【山陽新聞朝刊「滴一滴」2010.08.30付】
今朝、山陽新聞朝刊のコラム「滴一滴」を読んで嬉しくなった。
魚のこと、それも「ヒラ」について書かれてあったからである。
職業柄もあり、書店に行くと食材事典や料理、魚についての本をチェックする。
先月、タイトルを見て「お!これは。」と思う本に出合った。
それが、滴一滴で紹介されていた窪田清一・著『ママカリ ヒラに まったりサーラ』(岡山文庫)である。
「岡山と聞いて思い浮かぶ魚は?」と他県の方に尋ねてみると、
返ってくる答えのほとんどが、“ママカリ”と“サワラ”だと思う。
ヒラという魚自体をご存知ではないのだ。
しかし、岡山県民はヒラを忘れちゃいけない!
ヒラ。
小骨がたくさんあり、骨切りが必要な魚である。
しかしその手間を気にさせないほど、非常に美味だ。
刺身、塩焼き、煮付け、そして「ばらずし」に。
岡山ではずっと、愛されてきた魚である。
しかし―。
近年、ヒラを知らない人たちが増えてきたように思う。
現場に立っていて、肌で感じる。
それは、とてもとても残念なことだ・・・。
魚の業界に席をおくものとして、
(しっかりと、ふるさとの海の恵みの味を伝えていかなければ!)
と、改めて思った。
思いを新たにさせてくれた今朝の新聞と、この本に感謝!
『ママカリ ヒラに まったりサーラ』には、
ケッケ、アミ、オコゼ、エイも紹介されています。
ヌメゴチ、ギンボ、ツノギ、イイダコ、ツナシ、バリ、タモリ、シズ、ベイカの名前も登場します。
さてさて、あなたはどれくらい魚の顔が浮かびましたか?
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一般の日本人が瀬戸内海を美しくも経済的な宝庫と認識したのは歴史上ではごく最近だといえる。
だがそのごく短期間に、われわれは太古からゆっくりと続いてきた海の様相を一変させてしまった。魚も貝も海草も、そしてあの白妙青松の景観すら激減させ、加えて由緒ある備讃瀬戸沿岸の食文化も消えそうで、忘れてしまいそうである。
世界中の食品が難なく口にでき、各地各国の料理があふれる昨今、祖先たちの培ってきた食習慣や食作法が疎んじられるのはやむないことかもしれない。
しかし郷土に居つく以上、少なくとも伝統料理の成りたち、合理性、有用な知恵などの基礎知識は再認識しておかなければならないと思う。
窪田清一・著『ママカリ ヒラに まったりサーラ』(岡山文庫) 「はじめに」より抜粋
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同じ著者が書かれた、『岡山の備前ばらずし』という本もあります。
こちらも興味深い本でしたよ。
最後に、ヒラの写真をアップします。
こんな魚です。↓
彼の「満漢全席」にも使用されていたということを、本を読んで初めて知りました。
キラキラの魚体が、これからはより一層眩しく輝いて見えそうです。
ヒラのおいしさ、みなさんにも是非味わっていただきたいなぁ。
今日は久々に、魚のおはなしでした。
瀬戸内の海に、
魚に、
感謝!
最後まで読んでくださってどうもありがとうございました(^^)
ヒラ、名前を聞かれたことがあるんですね(^^)
もしかしたら、口にしたこともあるかもしれませんよ?
こっそり「ばらずし」の中に入っていたかもしれません♪
魚を捌いている姿を見るのは楽しいですよね~。
プロの捌く姿は、何といってもリズムがありますから。
サバの背骨やサンマの腹も食べられていたんですか?
素晴らしいですっ!
お魚、本当にお好きなんですねぇ。
あら汁、我が家も寒い時季になると、よく登場します。
おいしいですよね。
ところによって、獲れる魚が本当に違いますね。
それを見るのもまた楽し!
以前、高知を訪れた際、魚屋さんの店頭に並ぶ魚をマジマジと見てしまいました。
千葉も魚のおいしいところ。
いろんな魚たちが並んでいるんでしょうね。
>列記されていたオコゼ・エイ・イイダコ・ベイカの顔は分かりますが、そのほかは?です。
mikiさんからのお言葉にお応えしようと、追記記事を書きました。
写真付きでご紹介しています。
(長文ですが・・・)楽しんで頂ければ幸いです。
ヒラ、岡山以外ではあまり食べられない魚なんですよねぇ。
それにしても、さすがsuzieさんです。
ニシンがすぐに思い浮かぶとは!
そう、ニシン科なんです。
骨切りですが、ハモとは全く違った方法なんですよ。
皮一枚残して身の方から骨切りするハモに対して、
ヒラは丸太のまま、皮の方から中骨に向かって骨切りします。
(お刺身の場合は三枚におろしてから薄切りに)
ヒラにもしもあれだけたくさんの骨がなかったら
“きっと高級魚になっていたに違いない”
と思えるお味です。
出合った日には、ぜひお召し上がり下さいね♪
子どもの頃は、私もよくやりました・・・。
喉に魚の骨が刺さっていました。
親に言おうものなら「ちゃんと噛まないからじゃ!」と叱られるのがオチ。
気付かれないようにご飯を丸のみしたり、自分でピンセットで取ったりしていました。
介護が必要な方は別として、私も骨なし魚はありえません。
子ども達に骨なし魚をすすめるのは、はっきりいって私たち大人の怠慢だと思います。
だけど悲しいことに、骨がある一匹付けよりも切り身の方がよく売れるのが現状です。
料理も簡単だし、食べやすいからなんでしょうけれど・・・。
子どもたちの「おいしいもの」を見分ける能力は素晴らしいです。
しかし、本当の「おいしいもの」に出合わせてあげなかったら…。
その能力は発揮できないまま、育たないままになってしまいます。
味覚は幼少期に出来上がってしまうのに―。
(これは魚に限ったことではなくて、野菜や果物、肉などもそうだと思います。)
子どもの頃から愛情が込められたいろんなものを食べて、味のある、骨のある人間に成長できるといいですねぇ。
ちなみに我が家で一番奇麗に魚を食べるのは、父です。
それは・・・、ビックリするほどです。
子供の頃は、庶民的なサバやサンマをよく食べていました。
魚屋さんが家の前に売りに来て、さばを二枚下ろしにしているのを興味深く眺めていた記憶もあります。
幼いころから父を真似てサバの背骨やサンマの腹も食べていました?!
(今でも結構上手に食べていると思います)
今も肉より魚が好きで、寒くなるとあら汁もよく作ります。
たまの帰省時に近所のスーパーに行きますが、千葉の魚とは異なり瀬戸内の魚が珍しくて、暫し眺めることがあります。
列記されていたオコゼ・エイ・イイダコ・ベイカの顔は分かりますが、そのほかは?です。
ニシンをぎゅっと短縮したような感じですね。
で、検索したらやはりニシン科でした。
骨切りというとハモの骨切りを思い浮かべますが、あんな風に処理するのでしょうか。
非常に「美味」とのこと。いつかヒラに出会えるといいな。
その際にも書きましたが、骨の回りをしゃぶって食べるのが美味いし、ほじくり出して食すのが醍醐味ではなかろうかと思います。肉でも魚でも骨に付いた身はとりわけ美味い、特に鯛のアラ煮は何よりの大好物です。
重ねていいますが、骨のない魚はありえないので骨をとる労は一向に厭わないです。ホントの魚食いは、魚の身の解し方を見れば分かりますね。