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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

次回予告・・・巨大で劣悪な投資銀行と化した「ゆうちょ銀行」

2016-05-31 08:13:00 | 時事/金融危機
 

忙しくてなかなか記事がアップ出来ないのですが、次回は『巨大で劣悪な投資銀行と化した「ゆうちょ銀行」』というテーマで妄想を膨らめる予定です。お楽しみを。

記事を書く前に、コメント欄が一杯になりそうなテーマではありますが・・。

衆参同時選挙の可能性・・・茶番政治

2016-05-31 02:32:00 | 時事/金融危機
 

■ このタイミングで野党が不信任案提出って敵に塩を送るだけ ■

サミット前に「野党が不信任案を提出したら衆議員解散も有りうる」と突然発言し出した自民党幹部。熊本地震で衆参同時選挙の可能性が低くなったので、衆議院を解散する奥の手として、野党が内閣不信任案を出せば解散出来ると・・・これでは大義名分など無くただ同時選挙をしたいと言っている様な物。

これに対して民進党からは「不信任案の提出も辞さない」などと呼応する発言も有りましたが、同時選挙で確実に議席を減らすであろう野党が不信任案を提出する事は有り得ません。もしそうなれば「自爆」に近く、野田政権時の衆議院解散の様な「わざと負ける為の選挙を仕掛ける」事になります。

政局が混乱し、民主党に対する世間の不満が高まっていた野田政権時には「自爆解散」に国民はあまり不自然さを感じませんでしたが、さすがに今の状況での野党の内閣不信任案提出には国民も納得出来ないはずです。

さらには衆議院で与党が多数を占める国会では不信任案は簡単に否決出来ます。その状況で解散となれば、「野党も与党と結託している」様にしか見えません。さすがにこれは民主主義の茶番劇としても出来が悪過ぎます。


■ 「増税延期」の民意を問う? ■

そこで今度はもう少しマシなシナリオが出て来ました。

安倍首相は「消費税増税延期」を自民党と公明党に打診しましたが、これに対して麻生財務大臣や谷垣幹事長、稲田政調会長など自民党幹部からは「消費税増税を延期するならば衆議院を解散して国民の信を問うべきだ」という声が上がっています。

これ、表面的には「財政の健全化に為に消費税増税は不可欠で、それを延期するならば国民の理解と支持が必要」とか、「法律的には来年4月の増税は決まっているのだから、それを変更する為には国民の支持が無ければ民主主義をないがしろにする事になる」的な正当な事を言っている様に見えます。

ポピリズムで増税延期を希望する安倍首相に対して、自民党幹部が民主主義のルールを説いている・・・そう錯覚させます。

ところが、国会のルール的には「増税延期」は国会の議決で「増税延期法案を可決」するだけで良い訳で、前回の解散も含めて「民意を問う為の衆議院解散」は必要ありません。

さらに言うならば増税は国民の多くが嫌いますから、「増税延期」を争点にしたら「増税延期」を主張する自民党が勝利するに決まっています。

オバマ大統領の広島訪問でポイントを稼いだ後だけに内閣支持率も上がっているでしょう。

■ 解散するのか? ■

安倍首相と麻生財務大臣の会談では衆議院の解散はしない方向で話が付いた様です。自民党役員会でも増税延期に異論は出なかった様です。

谷垣幹事長は「首相が解散すると判断すれば表に出るが、解散しないと表明することは多分ないだろう」と語った様ですが、これは解散というカードを最後まで捨てはしない程度の発言だと思われます。

解散のフラグはチョコチョコと立つ物の、自民党としても確実に衆参で2/3以上を与党が取れる確信が得られるまでは、解散するとは言えないのかも知れません。

■ 憲法改正の真の目的は?? ■

自民党が衆参同時選挙に拘る理由は「憲法改正」でしょう。与党或いは憲法改正派が衆参両院で3/2以上を占めれば憲法改正法案が国会で可決します。

その後は「国民投票で有効投票数の過半数を取る」という高いハードルが存在するので、中国が尖閣諸島にチョッカイを出すなどの援護射撃が無ければ憲法改正は難しいと思いますが、可能性はゼロでは有りません。

現行憲法の「戦争放棄」は独立国家としての憲法としては有り得ないものなので、「憲法改正」は当然行うべきなのですが、現実的には解釈改憲でPKOへの参加や集団的自衛権の行使は可能です。まあ、その都度国会でスッタモンダは在りますが・・・・。

