人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

自作上部濾過装置・・・濾過装置をテラリウム化する

2019-01-26 05:29:00 | エコロジー
 



■ セルフィンプレコが大きくなり過ぎた ■




上の写真で30cm水槽で窮屈そうにしているのは、ナマズの仲間の熱帯魚で「セルフィンプレコ」という魚です。我が家では家内が「ガメちゃん」と呼んでいます。

実はこの巨大魚、買って来た時には3cm程でした。水槽のコケ掃除に活躍するというので、購入しましたが、見る見るうちに成長し、15年程で30cmになってしまった。性格はオトナシイといいうか臆病で、人影を見ると、水槽の隅に頭だけ隠そうとします。

あまり大きくしたく無いので、エサは控えめに与えていますが、それでもこの図体ですからウンコを大量に排泄して、30cm水槽の水は直ぐに汚れてしまいます。

小型の外掛け式のろ過装置と、コーナー設置の水中用の濾過装置を使用していましたが、底に砂を敷いているので、プレコが巻き上げた砂が外掛け式のろ過機のモーター部(インペラーの磁石部分)に噛みこんでしまい、ろ過装置が止まる事がしばしば・・。

■ 外部式濾過装置を導入してみたよ・・・ ■

濾過装置に砂が噛むと、ガラガラとイヤな音もするので、昨年末に砂を噛まない濾過装置を捜していて、コレを見付けました。



スドーの「エデニックシェルトV3」。小型ろ過装置としては定評が有ります。モーター部が、ろ過装置の最終段に取りつけられているので、多少砂を吸い込んでもモーターまで砂が到達しない点がポイントです。

しかし、ガメちゃんの大量の排泄物を、こんな小さな外部ろ過装置でどうにか出来る訳も無く、ろ過装置のフィルターの目が直ぐに詰まってしまうので、吐水量が直ぐに低下してしまいます。その度に外部ろ過器をホースごと外して掃除するのはメンドウです。

・・・いや・・・良く考えたら、10年程前に、私、このろ過機の初代のバージョンを使ってました。あまりに頻繁に掃除するのが面倒で、外掛け式に替えたんだった・・・。


■ 自作上面濾過装置を作ってみる ■

濾過能力が高く、掃除がし易い濾過装置と言えば上面濾過装置です。プレコを飼育している人の多くが、掃除し易い様に底砂を敷かないベアタンク水槽で、上面濾過装置を使用しています。

しかし、底砂も水草も無い水槽は殺風景ですし、市販の上面濾過装置は黒い大きな箱が水槽の上の乗っかるので美的では有りません。

そこで自作でオシャレな上面濾過装置を作る事にします。

一般的な水槽の管理は下記の通りです。


1) 魚の排泄物や食べ残しのエサをバクテリアが分解し魚に有害なアンモニアが発生する

2) ろ過装置のバクテリアによってアンモニアを亜硝酸塩に分解するが、これも毒性が有る

3) バクテリアが亜硝酸塩を魚に無害な硝酸塩に分解する

4) 硝酸塩は水草に吸収されるが、余った硝酸塩によってコケが発生する

5) 硝酸塩の濃度が高まると、水が酸性になる

6) コケ防止と水のPHを適正に保つ為に1週間に1回、水槽の水を交換する


魚を飼っていて面倒くさいのは水換えです。私は熱帯魚の水をベランダの野菜に与えているので、水替え自体は嫌いではありませんが、それでも1週間に2回程度の冠水では、過密飼育の水槽ではコケが発生します。

そこで、自作上面濾過装置に植物を植える事で、硝酸塩を植物に吸収させてみる事にします。


■ 市販の安い材料でオシャレなろ過装置を作る ■

ろ過装置のイメージとしてはこんな感じ。



1) 上部濾過装置の本体は市販のアクリルBOXを使用



   無印良品にぴったりのサイズのアクリルBOXが有りました。
   引出し式なので、外箱と内箱を利用して2個のろ過装置が作れます

   値段は1600円程度。

2) モーターは小型のコーナー式水中ろ過機を使用。



   揚水用のモーターはGEX ジェックスの「コーナーパワーフィルター1」を使います。
   これ、小型ですが、吐水量が結構多い。

   ホームセンターで980円x2(2セット)

