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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

安倍氏は誰かに嫌われているのか?・・・安倍氏を罠に落そうという勢力が居る

2012-11-30 04:16:00 | 時事/金融危機
 


■ 誤報だった、安倍氏の建設国債の日銀直接引き受け発言 ■

各メディアが報じた、安倍氏の建設国債の日銀直接引き受け発言は、
どうやら、日経新聞の誤報を、各社が引用して騒ぎが大きくなった様です。

国債の中央銀行の直接引き受けは、通貨制度のタブーです。(アメリカは実行していますが)
ですから、安倍氏も随分と思い切った発言をすると思ったのですが、
どうやら、問題は報道側にあったようです。

ところで、経済紙の日経が、こんな重大な事を「間違える」でしょうか?

なんだか、私の好きな「陰謀」の臭いが漂います。

おっと、その前に、安倍氏と自民党支持者の方々にお詫び申し上げなければなりません。

この件では、私も安倍総裁を随分と批判してしまいました。
申し訳ありませんでした。


日銀の直接引き受けと、市場を通じた買いオペでは大きな違いがあります。
買いオペの場合は、一応市場原理が働くので、市場がNOと言えば国債価格が下落します。
尤も、財務省と日銀と銀行がタッグを組めば、20兆円くらいは市場で処理できてしまうのでしょう。

■ 安倍氏を落し入れたのは、通貨マフィアか? ■

通貨制度に対する挑発はタブーです。

かつて高橋洋一氏は、政府紙幣の発行を自民党若手議員に説いて回たところ、
ゴルフ場の隣りのロッカーからロレックスと財布を盗んだとして検挙されました(無基礎)
本人もどうやら、認めている様ですが、はたして、元財務官僚が窃盗などするでしょうか?

後に高橋氏はTVで、盗んでいないが、手に持ったまま寝てしまった・・・
などと曖昧な発言をしていますが、
その一方で、「財務官僚は足し算、引き算しか出来ない」と批判したのが
彼らの琴線に触れたとも発言しています。

何れにしても、通貨問題は何らかの地雷を踏むと、
地雷は容赦無く爆発する様です。

今回の日経報道も、単なる誤報というよりは、明らかに意図的な情報操作の様に思えます。

■ 財政崩壊、ハイパーインフレが来ると発言してくれと頼むTV朝日プロデューサー ■

一方、TV朝日のモーニングバードでは、
プロデューサーが出演前の打ち合わせで、出演する経済が記者に
「安倍氏の経済政策は財政破綻を招く、ハイパーインフレになる」
と発言する様に強要したとして話題になっています。



自分の事を棚に上げて言うのも何なんですが、
やはり、財政拡大路線に対する警戒感はマスコミにも高い様に思われます。

ただ、「建設国債だけはビミョー」と発言されているので、
この方も、もろ手を挙げて安倍氏の国債増発を支持している訳では無い様ですが、
いずれにしても、TVの経済、政治ニュースの裏舞台をうかがい知る事が出来ます。

ここら辺はGUCCIさんも良く書かれています。
「スポンサーの日経新聞の意向に合わないから切られた・・・」

■ メディアは誰の味方なのだろう? ■

ここでふと思うのですが、ではメディアは誰の味方なのでしょうか?

橋本氏、石原氏の「維新の会」は、実績が全く無いにも関わらず随分と情報がタレ流されています。
しかし、ここへ来て、「維新の会」は、だいぶ馬脚を現していて、
あまり票を伸ばしそうにありません。

一方、安倍氏発言以降、自民党の躍進が確実視されています。
もし、自民党と公明党で、衆議院で2/3の議席を確保すれば、
「維新の会」は単なる弱小政党になってしまいます。

ところが、レース終盤になって「日本未来の党」が登場してきました。
「卒原発」を掲げ、クリーンな女性党首を担ぎ上げた未来の党は、
自民党に流れかけていた「浮遊票」をかなり取り込む事が予想されます。

単なる小沢新党ではないかとの批判と同時に、
メディアは、ある意味好意的な報道もしている様です。

メディアの情報操作の結果、票を削られるのは自民党です。

自民、公明で衆議院で2/3に得票を得なければ、
参院では自民公明で過半数に達しないので、
とのネジレ国会が出現する可能性もあります。


その時、「維新の会」が自民・公明と連立すれば、
「維新の会」が政治の舵取りをする事も可能になります。
「石原首相」の誕生の可能性も無くはないのです。

多分、安倍氏が反発しそうですが、自民内から安倍下ろしが噴出し、
さらにマスコミが安倍氏を総バッシングする、
かつての出来事の再来が起こるかもしれません。

どうやら、日本を影から操る勢力は、
「石原政権」を誕生させたいらしい・・・。


■ 日中の決定的決裂を演出したいアメリカ ■

ここで注目されるのが、アメリカ外交評議会(CRF)の発行するフォーリンアフェアーズの論文。

かつて「文明の衝突」など時代を決定付ける論文を発表してきた
フォーリンアフェアーズですが、
CRFはアメリカの外交を決定しているシンクタンクですから、
ヒラリー論文に続き、アメリカは新興国の成長を封じ込める政策に転嫁する事は明らかな様です。

かんべい先生の記事から引用させていただきます。

http://tameike.net/comments.htm (かんべいの不規則発言 2012.11.20)

<引用開始>

○フォーリンアフェアーズ誌に、久々に目が覚めるような論文が掲載されている。といっても、わずか6ページの巻頭エッセイなのだが、"Broken BRICs"という。「BRICsって、もう終わっちゃったよ。新興国が台頭して先進国と並び立つ時代が来る、なんてもう忘れた方がいいんじゃないの?」と言っている。この雑誌は、5年に1回くらいの割りで、「文明の衝突」とか「アジアの奇跡という神話」とか、時代を画するような論文を載せる。これもまた、いろんな意味で目からうろこの指摘だと思う。概ね、以下のようなことを言っている。


●2000年以降、先進国は低成長で、新興国が高成長だった。中国がアメリカを抜き去る(と言いつつ、GDPではアメリカの半分なのだが)なんてことが、今ではまじめに語られている。しかしここへきて、ブラジルやロシアやインドの成長率は低下している。そもそも高度成長が10年を超えることはめったにない。低金利の金があふれていた2000年代には、新興国経済が一斉に急成長して皆が勝ち組であるように見えた。が、これまでの10年が異常だった。でも世界経済は、ノーマルな状況に回帰しつつある。

●新興国と先進国が一緒になる、なんてのは神話である。IMFがウォッチしている180国のうち、先進国は35国に過ぎない。そして1950年から2000年までは、双方の格差は拡大しつつあった。西側にキャッチアップできたのは、産油国と南欧、それにアジアの虎たちだけであった。

