佐藤初女『おむすびの祈り 「森のイスキア」心の歳時記』(集英社文庫)
小松成美『和を継ぐものたち』(小学館)
田口ランディ『できればムカつかずに生きたい』(新潮文庫)
今月新しく読んだのは3冊。
本の整理をしたからか、再読はちょこちょこしたのですが…。
この3冊、どれも心に響く言葉がありました。
佐藤初女さんの存在は随分前から気になっており、文庫を発見したときには感激しました。
佐藤初女『おむすびの祈り 「森のイスキア」心の歳時記』(集英社文庫)
副題にある「森のイスキア」は霊峰岩木山の麓にあります。
心を病んだ人や苦しみを抱えた人たちが自然集まってくる「森のイスキア」。
青森県弘前市に住む著者・佐藤初女さんのところには、30年も前から心に苦しみを抱えている人が集まっていました。
ご自宅の2階を増築し「弘前イスキア」と名付け、彼らを受け入れていたのです。
その季節に土地で採れた新鮮な材料を使い、おいしいものを作り、食べさせてあげ、傍らに黙って座る。
そして人々は癒され、社会に復帰していきます。
しかし、自宅に長期間、人を受け入れることに限界があります。
「森に囲まれた自然の中にみんなが集い、安らげる場があれば」という切なる願いが叶い、1992年に完成したのが「森のイスキア」でした。
佐藤初女さんの存在を知ったのは、大好きな写真家であり表現者である星野道夫の繋がりでした。
星野道夫さんが出演したことで知った龍村仁監督の映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」シリーズ。
その「第二番」に出演していたのが佐藤初女さんでした。
(他の出演者はジャック・マイヨール、 ダライ・ラマ、 フランク・ドレイク。星野さんは「第3番」に出演)
この映画は自主上映作品なのでなかなか観る機会に恵まれません。
現在、第1番~第6番まで完成しているこの作品。
私自身「第4番」は観ましたが、残念ながら他はまだ観ておりません。
そんなこともあり、とてもその存在が気になっていた佐藤初女さん。
自叙伝エッセイを読み、想像以上の方でとても感動致しました。
現在85歳になられるという初女さん。
今なお活動を続け、講演を頼まれれば日本中を飛び回っておられます。
*************************************
私たちは食べることを通して、自然からいのちをいただき、それを私たちのいのちへとつないでいきます。ですから、お料理は、素材との出会いから仕上げまで、片時も心を離すことができません。心を込めてつくり、おいしくいただくこと、それはいただいたいのちへの感謝であり、祈りなのです。
手をあわせて祈るのは「静の祈り」、同じことを心に抱きながら、
行動するのが「動の祈り」だと思います。
私は、この生きている瞬間瞬間が祈りだと思っています。
だから、お茶をいれて、おいしく一緒に飲みましょうというのも祈り。
私にとっては、生活すべてが祈りです。
佐藤初女『おむすびの祈り 「森のイスキア」心の歳時記』(集英社文庫)
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小松成美『和を継ぐものたち』(小学館)
小学館『和楽』2004年4月号から2006年3月号に連載されたものを一冊にまとめたものです。
この小学館から出版されている『和楽』という雑誌はとても素敵な本です。
限られた書店しか店頭に並んでいないのが残念ですが。
雑誌名の副題には“「和」の心を楽しむ”とあります。
大きな書店に行けばバックナンバーも揃っているので、見つけると手にとって眺めています。
写真を見るだけでも奇麗。
さて、この本。
22人の「和を継ぐものたち」が描かれています。
棋士、三味線奏者、篠笛奏者、武田流弓馬道、薩摩琵琶奏者、扇職人…等々。
「地に足をつけ自己の世界を探求する」人たち。
「私が感じた日本の「誇り」を、多くの方々に共有していただければこれ以上うれしいことはない。
その「誇り」こそが、未来へ前進するための力なのだと、私は今、信じている。」
という著書の言葉に共感しました。
著者も「衝撃でした」と言われていましたが、薩摩琵琶奏者の友吉鶴心さんのお話の中で知り、驚いたことがありました。
『平家物語』の「祇園精舎」の“盛者必衰の理をあらわす”と言えるのは平家琵琶の方だけで、それ以外の琵琶奏者は盛者ではなく“生者(せいじゃ)必衰”とうたわなければならないそうです。
友吉さん曰く、
「たった一文字ですが、琵琶奏者はあれにポリシーを持たなければならないと思うんです。武人としての奥ゆかしさというか。」
奥が深いですね。
田口ランディ『できればムカつかずに生きたい』(新潮文庫)
ここのところランディさんの本をよく手にしているような気がします。
アイヌのシャーマン、アシリ・レラさんがランディさんに語った言葉がとても印象に残ったので書き留めておきます。
「人間の義務はね、万物の霊長としてすべての生き物のために祈る事なんだよ」