3) ホースの貫通と、水位管理は塩ビ製の接手を使用



  アクリルBOKの底面に穴を空けてホースを取り込みますが、
  この部分に塩ビの接手を使用する事で、ろ過装置の水位管理と排水を行います。

  ホームセンターの電設部材で170円程。x2(2セット)
  これに、一応パッキンを噛ませます。これも200円程度。」x2(2セット)

4) ホースはΦ12mmが水中濾過装置に適合します。
   ホームセンターで1mで100円程度

5)濾過装置を水槽内に固定する為に、アクリルBOXの外側に1cm角のアクりロッドを
  2個ずつ融着します。(両側2cmずつの突起を作る)

  1cmx1cmのアクリルロッドがホームセンターで800円程度
  アクリル接着剤が600円程度
  アクリルカッターが600円程度
  サンドペーパーが200円程度

6) ろ材は園芸用のハイドロボールを使ってみます。
   ホームセンダーで1袋600円程度。x2(2セット分)

7) コケ  380円 x2(2セット分)
   流木  400円 x2(2セット分)
 
   植物 160円x3 x2(2セット分)


8) LEDライトを取り付ける為にアクリル板をケースの外側に融着します

   5mm厚のアクリル板  1600円程度


これで、2セット出来ます。
合計金額は \11,920-

ろ材のハイドロボールは1袋2ℓ入りでした。これでアクリルケースの70%程の体積。結構ろ材が多く入るので、濾過能力に期待できます。


■ チョーオシャレなビオトープが出来上がったよ ■

ジャーン。完成です。

上部フィルターである程度の硝酸塩が処理できれば、水替え頻度の非常に少ない循環型のシステムに成るかも知れません。ミニ・ビオトープ(仮)の完成です。

このシステムの優れている所は、漏水対策が完璧な事。

ホースがどこで外れても、或いはろ過装置の排水穴が詰まってオーバーフローしても、全て水槽の中で水が収まるのがミソ。





 






無印良品のアクリルケースの外箱。これは縦置きで使用しました。
ろ材はハイドロボール2ℓのみ。



無印良品のアクリルケースの内箱。取手の穴はアクリル板で塞ぎました。
これは横置きで使用します。ろ材はハイドロボール2ℓと、元から使っているリングろ材1ℓ。



揚水用のポンプに、水中濾過装置を使用しているので、上部濾過装置の汚れは最低限に抑えられるハズ。半年に一回程度、植物のメンテナンスを兼ねて、清掃する様なサイクルで済めば最高です。






菜の花ライド・・・早春の南房総へシングルスピードでGO!!

2019-01-17 10:59:00 | 自転車/マラソン
 


鴨川「菜の畑ロード」


鴨川「菜の畑ロード」


鴨川 「前原海岸」


南房総市 「野島崎」


館山 「フラワーライン」



13日、14日はシングルスピード・ロードバイクのラット君で早春の南房総を走って来ました。正月に予定していて、駅伝観戦で中止になった「房総神社ライド」の第二ステージが目的ですが、その模様は後日。

14日は暖かで早春を思わせる陽気。菜の花、水仙、花畑のストックと、南房総は一足早い春モードです。

ギア比2.88のシングルギアで清澄山を裏から登ってみましたが、全く問題無く登れました。(ギア、重いですけど)。

高いBBハイトと、短めのフォークオフセットのピストジオメトリーは、ダンシングしてもキビキビと気持ちが良い。パワーの伝達も良いので5%程度の傾斜なら手持ちのカーボンよりも早く登れます。(8%からはカメと化しますが・・・)

フロントフォークも良い仕事をする様で、下りでローリング族対策の凸凹塗装に高速で突入しても、ハンドルにはほとんど衝撃が来ません。一方でコーナーではしっかり踏ん張ります。

暑くなる時期までは、ギア付きの出番は無くなりそうです。



「安全通貨の円」・・・不都合を隠すマジックワード

2019-01-17 06:47:00 | 時事/金融危機
 

■ ダウは持ち直したけど、日本株に元気が無い・・・ ■

年末年始の株価下落から半月、FRBが利上げペースを緩やかにするとの予測から、混乱は落ち着いた様です。米株はだいぶ値を戻しています。

一方、日本株は2万円をどうにか切らない状態で、値の戻し方に勢いがありません。「円高が原因」と解説するアナリストも多いのですが、これは原因と結果が反対です。

1) 日本株を買う時に海外投資家は円を買うので、円高に振れる
2) 円が高くなると日本株が高くなってしまうので、為替市場で円売りを仕掛ける
3) 円安の状態で日本株に投資すると、少ないドルで多くの日本株が買える

