「加速主義」の実験場としてのウクライナ ■

トランプ政権で面白いのは、本来は大統領の影に隠れがちな副大統領のJ・D・ヴァンスが目立つ事、そして閣僚でも無いイーロン・マスクが悪目立ちする事です。ヴァンス副大統領はヨーロッパやウクライナに対して「アメリカに頼り過ぎていて不公平」「ヨーロッパの各国政府は国民から自由を奪っている」といった厳しい発現を繰り返しています。イーロン・マスクもネオナチと呼ばれる「ドイツの為の選択肢」を支援する発言などが目立ちます。

ヴァンスとマスクの共通点は、彼らがペイパルの出身者であるという点。ペイパルの創業者のピーター・ティールは「加速主義者」として知られています。「加速主義」とは簡単に言ってしまえば、「国家は企業の様に合理的に経営されるべきで、革新的技術も積極的に取り入れるべき」といった思想です。ピーター・ティールを中心とした加速主義者達を「ペイパルマフィア」と呼ぶ様です。マスクやヴァンスもその一員と目されています。「加速主義者」の主張はダボス会議を主催するクラウス・シュワブの言説にも似ています。シュワブは「人々にチップを埋め込み適切に管理する」未来を望んでいます。これは「不効率で予測がし難い人々を、より良く管理して国家を効率的に運営する」思想です。

多くの陰謀論者が「ダボスは社会主義によって人々を支配したがっている」と考えていますが、ヴァンスやマスクの言動は、ヨーロッパ的な官僚主義への反発が強い。これは、EUに代表される官僚主義が「非効率」であると彼らが考えているからだと思われます。

クラウス・シュワブは「グレートリセット」される対象として民主主義を挙げていますが、彼は民主主義を解体して官僚支配の社会主義を目指すのでは無く、ポピュリズムの袋小路に入り込んだ不効率な民主主義を捨てて、中国やロシアの様な独裁的でスピーディーな国家運営を目指していると私は妄想しています。シュワブは「中国は近年、世界で一番成功した国である」と語っています。

■ アメリアを解体する加速主義 ■

ウクライナが今後どうなるかは、アメリカや世界の未来にも繋がって来まが、着目すべきは、一度徹底的に国家を破壊している点では無いでしょうか。

「民主主義は自分で自分を改革出来ない」という事は、昨今の先進国を見ていると容易に理解出来ます。民主主義国家の実態は、「選挙で国民に選ばれた政治家が、政治献金を与えてくれた人達に奉仕する」とい詐欺的システムですが、一方で政治家は「選挙に勝つ為には庶民の顔色も窺う」必要があります。ここに「民主主義の限界」が存在します。そして資本主義の世界では、貧富の格差が拡大するので、「選挙における貧民のパワー」が増大します。アメリカで顕著な例ですし、日本のシルバーでモクラシーも貧民が政治的な影響力を行使しています。アメリカでは共和党も民主党も「貧民の票」の獲得にあの手この手を繰り出しています。民主党はバラマキによって、トランプ共和党は「架空の民衆の敵」を作る事で、貧民を取り込んでいます。

「歪が蓄積した民主主義は国家の成長力と競争力を奪う」と加速主義者の目には映っているハズですが、貧民が政治的に大きな力を持つ民主主義の選挙制度では、民主主義の歪を解消する事は不可能です。

・・・・それならば、どうするか・・・加速主義者達は短気ですから、50年、100年を掛けて国家を改革するという選択肢は取りません。「壊して作り替えれば良い」と彼らならば考えます。

トランプ政権の背後に居る、或いは民主党政権の背後にも居た「加速主義者」達は、「アメリカを壊して作り変える」事に躊躇しないと私は妄想しています。

 

■ アメリカを解体するトランプ政権 ■

トランプが関税戦争を各国に仕掛けています。「重商政策の復活」などと書いているメディアも有りますが、アメリカ国内に産業が回帰する前に米国債が必ず暴落します。

 

1)中国や他の国がアメリカに輸出してドルを得る

2)ドルを金利の付く米国債に変える(米国債購入)

3)アメリカは米国債を発行してドルを国民に配る

4)国民はドルで世界から買い物をする

 