一方、仮に南シナ海で中国とフィリピンやベトナムが衝突した場合、日本が現行憲法で戦闘に参加できるかと言えば微妙です。多分後方支援止まりかと。

ここで堂々と戦闘支援する為には、やはり憲法を改正して「集団的自衛権」を確立すると共に、「専守防衛」のタガも緩めておく必要が有ります。尤も、フィリピンやベトナムなどと日本は安全保障条約を結んでいませんから、直接は支援出来ません。多分、米軍を支援するという形で哨戒や艦隊護衛、さらには兵站輸送の一部を任される事になるでしょう。

中東有事という事態も想定されますが、米軍支援で地球の裏側の戦争に参加する事に国民は積極的では無いはずです。それよりも、アジア有事の方が自衛隊派遣のハードルは低い。


はたしてアジア有事が起こるのかは「確率」の域を出ませんが、可能性が高まっていますから「憲法改正」はアメリカにとっては必要なのだと思います。別に日本国民の為には・・・多分ならないのですが・・・。


【追記】 

民進党が内閣不信任案を提出しましたが否決されました。麻生財務大臣と安倍首相も会談して「解散はしない」方向を確認した様です。

「解散ありき」で動いていた政局の様に見えましたが、安倍首相は解散しない事を選択した様です。うーん、「リーマンショック前夜」発言にしろ何か違和感が・・・・。

危機が起きるとすれば、新興国危機。アメリカの利上げで新興国の資金が一気にアメリカに還流するとアジア通貨危機の再来の様な事も起こり得ます。これに円が巻き込まれるとか・・・・??


日本国債の外国人保有率に注意

2016-05-25 12:27:00 | 時事/金融危機


チョットしたメモ程度にスマホからアップします。

日銀のマイナス金利政策で国債市場から締め出された日本の投資家。

一方、円高でマイナス金利でも利益が出せる海外投資家。

結果的に日本国債の外国人の買い付けシェアーが27%に達したと報道されています。(日銀が60%を超えてて存在感を発揮する一方で、邦銀や生保などは10%台に後退。)

円安反転で外国人の保有する国債は一斉に売られますが、注意すべきは国債金利上昇。

平成の大バブル崩壊時にはソロモンブラザーズがアメリカで「日本売りファンド」を売り出し、その資金で日本国債を買い上げて国債価格を吊り上げ、その後、一気に日本国債を売って金利を上昇させました。金利上昇で株が売られ易くなった所で外国人投資家達が結託して日本株を売り浴びせ「株価暴落」の引き金を引いた。

この悪い記憶が蘇るのか。

尤も、現在の日本は日銀が国債金利を強引に抑え込んでおり、これに対抗して国債金利を上昇させるのは、それなりに需給関係を悪化させる外的要因も必要でしょう。

円高を必死に抑え込もうとする政府と日銀ですが、選挙が終わって円安に振れる様なら注意が必要でしょう。

日経平均は薄商いの中で日銀やGPIFが価格を吊り上げていますが、選挙後に崩れると予測するのは 外国人も日本の個人投資家も一緒。

予想を裏切るのが市場ならば、予想外の展開もありそうで、投資とは無縁の身としては、何だか変なワクワク感を味わっています。










若冲展顛末記・・・4度目の正直

2016-05-23 05:27:00 | 時事/金融危機
 

■ 若冲展の前売りチケットを買った ■

昨年9月、娘と千葉市美術館の『唐画もん武禅にろう苑、若冲も』という美術展に行きました。大阪が生んだ二人の絵師、「墨江武禅」と「林ろう苑」を中心とした作品展でなかなか見応えのあるものでした。特にろう苑は大胆な構図と勢いのあるタッチで大変素晴らしい作品が多くありました。

展示会の名前の最後にオマケの様に付けられていた「若冲」ですが、「鸚鵡図」や「旭日松鶴図」、「象鯨図」など若冲の作品のインパクトは大きく、京都琳派の若冲に展示会の主役であるはずの大阪の絵師達の作品が完全に食われてしまって・・・。

そんな訳で、娘が今回、東京都美術館で開催されている『伊藤若冲展』に行きたいと言いました。家内が前売り券を3枚購入して、先遣偵察として初日の夕方に出かけて行きました。2時間待ち程度で入館出来、平日の閉館前と言う事も有り、比較的ゆっくりと鑑賞出来た様です。