小松成美『和を継ぐものたち』(小学館)
田口ランディ『できればムカつかずに生きたい』(新潮文庫)
今月新しく読んだのは3冊。
本の整理をしたからか、再読はちょこちょこしたのですが…。
この3冊、どれも心に響く言葉がありました。
佐藤初女さんの存在は随分前から気になっており、文庫を発見したときには感激しました。
佐藤初女『おむすびの祈り 「森のイスキア」心の歳時記』(集英社文庫)
副題にある「森のイスキア」は霊峰岩木山の麓にあります。
心を病んだ人や苦しみを抱えた人たちが自然集まってくる「森のイスキア」。
青森県弘前市に住む著者・佐藤初女さんのところには、30年も前から心に苦しみを抱えている人が集まっていました。
ご自宅の2階を増築し「弘前イスキア」と名付け、彼らを受け入れていたのです。
その季節に土地で採れた新鮮な材料を使い、おいしいものを作り、食べさせてあげ、傍らに黙って座る。
そして人々は癒され、社会に復帰していきます。
しかし、自宅に長期間、人を受け入れることに限界があります。
「森に囲まれた自然の中にみんなが集い、安らげる場があれば」という切なる願いが叶い、1992年に完成したのが「森のイスキア」でした。
佐藤初女さんの存在を知ったのは、大好きな写真家であり表現者である星野道夫の繋がりでした。
星野道夫さんが出演したことで知った龍村仁監督の映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」シリーズ。
その「第二番」に出演していたのが佐藤初女さんでした。
(他の出演者はジャック・マイヨール、 ダライ・ラマ、 フランク・ドレイク。星野さんは「第3番」に出演)
この映画は自主上映作品なのでなかなか観る機会に恵まれません。
現在、第1番~第6番まで完成しているこの作品。
私自身「第4番」は観ましたが、残念ながら他はまだ観ておりません。
そんなこともあり、とてもその存在が気になっていた佐藤初女さん。
自叙伝エッセイを読み、想像以上の方でとても感動致しました。
現在85歳になられるという初女さん。
今なお活動を続け、講演を頼まれれば日本中を飛び回っておられます。
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私たちは食べることを通して、自然からいのちをいただき、それを私たちのいのちへとつないでいきます。ですから、お料理は、素材との出会いから仕上げまで、片時も心を離すことができません。心を込めてつくり、おいしくいただくこと、それはいただいたいのちへの感謝であり、祈りなのです。
手をあわせて祈るのは「静の祈り」、同じことを心に抱きながら、
行動するのが「動の祈り」だと思います。
私は、この生きている瞬間瞬間が祈りだと思っています。
だから、お茶をいれて、おいしく一緒に飲みましょうというのも祈り。
私にとっては、生活すべてが祈りです。
佐藤初女『おむすびの祈り 「森のイスキア」心の歳時記』(集英社文庫)
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小松成美『和を継ぐものたち』(小学館)
小学館『和楽』2004年4月号から2006年3月号に連載されたものを一冊にまとめたものです。
この小学館から出版されている『和楽』という雑誌はとても素敵な本です。
限られた書店しか店頭に並んでいないのが残念ですが。
雑誌名の副題には“「和」の心を楽しむ”とあります。
大きな書店に行けばバックナンバーも揃っているので、見つけると手にとって眺めています。
写真を見るだけでも奇麗。
さて、この本。
22人の「和を継ぐものたち」が描かれています。
棋士、三味線奏者、篠笛奏者、武田流弓馬道、薩摩琵琶奏者、扇職人…等々。
「地に足をつけ自己の世界を探求する」人たち。
「私が感じた日本の「誇り」を、多くの方々に共有していただければこれ以上うれしいことはない。
その「誇り」こそが、未来へ前進するための力なのだと、私は今、信じている。」
という著書の言葉に共感しました。
著者も「衝撃でした」と言われていましたが、薩摩琵琶奏者の友吉鶴心さんのお話の中で知り、驚いたことがありました。
『平家物語』の「祇園精舎」の“盛者必衰の理をあらわす”と言えるのは平家琵琶の方だけで、それ以外の琵琶奏者は盛者ではなく“生者(せいじゃ)必衰”とうたわなければならないそうです。
友吉さん曰く、
「たった一文字ですが、琵琶奏者はあれにポリシーを持たなければならないと思うんです。武人としての奥ゆかしさというか。」
奥が深いですね。
田口ランディ『できればムカつかずに生きたい』(新潮文庫)
ここのところランディさんの本をよく手にしているような気がします。
アイヌのシャーマン、アシリ・レラさんがランディさんに語った言葉がとても印象に残ったので書き留めておきます。
「人間の義務はね、万物の霊長としてすべての生き物のために祈る事なんだよ」