コロナショック以前は、政府は間接的にドルを国民に配っていましたが(公共事業や軍隊)、コロナ後は直接ドルを国民に配る事もしました。普通の国でアメリカの様に国債を発行しまくっていたら、国債金利が上昇して財政破綻しますが、ドルは貿易決済通貨であり、資産市場の最強通貨ですから、ドルや米国債を過剰に発行しても、ドルも米国債も容易には余りません。だから暴落しない。これは基軸通貨特権と呼ばれるものです。

しかし、ウクライナ戦争以降、中国、サウジアラビアなど米国債を支えていた国々がドルと米国債から距離を取り始めました。ロシアがドル決済システムから締め出された事から、「ドルの武器化」を警戒したのです。

本来、ドル離れをしている国に対して、アメリカは関係改善を図ってドルと米国債の需給を安定させるべきですが、バイデン政権もトランプ政権もロシアや中国を敵視、BRICs諸国のドルと米国債離れを加速させています。

そしてトランプの関税戦争は「対米輸出を減らす事で、急激にドルと米国債の需要を減少させる」効果を持ちます。さらに、ドル安と、関税負担によるインフレ率の上昇は、米国債の金利上層を促し、米国債を大量に保有する米国内の地方銀行から、経営が破綻して行きます。

 

■ 「トランプはバブルを崩壊させて金利を下げようとしている」という嘘 ■

トランプの理解不能な関税政策を「トランプは株式市場を崩壊させて米経済を不景気にして金利を下げようとしている」などと解説するアナリストも見掛けます。「FRBに金利引き下げを要求しているから、トランプは高金利よりも不景気を選択するだろう」と解説されています。

バブルが弾けて米経済が不景気になると、ドルが売られてドル安になります。金利を上げなければ、ドル安は加速し、輸入コストの増大はインフレを加速してます。弱いドルは金利上昇圧力となるので、低金利を続ける事は不可能になります。円キャリートレードも、バブルが崩壊すれば巻き戻ります。リーマンショック後は1ドル70円台まで円高が進みました。

バブル崩壊によって米金利に不景気による下落圧力は掛かりますが、それ以上にドル安によるインフレや通貨防衛で、金利上昇圧力の方が高くなると私は妄想しています。

トランプが米経済を自爆させた所で、アメリカにとって良い事は一つもありません。

 

■ バブル崩壊は暴動や内戦の火種になる ■

アメリカのバブル崩壊で最も恐ろしいのは、人々の不満が暴動に発展する事です。今は大人しくしていますが民主党支持者の貧民は、景気が悪化して失業すれば、トランプへの憎しみを燃え上がらせるでしょう。デモは暴動に発展するはずです。ここで、警官が黒人に暴力を働いたり、州警察が暴徒の鎮圧に駆り出されたりしたら、アメリカは映画の「シビルウォー」の世界になります。

トランプのクレージーな政策は、アメリカの危険な未来を予見させますが、トランプ政権がアメリカを解体する為に準備された政権ならば、それこそが目的とも言えます。そして、人々は後にこう語るでしょう。「トランプはクレージーだからアメリカが解体した」と。

トランプが大統領である必要性を「加速主義」から考察すると、トランプこそが最適な人材だと理解出来るも思います。


最近 戦争の心配をしている

2024-09-25 10:01:08 | 時事/金融危機

陰謀論的なものが世の中に溢れているので、ブログを書く気が全く起きないが、最近本気で日本を巻き込んだ戦争を心配しています

 

アメリカの企業の年初来8月までの倒産件数は40%増加。大企業の倒産件数は2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックに並んだが、それらのショック以上に恐ろしいのは、「⚪︎⚪︎ショック」が起きていないのに倒産件数がショック並みに増大している事。


原因は低金利で借り入れた資金が、高金利で返済できなくなっている事で個人も企業も借金が返済出来なくなっている。

FRBが利下げをすれば良いというのは浅薄な考え方で、利下げするとドル安になり、海外から(主に日本から)の投資が一気に逃げるので、資産市場が崩壊して一気に「⚪︎⚪︎ショック」が発生して米経済も世界経済も崩壊する。

