海辺のねこ

どんな日もかけがえのない一日。

8月の読了本

2006-08-31 | 
『やまない雨はない』倉嶋厚(文春文庫)
『ブッタは、なぜ子を捨てたか』山折哲雄(集英社新書)
『編集者T君の謎 将棋業界のゆかいな人びと』大崎善生(講談社)
『アルゼンチンババア』よしもとばなな(幻冬舎文庫)
『ぶどうの木 10人の“わが子”とすごした、里親18年の記録』坂本洋子(幻冬舎文庫)
『世界が完全に思考停止する前に』森達也(角川文庫)


『ブッタは、なぜ子を捨てたか』
兄が読みたいと言って購入し、私が先に読んでしまった本。
兄がこの本を読もうと思った理由は、
「偉大な宗教家であるのもかかわらず、妻や子、家を捨てるという行為は無責任ではないのか」
だという。
この本でも触れていたが、マハトマ・ガンジーも家や子を捨てているのである。

何かを得るためには、捨てなければならないものがあるのか。
(「悟り」を開くには、一切の執着・欲望から自由になること…)

「修身斉家治国平天下」
小さい頃から私達兄妹が、父から言われ続けてきた言葉だ。
まずは自分から。そして、家庭、国、天下。
この本を読み、様々なことを思った。
そういえば学生時代に友人が「“無”について考え始めたら止まらない」と言っていたよなぁ。。。
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インドの仏教が「無我の仏教」であるとすれば、日本の仏教は「無私の仏教」であったことがますますみえてくるだろう。
日本の仏教徒たちは心の探求に関心を集中して、無心・無私を究極の価値とする日本型の仏教を創造しようとしたのである。
 山折哲雄『ブッタは、なぜ子を捨てたか』
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『編集者T君の謎 将棋業界のゆかいな人びと』
将棋業界の話、好きなのである。
将棋自体は駒の進め方が、まぁ解る程度なのだが…。
それにしても「将棋世界」の編集部のT君の存在が面白い。

入社試験の面接で「好きな本は?」と聞かれ「それはもう何といっても『人間失格』です」と熱弁をふるったT君。
無事入社後、わかった事実。本は1冊しか読んだことがなかったそうだ…。

現在発売中の「将棋世界」に掲載されていた「将棋世界ノンフィクション “元奨”の真実」が読み応えがあった。
年齢制限がある奨励会。決められた年までに四段に昇段できないと退会を余儀なくされる。
今回のこの記事の主役、立石径さんは「将来のA級候補」と期待されていた人物だ。
しかし17歳、三段で退会。理由は「医師になりたい」からである。
あるときアフリカの難民の子供たちの記事を見たのがきっかけという。
現在、小児科担当の医師。
写真で見た彼のとても清々しい笑顔が印象的だった。


『アルゼンチンババア』
ばななさんと奈良さん(絵)のゴールデンコンビ。
それにしてもすごいタイトル!
映画化が決定しており、2007年春に公開予定。
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懐かしさって、全てが変わってしまってから初めて芽生えるものなんだ、と私は思った。
 よしもとばなな『アルゼンチンババア』
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『世界が完全に思考停止する前に』
いろいろな意味で衝撃的な作品だった。
特に印象に残ったのが「一人称という主語を喪った情動は暴走する」という言葉。
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 遺族や被害者が憎悪や報復感情に捉われることは当たり前だ、なぜなら彼らは当事者だ。この感情を社会が共有しようとするとき、一人称であるはずの主語がいつの間にか消失する。「俺」や「私」が「我々」となり、地域や会社、そして国家など、自らが帰属する共同体の名称が主語となる。本当の憎悪は激しい苦悶を伴う。でも一人称単数の主語を喪った憎悪は、実のところ心地よい。だからこそ暴走するし感染力も強い。
 森達也『世界が完全に思考停止する前に』
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今月は、本を読みながら「当事者でしかわからない思い」について考えさせられることが多かった。

『ぶどうの木』では里子たちは、病院に行った場合「受診券」という公が発行したもので医療費の公費負担を受けるというシステムがあるということを知った。
(しかし医療機関の窓口にいて知らない人も多いらしい)

『世界が完全に思考停止する前に』では「最高裁で死刑が確定した死刑囚は、親族以外とは面会できないし手紙すら交換できないというシステム」を知った。
死刑囚と被害者遺族が互いに面会を切望している場合でも、面会は許されない。

そして今月初め、拙ブログにお越し下さる“くまこさん”から「世界標準癌治療薬でありながら日本で未承認の薬の早期承認の請願書」の署名運動のことを知った。
これをきっかけに詳しい現状を知りたいと思い、今、本を2冊読んでいる。