●それが2000年以降にキャッチアップが始まった。ところが2011年になってみると、先進国と途上国の一人当たり収入は1950年代の昔に戻っている。これが現実なのだ。1950年以降でいうと、年平均5%以上の成長を10年続けられた国は1/3しかない。それを20年続けられた国は1/4だ。30年以上となると1/10に過ぎない。そして40年続けたのはマレーシアとシンガポールと韓国、台湾、タイ、香港の6か国だけだ。かつてマレーシアとタイは、先進国になろうかという勢いであったが、1997-98年の通貨危機でこけてしまった。1960年代にビルマやフィリピンやスリランカが有望だった時代もある。向こう10年は、新興国の失敗が続くことだろう。

●エマージング市場の概念は実は新しく、1980年代半ば以降である。台湾、インド、韓国などが矢継ぎ早に外資に門戸を開放し、1994年まではブームが続いた。新興国市場は世界の証券市場の1%から8%にまで急増するが、1994年のメキシコ危機でブームは終焉する。そして2002年までは途上国のGDPシェアは下落する。中国だけが例外だった。エマージング市場、なんてことはほんの1か国で起きたに過ぎない。

●第2次ブームは2003年に始まった。新興国のGDPシェアは20%から34%に駆け上がった。2008年の国際金融危機の落ち込みは、2009年に大方盛り返したものの、そこからが低成長になっている。過去10年のような手軽なマネーと底抜けの楽観主義がなければ、新興国市場は今後は低迷する公算が高い。、

●BRICsという概念ほど混乱を招いたものはない。4か国に共通するものはほとんどない。ブラジルとロシアは資源国、インドは消費国だ。中国を除けば、互いの貿易の結びつきも少ない。2000年代が例外であっただけで、1950年代のベネズエラ、1960年代のパキスタン、1970年代のイラクのような成長は、いずれも長続きはしなった。最近流行の経済予測は、中国とインドが世界のGDPの半分を占めていた17世紀を振り返って、「アジアの世紀が来る」と言っているようなものだ。

●向こう10年、日米欧は低成長だろう。が、中国経済もまた3~4%に成長は鈍化する。農村部の過剰労働力が消える「ルイスの転換点」はもう近づいている。中国がアメリカを抜き去るという懸念は、かつての日本がそうであったように杞憂に終わるだろう。中国や他の先進国の成長が減速すれば、ブラジルなどの輸出主導型成長も止まる。今後、新興国市場が一斉に伸びるということはないだろう。

●新興国市場の成長がばらつき始めると、国際政治も変わることだろう。西側は自信を回復し、ブラジルやロシアは輝きを失う。中国の統制主義的、国有資本主義の成功も怪しくなるだろう。人口動態による配当という考え方も疑問を持たれる。かつてはアジアは日本を、バルトやバルカン諸国はEUを、そしてすべての国がアメリカを目標としたものだ。しかし2008年危機はこれらのモデルの信頼性を失わせた。今では韓国のほうが日本より有望に見える。チェコやポーランドやトルコは、いまさらEUに入るべきかと悩むだろう。そして1990年代のワシントンコンセンサスは不人気になった。

●つくづくこの10年が異常であり、こんなことはもう起きないだろう。一人当たり所得2万~2.5万ドルの世界で、今後10年で伸びそうなのはチェコと韓国だけだ。1万~1.5万で期待できそうなのはトルコと、ひょっとしたらポーランドくらい。5000~1万ドルではタイがほぼ唯一の有望株で、あとはインドネシア、ナイジェリア、フィリピン、スリランカ、あとは東アフリカくらいか。先進国の水準に到達する国はほんの一握りであろう。


○言っていることは、実は常識的なことである。ただしその意味するところは重い。2003年に始まったBRICsブームは、ちょうど10年で終わったかもしれないのだ。そしてBRICsという言葉を発明したのはゴールドマンサックスであったが、この論文を書いたRuchir Sharmaは皮肉なことにモルガンスタンレーの人物である。はたして2013年は新興国ブーム終焉の年になるのか。中でも注目は中国経済であることは言を俟たない。

<引用終わり>




日本の政治は日本一国の都合で決まるのでは無く、
むしろアメリカの意向を大きく反映してきました。

そういった意味では、戦後から日本はアメリカの支配下から脱していないのですが、
良い悪いは別として、その事実から目を背けていては、
私達は起こりうる事態に対して、対策を取る事すら出来ません。

多くの日本人がマスコミ報道に誘導される現在、
政治のコントロールボードを自分達が握っていると錯覚する民主主義は、
まさに、支配者にとって都合の良い政治システムだと思われます。


この事実に、多くのアメリカ人もヨーロッパ人も気付いていません。
中国の共産党は、民主主義に警戒を抱いており、
中国が一筋縄でいかないのも、一党独裁という強い政治基盤があるからでしょう。