4) 海外投資家が日本株を売ると円が手に入る
5) 海外投資家は円を売ってドルに換えるので円安に振れる
6) 円安では日本株を売っても為替差損が生じるので為替市場で円高を仕掛ける

要は海外の投資家が日本株を手仕舞いしているので、為替が円高に振れているのです。日本株を売って手にしたドルは運用をしなくてはいけないので、とりあえず値下がりした米株を買って短期的な利益を出そうとしている。だから米株だけが持ち直しているのです。

■ バブル末期として、米国に資金還流が起こる ■


FRBのテーパリング開始や、利上げ開始の時と同様に、低金利環境に変化が起きると、新興国市場から混乱が生じ、やがて日本やヨーロッパ市場に波及します。これは、リスク回避で、米国から世界に投資していた資金が、米国に還流する為に起こります。

現在の日本株安と米株の持ち直しも、長短金利の逆転など、今までの「サルでも儲かる」投資環境が終焉を迎える前に、米国に資金が還流している影響と観る事が出来ます。

■ 円キャリートレードの手仕舞いが始まると、円高が加速する ■

年末に瞬間的に104円台を付けて円相場ですが、明らかに円高の傾向が強まっています。現在は米国への資金還流の為の円高ですから、105円を割る様な事は無いでしょう。

しかし、しばらくすると「金融緩和バブルの終焉」が明確になり「危機」が意識され始めるので、金利の低い円を調達通貨とした「円キャリートレードの逆転」が始まります。借りていた円を返す為の円の需要が高まり、為替市場はさらに円高に振れます。

この時点で、日本株市場は大下落、或いは暴落を演じるハズ。日経平均は18000円を割り、15000円台を付けると私は妄想しています。GPIFや日銀が必至で買い支えると思いますが、個人投資家までが売り一色の転じた市場を支え切れるとは思えません。


■ 日本市場は海外投資家にとっては金の成る木 ■

日銀の異次元緩和は国内的には「隠れ財政ファイナンス」ですが、海外投資家から見れば「金の成る木」です。ほぼゼロ金利の円を調達して新興国や、日本株市場に投資すれば簡単に利益が出ます。

さらに、日本株市場は日銀やGPIFが買い支えていますから、適正なレンジを保ちながら売りを仕掛ければ、相場をある程度維持したまま、何度でも利益を上げる事が出来ます。こんなにオイシイ市場は、世界の何処にも有りません。

■ 自由な市場を歪めたツケは国民に回って来る ■

日銀は異次元緩和によって国債市場の市場機能を奪い、GPIFと共に日本株を買い支える事で、日本株の市場機能を歪め、J-REITを買う事で不動産市場に歪みを生み出しています。

「相場の安定が経済に好条件をもたらす事の何がイケナイのか?」とおっしゃる方も多いと思いますが、自由な市場で、「池のクジラ」によって市場が歪められると、「実勢価格」と相場の間の乖離が大きくなります。要は「バブル」が生まれてします。

バブルは何かの切っ掛けで、いつかは弾けますから、実勢価格との乖離が大きければ大きい程、バブル崩壊の影響も大きくなります。

日銀やGPIFの運用する資金は巨額ですから、平時は多少の下落を吸収してしまいますが、バブル崩壊に際しては、高値を支えていた彼らの被る損失は甚大です。

そして、日銀やGPIFの損失は、円安によるインフレや年金財政の悪化とい形で、国民の生活苦しめます。そう、最後にツケを払うのは国民なのです。

祝・『海街diary』完結・・・吉田秋生作品の登場人物達の救済だった

2019-01-10 08:18:00 | マンガ
 


『海街diary』より

■ 平成マンガの最高傑作がここに完結! ■

もし、私が誰かから「何か良いマンガを教えて」と聞かれたら、絶対に吉田秋生『海街diary』をお勧めします。


1)「面白い」のでは無く「良い=良質」なマンガ
2)老若男女を問わず、誰もが共感できる内容
3)純文学に匹敵する高度な表現力
4)沢山の登場人物それぞれに、しっかりとした存在感と人生観を持たせる群像劇の極致