三浦捷一『がん戦記 末期癌になった医師からの「遺言」』
NHKがん特別取材班『日本のがん医療を問う』

NHKがん特別取材班『日本のがん医療を問う』のエピローグに母親を癌で亡くされた方の言葉が記されている。
「もしご自身の家族、大事な人、大好きな人、そういった方ががんに罹ったらということに想像を及ぼしていただきたいと思います。そしてその方々にとって大事であるかもしれない自分が、がんに罹ったらということに想像を及ぼしていただいたら、きっと皆さんの視点が変わってくると思います。皆さんがその意識を持てば、きっとお隣同士でも、思いがどんどん、どんどん重なっていって大きいものになると思います」

大切なのは、他者への想像力―。
それも人の意見に簡単にのってしまうのではなく、自分自身、一人称で思考してみること。
改めて心に刻んでおきたい。

秋空

2006-08-30 | 季節を感じて・節句

[ うろこ雲に融和する飛行機雲 ]

空の高さに秋の気配を感じる、今日この頃。
暑い暑いと言いながらも、確実に秋は近付いています。
暦では既に秋、ですもんね。

今も虫の音が聴こえています。
夏休みも残すところ一日。

会社帰りに図書館に寄ってみたら、駐車場は満車。
中には子ども達が大勢いました。
夏休みの宿題、皆できたのかな~?

でんでらりゅうの歌

2006-08-29 | 日記
     でんでらりゅうば
     でてくるばってん
     でんでられんけん
     でてこんけん
     こんこられんけん
     こられられんけん
     こん こん

長崎を舞台にした、さだまさしの小説『解夏』に登場する印象的な「でんでらりゅうの歌」。
ずっとどんな歌だろうと気にかかっていました。

たまたま、NHK教育テレビ「にほんごであそぼ」を見ていたら、この言葉が聴こえてくるではありませんか!
しかも振り付きで歌われています。

こんな節回しだったのか~。

さださんの『解夏』、とても好きな作品です。
読了後、長崎の町を歩きたくなったくらい。
「解夏」という言葉もこの本ではじめて知りました。

陰暦の七月十五日。
今年の「解夏」はもうすぐです。

カモメたち

2006-08-27 | 日記


昨日の仕事帰りの、雨が降り出しそうな鉛色の空の下。
街路灯にとまったカモメが物憂げに鳴いていました。

はや、物思う秋?
それとも単に「お腹が空いたよ~」だったのでしょうか?

うちの周りはカモメだけでなく、アオサギもいます。
もちろんカラスも。

上空からエサになるものをジーッと狙っている彼ら。
時に、長いものをクチバシからぶら下げているのを見つけます。
「ん、何だ?」
と思ったら、アナゴ!!
何と、漁師さんが一生懸命獲ってきた魚を横取りしていくんですよ。
うーむ。

アオサギ達は、人間にあまり警戒心を持っていないのか案外側に寄っても平気です。
2~3Mの近距離で出くわして、こちらが驚くくらい。
エサのためなら…、なのでしょうが。

こちら↓は今朝の風景。
相変わらず、街路灯にとまっています。
どうやらこの場所、お気に入りのようです。


金光学園音楽部吹奏楽団

2006-08-27 | 音楽
 

会社の同僚の娘さん(高1)が在籍する、金光学園音楽部吹奏楽団の定期演奏会に行ってきました。
事前に「曲目は何?」と聞いたのですが、返ってきた答えは「内緒です」。
確かに説明しきれないほどの盛り沢山でした。
そして聴衆を魅了する力に感動しました。

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【第34回定期演奏会】
《里庄公演》 
日時:8月27日(日)  午後の部15:00開演
会場:里庄総合文化ホール「フロイデ」

【プログラム】
一部
 1、ハリウッド万歳
 2、マーチエレガント~マーチヴァルドレス
 3、序曲「サーリセルカの森」
 4、歌劇「トゥーランドット」より
 5、アルメニアンダンスPart1
二部
 6、ロンドンデリーエアー
 7、情熱大陸
 8、The Museum 
 9、九ちゃんグラフティ
 10、SORAN
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開演時刻までの待ち時間、演奏会開始までの導入、休憩時間。
4~5人くらいで組んだ各パートが順番に、観客席を演奏しながらまわります。
プログラムの間の時間も楽しめるよう工夫されているんですね。
圧巻は、たった一人でドラムを叩いてまわった男子生徒の演奏でした。

第2部は、歌と踊りも交えてのエンターテイナーぶり。
「The Museum」では、アフリカンあり、沖縄音楽あり。
和太鼓はもちろんのこと、沖縄三味線の演奏もありました。
獅子の舞まで披露してくれて、驚きました。

中学1年生から高校3年生まで、総勢130人という大所帯。
まとめるだけでも大変だったと思います。
一生懸命練習をした成果は実っていましたよ。
本当に素晴らしい演奏!

