人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

戦争を求める似非現実主義・・・富野イズムの落とし子

2017-12-31 06:47:00 | 時事/金融危機
 

■ 日本の空気が変わった ■

今年程、「日本の空気が変わった」と実感した年は有りません。

安倍政権は数々の「疑惑」が発覚して、従来の日本であれば政権維持は不可能です。ところが、メディアが森友問題や加計学園問題を連日報道しても、安倍政権の支持率は大幅に低下する事はありません。

1)堅調なアメリカや途上国の消費が輸出産業の好業績を生み出している
2)異次元緩和バブルが経済を下支えしている
3)労働人口の減少が失業率を低下させ、雇用環境をタイトにしている
4)ゼロ金利国債という打ち出の小槌が教育無償化などの人気取りの政策を可能にしている
5)民主党政権時よりも景気は確実に改善している

これらは「安倍政権の経済政策は悪く無い」というイメージを国民に与えています。

5)北朝鮮の核ミサイル開発により、日本の安全保障に重大な問題が生じている
6)中国の軍事力の拡大が東アジア地域の脅威になっている
7)日本の安全保障の為には憲法改正が必要である

安倍政権を支持する方の多くは、安倍首相でなければ憲法改正が実現出来ないであろうと考える人も少なくないでしょう。

前者は消極的なが安倍政権の継続を望んでおり、後者は積極的に安倍政権の継続を望んでいます。

■ 立憲民主党が戦後リベラルの最後の拠り所となった ■

解散総選挙を自公の勝利で終わらせた原動力は民進党の崩壊です。

社会主義の衰退によって欧米の左翼政党は「市民政党」へと変貌し、「境問題」や「生活の充実」といった政治目標を掲げる様になります。これは左翼政党の活動目的が「労働者の待遇改善」から、「国民の生活の質の向上」に移った事を意味します。

一方、日本の左翼政党は「憲法9条」に縛られてしまい、市民政党への脱皮に失敗してしまった。一見、環境問題の様に見える「脱原発」も、根源的な所では「戦争反対・核兵器廃絶」という戦後リベラルの「お花畑平和主義」と結びついています。

安倍首相という分かり易い戦前主義的な対立軸の存在が、立憲民主党という時代遅れのリベラル政党を生み出したとも言えます。

■ 「リアルな平和」と「フェイクの戦争」に気付けない人々 ■

安倍首相を積極的に支持する人々の多くは「日本人は平和ボケしてしまって、北朝鮮や中国の脅威に無関心だ」と考えています。

これ、ガンダムの富野監督が作品の中で何度も訴えて来た事ですが、ガンダム世代が社会の中心世代になるにあたり「富野イズム」が「ネトウヨ」の温床になったと私は感じています。ところが「富野イズム」に潜む危険性の彼らは無頓着です。

富野イズムは「平和を疑う」事からスタートします。「日本はアメリカの属国」「世界の国々の利害は対立している」「日本以外の国は戦争という選択肢を放棄していない」・・・。これらはある意味、「当たり前の世界観」です。

「本当の保守=現実主義」は、この様な構造の上に構築された平和を「リアルな平和」と捉え、それの継続に力を注ぎます。従来の自民党政治と官僚達の思考がこれです。

一方、富野イズム的な「似非リアリズム」は、「偽りの平和を壊す事で世界のリアルを証明」しようとします。これはテロリストの思考パターンで自分の正当性を立証する為に現実の変化を望むという「幼稚な思想」と言えます。

私にはネトウヨなどと呼ばれる富野イズムの落とし子達が、「本当は世界や日本は平和じゃない」と証明する為に、無意識に北朝鮮の暴発を望み、無意識に中国の台頭を望んでいる様に思えてなりません。そして彼らの無意識の集合体として安倍首相が存在する


従来の日本では退陣しているであろう「疑惑のデパート」の安倍政権ですが、これを支えているのは「ガンダム」の亡霊だった・・・・。アニメファンの私はそう妄想しています。