選挙の季節、身近な利害だけに気を取られるのでは無く、
民主主義の本質に思いを巡らせるのも、楽しいかも知れません。



日本初、女性首相誕生!?・・・政治の風向きは変わりやすい

2012-11-29 17:19:00 | 時事/金融危機
 





選挙で重要な点は「有権者の半分が女性である」事です。





「おい、選挙行くぞ」

「あら、私、どこに入れるか決めて無いわ」

「今回の選挙は大事だから、じっくりと考えて投票しろ。」

「そうね、原発問題は大事だわよね。」

「オイ、お前まさか、未来の党なんて言うんじゃないだろうな」

「あら、だって原発を無くしてくれるのよ。あなただって原発は要らないって言ってるじゃない」

「そりゃそうだが、あそこは小沢の党だぞ・・・・。」

「でも、嘉田さんってステキじゃない。女性議員も多いし」

「そんな事で投票するのか?」

「お隣の奥さんだって、未来の党がいいって言ってたわよ。」

「しかし、反原発で寄り集まっただけだろう、あそこは」

「いいえ、TPPにも反対だし、消費税にも反対だわ」

「何にでも反対って言えば良い訳ないだろう。無責任だ!!」

「でも、あなただってTPPはケシカラン! 消費税増税なんてもっての他って言ってたじゃない」

「それは原則論であって、それよりも日本の経済の方が大事だろう」

「じゃあ、自民党だったら経済は回復するの?」

「ああ、多分な・・・」

「でも、赤字がふえちゃうんでしょう?赤字ってダメなんでしょう?」

「そりゃ、赤字は少ない方がいい・・・。だけど・・・・」

「それに、自衛隊を軍隊だなんて、何だか戦争になりそうでイヤだわ。」

「それは、呼び方だけの問題だろう」

「でも、中国が攻めてきたら怖いわ。だって人がイッパイ居るから、日本人じゃ敵わないわよ。」

「自衛隊の近代装備に比べたら、中国軍なんてポンコツさ」

「あら、この間、空母から戦闘機が飛び立つ所をTVでやってたわよ。空母なんて日本持ってないじゃない」

「あんなハリボテ・・・。」

「それにね、私、韓国のドラマが少なくなって昼間ツマラナイのよ。」

「当たり前だろう。日本のTVに韓国人ばっか出てくる方がオカシイだろう!!」

「でも、日本のドラマより全然面白いのよ。日本のドラマって若い人向けでしょう。」

「だからって韓流を見る事ないだろう。水戸黄門でも見てればいい」

「あら、あれ終わっちゃったわよ」

「ほら、あれだ、渡る世間は何とかってやつもあるじゃないか」

「いやよ、だっていつも同じで飽きちゃったわ。泉ピン子嫌いだし」

「だいたいTVばっか見てるから、まともに政治も分からないんだ」

「ワイドショーで毎日見てるわよ!!」

「じゃあ、未来の党が小沢新党だってことぐらい分かるだろう」

「でも、もしかしたら日本初の女性首相誕生かもしれないわ。私、応援しちゃう」

「・・・・」




「日本未来の党」なるものが突然出現して驚きました。
小沢さんは、本当に選挙が上手い。

「国民の生活が第一」って小沢さんのダーティーなイメージをひきずっていたし、
民主党の小沢派以外の何ものでも無い感じでイマイチでした。
だいいち、名前が悪かった。センス0。

そこに行くと、党首を女性にして、
「日本未来の党」というシンプルだけどスマートな党名にしたのは大正解。

「土井社会党」の新鮮さと、「日本新党」の合わせ技は、
新し物好きの日本人には意外に受けが良いかもしれません。

まして、「反原発」「反消費税」「反TPP]というのは女性にも分かり易く、
まさに大衆迎合を地で行く政党です。


小沢氏は、政治家が国民を先導する時代が終わり、
国民がTVに扇動されて、政党を選んでしまう時代になった事に自覚的です。
だから、TVに嫌われる自分が看板では選挙を戦えないと判断したのでしょう。

結果的に出来上がったのは、何か勢いのある時の社会党を彷彿とさせる政党。

松下政経塾にジャックされて、すっかり自民党よりもアメリカの犬になってしまった民主党よりも
労働組合もシンパシーを感じるのでは無いでしょうか?

今後、民主党のリベラル勢力が「日本未来の党」に合流する事になれば、
沈没する船から逃げ出すネズミの様に民主党から離党する議員が増えるかも知れません。

民主党の右派の議員は、政策的には自民党と差が無いので、
選挙の結果如何では、自民・公明・民主の連立内閣もありえます。

一方で、「日本未来の党」が”何かの間違い”で大躍進した場合、
政策的には公明党と協調し易く、民主がここにくっ付けば、
初の女性首相の誕生も有り得なくは無いでしょう。


選挙の風は、一瞬で方向が変わります。

安倍氏の威勢の良い発言で自民党に向いていた今回の風ですが、
「反原発」「反消費税」は女性から絶大な支持を受けそうです。

「原発即刻廃止」の明確なビジョンが示せれば、風が一気に変わるかも知れません。



世の中、「正しい事」が評価される訳ではありません。
「間違った事」が支持を受ける事の方がむしろ多いのかもしれません。

今回は男性票が「自民」に流れ、女性票が「日本未来の党」に流れそうです。

「日本未来の党」は、選挙組織を持っていませんから、
草の根的な支持が高まらなければ、それ程票を伸ばさないかも知れませんが、
既に、「反原発」はある程度市民の間で組織化されており、
これをベースに選挙活動が繰り広げられることでしょう。

お母さん達の「反原発」への思いは強いものがあり、
手弁当で、選挙活動を支えた時には、奇跡が起きるかも知れません。



有権者の半分が女性である事を、既存政党の政治家たちは、あなどってはいけないのです。



・・・ただ、女性看板の後ろに蠢くのは、小沢氏、亀井氏・・これに鳩山氏が加われば、
あれ、これって看板を付け替えただけの民主党じゃない?


「子供手当」ても飛び出して、はたして柳の下に2匹目のドジョウは居るのでしょうか?



<追記>

拍手コメント欄で教えていただきましたが、
嘉田さんっては衆議院に立候補されないみたいなので、
直ぐに首相になる事は出来ないみたいですね。

今回の選挙後に又ゴタゴタがあって、
自民、民主ともに集散離合をある程度繰り返した後、
不信任案可決、総選挙、日本未来の党の大躍進から、
連立、首相へという目論みなのかなとも・・・。まあ、いつもの妄想です。

何れにしても、今回の突然の解散は野田さんの完全な作戦勝ちですね。
いわゆる第三局は完全に体性が整う前に選挙になってしまいました。

自民は組織がしっかりしているので、
安倍発言もあってかなり浮遊票も取り込むのではないでしょうか。

個人的には、ダラダラとした延命も好きでは無いので、
自民がパーーーーと国債を大増刷するのも有りかなと思っています。
経済論争の結論というのを見てみたいですし・・・。

はたして、市場はどう反応するのか、興味津々ではありますが、
日銀もそれなりに手ごわいので、
政府と日銀の大論争などいというのも見てみたい。

「お前は、もう死んでいる」・・・そう言われなければ気付かない世界

2012-11-29 09:54:00 | 時事/金融危機
 





■ 正反対の勢力が相乗りするリフレ論 ■

安倍総裁の発言があってから、リフレ派が勢いを取り戻しています。

しかし、リフレ派とひと括りにされがちですが、
正反対の勢力が相乗りしている事に注意が必要です。

1)高橋洋一を筆頭にする、構造改革派/上げ潮派
2)三橋貴明を筆頭にする、日本型社会主義派

この二者の目的は正反対ですが、何故かリフレ政策で相乗りしています。

■ 構造改革派/上げ潮派は、小泉改革の総仕上げを目指す ■

高橋洋一氏の主張は次の通りです。

1)政府紙幣50兆円を国民に配れ
2)40兆円の需給ギャップが存在するのだからハイパーインフレにはならない
3)構造改革を推進しろ

民間の資金需要が極端に不足する状況での日銀の資金供給は、
「流動性の罠」によって、景気を刺激する事が出来ません。
この点を理解している高橋氏は、直接国民にお金を配れと主張しています。