高校3年生にとっては最後の舞台となる今回の演奏会。
途中、下級生からレイをプレゼントする儀式もあり感動的でした。
アンコールでは、指揮者である顧問の先生が各学年ごとにメッセージを贈られていました。
お疲れさま!

今回の演奏会、全体を通しての私の感想。

パーカッションって面白い!!

ある意味“影の指揮者”なのでは?、と思ってしまいました。
パーカッションの皆、凄かったんですよ、本当に―。

さかな、さかな、さかな~♪ 蝦蛄(シャコ)編

2006-08-26 | さかな、さかな、さかな~♪
        
サイズも活きも良いシャコが入荷しだしたので、本日は「シャコ」のご紹介です。
茹でると“シャクナゲ”に似た紫色になることから、なまって「シャコ」と呼ばれるようになったそうです。
(ちなみに我が社では“シャク”と言うこともあります。友人には通じませんでしたが…)


<旬>
 抱卵期の初夏。 
 カツブシと言われる卵が入っている頃が旬。
 (今も入っているものを目にします。)
 産卵期である晩秋が身が充実していて旬とする説もあり。

<食べ方>
 塩茹で (酢みそ、わさび醤油で)
 寿司種
 天ぷら
 酢の物 
 殻ごと甘辛く炊く「具足煮」
 刺身

* 私は漁師さんに教わって以来、とてもシンプルな食べ方をします。
  料理はとっても簡単。
  用意するものは、使い古した鍋!
   
  1 シャコをザーッと洗い流し、汚れを取ります。
  2 ここで使い古した鍋の出番。
    洗い流したときの水分がついた状態のシャコを鍋に入れます。
  3 鍋を火をかけ、たまに焦げないように蓋をした状態でガザガザと鍋を振ります。
    お好みで、醤油を少々入れてもOK。
    水分が全く無くなってしまって焦げるのが心配なら、少し水を加えてください。 
    色が変わって、火が全体に通っているようならば出来上がり!です。

この方法、つまり「蒸す」ような感じです。カニもそうですが、茹でるよりも蒸す方が断然美味しい!
塩をしなくても素材そのものの旨みがしっかりと利いていて、美味しいのです。
茹でるとどうしても水(湯)の方に旨みが逃げ出してしまいますからね…。

<栄養価>
 ビタミンB1、ビタミンB2
 新陳代謝を盛んにします。

<シャコの爪>
 カマキリのカマのような獲物を捕らえるための大きな補脚。
 ここの身も美味です。
 お酒を召し上がる方は酒の肴に最適です。
 酢の物やサラダにもご利用いただけます。



今日の食卓に上がった、このシャコたち。
身がいっぱい詰まっていて満足でした!

いのち

2006-08-24 | 思い、想う
去年のことだ。

近所の腕白坊主たちの下校風景を見ていると…。
うちの家の前の海辺で、危険な行為をしているではないか。

多少の腕白ぶりは子どもだから必要だと思い、そうそう注意はしないのだが、「命」に関わるときは別だ。
彼らに声をかけてみた。

「そんなことしていたら、海に落ちて流されるよ!」
「流されたら死んでしまうんだよ!そうしたらお父さんやお母さん、お友達に会えなくなるんだからね。」

この言葉への返事はこうだった。

「復活するも~ん!」

思わず耳を疑ってしまった。本気で思っているのだろうか?
もちろん、言った。

「一度死んだら、復活はしません!!」


この話は、本日付けの山陽新聞の夕刊を読みながら思い出した出来事だ。
チャイルドラインおかやま代表 西崎宏美さんが書かれた「一日一題」。
現実的な数字を見て愕然としてしまったのだが、参考までに引用させて頂く。

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 このような時間の変化、人とのかかわりの変化の中で、子どもたちの「命」の感覚が危うくなっているという調査結果がある。上智大学のあるサークルが行ったものだが、小学生五、六年生で、「一度失った命は蘇ることがある」と答えた子が34%、「絶対に蘇らない」が34%、「よくわからない」が32%だった。また別の調査では、「蘇る」と答えた小学生は30%台だったが、中学生が50%を超えていた。
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子ども達のこういった現状を把握し、周りにいる身近な大人達が「命の大切さ」を伝えていかなければ、と思う。