<追記>

富野監督の名誉の為の書き足すならば、彼は過激が言動ばかり注目されますが、最後は良識的な大人です。『逆襲のシャー』では、シャー・アズナブルが地球の人々を殲滅する為に地球に隕石の落下を試みますが(テロ)、これをアムロを始めとする敵味方の無名なモビルスーツパイロットが阻止します。彼らは最後で平和を守る決断をします。『リーンの翼』でも迫水王は最後は東京を守る選択をします。

この様に、現実の世界に苛立ちを覚えながらも、富野監督は最後にリアルな平和を守る決断をしています。

この様な富野監督のジレンマをネトウヨの方達は理解していませんが、これはマルクスの真意を理解しなかったかつての社会主義者に通じる所が有ります。




現代的造形で蘇るタツノコ・ヒーロー・・・『Infini-T Force 』

2017-12-27 03:45:00 | アニメ
 


『Infini-T Force 』より


■ タツノコプロの黄金期のヒーロが大集結 ■


上の画像を見て、ビビ!!っと来る人は・・・多分居ない。

でも下の画像を見たら、そして予告映像を見たら、オッサン世代は血沸き肉躍るはず。



『Infini-T Force 』より




今期アニメはバラエティーに富んで面白かったのですが、そのダークホースが『Infini-T Force 』と『妹さえいればいい』では無いでしょうか。

往年のタツノコプロのヒーロを大集結させ、CGアニメ化するという「安直」な企画ではありますが、「オッサン」になったガッチャマンの「大鷲のケン」には痺れました。無精ひげを生やし、ちょっと人生に疲れた中堅サラリーマンみたいなケンをあなたは想像出来るでしょうか?

その他のヒーロは、『破裏拳ポリマー』のタケシ、宇宙の騎士テッカマン』のジョージ、そして『新造人間キャシャーン』のテツヤとフレンダー。これ、全部キャラクターデザインが天野嘉孝(あまの よしたか)という所がミソ。

今でこそ現代アーティストとして海外でも評判の高い天野嘉孝ですが、当時からその才能は突出していました。



1972年にスタートした『科学忍者隊ガッチャマン』ですが、もう絵がカッコよくて当時7歳だった私のハートを鷲掴みにします。公式にはキャラデザはタツノコプロの社長の漫画家でもある吉田竜夫氏になっていますが、高校生にして吉田氏の自宅に下宿してタツノコプロの仕事をしていた天野嘉孝が関係していた事は絵を見れば一目瞭然です。

多分にアメコミの影響を受けたと思わせる天野氏の絵ですが、思い切りパースを利かせた構図と、筋肉や身体の描写のシナやかさが特徴です。細マッチョ感がタマラナイ。

彼のキャラクターの造形をCGで現代風にアレンジしたのが『Infini-T Force 』ですが、これがどのキャラクターもメチャクチャにカッコイイ。







『Infini-T Force 』より

人間を描くと違和感の有る3D-CGですが、仮面を被せてしまえば違和感が緩和されます。むしろケレンミの有る動きや、早い動きでもディテールを犠牲にする事なく作画が出来、さらに手描きよりも低コストというCGの長所が発揮されます。


■ ヒーロー物の基本には忠実 ■


この作品、とある運命を背負った女子高生の元に、並行世界からヒーロー達が集結して戦うというもの。実は異なった世界観を持つ作品のヒーロを終結させる為にメインストーリーの設定が存在するという・・あまり成り立ちの良くない作品です。

ところが、泣かせるエピソードがあったり、適役もそこそこ魅力的だったりヒーロ物の基本はバッチリと押さえています。

始めはフル3D-CGに違和感を覚えるのですが、そのうちに慣れてしまい、後半はヒーローたちの活躍に子供の頃に戻った様にハラハラ・ドキドキしました。


■ 暑苦しくてウザい「オッサン」化した大鷲のケン ■


でも、この作品の最大の魅力は、「大鷲のケン」のウザさと暑っ苦しさ。

40歳に差し掛かろうという年齢になったケンが女子高生の主人公に言う事はどれも暑苦しくてウザい。ヒーローという職業柄からか、とにかく彼は直情型。それが、人生を悲観している女子高生の笑(えみ)にはウザくてしょうがない。

