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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

アニメである事の意味・・・・今期アニメまとめ

2013-06-30 14:00:00 | アニメ
 

■ アニメって何? ■

今期アニメもほぼ終了しました。

話題作に2期連続や分割2期が多いので、
単純に順位を付ける事が難しいのですが、
そこを強引に独断と偏見で押し切ってみます。

今回のポイントはズバリ「アニメって何?」。

ドラマや実写映画でも良作は多く存在しますが、
それでも50歳近いオヤジを魅了して止まない
私ながらのアニメのツボを意識して、ランキングを付けてみました。


第1位 『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』




高校生の本音が素晴しい『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。』

エーーーと思うアナタ。この作品を「見ていませんね。

確かに第一話はどうしようも無い内容。
三話目くらいまでは、はっきり言ってクソです。

<追記>
テレ隠しでついついクソとか書いてしまいましたが、
見返してみたら2話目の冒頭で既に充分面白くなっていました。
「・・・出来る事なら、私は熊になりたい・・・。」
原作のままなのでしょうが、面白過ぎです。


でもね、私はネガティブだから、主人公のチョーネガティブさに共感してしまいます。
クラスでもなるべく存在感を消し、省エネで人生を送る・・・。
それが生来の彼の性格では無く、繊細が故に醒めたふりを装う痛さが最高です。

エンタテーメントとしては、出来の悪い『僕は友達が少ない』ではありますが。
逆に、エンタテーメントとして昇華されていない分だけ、
その痛さが、ある一部のネガティブ人間の心に直球で迫ってきます。

アニメ的(ラノベ的)には、極めてテンプレキャラでテンプレ展開なのですが、
集団に馴染めない主人公のイタさを、自虐的に連打されると、
自分が無意識下に押し込めている周囲とのちょっとした差異に
無理やり自覚的に成らざるを得ません。

日頃、「空気読む」事で、自分の中に押し込めている本音が、
主人公に投影される事によって、容赦無く意識の中に浮上します。

これが実写作品ならば、リアルすぎてチョー嫌味な作品になってしまうのですが、
二次元テンプレキャラのフィルターを通す事で、
「会話の構造」に意識を集中する事が出来ます。

実写作品は、映像の情報量が多いので、
セリフやモノローグを多様すると、現実との違和感が高まります。
ですから、セリフを削って、映像に語らせる方が、
雄弁に人物の心情を表現できます。

一方、テンプレアニメは、画面はセリフの背景程度の存在なので、
逆に、大量のセリフやモノローグと共存する事が出来ます。
だから主人公は、モノローグでも会話でも毒を吐きまくります。

日本アニメならではの演出手法であり、(口パク)
その中で、主人公の複雑な思いを薄っすらと浮き上がらせる
脚本も演出も、私は大変高く評価します。

今期の私的ベスト1とします。


ちなみに、舞台になっているのは「千葉市立稲毛高校」ですね。
先日、娘のバスケの県大会予選でお邪魔して気付きました。
ロケ地も、京葉線沿線ですし、
「俺いも」といい、何気に千葉人気です!!


第2位 『革命機ヴァルヴレイヴ』



今期アニメの「大穴」狙い・・・『革命機ヴァルヴレイヴ』

これまたエーーーと思う人が多いでしょう。
でもね、この作品は色々な意味で興味深い。

先ず、最初からバッサリと何かを切り捨てている。
それは、SF作品のリアリティーであったり、
物語としての予定調和であったり、
必然性という名の、暗黙の約束であったり・・・・。

ゆとり世代をして「予想のななめ下を行く」と酷評されながら、
回を重ねる毎に、だんだんと見ないではいられなくなる魔力がこの作品にはあります。

表面的には、中学生が好みそうなキャラクター達が、
ちょっと意外性を持ちながらも、結果的には視聴者の求める展開に落ちてゆく安心感。

ただ、実はこの作品は相当エグくて、そういう表面的な安易さの裏に
とんでも無い毒を含んでいます。

高橋亮輔、谷口悟朗、ガサラキ、TBS、 大河内一楼、コードギアス・・・・
鋭いファンならお分かりでしょう。

そう、このアニメ、萌系ロボットアニメの皮を被ったプロパガンダ作品。
要は、共産圏のSF小説と同じ構造の作品です。

表のメディアは、陰謀論的世界観を無視し続けます。
「世界を支配しているのはイルミナティーだ!!」とか、
「日本は戦後一貫してアメリカの傀儡国家」だとは書けません。

しかし、子供向けのアニメなら、デフォルメした形で
どんなメッセージだって隠す事が出来ます。

結局ヴルヴァレイヴは、そのホームページに宣言されたが如く
その目的は「世界を暴く」事にあるのでしょう。
第2期の予告で「101人委員会」なる言葉が出てきました。
これって、「300人委員会」の事ですよね。