しかし男性諸氏に少女漫画のハードルは高いらしく、実際に買って読んだ人はいません。むしろ最近は是枝監督の映画の方が有名になってしまったので、「ああ、あの映画の原作だよね」で済まされしまう事が多い。


個人的には平成になってから出版された、あらゆるマンガの中で最高の作品だと信じています。『海街diary』の初版本が出た時に、しかりと本屋でジャケ買い(表紙買い)した事が、私のマンガ好きとしての矜持となっている。


<ネタバレ全開・・・ご注意を >


■ 普通の人達の普通の物語 ■


鎌倉に住む3姉妹の元に、父親が訃報が届きます。父親は離婚して家を出ており、母親も姉妹を祖母に預けて他の男と再婚しています。父が家を出たのは3女が生まれて間もない頃なので、「父が死んだ」と聞いても、次女と三女には今一つ実感が有りません。

旅行にでも行く様な感覚で山形の温泉街にやって来ますが、そこで彼女達は自分達に血の繋がった中学生になる妹の「すず」が居る事を知ります。実は父親は、すずの母親とも別れており、今は別の女性と暮らしていました。すずには、父の再婚相手の連れ子の血の繋がらない弟達が二人居ます。(ちょっと複雑で家系図でも書かないと理解が難しい)

父親の死によってすずは血の繋がらない母親と兄弟と暮らす事になりますが、母親はどうにも頼りない。すずの身を案じた長女は、すずに「一緒に鎌倉で暮らさないか」と誘います。すずはそれを迷いも無く即座に承諾します。こうして、鎌倉の極楽寺に有る一軒家で、4人の姉妹たちの生活が始まります。

母親代りの長女の幸はしっかり者で看護師。病院の医者と不倫の関係ですが、彼の妻は精神を病んでおり、彼は離婚には踏み切れません。次女の佳乃は地元の信用金庫に勤めていますが、性的に奔放。イケイケな女性です。三女の千佳はスポーツショップに勤めていますが、店長とは恋人関係。性格は楽天的。

こんな、バラバラな3姉妹と暮らす事になるすずですが、小学校の頃よりサッカーが上手で、鎌倉でも少年達に交じってサッカーチームに入ります。最初は家でも遠慮しがちのすずですが、次第に姉妹とも打ち解け、サッカーチームのメンバーを通じて鎌倉に知り合いも増えて行きます。

物語はこうして動き出しますが、実は全9巻を通して、淡々と彼らの日常が描かれるだけで、事件らしい事は何一つ起きません。私達や私達の知り合いにも日常的に起こるであろう出来事が、マンガの中で丁寧に描かれて行きます。

特徴と言えば、背景に鎌倉の街が有り、鎌倉の春夏秋冬が有る。しかし、これとて、私達の街の景色とそれ程違う物ではありません。私達の街にも季節は訪れますし、そこに住む人は街に愛着を感じています。


■ 使われ過ぎて安っぽくなってしまった「絆」という言葉の本質を問う ■

この作品が終始描いて来たものは、「人は縁あって出会い、そして絆を深めてゆく」という至って普通の事に過ぎません。

311の震災以来「絆」という言葉は、半ば「助け合わなくてはイケナイ」という強迫的なイメージを持ってしまいましたが、『海街diar』yの中で結ばれる絆は、自然に生まれ、自然に深まり、そして人々はそれを大事にする。絆という言葉が本来持っていた、やさしく、デリケートな姿がそこには有るのです。

大人は複雑な事情の中で絆を確認しあい、子供は子供の世界の中でそれを育み、そして大人達とも結ばれている。地域の人々が、目に見えない糸の様なもので、ゆるやかに繋がっていて、誰かの変化は、その周囲へと伝わってゆきます。

こうして全9巻を通して、人々は絆を深め、そして互いに少しずつ成長してゆく。

(よく似た作品に、吉田秋生と現代女性漫画家の双璧を成す「くらもちふさこ」の『天然コケッコー』が有りますが、こちらは田舎の「強い絆=しがらみ」を描く作品です。amazon primeで映画版が無料で観られます。こちらはデビューしたての夏帆ちゃんと岡田君が初々しい、素晴らし映画です。是枝版の海街なんて目じゃありません。)