そう、この作品のケンは女子高生の父親の代役であり、どこにでも居るちょっと疲れた中年サラリーマンみたいなオッサンなのです。

ところが、「40歳にもなって熱いヒーローをやってます」感が何とも新鮮で、オリジナルを知る世代が自分を重ね易い様にに出来ている。

「オッサンでもこんなに熱くなれるんだ」と、クタビレタ私達を励ましてくれるのです。これはヒーローの再生手法の新境地です。

■ 激所に行っちゃおうかな・・・ ■

来年は、続編が劇場公開される様ですが、今度は南部博士と、コンドルのジョーが敵として立ちはだかるらしい。・・・・劇場に行っちゃうかも知れません・・・。




本日は今期のダークホース『Infini-T Force 』を、ガッチャマン世代のオッサン向けに熱く語ってみました。






祝!! 紅白出場・・・やっと認められた竹原ピストル

2017-12-27 01:11:00 | 音楽
 

実力が有りながらも世の中に認められない人の筆頭だった竹原ピストル。
しかし本物の才能は、いつかは大輪の花を咲かせます。

西川美和監督の映画『長い言い訳』で今年1月発表の日本アカデミー賞の優秀助演男優賞を獲得し、キネマ旬報のベストテンでも助演男優賞を獲得しました。

この映画を10年待った・・・西川美和監督・『永い言い訳』 人力でGO 2016.10.31より

缶コーヒーのBOSSの25周年CMでも重松豊と共演して存在感を発揮していました。


だんだんと注目を浴び始めた竹原ピストルですが、とうどう紅白歌合戦に出場するという。彼のキャリアからは想像も付かない「サプライズ」ですが、彼の歌が全国に届くのはファンとしては本当にうれしい。我が家にはTVが無いので、リアルタイムで観れないのが残念で仕方ありません。



<採録>

この人が評価されない日本は間違っている!!・・・竹原ピストル『カウント10』 
人力でGO 2014.12.24
 より

 



■ 評価されない天才 竹原ピストル ■

竹原ピストルという歌手をご存じでしょうか?数年前までは男性2人のデュオの野狐禅というバンドを組んでメジャーデビューもしていました。

私が野狐禅を始めて聴いたのは、CDショップで下のジャケットのCDをジャケ買いした事が切っ掛けでした。



ピアノとギターという変則デユオはスキマスイッチも同様ですが、竹原ピストルの歌は泥臭くて、体温や体臭を感じるものでした。

その歌詞の世界は彼の周囲3mから生まれるものですが、貧乏な普通の若者の生活をスケッチの様に切り取りながらも、その言葉の選び方が「天才的」で、一発でノックアウトされてしまいました。


竹原ピストルは高校、大学時代はボクシング部に入っていたそうで、大学はボクシングで推薦入学したそれなりに強い選手だった様です。大学で知り合ったピアノの濱埜 宏哉(はまの ひろちか)と組んだバンドが「野狐禅」でした。

ダウンタウンの松本人志は竹原ピストルの大ファンで、当時彼らを自分の番組に呼んでいます。ダウンタウンに野狐禅がいじられている映像がネットを探すと有るはずです。メザーデビューした当時の彼らの月給は14万だったと語っていたと記憶しています。

その後、「野狐禅」はヒット曲を出す事も無く解散し、竹原ピストルはソロで全国のライブハウスを回る活動を続ける一方で、映画などにも出演しています。松本人志は、『さや侍』に竹原を出演させると同時に、彼に主題歌を歌わせています。

その舞台挨拶の映像がyoutubeにアップされていますが、「能力の有る人が認められないのは・・・・」と竹原の事を語りながら声を詰まらせているのが印象的です。「彼は絶対に有名になると思うけど、それが少しでも早まれば良いと思い、映画の出てもらいました」と語っています。

■ トムウェイツの歌詞を歌うブルース・スプリングスティーン? ■

竹原ピストルの楽曲の魅力は「歌詞の力」です。生活の一部を切り取る視線は写実的ですが、言葉の選び方のセンスは「詩人」の才能に近いものがあります。

教会の十字架と、寝坊して起きた時間の「10時か・・・」を掛けあわせが素晴らし。

[[youtube:iu-dRCImU40]]