日銀がこの様な政策に合意する訳が無いので、
彼は「政府紙幣」を発行して政府が直接配れば良いと主張しています。

需給GAPは40兆円あるのだから、50兆円くらいばら撒いて
強引に景気を刺激すれば、デフレなんてたちどころに解決すると主張しています。

ここでミソなんが、バラマクのが円では無く、政府紙幣だという事。
政府紙幣は国際的信用は皆無なので、国内でしか流通しません。
ですから、資産の海外流出が起こり難いと考えられ、
効率的に景気刺激が可能となる訳です。

■ 財政出動に主眼を置く三橋貴明氏 ■

一方、三橋貴明氏の主張は、財政出動に主眼を置いています。

1)誰かの借金は、誰かの資産
2)国の借金(国債)は、国民の資産
3)民間の資金需要が不足する時は、政府部門が借金をして資金需要を生むべき
4)国債を増刷して公共事業を拡大しても、景気回復による税収増で財政バランスは保たれる

概ね、この様な主張をしています。
安倍総裁の発表した景気刺激策は、三橋氏の主張とほぼ合致します。
自民党支持者の多くが、三橋氏の主張に共感します。

■ 池田信夫の主張 ■

この両者を批判するのが池田信夫氏です。
逆に両者の批判の槍玉にあげられています。

本日の池田氏のブログでは、「潜在GDP」という言葉が出てきました。

需給ギャップ = 潜在GDP - 現実のGDP

GDPギャップとは、「需要と供給力の差」と解釈されてる方も多いでしょう。
供給力に対して、需要が少ないからデフレになる。
だから、需要を作り出してあげればGDPは拡大し、デフレは解消する。

これが、高橋洋一氏と三橋貴明氏に共通する論点です。

ところがデフレの原因は「需給ギャップ」では無く「GDPギャップ」だとするのが
ニューケイジアンの常識なんだという事です。

1)財政出動や通貨増刷でどんなに需要を喚起しても需要は潜在GDP以上には拡大しない

2)過剰に需要を喚起しても、結局潜在GDPのレベルまで、需要はいずれ縮小する。


実際にバブル崩壊以降、日銀は世界で始めての量的緩和に踏み切りましたし、
自民党政権は度重なる公共事業の拡大を行いました。

しかし、景気は一時上昇する気配を見せましたが、
緩和量を縮小したり、財政支出が減ると、一気に経済は縮小してしまいました。

高橋氏や三橋氏の主張は、これらの緩和や財政出動の規模が小さすぎたという事になります。

■ アメリカや中国が回答を与えてくれる ■

この論争の決着はアメリカや中国が回答を与えてくれるはずです。

アメリカの政策は、ドルの大量発行です。
高橋洋一氏は、バーナンキに師事していましたから
バーナンキの政策の結果が、高橋氏の主張の結果となります。

アメリカは財政の上限が議会で決められていますから、
無節操に公共事業を拡大する事が出来ません。
ですから、通貨政策で景気を刺激しています。

これは、規模こそ異なりますが、日銀が歩んできた道です。
日本では流動性の罠で失敗しましたが、
金融市場で資産運用をするアメリカ人にとって、
金融市場の回復は実体経済の回復に大きく寄与します。
だから、バーナンキはQEでドルを気前良く金融市場に供給しつづけています。

1)アメリカはどうやら無限にQEを繰り返すしか生き残れない
2)住宅市場に回復の兆しがあるというが、低金利を利用し投資目的の集合住宅が増えているだけ


あれあれ、何だか上手くいっていません。
何故なら、金融市場の抱える負債が天文学的な規模な為、
QEによって供給された資金は、借金の返済に消えてしまうのです。
結局、安い金利で借り換えを繰り返すだけで、負債が消滅するわけではありません。

資金供給が途絶えた途端に、米国債金利に上昇圧力が掛かり、
さらには株価が下がり始めます。
その度に、FRBがドルを刷りまくります。

QE2までは、上限を決めていましたが、
とうとうQE3は景気回復まで無期限にドルを刷り続けてMBSを買い続ける事になりました。
さらに、米国債の金利が上がり始めれば、ツイストオペも復活して、
FRBが市場から長期国債を買上げて、長期金利を強引に押し下げ、住宅市場の回復を図るでしょう。

これで、アメリカの住宅市場が回復しなれば、アウトです。

■ 中国は自民党の政策の未来の姿 ■

一方中国は、リーマンショック以降、元を大増刷して景気を支えました。

国内の金融機関から、企業に大量に資金を供給し続けました。
この弊害は、住宅バブルとなって現れます。

地方政府も大規模開発を、日本の第三セクターの様な方式で進めました。
需要を無視して、地方政府が郊外に新しい都市を作ったのです。
この資金は、借金によって賄われました。

現在、中国の地方ではほぼゴーストタウンの様な新市街が出現しています。
人の住んでいない高層住宅群や人気の無い大型ショッピングモールが話題となっています。

さらに、世界的な不景気による需要低下が中国の製造業を襲っています。
温州は沿岸部の軽工業都市ですが、工場に閉鎖に歯止めが掛かりません。
経営者の夜逃げや自殺が多発し、不払いの給与を求めて1000人規模のデモが発生しています。

中国はヨーロッパ向けの輸出が多かったので、
ユーロ危機によるヨーロッパの需要の低下が、ダイレクトに中国経済に影響を与えています。

中国の企業の多くは国営企業ですから、
銀行は政府の信用力をあてにして無謀な融資を繰り返しました。
採算性が無視された投資は、公共事業そのものです。

中国のインフラ整備は、高度成長期の国家では再生産に大きく寄与します。
しかし、需要を無視した民間投資は、巨大な負債しか生み出していません。

自民党と安倍総裁が目指す、200兆円の公共投資は、
地方の土建業者の圧力で、単なるバラマキに終わるでしょう。
これらの公共事業は、一過性の経済効果を生み出しますが、
再生産によって、日本の潜在GDPを押し上げる事は出来ません。

日本全国の海岸で、異様にそそり立った防波堤は、
いつ来るとも知れる津波を待っていますが、をれが100年後か300年後かは分かりません。
コンクリートの構造物の寿命が50年だとすると、
それらの防波堤は、役目を果た事無く、寿命を迎えて朽ち果てます。

あるいは、山間の集落は続く舗装道路は、
人口減少によって破棄された集落に永遠に繋がっている事でしょう。

■ 人口減少で潜在GDPが縮小しないはずが無い ■

三橋貴明氏は、公共事業で需要を喚起すれば、
人口が減少する社会でもGDPは増大すると主張します。

一人当たりの消費が拡大すれば、GDPの総量は増えるのは確かです。

しかし、一家に一台どころか一部屋に1台のTVとエアコンを備え、
地方では、大人は一人1台の自動車を所有しています。
この上、どうやって需要を増やせばよいのでしょうか?

