中国の故事、函谷関の脱出が元になったという函谷鉾(かんこほこ)。
四条河原町の交差点で、大きな見せ場となる「辻回し」を終え、河原町通りの直進を宣言する音頭取りの掛け声が、威勢よく響き渡る場面です。
音頭と共に、大勢の曳子によって進み始めた函谷鉾ですが、横をすぎる時、「ゴトッ、ゴトッ」と鉾全体を揺らすほどの大きな音がするので、よく見ていると、鉾を操縦する車方が、前へと進む鉾車(車輪)の下に、楔(くさび)を入れて、わざと乗り上げさせているのです。
総重量12トンとも言われる鉾が乗り上げるのですから、それは大きく重い音。
鉾には舵がなく、真っ直ぐにしか進めませんから、その楔は方向を正す微調整なのですね。