壊れた洗濯機の音を、蝉の声と聞き違えたるという、貧乏の風物詩の様な「フライグ蝉」




一聴すると長淵剛の様な歌声ですが、その歌詞の繊細さは現在の日本のソングライターの中では突出しています。

日本に比較し得る才能が居ないので、おもわずトムウェイツの歌詞を歌うブルース・スプリングスティーンなんてイメージが浮かんでしまいます。

■ 自虐が後退して、素晴らしい世界を作り出し始めた ■

長淵剛が多くの人に共感を与えるのは彼の「ナルシズム」による所が大きい。「おれってダメ人間なんだよ」というヒネた叫びが、意外にダメ人間には居心地が良いのでしょう。一方、竹原ピストルは「ダメ人間なんだよ」という言い訳すらしないシリアスさが有ります。これは多くの人には「不快感」を与えます。人はアカラサマな現実をなかなか直視出来ないのです。

ですから、私はこのブログで一番紹介したいと思っていながらも、「野狐禅」や「竹原ピストル」をなかなか紹介出来ませんでした。


野狐禅の時代には「自虐」と「貧乏」と「暑苦しさ」が少し過剰に感じれられた竹原ピストルですが、ソロでライブ活動を続ける内に、無駄がそぎ落とされた様です。

そして少し前向きな意思が生まれ始めた彼の今の歌ならば、その素晴らしさは多くの人の心に響くと確信しています。


最初に紹介した『カウント10』の歌詞アップされています。




これを聴いて涙が滲まない大人が居るでしょうか・・・・。




現代の日本で最高のソングライターであり歌手であると私は確信しています。

先日、ポップソングに歌詞は要らない・・・なんて書きましたが、やはり歌詞があって歌は人々の心に届くと言う事を証明するアーティストです。

齋藤ウィリアム浩幸氏の経歴詐称・・・これって〇〇〇

2017-12-23 01:26:00 | 時事/金融危機
 

内閣参与で、国家のサイバーセキュリティー部門を担当する齋藤ウィリアム浩幸という人物が経歴を詐称していたとニュースになっています。

詳しくは皆さん各自でお調べいただきたいと思いますが・・・。

これ単なる経歴詐称事件では無いですよね。彼、ダボス会議にも呼ばれているみいですし・・・。

国家の情報セキュリテーの情報が集まる場所に〇〇〇が紛れ込んでいた!?

それも政治家が推薦して彼を紛れ込ませた様な感じがします。

この件を問題として取り上げたのは元2チャンネルの山本一郎氏・・・。

うーん、胡散臭い物に鼻が利きますね。


安倍政権・・・何だか本当にヤバヤバな感じになって来ました。



ただ、スパコン問題については、少し検討の余地は有りそうです。かつてアメリカに潰された東大の坂村教授のTRONの前例も在りますし・・・。私、ずいぶん前に仕事で坂村氏にお会いした事が有るのですが・・・一般人から見ると彼も相当にハッタリオーラーを発している様に見えましたが・・・。お金を集めて起業し、それなりの実績を出す人は、それなりにハッタリが利かないとダメなんだなと感じた記憶が有ります。

それにしても齋藤ウィリアム浩幸氏の件は政府のセキュリティーが甘すぎたでは済まない話。普通なら内閣調査室などが経歴を調べてから参与の登用が決まると思われるのですが。


私の大学の教授の一人は、当時、中曽根政権の技術顧問みたいな事をやっていました。中曽根さんに呼ばれたからと頻繁に授業を休講にしていた。たまに授業があると思えば教壇の端に葉巻を置いて、訳も分からない世界情勢の話をひとしきりした後に(大好物でしたが)、葉巻を咥えて教室を出て行った・・・。本当は工学の基礎の授業なんだけどね。こういう人物が政治家に取り入るのが上手いのでしょうか?彼の経歴をネットで見たら・・・今ではハイパー・テンコモリになっていた。


トランプVSディープステートという目くらまし・・・闇の政府

2017-12-22 06:03:00 | 時事/金融危機

 
■ ディープステイト(闇の政府)って何 ■


「ディープステイト(闇の政府)」や「アメリカの奥の院」といった言葉をご存じでしょうか?