むしろ、「物を持たない事」がスマートと考えられる、
成熟した消費社会に突入した日本では、
ディスカウントストアーですら潰れる時代です。

特に、不景気の時代に生まれた現代の若者は、消費を美徳とは考えていません。
彼らは「もったいない」がDNAに刷り込まれたような世代です。

「車なんて要らない、電車で行けばいいもん。」
「オーディオなんていらない、iPotの方が便利だもん。」
「高い自転車なんて要らない、ママチャリの方がカゴがあって便利。」
「バイト代、ちゃんと貯金しているよ。」
「この服、古着屋で買ったの。安かったよ。」

こいったデフレの申し子の様な現代の若者達は、
消費社会の申し子の我々とは、別の生き物です。

■ 拡大から縮小を前提に政策を立てるべき ■

私は三橋氏とその支持者達の気持は良く分かります。

10年後の事を議論していても、明日の生活が成り立たなければどうしようもないじゃないか。
仕事もお金も今必要なのに、10年後の財政危機を心配してもしょうがないじゃないか。


これは全くもって正論です。

一方、上げ潮派が、三橋派に相乗りするのは恐ろしい。

彼らは明らかに、構造改革の推進によって、
日本の企業を、外資に売り飛ばそうとする勢力です。

言っている事は理解出来ますが、
やり方を間違えると、韓国の二の舞になります。

今まで、官僚と日銀が日本が狩場になる事を阻止してきました。
しかし、自民党が政権を取って、国債を大増刷した瞬間、
外資が国債を売り浴びせて、日本経済崩壊などという事になれば、
IMFが乗り込んできて、韓国が味わったのと同じ苦渋を味わう事になります。

■ 世界は既に死んでいる ■

拡大し過ぎた債券金融システムの負債によって、
「世界は既に死んでいる」というのは、金融業界に居る方の共通した認識でしょう。

現在、世界は中央銀行の無制限の金融緩和で、
人工心臓に繋がれた状態です。

しかし、体の末端から壊死は進行しています。

ヨーロッパはギシシャを筆頭とする南欧諸国から、

アジアは日本で老衰性の緩慢な死が進行し、
韓国は悶死寸前。
中国はいつ発作を起すか分かりません。

オーストラリアやアルゼンチン、ブラジルなどの資源国は急激に経済が悪化し、
アルゼンチンがデフォルト寸前、ブラジルが後を追うかも知れません。

アメリカは「住宅市場の回復」というウソがバレタラ、一気に崩壊します。

そう、世界経済は既に死んでいるのです。
私達に残されているのは、「緩慢な死」か「即死」かの選択肢だけです。


■ 崩壊を前提に資産保全を考える資産家 ■

庶民は、月々の月給が入ってくれば、
その元が会社の銀行からの借り入れだろうが、問題としません。

中小企業の多くが、既に経営破綻していますが、
政府の補助政策によって延命しています。

自民党が政権を取って、財政を拡大すれば一時日本経済は活性化します。
しかし、税収の延びが鈍い事が直ぐに明らかになりますから、
財政の拡大政策は、1年もすれば縮小を余儀なくされます。

それ以前に、自民党が政権を取った時点で、IMFは財政拡大に警鐘を鳴らし、
市場は日本売りで圧力を掛けて来るのは必至です。

そうして、国内の混乱に注意を引かれている間に、
世界的に経済がメルトダウンに向うのが2013年の前半でしょう。

日本でも資産家と呼ばれる人達は、資産保全を済ませています。
いつも、何も知らずに全てを失うのは庶民です。

危機に際しては、「勇ましい事」を言う人が支持されます。
しかし、それは危機の高まりを象徴しているだけであって、
平時に彼らの言動を聞いたらどう思うのか、
もう一度立ち止まる必要があるでしょう。

私は安倍氏の発言に、世間がこれだけ共感する事に、危機感を禁じ得ません。




・・・・ウワー、何か凄くイヤな記事になってしまった・・・。








戦争の民営化・・・ビジネスとしての戦争 「ヨルムンガンド」

2012-11-28 10:52:00 | アニメ
 



■ 戦争は今や民営化の時代 ■

イラク戦争からニュースにも取り上げられる民間軍事会社。

英語ではPMC((Private Military Company もしくはPrivate Military Contractor)。
私はカンパニーよりも請負業としてのコントラクターの方が彼らに実態を反映していると思えます。

「民間」と付くと、なんだか血生臭さが薄まりますが、
主な仕事は、戦争の後方支援。

兵站の車列の警備や、要人警護、市内のパトロールなどなど。
さらには、正規軍の教育を請け負ったり、
場合によっては直接戦闘に関わったりもします。

■ 軍事費削減が生み出した戦争ビジネス ■

傭兵とPMCはどう違うの?と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

傭兵はお金で雇われますが、正規軍の組織の中で運用されます。
戦争はお金が掛かりますが、その最大のものが人件費。
特に、鍛錬された兵士やパイロットの育成にはコストが掛かります。
そこで、既に実績を積んだ兵士をお金で雇い入れるのが傭兵。

一方、民間軍事会社PMCは、あくまでも軍とは一線を画しています。

彼らは軍隊としての軍服の着用は許されておらず、
一般的には軍同士の戦闘にも直接は関わりません。
厳密に軍隊とは線引きがされているのです。

軍隊のコストの多くは、人件費と兵站(兵器や物資、食料の輸送)です。
いかに近代兵器と精強な兵士を揃えていても、兵站が途絶えれば戦争の継続は不可能です。

そこで、軍は兵站を確保する後方要員を大量に抱える事になり、
ここに多くの人件費が発生します。
兵站や後方支援要員を常に軍の中に抱えている事は、平時には無駄にもなります。

そこで、これらの軍の雑務を、外注してコストカットするのがPMCなのです。
各国の軍事費削減の動きが、PMCの台頭を後押ししました。


■ PMCの社員の多くは現地採用 ■

イラク戦争では、PMCの社員の多くは現地採用です。

PMCの幹部社員は優秀な元軍人です。
PMCは軍の優秀な軍人をヘッドハントしています。
それらの優秀な元軍人が、現地採用の社員を訓練しています。
PMCは優秀な軍人の集まりなので、正規軍の訓練を請け負ったりもします。

元特殊部隊出身の様な優秀な社員は1日1000ドル程度の収入があります。
一方、現地採用やPMCを渡り歩くような途上国の社員は一ヶ月1000ドル程度の報酬です。
これでも途上国の年収に匹敵しますから、PMC社員への志願者は後を絶ちません。