私も早めに行きたかったのですが時間が取れず、ゴールデンウィークに入ってしまいました。そんな5月4日の朝、家内のワンセグでNHKを観ていたら、若冲の特別番組が放送されているではありませんか。これはイカン・・・混雑してしまうと、あわてて家を飛び出しました。ただ、「前売り券を持ってるオレって勝ち組?」なんて慢心もしていたのですが、美術館前の長蛇の列に唖然。何と、チケットを持っていても4時間待ちだとか。

普段はラーメン屋の列に並ぶ事すらしない性格なので、当然パス。



仕方無く、社会人になった当時オフィスのあった鴬谷方面に久ぶりに行ってみる事にしました。当時の根岸界隈は同潤会アパートなど古い建物が残る町並みでしが、バブル花盛りの頃で木造家屋がどんどんと取り壊されて行きました。街中の銭湯は解体した家屋を燃料に湯を沸かしていましたが、周囲に燃やす家屋が無くなると、銭湯も次第に姿を消し、唐破風の立派な構えも今は見られません。街並みは随分と変わっていました。ただ、くねくねと曲りくねった路地は当時のままです。

かつての同潤会のアパートの近くに在る「手児奈せんべい」は昔ながらのたたずまいで交差点の角に残っていました。



ここの「おおごま煎餅」は絶品で、胡麻の香ばしさと固めに焼き上げた煎餅の相性は抜群です。煎餅を買って、店のオバサンと昔話を一しきりしたら、「これオマケ、食べながら歩いてよ」って、「おおごま煎餅」を1枚頂きました。



少し歩くと「こごめ大福」で有名な「岡埜栄泉」の本店、「竹隆庵 岡埜」が在ります。本店ではここでしか買えない「粟大福」が在りますが、販売は月に二回だけです。(今もあるのでしょうか?)

交差点の所に連子格子の古い床屋が在って、良くロケなどで使われていましたが今はもう無くなりました。ここの店主は刈り上げをバリカンでは無くハサミ一本で仕上げるという技を持っていたのですが・・・。

若冲展には入場出来ませんでしたが、懐かしい街を散策した一日でした。


■ 平日昼間に再チャレンジ ■

TVで度々若冲展について放映されたらしく、行列は日に日に長さを増している様です。ネット情報では5月17日はシルバー無料の影響も有り、とうとう待ち時間は5時間20分に達したとか・・・・。ディズニーの新アトラクション並の人気です。

土日は無理と諦めて、5月20日の金曜日、徹夜仕事明けの朦朧とした頭で再チャレンジに出かけました。12時を少し過ぎた頃でしたが・・・4時間待ち・・・・。無理、絶対にムリだから・・・。

ふと見ると科学博物館では『恐竜博2016』を開催中。昨年幕張メッセで『大恐竜博』に行ったばかりですが、今回は全長15mの世界最大の肉食恐竜の骨格標本が展示されているらしい。これは見るしか有りません。



実は恐竜に関する学説は5年でがらりと変わります。次々に発見される化石が、この巨大な古代生物の知られざる生体を明らかにしているからです。私が子供の頃は恐竜は変温動物で尻尾を引き擦って歩く鈍重な生き物と図鑑には載っていましたが、『ジュラシックパーク』の頃から尻尾と頭を平衡にする事で敏捷に走り回る姿が定着して来ました。

2014年の発見で、「羽毛」が生えている種類も確認され、恐竜は恒温生物であったという仮説が出て来ています。下の写真は羽毛が生えた小型恐竜の復元模型です。



現在の地球上で恐竜に一番近い生物は「鳥類」で、ティラノサウルスなどの竜盤類から早期に分岐した小型の恐竜がその祖先というのが現在の学説の主流です。

そんなこんなで、眠たい眼を擦りながら、改装されて立派になった「科学博物館」を常設も含めて堪能してしまいました。

■ 3度目の正直・・・ならず ■

翌21日の土曜日、アパートから戻って来た娘と3度目の挑戦です。開館前の8時に到着しましたが、既に長蛇の列は美術館を一回りして芸大の方まで伸びています。早くも4時間待ち・・・。

娘は午後から友達に会う予定だったので、一瞬で断念して、国立博物館の「黒田記念館」のカフェで列に並ぶ人達を眺めながらコーヒータイムを楽しみます。時折雀がエサを探しにテーブルの上にまでやって来ます。そういえば最近、野鳥が人を恐れなくなりました。キジバトなども近寄っても逃げる素振りも見せません。これ、人々が野鳥を捕まえたり、脅かしたりしなくなった影響が大きいでしょう。野鳥は何世代かを掛けて、だんだんと人との付き合い方を変えている様です。