「アメリカは表の政府では無く、大統領すらも操る本当の権力者達に支配されている」と信じる私の様な頭のネジの緩んだ陰謀論者が好んで使う言葉です。ロックフェラーやロスチャイルド、イルミナティーなどに繋がる一部の家系や金融機関、グローバル企業が本当のアメリカの支配者だという妄想です。彼らは共和党、民主党といった党派に関係無く、アメリカを常に支配し続けていると考えます。

実際にアメリカの外交の方向性を決めるているのは民主党議員の一部と、共和党議員の一部が所属する民間のシンクタンク「外交問題評議会(CRF)」ですが、ヒラリーはこれに所属していましたし、年頭の演説などもCRFで行っています。オバマはCRFのメンバーでは無かったので、ヒラリーの国務長官時代のアメリカの外交政策はオバマでは無く彼女によて動いていたとも言えます。

アメリカの中央銀行に相当するFRBも12の民間の金融機関が設立した民間の銀行です。現代でこそ中央銀行の収益は国庫に納められますが、設立当時はFRBの通貨発行益は12の民間銀行が分け合っていたのでしょう。紙切れを印刷して金利収益を得る、まさに無から有を作る魔法の様なビジネスが中央銀行制度だった時代もあるのです。

この様にアメリカの政治や経済は一部の家系の人達や企業家達に支配されているというのは、あんがちウソでは無いのですが、これを「ディープステイト(闇の政府)」とか「奥の院」などと陰謀論者達は呼んでいます。

■ 表のメディアが「トランプはディープステイトと戦っている」と報じ始めた ■

本来「ディープステイト」などという言葉はメジャーメディアで決して使われてはいけない言葉です。こんな言葉を使ってしまったら「アメリカの民主主義は偽物だ」と言っているに等しい。

ところが、アメリカではFOXニュースのコメンテターがトランプを擁護して「トランプはディープステイトと戦っている」とか「トランプはディープステイトに命を狙われている」などと言い始めた。

これには流石に陰謀論者達もビックリした様ですが、トランプ自らが「フェイクニュース」と発言したり、「二酸化炭素による地球温暖化は嘘」と言ったり、ほとんど陰謀論者の親玉みたいな人なので、「ディープステイト」という言葉がメディアに出て来ても別に驚く事も無いのかも知れません。

■ 「トランプが闇の権力と戦っている」という勝手な妄想 ■

陰謀論者達はヒラリーを「闇の政府の手先」と認定していましたから、そのヒラリーで大統領選で正面から戦ったトランプを「闇の政府と戦うヒーロー」と考えている人が多い。これはアメリカと利害が対立するプーチンがイルミナティーと戦うヒーローだと考える思考パターンと同じです。

アメリカのメディアに登場し始めた「トランプVSディープステート」という構図は、こうした陰謀論者達に「トランプ=ヒーロー」と思い込ませる事に寄与します。

ところで私を含めて陰謀論者というのは概して「知的弱者」で「社会的弱者」が多いと感じています。「陰謀論」というのは、自分の人生が上手く行かない人達のルサンチマンに過ぎないのです。

成功した人達にとっては、闇の権力などというのは単に成功した人達のソサエティーに過ぎず、願わくば自分達もその恩恵にあやかる為に、様々なコネを使ってその末席の人とでもお知り合いなりたいと考えているはずです。そんな人達にとっては彼らの知り得た情報はビジネスの武器であり、ネットでばら撒く様なもので有りません。

一方で権力側もネットの普及によって大手メディアによる民衆のコントロールが今までの様に行かない事に気付いています。特に根も葉も無い陰謀論が意外に人々に影響を与えている事を問題と見ているでしょう。選挙において成功者の一票も、敗者の一票も同じウェイトを持つのですから。

そこで権力者達は「闇の権力と戦うトランプ大統領」という偶像を作り出したと私は妄想しています。ネットの陰謀論者の間ではヒラリーは不人気でしたから、保険としてトランプというトリックスターを用意したのでしょう。

■ 実際にはトランプは軍産複合体やウォール街やグローバル企業に優しい ■

選挙期間こそ米軍の縮小などアメリカの影の権力の好まない発言を繰り返したトランプですが、最近は軍産複合体のビジネスマンとして世界を飛び回り、「エルサレムはイスラエルの首都」など新な戦争に火種を蒔く事に余念が有りません。