PMCの社員は、死亡時や負傷時の保障もしっかりしていません。
国が戦死者や負傷者の生活を一生見なければならない正規軍の兵士よりもお得です。

こういった経済原理によって、イラク戦争では正規軍とPMCの比率は10:1程度になるといわれます。

■ 先進国で戦争遂行を妨げるのは、自国の戦死者 ■

戦争は始める時は勢いがありますが、
戦争が長期化すると国民は戦争終結を望む様になります。
ことに自国の戦死者が増加する事が、厭戦気分の高まりに繋がります。

ところがPMCの社員の死亡は、戦士者数に数えられません。
もとより現地採用の社員の死に、心を痛める国民は居ません。

後方支援は安全の様に思われますが、
敵の兵站路を断つことは、戦争の基本中の基本です。
アフガニスタンでも、イラクでも、兵站の車列は常にゲリラに狙われます。
戦闘になったり、爆弾が爆発する事も多く、
PMCの社員は、常に危険に身をさらし、負傷したり死亡する事も少なくありません。

しかし、彼らの死は、戦死では無く事故死として扱われるのです。

■ 対ゲリラ戦を担うPMC ■

イラク戦争は戦争初期こそは世正規軍同士の戦いでした。
しかし、フセイン政権が瓦解してからは、海外の軍隊とゲリラの戦いになっています。

PMCはこういったゲリラとの戦闘を請け負っています。
ゲリラ達はライフルや迫撃砲で武装しているので、警察の手には負えません。
しかし、正規軍程、重武装している訳ではないので、
PMCが対ゲリラ戦を請け負う事になったのです。

ほかに、ゲリラのアジトを探索して、軍に連絡する様な、
特殊部隊や諜報機関が行うような行為も請負ます。
PMCの中には特殊部隊やCIAのOBが大勢いるからです。

最近では無人機の運用までPMCが請け負っている様です。
ただ、交戦になった場合は軍人と交替する様です。

■ 短期決戦よりは、長期化したゲリラ戦で儲けが拡大する ■

戦争が正規軍同士の総力戦の間は、PMCにあまり活躍の場がありません。

ところが、ゲリラ戦として戦争が長期化すると、
PMCの請け負う仕事が増大します。

現代の戦争は、敵国の国民でも大量に殺害すると国際世論が黙っていません。
ですから、大規模な都市爆撃などは行われません。

逆に言えば、決定的な敗北を相手国に与える事が出来ないので、
ゲリラは次から次に生まれてきます。
きのうまで床屋だった人も、銃さえ手に入れればゲリラに早代わりです。

PMCや軍がゲリラを掃討する一方で、
先進国の誰かが、ゲリラに武器を供給し続け、
こうして、戦いは延々に終わる事無く、
PMCは利益を拡大してゆきます。

PMCの幹部社員は軍のエリートのOBでしたから、
軍や防衛官僚とPMCの癒着は切る事は出来ません。
こうして、戦争はいつの間にか、国家の対立から民間のビジネスにすり替わってしまいます。

■ 現代の戦争の裏側を克明に描く『ヨルムンガンド』 ■

現在放送されているアニメ『ヨルムンガンド』は、
武器商人の視点から、現代の戦争を冷徹に見つめる作品です。

ギリシャの海運業者HCLI社は、全世界に張り巡らせた物流網を生かし、
「武器商人」としてのビジネスを展開しています。

社長の子供二人が、実質的にこのビジネスと取り仕切っています。
兄のキャスパー・ヘクマティアルと、妹のココ・ヘクマティアルです。

彼らは世界各地の紛争地帯に出没し、武器を提供します。
ヨロッパの軍隊に最新鋭のヘリやミサイルを売りつけたり、
孤立した戦線の部隊に、弾薬を輸送したりします。

物語はココを守る私兵に、一人の少年兵が加わる所から始まります。
ヨナという少年兵は、家族や友人を殺した武器を憎んでいます。
そして、それを売り歩く武器商人も同様に憎んでいます。

ヨナは山岳兵でしたが、友人の子供達を殺した自分の軍を襲撃します。
その時、キャスパーに捉えられ、命の代償にココの為に働く事になります。

ところが、ココは普通の武器商人とは全然違います。
何を考えているのか、ヘラヘラして全く分かりません。

「ココはなぜ武器商人をしているの?」と問うヨナに、ココはこう言い放ちます。
「世界平和の為だよ。」

■ PMCの実際としてのココの私兵 ■

ココは、仕事がら、度々命を狙われます。
CIAもFBIもココの動きをマークしています。
商売敵は、殺し屋を差し向けてきます。

そんなココをガッチリと守るのが、ココの私兵達です。
彼らこそ、要人警護を請け負ったPMCに他なりません。

米軍特殊部隊出身者、
スコットランドヤードの対テロ部隊のスナイパー。
国連PKO部隊出身者。
優秀な砲撃主。
爆弾の魅力に取り付かれた米軍工兵隊出身者。
自衛隊の諜報部隊の出身者。
マフィアの用心棒だった者。
そして、山岳ゲリラだった少年ヨナ。

彼らは、各国の軍隊のエリート中のエリートでした。
その強さたるや、ほとんど無敵とも言えます。

■ 戦争の狭間を渡り歩く武器商人 ■

戦争とは戦闘地域だけに限定されません。

平時でも隣国の侵略を心配する国は、兵器の増強に余念がありません。
そこに、ハイエナ宜しく、武器商人達が群がり、
少しでも利益を上げようと暗躍します。

隣国が最新式の戦闘機のバージョンアップパッケージを購入すれば、
こちらは、戦闘ヘリの増強で対応するといった具合です。

第一話は、軍に武器を売り込むココを、警察幹部が暗殺しようと企てます。
その武器の購入が、地域の軍事バランスを崩すとこの警察幹部は考えているからです。
ところが、ココはさらに武器を売りつけようとする別の武器商人を排除します。
軍事バランスが混乱する事を、許さないのです。

ある時は、軍事的に孤立した東欧圏の部隊に拘束されます。
レーダーを調達しろと脅されるのです。
窮地を脱したココが、彼らに届けたのは、地対空ミサイル。
これが、配備された為に武力均衡が生まれ、戦闘は終結します。

ある時はアフリカで中国の軍事顧問会社と衝突します。
中国はアフリカに支援という名目で、民間人を装った人民解放軍を送り込んでいます。
民間会社に偽装した彼らは、アフリカで武器を売りさばき、
石油採掘現場の警備を担当し、さらには政治的な汚れ仕事に引き受けます。
これこそ中国版のPMCですが、彼らは国営PMCです。

