九份(チウフェン)への旅、本当に楽しみにしていたのですが、バスを降りるとそこはもう絶望的な雨。
台北の古き良き時代の名残を見せるこの街の美しい夜の姿を、思う存分目に焼き付けようと思っていたのですが、天から叩きつける大粒の雨の勢いは容赦ありません。
靴の中はずぶ濡れ、凍えるような寒さの中、メインストリートの豎崎路(スーチールー)の石段を歩きながら、ふと目の前の光景を見ると、あの映画の一場面が蘇ってきました。
降り止まない雨、東洋と西洋が入り混じるオリエンタルな看板、アジアの裏通り。
ブレードランナーの世界です。
リドリースコットの描いた近未来の舞台はロサンゼルスでしたが、雨に濡れた九份の憂いを含んだ風景は、そんな場面とどこかシンクロします。
雨中の撮影には大変苦労しましたが、こんな風景が見れたのは貴重な体験でした。