ところで煉瓦作りの黒田記念館ですが、日本の洋画の父とも呼ばれる黒田清輝の死後、遺族がコレクションを国立博物館に寄贈した事を切っ掛けにその収蔵用に建設された建物です。



芸大美術館でも見て行こうかと思いましたが、娘が六義園に行ってみたいと言うので、駒込まで山手線で移動します。実は六義園は私も初めてです。



徳川五代将軍・徳川綱吉の側用人・柳沢吉保の下屋敷として築造された六義園ですが、明治元年に三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎に買い取られ、荒廃していた庭園は修復されます。後に東京都に寄付され現在に至ります。

駒込駅に近い染井門は裏門に当ります。門を入るとクスノキや赤松、ケヤキなどの大木が林立する鬱蒼とした林の下に小道が続きます。自然林を残しながら、その中に小川や池を後から構築していますが、今となっては自然に出来た沼の様に見えます。

六義園と言えば、正門側から観た池の景観が有名ですが、自然林を残した林は「借景」として池の背景を形作っているのでしょう。



アジサイには少し早いのですが、早咲きの株がほのかに水色に染まっていました。



朝ごはんが早かったので、小腹が空いたので池の畔の茶屋で抹茶と茶菓子を注文します。早起きは三文の得と言いますが、まったりとした午前中を過ごして、娘と分かれます。



■ 4度目の正直 ■

ネットで色々調べた所、若冲展を見るには朝一番か、午後の遅い時間が良い様です。徹夜は禁止されている様ですが、それでも始発組が沢山いらっしゃるそうです。6時前に列に並んだとして9時入館まではタップリ3時間は並びます。

ただ、日中と違い、列が進まないので折り畳みのイスを持参してゆっくりと待つ事が出来る様です。確かに日中は日差しも強いので、早朝に並んだ方が楽そうです。

寝起きの悪い娘を叩きお越して朝食を済ませ、駅までダッシュして5時11分の始発に飛び乗ります。美術館の前には5時50分頃に到着しましたが、既に列が伸びています。数えたら193番目でした。



7時頃には既に600人程度は並んでいたでしょうか?「日本人ってどんだけ並ぶのが好きなんだよ」とか毒づきながらも、しかり自分達も列を成す一員でした。普段は並んだり待ったりする事はキライで避けているのですが、もう「並ぶ事が目的化」しています。文庫本を読みながら、コーヒーとドーナッツを齧りながら、開聞の時間を待ちます。



開聞は7時50分頃、それから美術館の前庭に再び整列して、8時30分頃に最初の一団が館内に案内されます。300人程度でしょうか。



ここでロッカーに荷物を預けますが、娘と二人でロッカーに走るという痛恨のミスを犯してしまいました。列の何処に戻れば良いのか分からなくなって、最後尾に並び直します・・・。悔しい・・・。



8時前には展示室に案内され、各自、お目当ての絵を目指して速足で散って行きました。多くの方の目的は1回の円形の展示室。今回、初展示の作品が並んでいます。


4度目の正直でようやく「入館」する事が出来ました。嬉しい!!

・・・えっ?若冲はどうだったかって?
家内の図録を随分と眺めていていたので、なんだか新鮮味が・・・・・。


それよりも、同時開催されていた、『公募団体ベストセレクション 美術 2016』の現代アートの展示品に、「スゲー」とか「カッコイイーー」を連発する父娘でした・・・。



どうしてこんなに苦労して「若冲」を観たのかって・・・それはチケットを買ってくれたカミサンに父娘そろって「ヘタレ」「根性ナシ」と言われちゃったから。「そこまで言われたら意地でも見てやる!!」と、根性をある所を見せたかった訳です。

もう、完全に目的を違えています・・・・。



尤も、行列する多くの観客も、行列のニュースに奮起した方がほとんどでは無いかと・・・「そんなに並ぶなら、私も並ばなくちゃ!!」って・・・バーゲンセールの感覚ですね。多分。