イラクでは兵站の任務に共同で着くイギリスのPMCと戦闘になります。
戦争をビジネスとしか考えていない彼らは、味方でも商売仇であれば平気で裏切ります。

この様に『ヨルムンガンド』は、戦争の隙間を克明に描く事で、
現代の国際情勢と戦争に実際を、分かり易く説明してくれます。

アニメとはいえ、そこで描かれる内容は、
私達が新聞やニュースで知りうる内容がいかに偽りであるかを教えてくれます。

現代の戦争はビジネスであり、国家が種まきして、民間が刈り取っているのです。

■ 今、最も見なければならないアニメ ■

私は『ヨルムンガンド』は、平和ボケした日本人が、
今、最も見るべきアニメだと思っています。

男性も女性も、高校生も老人も、
世界の常識から取り残される、情報過疎地の日本において、
これ程分かり易く、現在の世界情勢を説明しているメディアが他に無いからです。

新聞もTVのニュースも、表面的で大国に都合の良い報道しかしません。
戦争の本当の原因は何か?
忘れ去られた戦争は、実は今も続いているのか?
イラクで、アフガンで行われている戦争の実態はどんなものなのか?
民間軍事会社はどうゆうビジネスを展開しているのか?

アニメのほとんどは、高校生に娯楽を提供する内容ばかりです。
しかし、中には、こういう重たいテーマをエンタテーメントに昇華した作品もあるのです。

■ 決して明かされない、世の中から戦争を無くすココの計画とは? ■

物語は佳境を迎えています。

ココの兄、キャスパーは衛星監視網によって世界中の戦争を監視し、
効率的に兵站を代行するシステムを、各国に発表します。

どんな小国でも、米軍に匹敵する兵站システムを外注できるのです。
PMCここに極まれりといった内容の発表に、
世界の軍事情勢は一気に変化を見せます。

戦争を民間が管理する社会が到来するかもしれないのです。

一方、ココと親友のドクター・ミナミは、別の壮大な計画を練っています。
これは、決して明かされない計画ですが、
CIAが、ライバルの武器商人が、ココの計画をかぎつけています。

ココの究極の目的、「世界から戦争を無くす」ための計画とは何なのか?
計画の名前は「ヨルムンガンド」。北欧神話に伝わる「魔物」です。

さて物語も終盤、いよいよココとその仲間達から目が離せません。

興味を持たれた方は是非TSUTAYAへGO。
前期放送分は、比較的軽い内容でしたが、
後期放送分は、神回の連続です。
内容も難しく、大人でも見ごたえバッチリです。


ちなみに『ヨルムンガンド』のサントラ、超クールです。

岩崎琢の「ヨルムンガンド」のサントラを聞くと、管野よう子の非凡さが浮き彫りになる (2012.07.20 人力でGO) 




ミサイル防衛という幻想・・・アイアンドームの迎撃率が90%

2012-11-27 08:08:00 | 時事/金融危機
 




■ アイアンドームの迎撃率が90% ■

私達は数字に騙され易い。

今回のイスラエルとパレスチナの紛争で注目されたのは
イスラエルの配備した迎撃ミサイルのアイアンドーム。

日本の報道では、その迎撃率は90%だそうです。


「!?・・・90%って、高すぎるんじゃないか?」
そう思って調べてみた数字が以下の通り。


1) パレスチナの発射したロケット弾の総数  1160発
2) イスラエルの迎撃したミサイルの数     360発
3) アイアンドームの的中率           87%

あれあれ、360 ÷ 1160 = 31%です。

では的中率87%は何かと言えば、発射されたアイアンドームの的中率です。

4) 発射されたアイアンドームは        413発
5) その内、的中したのが           360発
6) 撃ち漏らしが                53発

アイアンドームが配備されているのは都市部ですから、
全てのロケット弾を打ち落とす必要はありません。

ですから、1160発という総数は無視出来ます。
問題は、撃ち漏らしの53発です。

■ ロケット弾は一発500ドル、アイアンドームは一発4万ドルから10万ドル ■

パレスチナが保有するロケット弾は1発500ドル程度だそうです。
ハマスはロケット弾を数万発保有していると言われています。
(多分、エジプトのムスリム同胞団経由)

対するアイアンドームのコストは1発4万から10万ドルだとか・・・。
これを数万発も配備する事は不可能です。

例えば、ハマスが1万発のロケット弾をテルアビブに打ち込めば、
テルアビブは廃墟になるという事。

仮に、イスラエルが1万発のアイアンドームをテルアビブに配備しても
1300発のロケット弾が撃ち漏らされて、テリアビブに落下します。

では何故ハマスは1万発のロケット弾を打ち込まないのか?
それは、イスラエルが核兵器を所有しているからです。

本気でイスラエルを攻撃したら、100倍の仕返しが返って来る。
1万発のロケット弾の代償は、人すら住めなくなったパレスチナの大地。

だからハマスは数万発のロケット弾を保有しながらも、
イスラエルの防衛力に見合った1160発を発射して
イスラエルの選挙に強力する一方で、ハマスの雄姿をパレスチナ人にアピールします。

ここら辺が、中東の阿吽の呼吸なのでしょう。
適当な所で、エジプトが仲裁に入り、レフリーストップというのもお約束。

■ アイアンドームでは中距離ミサイルは迎撃できない ■

アイアン・ドームの成功?は、ミサイル防衛構想の追い風になっていますが、
実際にはアイアンドームで打ち落とせるのは、ロケット花火に毛が生えた程度のロケット弾程度。
アイアンドームの速度を計算している人が居ましたが、マッハ1.5あるいは2.5程度。
射程は、最大で10kmあるかどうか・・。

ドイツ軍が第二次世界大戦でロンドンに打ち込んだV2ミサイルがマッハ4。
現在の大陸間弾道弾は、速いものでは、大気圏再突入の速度がマッハ10を超えます。

アイアンドームでは、中距離弾道弾ですら打ち落とせません。

■ 核弾頭を1発撃ち損じても、壊滅的被害を被る ■

日本は北朝鮮のミサイルを警戒してイージス艦を配備し、
さらに地対空迎撃システムのPac3を配備しています。

イージス艦は、発射直後の速度の遅いミサイルを追撃する事を目的としています。
ですから、ミサイル発射を早期に探知し、軌道を算出する必要があります。
ミサイルが、何処から何時ごろ発射されるのか分からない状態での運用は難しいでしょう。

一方、Pac3は地上付近に落下してきたミサイルを迎撃します。
こちらは、射程が短いので、ミサイルが何処に落ちて来るか予測できなければ運用出来ません。
実際には東京など、大都市周辺に配備されています。

