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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

日本のデフレの原因と金融緩和の副作用・・・アメリカこそが危機の中心

2013-06-07 10:25:00 | 時事/金融危機
 

■ ドルの下落 ■

昨晩ドルが大幅に下落しました。
明日7日の雇用統計を前に、弱気の観測が出ているからです。

しかし、リーマンショック以降の相場の動きを観察していると、
弱気予測の後には、予想外の統計が発表され、相場は反転しています。
これは、見ようによっては統計の中身に手心が加えられているか
あるいは、統計の最終発表の内容を知っている者が、
逆の情報をリークして、相場そ操作している様にも受け取れます。

様は、強引にポラティリティーを高めで利鞘を抜いている者が居るかもしれません。
まあ、ここら辺は陰謀論者の妄想ですが、
ここの所弱含んでいる世界の市場ですが、私はこのままズルズルと下落はしないと思います。

何故なら、いろいろな仕込みが、未消化だからです。
あくまでも勘ですが、ちょっとした揺さぶりで儲けているヤツラが必ず居ます。

■ 問題は市場がヒステリックになっている事 ■

金融市場が急激に縮小に向うのは、今年後半以降と思われますが、
しかし、金融市場が危機的状況に近づいている事には変わりありません。

過剰に供給された緩和マネーは巨大は流動性は世界を徘徊して、
少しでも利率の良い投資先を求めています。

リーマンショックの直前に原油相場が高騰していた事を記憶されている方も多いでしょう。
資金は株式市場、債権市場、現物市場、
そしてドルからユーロ、ユーロから円などを渡り歩いて巨額の利益を上げて行きます。

ポーカーゲームで無限の掛け金を持った相手に決して勝てない様に、
巨大な資金を運用する旧投資銀行や、その走狗たるヘッジファンドは
相場のブームを先行して作り出し、そしていち早く利益を確定して次の市場に移って行きます。

彼らが武器にしているのは、中央銀行が供給する低利のマネーです。
FRBや日銀の緩和マネーは、過剰な流動性を生み出し、
市場の値動きをヒステリックなものにしています。

そして、現在の世界の市場動向は、リーマンショック前夜に似てきています。

■ バブルの付けは、量的緩和により将来的な国民の負担に変換される ■

日本の失われた20年が何であったかと言えば、それは「低金利政策」でした。

1) 金融機関や企業が巨額の不良債権を抱える
2) 量的緩和で低金利の資金を潤沢に供給する
3) 金融機関は国債運用で低いながらも安定して金利を稼ぐ
4) 低利の資金による借り換えを促進し、企業や金融機関の金利負担を軽減する
5) 金利の差額分だけ日銀のバランスシートが膨張する
6) 日銀のバランスシートの拡大は国債の増刷を伴う
7) 結果的にべブルの付けは国債を通して、将来的な国民負担に変換される

このサイクルを安定的に回すためには、金利が低く維持されている事が必要であり、
日本の失われた20余年のデフレ経済は、金融機関や企業の破綻を防ぐ政策と言えます。


ちょっと感覚的な表現になりますが、日本は本来の成長率を犠牲にして、
コツコツとバブルの付けを精算し続けていたのでしょう。

■ 日本とは規模の違うリーマンショックの損失 ■ 

リーマンショックの損失の補填も、同様に中央銀行の量的緩和によって行なわれています。

リーマンショックの損失は日本のバブル崩壊の比でなく大きいので、
金融緩和の量も増加しますし、期間も当然長くなります。

日本の金融機関は国債運用という非常に地味な方法えバブルの精算を行いましたが、
欧米の損失はこんな地味な方法では埋める事が出来ません。

ですから、再び債権金融システム(影の銀行)をフル回転して
高効率に金利を稼ごうとしています。

しかし、これはリーマンショック前夜と同様に、
投資を繰り返す事で、架空の利益で現在の損失を埋めているだけの事で、
どこかで資金の循環が滞ったり、あるいは逆転が発生すれば
再び巨大な信用消失が発生して、さらに大きな金融危機を引き起こします。

結局、リーマンショックから世界経済は改善した様に見えますが、
中央銀行の資金で損失を穴埋めしながら、
リーマンショック前の状況を再び作り出しただけとも言えます。


■ 全てを自覚している金融市場 ■

金融市場が無自覚にこの状況を作り出している訳ではありません。

市場参加者達は、現在の状況がいかに危険であるかを理解しています。
ですから、邦銀は最近、日本国債も日本株も外債も売却して現金を厚くしています。
危機が発生した時のリスクを少しでも減らそうとする対策に見えます。

しかし、銀行は預金を運用して金利を上げなければ、
預金者に金利を支払うことが出来ません。
結局、銀行がタンス預金戦略を採用すると銀行の損失が膨らみます。

一方、アメリカではFRBの緩和継続を脅迫的な手法で強要しています。
米国債市場の金利を上昇させたり、あえてリスク市場を過熱させるという手法で、
FRBが量的緩和を縮小したら、市場が崩壊するゾと脅しています。

■ サスティナブルでない量的緩和政策 ■

アメリカの個人は、投資資産の比率が大きいので、
ウソでも良いから資産バブルを作り出せば、
景気は回復するとおうのがFRBと米国政府の政策です。

しかし、資産バブルの利益を手にするのは一部の人達で、
その他大勢の中間層は、リーマンショックで資産を既に失っていたり、
あるいは職すらも失っているので、
いつまで立っても、「積極的に消費」する豊な中間層に戻れません。
結果的にアメリカの景気は低迷し、失業率は高止まりしています。

確かにリーマンショック後、金融機関はFRBのジャブジャブ供給する資金で最高益を上げ、
企業もリストラと、安い資金調達コストで利益を拡大しています。

しかし、消費の中心である中間層が回復しなれば、
アメリカの実体経済はいつまでたっても回復しません。

結果的に金融緩和の資金は資産市場を徘徊しながら膨らみ続け、
それはやがてはバブルとして危険な規模に膨らみます。
金融緩和こそがバブル製造機と化しているのです。

金融緩和の導入時点で、盛んに「出口戦略」が討議される理由は、
金融緩和の長期化がバブルの崩壊しか生まない事が理解されているからです。

■ ドルの実力は決して高くない ■

強さばかりが協調される米経済ですが、実際には酷い状態です。

ドルは昨年末以来、円に対して大幅な上昇を演じていますが、
実質的な価値は70円台/1ドルでは無いかと思います。

100円から120円程度の円安が適正水準というのは
日本の輸出入を考えた場合の、利己的水準です。


為替相場の先読みは難しいのですが、
FRBがQE3を継続する限り、ドルの価値はどんどん低下してゆきます。



・・・・アベノミクスには不都合な事が、世の中には沢山転がっています。
「期待」や「希望」だけで現状を打開出来る程、世界は甘くはありません。

津波の到来が避けられないならば、津波から全力で逃げるか、
津波に舳先を向けるかのいずれかの方法しかありません。


逃げ切れないと判断して、舳先を津波に向けて全速力で加速するのが
アベノミクスの一般的なイメージだと思いますが、
どうも、最近、迷走を始めたようなので、
下手をすれば、船腹を真横から津波に襲われるかも知れません・・・。