音の魔術師 「川面真也」・・・『田中くんはいつもけだるげ』

2016-05-19 04:37:00 | アニメ
 



■ 今季アニメNo1はこれでは? ■

『甲鉄城のカバネリ』や『マクロスΔ』、はたまた『コンクリートレボルティオ』と言った力作が凌ぎを削る今季アニメ。

ところが意外なダークホースが隠れていました。それは『田中くんはいつもけだるげ』

極端に「怠惰」な男子高校生の田中くんを巡る友達模様で、男子高校生の日常のダウナーバージョンの様な作品ですが、これが見始めると結構面白い。

甲斐甲斐しく田中くんの世話を焼く親友の太田くんの心の中の突っ込みを動力に話は展開しますが、怠惰を極めんとする田中くんのロジックも、それを理解しようとする太田くんの突っ込みも斜め上を行くので、このダウナーな作品に視聴者は飽きる事が有りません。

と言うか、メチャクチャ面白いんですけど・・・。これは笑いの新ジャンルかも知れません。

■ 圧倒的な空気感が支配する演出は『のんのんびより』の川面監督 ■

第一話の1分で切ってしまった作品でした。だって、男子高校生同士が絡むって・・腐女子向きの作品だと思ったから。

しかし、これが川面作品だと知ったので、これは観るしか無いと気合いを入れて第一話を見て見ました。ところがこれが完全な肩すかし。

『のんのんびより』の様な「ほんわかハイテンション」を期待していたのですが、男子高校生同士の「のぼーーーんローテンション」を見せられると50歳のオヤジとしては、どう対応して良いのやら・・・。

だけど、これがジワジワと来るんだ・・・。なんか、観終わった後に時間の流れが完全に遅くなっちゃう。動物園でナマケモノを1時間見続けた後の様な感じと言うか・・。

とにかく、ゆっくり、まったり展開する作品ですが、意外にも見ていてイライラしません。それはこの作品が「音」に満ち溢れているから。

風の音、鳥のさえずり、学校の喧噪などなど、川面監督特有の「引き伸ばされた間」は空白では無く「豊な音」に満たされています。これは『のんのんびより』でも同様の演出がされていましたが、比較的リアルな描写がされていた『のんのん』に比べ、簡略化された『田中くん』の世界の中の方が、音の効果はより引き立ちます。

音響監督は亀山俊樹という方らしいのですが、『のんのん』でも音響監督を担当されています。この人の作る音、ミニシアター系の日本映画の音に良く似ています。様はロケでバックグランドに入り込んでしまう音のリアリティーを上手にパッケージしています。

良く観察すると、この作品、「セリフ」「無音」「環境音」「音楽」が非常に巧みに組み合わされている事に気付きます。

1)学校の喧噪と校内のカット
2)画面隅から田中くんと登場
3)太田君と絡む
4)太田君のモノローグでは環境音がフェードアウト
5)そのまま無音で画面が静止
6)風景のカット挿入と環境音
7)新たな人物の登場
8)音楽で転換


だいたいこんな繰り返しでしょうか。
この中で重要な役割を果たしているのが、川面監督特有の「引き伸ばされた間」を構成する「無音」から「環境音」への変化。

さらに、今回は音楽はシャンソンなどフレンチ風で、淡いタッチの作品に良くマッチしています。

■ 2話からは女子も登場して盛り上がる ■

1話目は男子のみの回で、このまま続くと見るのがちょっと辛いなと思いましたが、2話目からは女子達も登場し、俄然盛り上がって来ます。

この女子達が個性的、かつ魅力的で一気に6話までを観てしまいました。基本的に、女子がハイテンションで田中くんと太田くんがローテンション。このギャップが又楽しい。

さらに、クラス委員長の白石さんは実は・・・・なんて意外性もあって、話はローテンションながらも盛り上がります。


いずれにしても、こんなに盛り上がりそうも無い題材を、非常にハイクオリティーな作品にしてしまう川面監督からは当分目が離せません。嫌いでは有りませんが『虹色デイズ』と比べると川面監督の非凡さが良く分かるかと・・・。



ちなみに『のんのんびより』の過去記事はこちら。

「間」の表現力・・・今期最強 『のんのんびより』

時間の魔術師・・・『のんのんびより りぴーと』の川面真也監督

聖地巡礼シリーズ・・・『のんのんびより』




ちなみに今期アニメの注目作は、冒頭に挙げた三作品の他には、

岡田麻里+水島勉の『迷家(マヨイガ)』、
岡田麻里の『キズナイーバー』、
今石洋之監督(キルラキル)の『宇宙パトロールルル子』、
少年マンガの王道的な『ビックオーダー』、
ボンズクォリティーの『僕のヒーローアカデミア』などなど・・・。