さらに、ジオール=日本、ドルシア軍事盟約連邦=新興国勢力?
アルス(’環大西洋合衆国 )=アメリカといった様に現実の世界を虚構に投影する事で
それぞれの国家の姿を、結構辛らつに描く事を可能にしています。

利益優先のアルス、理念を持たないジオールという形で
アメリカと日本の姿を皮肉たっぷりに描きます。
ドルシアは分かり易い適役というだけで、多分あまり意味を持っていないでしょう。

日本のアニメ史の裏は結構ドロドロとしていて、
全共闘の闘争に敗れた若者達がこの世界の流れ込みました。
富野や宮崎は結構過激な志向の持ち主で、
子供向けアニメの中に、自分達の思想を持ち込みました。

特に『ボトムス』で有名なリアルロボットアニメの巨匠の高橋良輔は、
「支配という論理に立ち向かう反骨のヒロイズム」というテーマを描き続けます。
『太陽の牙ダグラム』などは、反政府軍ゲリラの闘争を描く作品ですが、
子供向けのアニメでありながら、全共闘の夢をそこに再現しています。

一方、ロボットアニメの他には「かわぐちかいじ」の『沈黙の艦隊』も監督しています。
海上自衛隊の原子力潜水艦「大和」が、搭載した核ミサイルの発射をほのめかす事で
「独立国大和」といして、世界を相手に短艦で戦いを挑み、
それに賛同する世界各国の戦略原子力潜水艦が、「沈黙の艦隊」として、
新たな世界秩序の番人となり、世界にバランスと公平をもたらすという政治色の強い作品です。

1998年に放映された『ガサラキ』は、リアルロボットアニメの新時代を築きます。
ガンダムの様に自由に動き回る二足歩行ロボットのアンチテーゼとして、
「ボトムス」の時代から高橋作品の軍用ロボットは、
二足型でありながら、ドムの様なホバー移動や車輪走行を高速移動手段としています。
そして、ロボットの大きさも軍用実用レベルの大きさです。
このリアルなロボットのイメージは、『ガサラキ』でほぼ完成形となります。

一方で『ガサラキ』は日本とアメリカを巡る政治的背景をかなりストレートに描いています。
日本がアメリカの傀儡国家である事。
それに対する反抗運動が存在し、
さらに日本の裏社会の重鎮が米国債の売り浴びせで米国の対抗するなど
ロボットアニメの皮を被った政治思想作品でした。
・・・ただ、この内容はストレート過ぎて、良くTVで放映出来たと感心してしまいます。

『ガサラキ』で助監督を務めたのが「谷口吾郎」です。
彼は高橋亮輔に思想的影響を強く受けたと思われます。

彼の代表作は『コードギアス』でしょう。
エンタテーメントとして大成功した作品ですが、その内容は結構政治的です。
「神聖ブリタニア帝国」の植民地と化した日本は、
国名を剥奪され「エリア11」とされ、日本人も「イレブン」と呼称されます。

「神聖ブリタニア帝国」は覇権国家アメリカの直接的なパロディーであり、
植民地としての日本の姿は、現実のアメリカの日本支配のパロディーです。

深夜枠のアニメなので、それなりの表現の自由が許されるのでしょうが、
TBSもサンライズも勇気があるなと感心させられます。
この作品、最初は不人気でしたが、次第に火が付き、大人気作品となります。
その人気は、頭脳明晰な主人公のルルーシュに負う所が大きく、
ロボットアニメでありながらも、知的ゲームとしての魅力が勝る作品です。

この作品の脚本を担当していたのが「大河内一楼」です。
『革命機ヴルヴァレイヴ』は大河内がシリーズ構成と脚本を担当しています。
高橋良輔の遺伝子は、彼の弟子、孫弟子達の世代に、しっかりと受け継がれている様で、
この作品も第2期からは、世界を裏から支配する勢力の存在を描いて行く様です。

そういった意味においうて、『革命機ヴルヴァレイヴ』こそが、
『ボトムス』や『ガサラキ』の正統な継承者であり、
日本アニメのダークサイドの体現者でもあります。

興味深い事に、政治的意図を隠す為に散りばめられたエピソードは
ダミーだと割り切った故に、アニメとしての魅力に溢れており、
「子供向け」というアニメの本質に忠実な故に、
実はアニメとして最大の魅力を獲得しているとも言えます。

そして、群像劇として30分間に詰め込める限界に挑む演出や脚本も素晴しい。
5秒で済ませるシーンと、じっくり見せるシーンのバランスなど、
単調な演出が多い現代の若手の作家に与える影響は小さくないはずです。