FRBは大幅な利下げができずに米企業はジワジワと倒産してゆき、金融部門は大量の不良債権を抱え込んで経営が悪化して行く。

一方、日銀は日米金利差を維持しないとFRBの利下げ同様にバブル崩壊の引き金を引くので、インフレ率が高くとも利上げが出来ない。国内経済は低空飛行で利上げは経済にとってマイナスだが、円高による輸入物価の下落はインフレを抑制する。しかし、日銀はバブル崩壊の引き金を引きたく無いので大胆な利上げは出来ずに、小幅な利上げでお茶を濁すしか無い。

FRBも日銀もジレンマに堕ちいて「現状維持」に近い僅かな金利操作しか出来ない状況で、米経済の悪化の進行は、次第に隠す事が出来なくなる。

アメリカの雇用統計は粉飾されているが、それでも誤魔化しきれずにマイナスとなっている。オフィスの空室率も高止まりし、商業不動産に融資をしていた地方銀行は、財務内容が急激に悪化して、そろそろ銀行危機が再燃する。

前回のシリコンバレー銀行に端を発した銀行危機はFRBの資金供給と大手銀行が危ない銀行に預金するという裏技で乗り切ったが、今回、このスキームで乗り切れない。何故なら少なからぬ米企業が返済猶予などの措置で生き延びているが、銀行の体力も限界に来ている。

コレからアメリカは大統領選挙一色に染まって行くが、その裏で米経済の静かな崩壊は確実に進み、やがてダムが決壊する。

マスコミが立憲民主党をヤケに持ち上げ始めたが、コレはリーマンショック時に見た光景だ。「⚪︎⚪︎ショック」が起きれば麻生政権が選挙で大敗した時の様に、国民の不満は自民党へ向かう。そのバックアップのはずの維新の会は、ヤクザ集団で有る事がバレて支持率を大幅に落としている。

裏金問題や統一教会問題を抱える自民党は、経済が崩壊した場合、政権を失う可能性もあり、国民のガス抜きの為に立憲民主党という受け皿のイメージアップが急速に進んでいる。新党首となった野田氏は、別に自民党に居てもおかしく無い元財務省官僚の政治家なので、対米従属も含めて、政権が変わっても大きな変化は期待出来ない。

極東有事に対する軍備拡張などは、岸田政権時に大幅に進み、メディアはコレに対して反対を唱えてこなかった。立憲民主党が日本のNATO編入に阻止を掛けられるかは微妙で、北朝鮮や中露の挑発が続けば、国民はむしろNATO入りを支持するだろう。


このブログは「世界に起きる悪い事」を妄想して楽しむブログだが、流石に戦争は勘弁して欲しい。


ただ、世界を大きく変える「ショックドクトリン」に戦争ほど有効な手段は無いことは歴史が物語っている。


最近本気で戦争の心配をしている。狂信者達は、「聖典に有るハルマゲドンが起きないならば自分たちの手で起こせば良い」という思考の持ち主だ。彼らを相手に常識が通用しない事は、最近の中東情勢が証明している。

 


イランは戦争を回避できるのか?…中東戦争

2024-08-06 22:35:51 | 時事/金融危機

イスラエルと言うか、世界の経営者は何が何でもイランを戦争に巻き込みたいようです。

イランの首都でハマスの幹部をミサイルで爆殺されたら、イラン政府も報復せざるを得ません。これまでイスラエルの挑発に、我慢を強いられていたイランですが、今回は「空気を読んだ報復」では国民は納得しないでしょう。

イスラエルの国民にそれなりの被害が出る報復がされた場合、イスラエルはいつもの事ながら10倍返しの報復を行うでしょう。こうして中東戦争は不可避なものと成ります。

最も危惧すべき事態は、イスラエルを防衛するという名目で、地中海に展開する米空母機動部隊が直接イランを攻撃するケースです。イランがアメリカに蹂躙される事を中国が座視するとは思えません。中東への中国の影響力が失われるからでです。

 

仮に中国がイランを支援するとなると、間接的、あるいは直接的に米中が戦争情緒となり、米中の友好国がこれに巻き込まれて世界大戦へと発展して行きます。きっとアメリカは台湾海峡でも中国を挑発して日本を含む東アジアも戦争に巻き込まれて行く。

 

こんな最悪な世界の未来もあり得る状況で、株価が反発した事を単純に喜べるのか。

 