■ 吉田秋生の過去の作品の登場人物の救済劇 ■

『海街diary』は吉田秋生の過去の作品の『ラヴァーズ・キッス』の後日譚にもなっています。『ラヴァーズ・キッス』で人生に悩みアウトローだった人物達が脇役で登場しますが、すっかり大人になり丸くなっているのが微笑ましい。

興味深いのが喫茶店「山猫亭」。「山猫=アッシュ」ですよね。そう、『BANANA FISH』です。山猫亭のマスターの存在感は巻を追う毎に大きくなっており、9巻はマスターが主役では無いかと思える程。過去の自分の愚行を悔い、流れ者の自分を受け入れてくれた鎌倉こそ、自分の居場所なのだと人生の最後に思い至るひねくれた性格の老人ですが、アッシュが生きていればこんな老人になったのかも・・・。


吉田秋生の過去の作品は、様々な悩みを抱えて世の中に居場所の無い者達を描く物語が多かった。トランスジェンダーだたり、先天的な精神異常者だったり・・。かなりキレッキレの人物が多いですが、『海街diary』では、人々は優しく穏やかで、これが同じ作者なのかと戸惑う程です。

ただ、三姉妹の長女や次女、すずが時折見せる鋭い表情に、吉田作品特有のナイフの様な冷たさが表出します。過去作では、それらの抑えきれない感情の表出に押しつぶされる人物が多かったのですが、海街では感情や激情を心の内に秘める「逞しさ」を獲得しています。吉田作品は丸くなったのでは無く、強さを手に入れたのです。


■ 後日譚で見事に円環を成す ■

9巻の巻末には『通り雨のあとに』という番外編が付いています。すずが秋田に置いて来た弟達の話です。

すずの高校進学から10年後、父の13回忌を期に、父親のお骨を鎌倉に移す為にすずは二人の甥を連れて山形を訪れます。別れた弟とはそれ以前にも会っている様です。

川遊びに興じる甥達を見ながら、弟は川からカジカが消えたと話します。上流の温泉開発で酸性の水が流れ込んだ事が原因なのだろうと。しかし、かじか沢に並走する小さな川は大丈夫だと。この川はかじか沢の支流と思われていいるが、源流も別で、河口まで交わる事も無い。ただ、この場所だけで並び合って流れているのだと。

これ、すずと弟の人生を象徴しているエピソードですね。もう、素晴らしいとしか言えません。

ところが、直後に橋の上の若い女性が現れます。弟が務める旅館の女将の姪だという彼女は、すずがこの温泉街を離れた直後に母親と越して来た。妙と呼ばれる女性は街に馴染んでいて、弟とも仲が良い。

妙は、この街にすずが残ったら、こんな感じだったという、すずのもう一つの姿なのでしょう。そして、彼女は不幸では無く、そして弟も不幸では無い。(どうやら弟の初恋はすずの様ですが・・)

イヤー、さすがは吉田先生! 最期にすずが捨てて家族をも救済して物語の幕を閉じるとは、感服いたします。そして、父親の死を切っ掛けに始まった物語は、「縁を結ぶ」事で、「絆を保ち続けた」事で、見事に円環を成して終わります。


・・・こんなに読み応えのある作品は他には有りません。吉田先生、2007年から11年間、本当に楽しませて頂きました。私の心の中では鎌倉の4姉妹は実在しています。鎌倉を訪れる度に、極楽寺の坂や、稲村ケ崎に浜辺に、彼らの息遣いを感じる事が出来ます。


最終巻のハイライトは稲村ケ崎の浜辺に降りる階段でしたね。『青ブタ』でも何度も出て来た階段。これは聖地巡礼に行くしかありません!!

「海街diary」・・・本音をみつめる女性の視点 『人力でGO』 2010.11.03


「鎌倉」聖地巡礼・・・『海街diary』と『ラヴァーズ・キス』  『人力でGO』 2013.11.03

FRBはバブル崩壊を防げるのか・・・問題は過剰流動性

2019-01-08 08:40:00 | 時事/金融危機
 

■ 行き場を失いつつあるマネー ■


原油安 → 株安 → 米国債高(金利低下) → 長短金利逆転(逆イールドカーブ) → 株安

昨年後半からの市場の混乱は、最初は原油価格の下落にその兆候が表れました。原油先物市場は価格変動が大きいので過剰流動性の溜まり場となり易い。ここ10年を見ても原油価格は40ドル台から100ドル越えまで短期間で多くく変動を繰り返しています。