一方で、金融規制法案の緩和を示唆したり、富裕層や企業の減税に積極的だったりと、選挙で彼を支持した「貧しいアメリカ人」が求めていない政策の実現に余念が有りません。

陰謀論者達は、「トランプは軍産複合体に命を狙われているから彼らの要求を飲んでいる」などと勝手な妄想を膨らめていますが、選挙の時だけ適当な事を言って、実は権力側の人間だったとうのは世の常です。

■ 選挙参謀だったバノンはお払い箱となった ■

大統領選挙でトランプ陣営の舵取り約はスティーブン・バノンでした。彼は保守的なオルタナティブメディアを運営していて、それなりに貧しい白人アメリカ人の気持ちを代弁する人物でした。

ヒラリーの支持者はいけ好かないエリート白人や、移民達でしたから、それを面白く思わない層を取り込むのにバノンの立てた戦略は効果絶大でした。

しかし、トランプがキッシンジャーと会い、ティラーソンを国務長官に推した辺りから雰囲気が変わって来ます。最近はトランプとティラーソン国務長官の不仲説がメディアを賑わせていますが、オバマ政権同様にアメリカの外交の実務はティラーソンが仕切っており、トランプの外交はオバマ同様に「表向き」だけのものとなっています。

一方で、政権からバノンを始めとした選挙戦でトランプを支えた人達が抜けています。バノンはある意味、マトモな主張をしていましたから「ディープステイト」にとっては邪魔な存在だったのでしょう。

■ トランプの役割 ■

トランプは数々のトンデモ公約を掲げて大統領選に勝利していますが、そのほとんどが実現されていません。中間層に負担を強いて保険会社がボロ儲けするオバマケアーの廃止は頓挫しています。

一方で、金持ちとグローバル企業を優遇する減税案はすんなりと成立しました。「エルサレムはイスラエルの首都」という発言も実行に移しつつあります。

トランプを支持した人達は、お口をあんぐりと開けている事でしょう。しかし、彼らはトランプ垂れ流す「勇ましいツイート」に未だに酔っています。

■ トランプ慣れしてきたアメリカと世界 ■

未だにアメリカ国内では民主党支持者を中心にトランプ批判が盛んですが、政権発足後、大トラブルがあった訳では無いので、条件反射的に、或いは生理的にトランプを批判してはいますが、ある部分、トランプ慣れして来ています。

なんだか、トランプの制作やツイートに反射的に噛みつくといった「コール&レスポンス」が定常状態になりつつあります。これはこれで反トランプ派にとっては心地が良い状況になりつつあります。何でもトランプのせいにすればスッキリするという、ある意味のルサンチマンが成立しつつある。

これは世界も同様で、先のエルサレム発言にしても、「トランプだから仕方ない」と捉えている節があります。しかし、この発言を軽視すると危ないのですが・・・・。

■ ディープステイトにとって都合の良い大統領 ■

私の様な二回り半程ヒネクレタ陰謀論者の目から見ると、トランプ大統領はディープステイトと対立するどころか、彼らの操り人形にしか見えない。ただ、その衣装が真面目な政治家から、道化に変わっただけ。

道化の役割は、なんだか良く分からない事を言って聴衆をケムに巻く事。そして、その裏では次の出し物の準備が着々と進められているのでしょう。


■ 邪魔者ならとっくに消えている ■

今、陰謀論者の間では、「アメリカの闇の権力抗争」という妄想が流行っています。デビット・ロックフェラーが死んで、権力中枢の力関係が変化しているという妄想です。

CIAやFBIと国防総省が暗闘している・・・とか、CIAのビルに海兵隊が突入したとか・・・例によって権力側の手先の有名な陰謀論者達が、陰謀論者の夢を掻き立てています。

しかし、トランプが元気で国民の前に姿を現す事で、彼ら陰謀論者の主張は簡単に否定されます。何故なら、アメリカの歴史は大統領は暗殺の歴史でもあるかあです。ディープステートと本当に対立した大統領はケネディーを始め簡単に消されてしまいます。

私はトランプが元気にツイートを垂れ流す限り、「トランプはディープステートと戦っている」などとは、ちっとも信じられません。