■ 誤報だった、安倍氏の建設国債の日銀直接引き受け発言 ■
各メディアが報じた、安倍氏の建設国債の日銀直接引き受け発言は、
どうやら、日経新聞の誤報を、各社が引用して騒ぎが大きくなった様です。
国債の中央銀行の直接引き受けは、通貨制度のタブーです。(アメリカは実行していますが)
ですから、安倍氏も随分と思い切った発言をすると思ったのですが、
どうやら、問題は報道側にあったようです。
ところで、経済紙の日経が、こんな重大な事を「間違える」でしょうか?
なんだか、私の好きな「陰謀」の臭いが漂います。
おっと、その前に、安倍氏と自民党支持者の方々にお詫び申し上げなければなりません。
この件では、私も安倍総裁を随分と批判してしまいました。
申し訳ありませんでした。
日銀の直接引き受けと、市場を通じた買いオペでは大きな違いがあります。
買いオペの場合は、一応市場原理が働くので、市場がNOと言えば国債価格が下落します。
尤も、財務省と日銀と銀行がタッグを組めば、20兆円くらいは市場で処理できてしまうのでしょう。
■ 安倍氏を落し入れたのは、通貨マフィアか? ■
通貨制度に対する挑発はタブーです。
かつて高橋洋一氏は、政府紙幣の発行を自民党若手議員に説いて回たところ、
ゴルフ場の隣りのロッカーからロレックスと財布を盗んだとして検挙されました(無基礎)
本人もどうやら、認めている様ですが、はたして、元財務官僚が窃盗などするでしょうか?
後に高橋氏はTVで、盗んでいないが、手に持ったまま寝てしまった・・・
などと曖昧な発言をしていますが、
その一方で、「財務官僚は足し算、引き算しか出来ない」と批判したのが
彼らの琴線に触れたとも発言しています。
何れにしても、通貨問題は何らかの地雷を踏むと、
地雷は容赦無く爆発する様です。
今回の日経報道も、単なる誤報というよりは、明らかに意図的な情報操作の様に思えます。
■ 財政崩壊、ハイパーインフレが来ると発言してくれと頼むTV朝日プロデューサー ■
一方、TV朝日のモーニングバードでは、
プロデューサーが出演前の打ち合わせで、出演する経済が記者に
「安倍氏の経済政策は財政破綻を招く、ハイパーインフレになる」
と発言する様に強要したとして話題になっています。
自分の事を棚に上げて言うのも何なんですが、
やはり、財政拡大路線に対する警戒感はマスコミにも高い様に思われます。
ただ、「建設国債だけはビミョー」と発言されているので、
この方も、もろ手を挙げて安倍氏の国債増発を支持している訳では無い様ですが、
いずれにしても、TVの経済、政治ニュースの裏舞台をうかがい知る事が出来ます。
ここら辺はGUCCIさんも良く書かれています。
「スポンサーの日経新聞の意向に合わないから切られた・・・」
■ メディアは誰の味方なのだろう? ■
ここでふと思うのですが、ではメディアは誰の味方なのでしょうか?
橋本氏、石原氏の「維新の会」は、実績が全く無いにも関わらず随分と情報がタレ流されています。
しかし、ここへ来て、「維新の会」は、だいぶ馬脚を現していて、
あまり票を伸ばしそうにありません。
一方、安倍氏発言以降、自民党の躍進が確実視されています。
もし、自民党と公明党で、衆議院で2/3の議席を確保すれば、
「維新の会」は単なる弱小政党になってしまいます。
ところが、レース終盤になって「日本未来の党」が登場してきました。
「卒原発」を掲げ、クリーンな女性党首を担ぎ上げた未来の党は、
自民党に流れかけていた「浮遊票」をかなり取り込む事が予想されます。
単なる小沢新党ではないかとの批判と同時に、
メディアは、ある意味好意的な報道もしている様です。
メディアの情報操作の結果、票を削られるのは自民党です。
自民、公明で衆議院で2/3に得票を得なければ、
参院では自民公明で過半数に達しないので、
とのネジレ国会が出現する可能性もあります。
その時、「維新の会」が自民・公明と連立すれば、
「維新の会」が政治の舵取りをする事も可能になります。
「石原首相」の誕生の可能性も無くはないのです。
多分、安倍氏が反発しそうですが、自民内から安倍下ろしが噴出し、
さらにマスコミが安倍氏を総バッシングする、
かつての出来事の再来が起こるかもしれません。
どうやら、日本を影から操る勢力は、
「石原政権」を誕生させたいらしい・・・。
■ 日中の決定的決裂を演出したいアメリカ ■
ここで注目されるのが、アメリカ外交評議会(CRF)の発行するフォーリンアフェアーズの論文。
かつて「文明の衝突」など時代を決定付ける論文を発表してきた
フォーリンアフェアーズですが、
CRFはアメリカの外交を決定しているシンクタンクですから、
ヒラリー論文に続き、アメリカは新興国の成長を封じ込める政策に転嫁する事は明らかな様です。
かんべい先生の記事から引用させていただきます。
http://tameike.net/comments.htm (かんべいの不規則発言 2012.11.20)
<引用開始>
○フォーリンアフェアーズ誌に、久々に目が覚めるような論文が掲載されている。といっても、わずか6ページの巻頭エッセイなのだが、"Broken BRICs"という。「BRICsって、もう終わっちゃったよ。新興国が台頭して先進国と並び立つ時代が来る、なんてもう忘れた方がいいんじゃないの?」と言っている。この雑誌は、5年に1回くらいの割りで、「文明の衝突」とか「アジアの奇跡という神話」とか、時代を画するような論文を載せる。これもまた、いろんな意味で目からうろこの指摘だと思う。概ね、以下のようなことを言っている。