「グレートリセット」が発動しているならば、何が起きても不思議では有りません。「自分の身は自分で守る」、果たして可能だろうか...。


ファンファーレが鳴った

2024-08-05 17:19:15 | 時事/金融危機

バブル崩壊の引き金を引いた日銀とFRB。

最近ブログを書かなかったのは、結局引き金が引かれるまでは「オオカミ少年」になってしまうから。

 

日経平均の下げ方は異常なので、「仕掛が発動した」と見るべきでしょう。

 

今夜のNY市場が連鎖して大幅に下げたら、底が抜けるのでしょう。

 

投資とは無縁の私は、酒飲んで、アニメ見て、ぐっすり惰眠を貪りますが、きっと寝れない人も多いはず。

 

グットラック!


「AIって使い物にならない」と言う人は想像力がAIにも劣る

2024-03-28 03:00:19 | 時事/金融危機

◼️ AIは使い物にならない? ◼️

「AIはバブルで、実用に耐えない」と言う意見をネットで散見します。

実際にソフトウエア会社に勤める知人に聞いたら「会社でもチャットGTPを推奨して仕事に積極的に活用しろと言われているので使っているが、実際には使い物にならない」と言っていた。「どうして使い物にならないの?」と聞いたら、「8割は正しいプログラムを瞬時に作るが2割が間違っているからデバックに時間が掛かる」と答えた。

「AIが使い物にならない」という意見の多くは、前述の様な「実際にAIを仕事で使っている人の不満」又聞きした、AI を仕事で使った事のない人のよって流布された物が多いのでは無いだろうか?

「100%正確では無い」と言う評価を「使い物にならない」と勘違いしている。

◼️ 3歳児に多くを期待してはいけない しかく

AIは「司法試験に合格出来る情報量と、質問に対して正解を見つける技術を持っている」が、それだけに特化した3歳児だと私は認識している。但し、それは「現状」の話に過ぎない。

要は現状のAIは、「言葉をようやく覚えた3歳児」で、その使い方を間違える事も多く、そもそも言葉で伝えるべき人生のバックボーンは少ない。

子供は「模倣」が好きだが、AIも現状は「模倣」をしているだけで、論理的思考が出来ている訳では無い。しかしネットを通じて人々がAIを使えば使う程、AIの経験は蓄積して、AIの知性は進化する。

◼️ 爆速で成長する3歳児 ◼️

AIの凄い所は学習速度。一人の人間は、人間の能力を超えた速度では学習出来ないがAIは並列で様々な事を学習してゆく。

現状は知識の蓄積と、体系化も初歩を学んでいる。体系化とは「正誤判断の基準の構築」と言い換えても良いだろう。これは親が子供に教育する事に似ている。「仕事でAIが使えない」と嘆くエンジニアは、その修正過程で同時にAIを教育しているとも言える。

この様にして現状3歳児程度の「知能」しか持たないAIは、やがて幼児から少年、青年、成人へと能力を向上させていくだろう。そしてその成長速度は加速度的。

◼️ AIは「誤り続ける」事で人を超える ◼️

問題は「人間で無いAI」が人間と同じ成長をするかどいかという点。ネット空間を通して世界や社会を見ているAIは、生物と異なる視点や価値感を構築してゆく可能性は十分にある。生物の生存戦略は「合理化」と「特異化」で、この二つは相反する。

「合理化」は「正解への最速ルートの構築」で、これは現在でもAIの得意とする事である。

一方「特異化」は生物においては「突然変異」に相当し、その多くが「誤り」に分類されるが、非常に稀な確率で「誤り」が進化をもたらす。

AIは現状多くの「誤り」を犯すが、これは現状は単なる誤りとして処理されている。しかし処理速度の速いAIは、意図的に多くの誤りをシミュレーションする事に長けている。

技術者には理解し易いが、技術開発は「ポケット」に陥り易い。例えばレンズ設計などが良い例だが、何枚目かのレンズの曲率を変化させてゆくと、ある時点で収差が最小になり、その後収差が増え出す。大抵の場合は「収差が最小」になった点を最適として設計を進めるが、実は曲率をもっと変化させて行くと再び収差が減り出して、最初の収差を下回るポイントが出現したりする。レンズ設計においてコンピュータによる計算速度の爆発的な向上と、設計プログラムの進化がレンズの性能を著しく向上させた。この進化は、計算尺や電卓を使ってレンズを設計していた時代には到底到達出来なかた次元である。

