いつもなら「今年のアニメベスト」を発表する年末ですが、コロナの影響でベストを付け難いというか、「コレダぁーーーー!!」ってアニメが思い浮かびません。
そこで、今回は趣向を変えて「正月休みに読みたいマンガ」のご紹介。最近は書棚がイッパイになてしまってマンガも電子書籍で買う事も多く、そんな中で「紙の本」に拘って買った作品の紹介になります。
『恋と嘘』 11巻 ムサヲ作
少子化対策の為に、厚労省のコンピューターが遺伝子的にベストマッチの相手を指定する「ゆかり法」が施行された時代。16歳の高1男子の根島 由佳吏(ねじま ゆかり)には小学校から思いを寄せる女の子が居ました。ネジは「ゆかり法」でペアーを決められてしまう前に、どうしてもその思いを彼女に告げるべく、公園に呼び出します。約束の時間に遅れて現れた高崎 美咲(たかさき みさき)は、自分もネジの事がずっと好きだったと告げます。両想いだった事に感動する二人はキスを交わしてお互いの思いを確かめますが、直後に美咲は自分の事は忘れてくれと言う。混乱するネジの元に、政府から「理想の相手」の通知が届きます。携帯の画面に表示された相手の名は・・美咲だった。ところが、その画面は直ぐに消えて、別の女性の名前が表示されます。
美咲の拒絶に混乱するネジですが、法には逆らえず仕方なく政府が決めた相手の真田 莉々奈(さなだ りりな)とお見合いをする事に。浮かない表情のネジに莉々奈は激怒します。「あなた失礼だわ、何故私を見ようともしないの」って。そんな出会いをしたネジと莉々奈ですが、彼女はネジと美咲の話に感動してしまいます。そして二人を結び付けようと奔走する。ところが、莉々奈はいつしかネジの事が・・・。
2017年にテレビアニメが放送され、実写映画化もされた『恋と嘘』。マンガ配信サイトの「マンガボックス」で発表された作品ですが、55歳のオヤジにして胸がキュンキュンする様なピュアーなラブストーリー。アニメ放映後にその後が気になって続きをマンガで読んでいます。
もう莉々奈が可愛くて、トニカクカワイイ漫画ですが、11話にして美咲のヒロイン力が爆発します。タイトルの「嘘」とは何か・・・初めて明かされる真実に驚天動地、心慌意乱。あんなに「美咲の野郎はクソビッチだ、ネジに思わせ振りな態度をしやがって」と思っていたのに、もう莉々奈と美咲のどちらを応援したらイイのかオジサンは分からなくなってしまいました。
アニメを観て満足していた君!!原作を買いなさい!!
「消しゴム」が恋愛の「最強アイテム」だる事を証明する作品としても重要。
『人馬』墨佳遼(スミヨシリョウ)作
上半身が人、下半身が馬。ギリシャ神話ではケンタウロスに相当する生き物?が、日本には古来住んでいた。人は彼らを「人馬」と呼んだ。
人馬は山中に住んで人と多く接触する事は無かったが、戦乱の世に人馬の戦闘力を戦に用いる様になり、人馬は狩られる立場に。人を避け、深山でひっそりと暮らす人馬ですが、人馬狩の手はそこにも及ぶ様になります。屈強な体躯で人馬狩を退けて来た「松風」は、甥を助ける為にとうとう人の手に落ちます。
人に飼いならされた人馬は、多くの場合両腕を切り落とされます。鍵を開けて逃げる事を防ぐ為です。そんな人馬の一匹である「小雲雀」は飼い主のお気に入り。美しく賢い。彼は他の人馬達の反感を買っても人間に媚びています。しかし小雲雀は松風に逃亡を持ち掛けます。彼は人に心を許してはいなかたのです。屈強の松風を飼いならす事に拘った飼い主は、彼の腕を残していたのです。
こうして松風と小雲雀は、人の手の及ばない高山に住む松風の家族の元を目指します。しかし追手は直ぐに迫ります・・・。
圧倒的画力に目を奪われて大人買いした『人馬』。『シュトーヘル』の様な硬派の戦闘が続く作品と思いきや、人馬の愛で満ち溢れた「優しい」作品でした。愛を育み、子を産み、子を育て、家族を守り、そして代を重ねる。新人ながら墨佳遼は注目の作家です。
「大人のマンガ読書」に最適の一冊としておススメしあます。
『子供はわかってあげない』 田島列島
