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秋になって空が高くなると、
ふと、山に登りたくなる時があります。
10月11日の土曜日、海老名での仕事を午前中に終えて、
小田急の東京方面ホームから振り返ると
朝からの雨も上がり、雲の切れ間に「大山」が姿を現しました。
学生時代は近辺に住んでいた為、何十回となく登った山だけに、
こうして久しぶりに見ると、居ても立ってもいられません。
気づくと下りの電車に乗っていました。
丹沢山系の東端にある「大山」は、高さこそ1200mくらいですが、
独立峰で、相模湾からの湿った空気が吹き付ける為、
雨の多い山で、別名「雨降山」(あぶり山)とも言われています。
中腹、山頂には「阿夫利神社」(あぶり神社)があり、
江戸時代には富士山とならぶ山岳信仰の山でした。
現在の国道246号(青山通り)は、「大山街道」の名残で、
溝口などは、大山詣での宿場町でした。
伊勢原駅で下車してバスに乗り換え、
20分程で、終点の大山ケーブル駅に到着します。
ここからは、参道の階段を登っていきます。
両側は土産物屋や、「豆腐料理」や「そば」を出す料理屋が並び、
「大山詣で」をガイドする「先導師」の宿坊が往時をしのばせます。
参道の中頃に「西の茶屋・本店」があります。
ここの主人が話し好きで、大山近隣の楽しい情報が聞けます。
湯葉定食とビールを注文しながら
ついでに、大山からヤビツ峠、蓑毛へ降りる道の状態を聞きましたが、
「時間も遅いし、その格好じゃちょっと無理じゃない。」と言いながら
地図を渡してくれます。
さらに「大山登山マラソン」と「豆腐の早食い大会」の出場を薦められ、
11月のキノコ汁祭り?の準備のサトイモ剥きを
「包丁持参で手伝わないか」と誘われる始末。
サトイモは手が痒くなりそうなので、やんわりとお断りして、
ビールで喉も潤ったので、山頂を目指します。
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中腹の阿夫利神社の下社まではケーブルカーが通っていますが、
「人力でGO」のポリシーに則り、当然、全行程は「人力」を貫きます。
下社までの行程は、坂のきつい「男坂」と、
比較的緩やかな「女坂」をチョイスできます。
私は、当然ガツンと「男坂」を上ります。
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傾斜のきつい石段は、所々大石がころがる山道に変貌し、
一汗かいた頃に、下社に到着します。
(普通の人の足で、途中休憩を入れて40分くらいでしょうか)
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阿夫利神社の下社は立派な神社で、
正月などは初詣客で賑わいます。
私も、正月は大学時代の仲間とお参りに来ています。
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下社の本殿の左手に、急な石段があり、ここからが山頂への道となります。
しかし、この石段のなんと急で長い事か・・・。
まさに、信仰の「試練」と呼ぶにふさわしい難関です。
この石段を見上げて、山頂への道をあきらめる人も多いのではないでしょうか?
ところで私の本日の服装は・・・
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・・・はっきり言って山をナメテます。
・・・きっと神罰が下ります。
・・・けど、仕方がありません。さっきまで仕事でしたから・・・。
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石段を過ぎると、後は急な山道(というか崩れかけた石段)の連続です。
都心から1時間で、こんな山がある事が不思議ですが、
高尾山なんて大山に比べたら「丘」です。
1200mを一気に直登していきますから、
大倉から「塔の岳」へ丹沢表尾根を登るより、大山はキツイです。
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海からの湿った風で、大山はていてい雲の中。
この日も雨こそ上がりましたが、湿度は高く、
シャツは汗でビショビショ。
やっぱ普段着で、片手に仕事カバンとジャケットを持って登山はキツイや・・・
などと思う頃に、鳥居が現れ山頂はもう直ぐです。
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山頂には阿夫利神社の本社があります。
と言っても、写真のような小さな社があるだけですが・。
天気が良ければ、ここからの眺めは最高で、
東京から相模湾が一望できます。
本日は雲で展望も利かないので、直ぐ下山します。
大山登山で大変なのは下山です。
湿っぽいので、足元が滑ります。
石が大きいので、大きな段差が沢山あります。
そこを慎重に降りないと、転んで怪我をしかねません・・。
私は・・・「人力」のポリシーとして、駆け下りるのみです。
街用の革靴が滑ろうが、カバンが邪魔だろうが、
下りはスピード命なのは、自転車と一緒です。
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一気に下社まで降りると、雲が切れて眺望が開けていました。
遠く都心まで一望できます。
下社からの下山は、「大山寺」のある「女坂」を下ります。
「女坂」といっても、結構急な石段が連続しています。
登って来る人が「後、どのくらいですか」と息を切らせて聞いてきます。
「後、ちょっとですよ」と適当に期待を持たせて、何組かとすれ違います。
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「大山寺」は密教的雰囲気に包まれた寺です。
石段の両側には、「十二神将」や「二十八部衆」でしょうか、
眷属の像が並んでいます。
本道からは太鼓と読経の音がしています。
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大山寺からは、石段もなだらかになり、
道端には、素朴な地蔵がいくつか点在したいます。
そんな石仏たちを眺めているうちに、ケーブル駅に到着です。
「西の茶屋」でビールを飲んで、本日の登山は終了。
3時間半程度の小登山でした。
帰りは「びしょ濡れ」のシャツのまま・・・。
本日の教訓は・・・
「突然山に行く時は、荷物はコインロッカーに、
シャツの換えも必ず用意しよう!!」