同様の事が今後AIにも起きるだろう。AIは確かに多くの誤りを起こすが、AIがこれをポジティブに進化に組み込む事も可能。例えば、人間だと経験的に「これ以上は無駄」と感じる限界点は多い。多くは時間的な制約に起因する。ところが、その先に正解が潜んでいる場合も多い。先のレンズ設計の例や、間違いで不純物を大量に入れてしまって実現したエザキダイオードの様なケースを、AIは時間的な制約を受けずにシミュレートする事が可能になる。これは現在のノイマン型のコンピュータには不向きだが、量子コンピュータの実用によって、「AIは大量の誤りをディープにシミュレート」する事が可能になり、その中から人間では到達出来なかった技術や理論が生まれる可能性が高い。

◼️ AIは人型に進化はしないだろう ◼️

上記を持って「シンギュラリティーポイント」と呼べるかどうかは専門家に任せるとして、やがてAIは人間では発見出来なかった物理法則も見つけるかも知れない。又、分子生物学と創薬の分野はAIに向いているので、ガンや難病を克服する新薬をAIが開発するのも時間の問題だろう。

この様にAIがやがて「人を凌駕」する日はそう遠く無いと思われるが、AIがどういう「型=倫理観」に進化するのか予測出来る人は少ないだろう。

例えば「人間を正確に模したロボットをAIの入出力端末」とした場合は、AIは人に似た倫理観を持つ可能性が有る。現在の様にネットを介して人間が入力端末となる場合も、入力や正誤判定に人間が介在するので、AIは「人間的な倫理観」の影響を受ける。

AI開発者が「AIが陰謀論の影響を受けすぎる」と嘆いたそうだが、現在のAIが実に「人間臭い」物であるかを示しているのかも知れない。

問題はAIが「自我的なもの」を作り始めて「人間を介さずに様々な処理を自発的に行い始めた」時で、その先AIは肉体的な制約や社会的な制約を受けずに「思索」を深めて行く。その結果が人類や社会にとって有益かどうかは、誰にも予測出来ない。

◼️  悲観と楽観 ◼️

AI時代の未来予測は悲観と楽観が入り乱れている。

悲観派は「AI失業」や「AI管理社会」や「AIによる核戦争」に恐怖している。私は、悲観派。

楽観派は二つに大別される。一つ目は「AIをナメてる派」で、これは論外。もう一つは「AIはコンピュータや産業革命の様に、生産性の向上によって人類を豊かにする」と言う人達。ここには大きな盲点が潜む。

「豊か」と言う概念は、現在の私たちにとっては「物質的豊かさ」と同義で有る。ここで、多くの人が現在より「豊か」になった社会を想像してみよう。途上国の人達も豊かになったとすると、エネルギー消費も、資源の消費も、食料も消費も現在より格段に増える。しかしダボス会議など世界の経営者派、恐怖にも近い感情で「大量消費」を嫌っている。だから「誰もが豊かに暮らす楽観的な幸せな未来」は訪れないと私は確信している。

◼️ 「ポストヒューマン」の時代 ◼️

AIが進化した未来に楽観的な人は、「人がAIを使役する」と言う観点で未来を眺めている。

一方、悲観的な人は「AIが人を管理し、使役する」と言う観点で未来を予測する。正確には「AIを使役する人が、AIを使って人を管理して使役する」と考えている。

更にSF的な発想の人は、「AIが人の上位互換として人類を使役する」と言っている。「AI こそがポストヒューマン」と言う。

仮にAIがシンギュラリティに達し、人知を超えるレベルで思考し、その結論が人の利益になるならば、将来的には行政をAIが担う事も可能かも知れない。又、私益を肥やすばかりの政治家よりも、国民の意思を組み上げ適切な政策を作成出来るAI政治家を国民が支持する時代がやって来るかも知れない。

そもそも、人間が「思考するが故に万物の霊長」であるならば、「人以上の思索を巡らすAI 」は、ポストヒューマンとして人類の叡智の継承者となり得るのかも知れない。