作品は少ないながら熱烈なファンが多い「田島列島」。女性作家らしい柔らかなタッチが魅力ですが、私は六田登が描く女性キャラを連想してしまいます。ちょっと下ぶくれな所が似ているのかな・・・。
『子供はわかってあげない』は2014年の作品。失踪した父を探す女子高生と、何故か彼女と縁がある書道部男子の話ですが・・・どう表現した良いのか全く分からない不思議な作品。いわゆるボーイミーツガールとも違います。何となく友達になって、何となく関係が深まって、なんとなく好きになって行く・・・。『恋と嘘』の様に高校生の恋愛にキュンキュンするでも無く、父探しの謎が物語に進行に大して重要な訳でも無く・・・ただ、少年は少女に出会って、ちょっとだけ大人になるという話の様な気もするし、そうでない気もするし。要は、フワフワとした展開の中で、なんだか最後はとっても良い作品に出合ったという確信が残る。言語化不能・・・というのが最も適した評論。実写映画化もされていますが・・・これ、無理でしょう。アニメ化も無理だと思う・・・マンガでしか成り立たない世界。
『水は海に向かって流れる』 田島列島 作
高校進学で下宿生活をする事になった男子高校生と、年上のOLの恋の物語。実は彼の父の不倫の相手は、彼女の母親だった。これも一見ショッキングな設定ですが、内容的には下宿の不思議な住人達との交流を楽しむ、捉えどころの無い作品。
でも、これ、現代の30前後のナイーブ女性の理想の恋愛なのでは・・・なんて思ってしまいます。
田島列島の作品に関しては、言葉で説明は不可能なので、読むしか無いのですが、意外にこれは実写に向いた作品です。TVドラマにしたら、若い女性は胸キュンなのでは・・。
『詩川百景』 吉田秋生 作
『海街diary』で幅広いファン層を獲得した吉田秋生の最新作。実は『海街』のスピンオフ作品。海街の最終巻の巻末に、『詩川百景』のイントロダクションが掲載されていました。(商売が上手い)『海街diary』自体が前作の『ラバーズキッス』のスピンオフだったので、吉田秋生の常とう手段とも言えますが・・・。
『海街』の1巻でスズちゃんと異母姉妹達が初めて出会う山形の温泉街が舞台です。姉妹達の父は離婚した後に、温泉街で子持ちの女性と結婚していました。男性に依存しなければ生きていけないその女性には前夫との間に二人の子供が居ました。スズの父が死んで、彼女はすぐに別の男性と結婚し子供を産みます。しかし、生活が出来ないので、長男と生まれたばかりの赤ん坊を親戚に預け、次男を連れて街を出て行きます。
物語は、残された兄妹と、兄が働く温泉旅館の孫娘を中心に展開しますが、海街同様に魅力的なキャラクターが次々と登場する群像劇。1巻が発刊されるのみですが、登場人物の数は海街並みなので、誰が誰だか・・・という感想も聞かれますが、もう何巻もこの温泉街の話を読み続けているかの如く、登場人物が作品にしっかり居場所を作っているのはサスガとした言いようのない手際。
実は温泉宿の孫娘、街一番の美人だけど、どこか醒めた所がある。吉田の旧作の『吉祥天女』や『ラバーズキッス』時代を思わせるキャラクターです。これからの展開が気になって仕方が無い。
舞台の河鹿沢温泉は山形県に在るとされていますが、架空の温泉街。GoToで家内と聖地巡礼に行こうと思っていたのですが、ちょっと残念。山形県は学生時代に出羽三山に行ったきりですが、是非再訪したいと思っていた地です。山形に似た雰囲気の温泉街があれば、是非行きたいと思っております。どなたか、おススメがあればお知らせ下さい。
コロナに明け暮れた2020年。私的には「陰謀論」に確信を持った年でした。
ブログの内容もコロナ関連が多くなってしまいましたが、そんな年の最後だからこそ、このブログらしく、オタク記事で絞め括りたいと思います。
本年も一年間、私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。来年は、コロナが終わる事を願っています。(終わると本当の危機が来るので、願って良いのか分かりませんが)
それでは、皆さま、良い新年をお迎えください。