●2000年以降、先進国は低成長で、新興国が高成長だった。中国がアメリカを抜き去る(と言いつつ、GDPではアメリカの半分なのだが)なんてことが、今ではまじめに語られている。しかしここへきて、ブラジルやロシアやインドの成長率は低下している。そもそも高度成長が10年を超えることはめったにない。低金利の金があふれていた2000年代には、新興国経済が一斉に急成長して皆が勝ち組であるように見えた。が、これまでの10年が異常だった。でも世界経済は、ノーマルな状況に回帰しつつある。
●新興国と先進国が一緒になる、なんてのは神話である。IMFがウォッチしている180国のうち、先進国は35国に過ぎない。そして1950年から2000年までは、双方の格差は拡大しつつあった。西側にキャッチアップできたのは、産油国と南欧、それにアジアの虎たちだけであった。
●それが2000年以降にキャッチアップが始まった。ところが2011年になってみると、先進国と途上国の一人当たり収入は1950年代の昔に戻っている。これが現実なのだ。1950年以降でいうと、年平均5%以上の成長を10年続けられた国は1/3しかない。それを20年続けられた国は1/4だ。30年以上となると1/10に過ぎない。そして40年続けたのはマレーシアとシンガポールと韓国、台湾、タイ、香港の6か国だけだ。かつてマレーシアとタイは、先進国になろうかという勢いであったが、1997-98年の通貨危機でこけてしまった。1960年代にビルマやフィリピンやスリランカが有望だった時代もある。向こう10年は、新興国の失敗が続くことだろう。
●エマージング市場の概念は実は新しく、1980年代半ば以降である。台湾、インド、韓国などが矢継ぎ早に外資に門戸を開放し、1994年まではブームが続いた。新興国市場は世界の証券市場の1%から8%にまで急増するが、1994年のメキシコ危機でブームは終焉する。そして2002年までは途上国のGDPシェアは下落する。中国だけが例外だった。エマージング市場、なんてことはほんの1か国で起きたに過ぎない。
●第2次ブームは2003年に始まった。新興国のGDPシェアは20%から34%に駆け上がった。2008年の国際金融危機の落ち込みは、2009年に大方盛り返したものの、そこからが低成長になっている。過去10年のような手軽なマネーと底抜けの楽観主義がなければ、新興国市場は今後は低迷する公算が高い。、
●BRICsという概念ほど混乱を招いたものはない。4か国に共通するものはほとんどない。ブラジルとロシアは資源国、インドは消費国だ。中国を除けば、互いの貿易の結びつきも少ない。2000年代が例外であっただけで、1950年代のベネズエラ、1960年代のパキスタン、1970年代のイラクのような成長は、いずれも長続きはしなった。最近流行の経済予測は、中国とインドが世界のGDPの半分を占めていた17世紀を振り返って、「アジアの世紀が来る」と言っているようなものだ。
●向こう10年、日米欧は低成長だろう。が、中国経済もまた3~4%に成長は鈍化する。農村部の過剰労働力が消える「ルイスの転換点」はもう近づいている。中国がアメリカを抜き去るという懸念は、かつての日本がそうであったように杞憂に終わるだろう。中国や他の先進国の成長が減速すれば、ブラジルなどの輸出主導型成長も止まる。今後、新興国市場が一斉に伸びるということはないだろう。
●新興国市場の成長がばらつき始めると、国際政治も変わることだろう。西側は自信を回復し、ブラジルやロシアは輝きを失う。中国の統制主義的、国有資本主義の成功も怪しくなるだろう。人口動態による配当という考え方も疑問を持たれる。かつてはアジアは日本を、バルトやバルカン諸国はEUを、そしてすべての国がアメリカを目標としたものだ。しかし2008年危機はこれらのモデルの信頼性を失わせた。今では韓国のほうが日本より有望に見える。チェコやポーランドやトルコは、いまさらEUに入るべきかと悩むだろう。そして1990年代のワシントンコンセンサスは不人気になった。
●つくづくこの10年が異常であり、こんなことはもう起きないだろう。一人当たり所得2万~2.5万ドルの世界で、今後10年で伸びそうなのはチェコと韓国だけだ。1万~1.5万で期待できそうなのはトルコと、ひょっとしたらポーランドくらい。5000~1万ドルではタイがほぼ唯一の有望株で、あとはインドネシア、ナイジェリア、フィリピン、スリランカ、あとは東アフリカくらいか。先進国の水準に到達する国はほんの一握りであろう。
○言っていることは、実は常識的なことである。ただしその意味するところは重い。2003年に始まったBRICsブームは、ちょうど10年で終わったかもしれないのだ。そしてBRICsという言葉を発明したのはゴールドマンサックスであったが、この論文を書いたRuchir Sharmaは皮肉なことにモルガンスタンレーの人物である。はたして2013年は新興国ブーム終焉の年になるのか。中でも注目は中国経済であることは言を俟たない。
<引用終わり>
日本の政治は日本一国の都合で決まるのでは無く、
むしろアメリカの意向を大きく反映してきました。
そういった意味では、戦後から日本はアメリカの支配下から脱していないのですが、
良い悪いは別として、その事実から目を背けていては、
私達は起こりうる事態に対して、対策を取る事すら出来ません。
多くの日本人がマスコミ報道に誘導される現在、
政治のコントロールボードを自分達が握っていると錯覚する民主主義は、
まさに、支配者にとって都合の良い政治システムだと思われます。
この事実に、多くのアメリカ人もヨーロッパ人も気付いていません。
中国の共産党は、民主主義に警戒を抱いており、
中国が一筋縄でいかないのも、一党独裁という強い政治基盤があるからでしょう。
選挙の季節、身近な利害だけに気を取られるのでは無く、
民主主義の本質に思いを巡らせるのも、楽しいかも知れません。