一方、テポドンやノドンは正確な誘導装置を持っていないので、
どこに落ちてくるか分かりません。
多分、だいたいが山の中や、田んぼの中に落下するのでしょう。
あるいは、日本を通り越して、太平洋に落下するかもしれません。

北朝鮮の核兵器は、仮に配備されたとしても大きすぎてミサイルには搭載出来ません。
ですから、通常弾頭の北朝鮮のミサイルは、実際にはあまり脅威ではありません。

ただ、中国は核弾頭を搭載した中距離ミサイルを多数配備しています。
これら日本に向けて発射され、1発でも迎撃しそこなえば大惨事ですが、
実際に現在のミサイル迎撃能力では、10発中、1~3発は日本に落下してきます。

多くの方が主張される様に、ミサイル迎撃は絵に描いた餅です。

ロシアは現在でも核弾頭搭載の迎撃ミサイルをモスクワ周辺に配備しています。
核爆発で発生する強力なX線で、敵の弾頭の起爆装置を焼き切るのです。
当然、自国上空の核爆発を伴いますから、自国もただでは済みません。
成層圏での核爆発は強力はガンマ線を発生させ、地上の電子機器を破壊してしまいます。

しかし、現在有効なミサイル防衛の手段は、核弾頭しか無いのが実際です。

■ 進化する核弾頭 ■

どんなに科学が進んでも、核弾頭の迎撃は容易ではありません。
多分、大出力のレーザーか、重粒子ビームが唯一の防衛手段となるのでしょう。
マッハ10で飛来する小さな物体を、確実に遠隔地から破壊する手段は、
光速度で迎撃するのが、一番確実です。

しかし、これとてレーザーを反射する素材で表面を覆われたらオシマイです。

一方、核弾頭の方は、小学生みたいなアイデアでミサイル防衛を無力化します。

例えば、ダミー弾頭を沢山積み込む事で、迎撃ミサイルは本当の核弾頭を見逃してしまいます。
さらには、アルミ箔(チャフ)をばら撒いてレーダーを撹乱してみたり、
高度な誘導装置を備えて、予測不可能な軌道で落下したりします。

弾頭側の改良に、迎撃ミサイルが追いつく事は決してありません。

■ 核配備が最も確実で安い防衛 ■

端的に言えば、自国も核配備する事が、最も安くて確実な防衛手段となります。
お互いに頭にピストルを付きつけ合えば、容易には引き金は引けません。

しかし、世界中の国が描く配備したら、
戦争は容易に起せませんから、軍事産業は商売が成り立ちません。

ですから、戦争を起しそうなヤバイ国家同士に核兵器を持たせます。
例えば、インドとパキスタン双方に核配備させる事で、
この2国は、紛争は起きたとしても、全面戦争は出来なくなります。

中東でイランが核兵器を持てば、イスラエルとの間に均衡が生まれます。

北朝鮮は・・・これは日本に対する営業ですね。
高額なミサイル防衛システムやイージス艦が売り込めます。

日本の核配備を一番警戒するのは中国でも北朝鮮でも無い
他ならぬアメリカです。

日本が核を配備してしまえば、日米安保条約を破棄するかも知れません。
経済的にアメリカのいう事を聞かなくなるかも知れません。

■ 日本に核アレルギーを刷り込んだ日教組とアメリカ ■

日教組は学校教育の現場で、広島、長崎の恐ろしさを子供達に刷り込んで来ました。
一方で、核の抑止力が世界平和を担保している事を隠し続けてきました。
日本人は学校教育によって核アレルギーを植え付けられ続けてきました。

日教組は教育現場に浸透した共産主義勢力ですが、
不思議な事に、彼らは「核アレルギー教育」や「ゆとり教育」でバカを増産して
アメリカの役に立ってきたのです。

■ 日本の核配備論争が解禁される時、真の独立が始まる ■

被曝国日本では、核配備問題はタブー視されてきました。
しかし、最近は政治家からも核配備論争が起きています。

大新聞やメディアで普通に核配備論争が交わされる時、
日本の真の独立が始まるのかも知れません。

安保条約を破棄したら、日本の防衛費はGDPの10%を越えるなどというのはナンセンスな議論で、
アメリカの核の傘の庇護から外れたら、日本は独自に核配備しなければ国家として成り立たないのです。

ですから、「アメリカは嫌いだけど、核兵器には反対」などという意見は矛盾しています。

尖閣問題で「友好」の脆さが浮き彫りになりました。
大衆は扇動され易く、国家は自国の存続の為には他国を平気で犠牲にします。
それは、日本とて例外ではありません。

「私達は二度と戦争の過ちを繰り返さず・・・」を実行する為には、
それなりの戦力という裏づけが必要なのです。

これが世界のスタンダードであり、ここを基本にして平和も戦争も語られるべきなのです。

■ 安全保障の世代間格差 ■

安全保障の概念には世代間格差があります。

戦争経験者や、戦後ベビーブーマー達にとっては、核兵器は禁忌です。
一方、40代以下の世代は、安全保障の世界標準は容易に理解出来ます。

面白い事に、安全保障とか核武装の概念は、地域間格差も非常に大きく、
被爆地であり、日教組支配の強い広島の同世代とこの問題に少しでも触れると、
どこかの外国人と話をする様で、驚きを覚えます。
彼らは、私と同世代でありながら、天皇も日の丸も憎んでいるのです。

■ 本当は国益なんてどうでも良いんだけどね ■

私は安易なナショナリズムは好きではありませんが、
日本を愛していますし、歴史に根ざした日本人も大好きです。

ですから、日本が嫌いな日本人が理解出来ませんし、
そういう教育が許されている事自体、陰謀論的解釈しか出来ません。

一方で、韓国人の友人やアメリカ人の友人と家族ぐるみの付き合いですし、
東南アジアの仕事の仲間も信頼しています。

こういった、人と人のコミニュケーションを前にすると、
国益なんて、ちっぽけな事の様にも思えます。

自分の国を愛してこそ、相手の国にも敬意が払われる事を教育者は学ぶべきです。
海外の人を接する時、先ず聞かれるのは「日本」の事であり、
次に聞かれるのは「自分の国をどう思うか」です。

結局、日韓の関係を修復するのは、韓流大好きなオバチャン達で、
パソコンの前に陣取って、反韓反中の書き込みをしている人達は、
グローバリゼーションの落伍者なのかも知れません・・・。


なんだか、アイアン・ドームから随分と脱線してしまいました。
人力でGOの誘導装置は、どうやら壊れている様です。