ご対面

2006-08-23 | 日記
  

「幸せを運ぶ“ミー”」を見てくれた美奈子さんから、こんな写真が届きました。

パソコンの中の自分とご対面のミーちゃんです。
どんな気分なんでしょうねぇ。

それにしても子猫って可愛い!
昨日、うちの会社にも濃いグレーのキジトラの子猫が迷い込んできました。
売り場の方へ何度も行くので、その度に抱いて連れ出さないといけなくて。
ちょっと痩せ気味の女の子でしたが、ふわふわの毛が気持ちよかったです。

今、子猫がウロウロする時期なんですよね。
美奈子さん以外にも、今年子猫を拾って育てている友人がいます。
二匹目。
一匹目も迷い猫でした。今では、かしこい立派な大人猫に成長しています。
ミーちゃんも、キジトラちゃんも、元気に丈夫に育ってくれるといいのですが。

ちなみにキジトラちゃんは、漁師のおばちゃんが連れて帰ってくれました。
我が家も会社の周りも野良猫が多い環境。
我が家の隣家は魚屋さん。
ある日なんて、丸々1匹のサゴシを口にくわえ、得意気に背中をピンと反らし
颯爽と歩く猫の姿が…。
思わず、サザエさんの歌を思い出してしまいましたよ。。。

昔から猫は大好きなので、猫の立場から見ると「祝・今日のご飯!」なんですが、
魚屋さんのことを思うと複雑な情景でした。



幸せを運ぶ“ミー”

2006-08-23 | 日記
  
  はじめまして。 
  「海辺のねこ」のお友達、私「お茶屋さんのねこ」のミーと申します。 
  どうぞよろしくね。(わたし、上手にお辞儀もできるのよ♪)




子猫のミーちゃんは、先日のブログ日記ちょっぴり宣伝でご紹介しました、東京で暮らす友人・美奈子さんの家族です。
今日からちょうど2ヶ月前の6月23日。
お店の硝子戸を必死で引っかき舞い込んできて以来、一緒に暮らしています。

    

左の写真は、来たばかりの頃のミー。とってもおチビさんです。
野良の迷い猫。「はぐれたままだったら残り僅かの命だった」とお医者さんから言われたそうです。

真ん中の写真、桃を食べてます。岡山の特産!
いっぱい食べて大きくなぁ~れ。

右の写真、私の大好きな一枚です。見上げる瞳がクリクリのプリティガール。
ただ今、推定年齢0歳3ヶ月。
美人猫に成長するんでしょうねぇ、きっと。       

美奈子さんからは、可愛いミーの写メールが日々送られてきます。
それを見る度、優しい気持ちにさせてもらっています。
まさに「幸せを運ぶ“ミー”」ちゃん。

愛らしい姿をこれからもたくさん見せて、すくすくと元気に育っていってね。
幸せの招き猫さん!(^^)

*写真は全て“美奈子さん撮影”です。

甲子園の曲

2006-08-22 | 日記
3回続けて「高校野球」関連、日記。(笑)

小・中・高校生、そして大学生の“夏休みの宿題”を抱えている皆さん、進んでいますか~?
ここ二日ほど、高校野球について書いていて思い出したことが。

中学校3年生、「音楽」の夏休みの宿題で出されたのは、
 【縦笛で好きな曲を1曲マスターしてくること】
そしてそれは「2学期最初の音楽の授業で、皆の前で発表してもらいます」という条件?付き。

2学期が始まって、最初の音楽の時間。
今でも誰が何の曲を吹いたか、といわれて思い出せるのはH君だけ。

H君が演奏し始め、曲が何かを理解したとたん―。
思わず心の中で叫びました。
「あーーーーっ!甲子園の曲」

そうです。
全国高等学校野球選手権大会の大会歌「栄冠は君に輝く」(作詞:加賀大介、作曲:古関裕而)。

H君は野球部だったのです。
くりくり坊主頭の、野球少年。
夏休みも練習、練習。真っ黒に日焼けしていました。
夏休みに連日甲子園で繰り広げられる熱戦に、憧れを抱いていたんでしょうね。
あの音楽室での光景は、とても印象的で今でも忘れられません。


ちなみに私が宿題に選んだ曲はというと・・・。
フォスター作曲「Old Black Joe」

この曲が黒人霊歌だったことも、黒人霊歌とは何たるかということも、全く知らない状態での演奏。
私が吹いている途中、いきなり隣に立ち、一緒に笛を吹いてくれた先生。
突然の出来事に、あわてました。
何とか最後まで吹き終えたとき・・・。
「この曲は黒人霊歌といってね。」と皆に教えてくださいました。

この音楽の先生は、2年間担任を持っていただいた大好きな先生です。
忘れられない授業の思い出の一コマでした。