一方で原油は資源なので需給バランスの影響を受け易く、高値を維持していても景気の先行きに不安が観られると、先行して価格げ下落する傾向も有ります。

今回、原油価格に加熱感は無かったのですが、9月に74ドル代を付けた後は、ダラダラと値下がりを続け、48ドル台になっています。原因は景気先行き懸念や、米中貿易摩擦など色々と言われます。

原油市場から資金回避が発生すると、それに連動するかの様に昨年末に掛けて、株式市場から資金が回避し始め、それらは安全資産の米国債市場に流れ込みます。一時は3%台を付けていた10年債の金利が下がり始めます。(債権価格は上昇)

一方でFRBは着々と利上げを続けているので、昨年末には長短金利が逆転する逆イールドカーブが発生します。この長短金利の逆転ですが、原因は過剰流動性が米国債市場に流入した事なのに、市場は「景気の先行き懸念」を意識して、リスク市場からさらに資金が逃げ出す結果となっています。

■ FRBが利上げを停止すればバブルは崩壊しないのか ■

FRBのパウエル議長が利上げ停止を匂わせた事で市場は安定を取り戻したかに見えますが、ダウにしても日経平均にしても、ピークは明らかに過ぎてしまった。今後は上がる期待よりも、下がる恐怖が意識されます。

市場の混乱の原因はFRBの利上げですが、ではFRBが利上げを停止すれば資産市場は再び上昇に転じるのでしょうか?

答えはNOでしょう。

市場は既に「無根拠な期待」を失っています。今回のバブルはリーマンショック後に供給された大量のマネーが作り出したものですが、これが持続可能だとは市場参加者の誰もが思ってはいません。ただ、「行ける所までは行こう」という集団心理の様なものが市場を支えていたに過ぎません。

FRBは利上げを停止しても、余程の事が起きない限り、緩和的な政策を再開するとは思えません日本も欧州も同様です。最早、市場には「誰もが儲かる」程のマネーは供給されません。

過剰に供給された流動性を、いかに市場に徘徊させようとも、思う様な利益が出ない状況が続くと、「そろそろ」という意識が市場を支配します。ここでFRBが資金供給量を増やす様な事になると、むしろ市場は「終わりの始まり」の意識を強めます。「FRBが金融市場をコントロール出来なくなった」と市場が受け取るからです。


■ 後はカモを餌食にするだけ ■


目先の利く投資家は、既に利確していますが、ファンドや年金など運用を余儀なくされる資金と、損を取り戻そうとする個人投資家をカモにする為に、今後は荒い値動きが続くでしょう。

上昇が何日か続くと、ストンと大きな下落がやって来て、そして再び、チョコチョコと上昇しては大きく下げる。上がる時も、下げる時も微妙にタイミングをずらされるので、個人投資家の損失は膨らみます。


■ テスラとソフトバンク ■


今回の下落の切っ掛けはアップルの業績の下方修正だと言われています。しかし、私は大暴落の引き金を引くのはテスラでは無いかと妄想しています。

テスラはモデル3のバックオーダーを大量に抱えていますが、未だテスラを手にしていない予約客は1000ドル、日本円では15万の予約金をテスラに預けています。これが当座のテスラの運転資金を支えていました。

しかし、景気減速が意識され、株価が下がり、原油安から電気自動車のメリットも後退すると、そろそろモデル3のキャンセルが大量に出始めるかも知れません。そうなると、テスラの経営危機が再び囁かれる様になり、株価の下落幅も大きくなります。既に昨年までに1/4強のキャンセルが出ている様です。

昨年中頃には経営破綻が現実化していたとマスク氏本人が明かしていますが、株価が下落し始めると、テスラが資金繰りの為の売却した株が下落に拍車を掛け、そこを空売勢に狙われます。昨年の株式公開中止騒動は、そうなる事を予測しての行動だと思いますが、結果はリスクを残したまま。

テスラは2020年までに中国に工場を建設するとぶち上げましたが・・・トランプがこれを看過するのか・・・。何となく、アドバルーンの様な気がします。

バブルの崩壊の最大の原因は「夢の剥落」ですが、まさにアメリカンドリームの象徴だったテスラは、夢の終焉の切っ掛けには「丁度良い」アイコンかも知れません。

日本ではソフトバンクが似た存在では?