第3位 『悪の華』





実写とアニメの境界・・・『悪の華』

本当は一位でも良いのですが、これはもう実写でも良いのでは無いか・・・。
アニメで表現する理由は・・・
やはり声優の上手さと、完全演出の実現なのでしょう。

ジブリや細田守は、あえて俳優を声優に起用する事で、アニメ臭さを消していますが、
セリフを読ませたら声優さんは相当上手い。

声優さんの声を、実写に乗せる方法もあるのでしょうが、
ロトスコープという実写描き起しのアニメに乗せる事で、
声優さんの演技の過剰感を上手く消しているとも言えます。

この作品、内容は単なる変態に憧れる中二病女子が、
やはり空気読めずに自分の世界に埋没する中二病男子に自己投影する話ですが、
実は普通に見える佐伯さんが一番怖い・・・・。

普通にあろうとする人が、普通の概念を揺さぶられた時、
自分の「普通の概念」を拡張解釈して行く事で、
自分と世界の関係性が崩壊して行く事に本人が気付かない事が本当に怖い。

中二病を患っている本人達は、自己と世界をメタ化する視点を持っていますが、
その世界に引っ張り込まれた佐伯さんは、多分、メタ化の壁を生身で越えてしまうので
メタ世界での「素の人格」は、かなりイタクて怖い存在だと言えます。

ところで、私達自身が、ある意味自分を外側から観察すると意味において、
相当、メタ化に対応した存在となっていますが、
そんな中で「あいつ空気読めないよね」とい人は、
メタ化自体に気付けずに、素の自分で境界を越境してしまう人達なのでしょう。

話がそれましたが、実写を動画で描き起すという作業自体、
現実に主観を混入されるという意味においてメタ化であり、
実写よりも、「作り物」に近い状況にキャラクターを配置できるという意味において、
『悪の華』も、アニメならではの作品と言えます。

第4位 『波打ち際のむろみさん』



これは『イカ娘』と同じ方法論で成り立つ作品です、
イカちゃんが、ピュアな存在であるのに対して、
むろみさん達人魚達は、人類創生以前から生きている超越者。

その超越した見識に対して、一介の高校生が突っ込む事で生まれるギャップが楽しい。
これ、権威が素朴な疑問で一瞬にして崩れる事に似ていますが、
この作品の良い所は、結局はむろみさんが全てを分かってボケ続ける所が愉快。

15分番組なのに・・・アザゼルさんと同じギャグアニメなのに・・・
アザゼルさんの黒い笑いを、ほのぼのと一瞬で消し去る力量は・・・これスゴイですよ。

『サザエさん』や、『クレヨンしんちゃん』などが積み上げてきた世界を
現代的にアレンジしただけとも言えますが、
実写では決して出来ない、ボケと突っ込みの何ともいえない間が楽しい作品です。
そして、ボケの過剰感が何と言ってもアニメだから出来る技かと・・・。

第5位 『進撃の巨人』



「巨人が人を喰う」という絵本ではお馴染みのシチュエーションを、
少しリアルにしてみたら、実はとても恐かった・・・それだけ。

ただ、やはり人間のDNAの中に眠る「大きな物に喰われる」という根源的恐怖の力は絶大です。

別にアニメで無くても、マンガ原作で充分に面白い作品ですが、
アニメは「動く」事により、マンガとの差別化を図ります。

立体機動装置を駆使して巨人と戦う映像は、
ここ数年で最もスリリングな映像です。(実写やCGを含め)

あえて写真はコスプレ実写にしてみました。
キメーのポーズは出来ても、これをアニメの様に動かすのはCGでしか不可能。

一方で、アニメのキレッキレの感じは、CGでは表現出来ない・・・。

以上、今期アニメのベスト5を、人力の独断と偏見で決めてみました。

「ガルガンは?」とか「マジェスティックは?」という声も聞こえそうですが、
『革命機ヴァルヴレイヴ』の前には、緻密な演出も、オタク的演出も共に無意味。
製作陣の自己満足よりも、視聴者を徹底して楽しませようという勢いの方が、
きっと大きな活力を作品にもたらすのでしょう。

「俺の妹がこんなに・・・はどうしたの?」とか
「レールガンはどうした?」との声も聞こえてきそうです。

共に、2期目は1期目を超えられないというジンクスを強固にしたのでは?


本日は人力の独断と偏見を持って、今期アニメのベスト5と致しました。


「あれ?.はたらく魔王さまは?」と聞かれそう・・・。

勿論面白かったですよ。第6位という事で・・・後半、ちょっと失速したかな。