海辺のねこ

どんな日もかけがえのない一日。

F先生との想い出

2021-09-21 | ねこからの手紙

今年の始めに大学時代の恩師の訃報が届いた。
体調を崩されていることを聞いてはいたけれど、こんなに早く旅立たれるとは思っていなかった。

とても個性的な先生だったので、印象的なエピソードには事欠かない。
ゼミ仲間たちと電話やLINE等で連絡を取り合い思い出話をしたのだけれど、あんなことがあった、こんなことがあったと話が尽きなかった。
ここには面白エピソードではなく、今でも感謝していることを記しておきたいと思う。

それは、学科の全学生必修の講義の最初の時間でのことだった。
「今日は図書館に行きます」
そう言って先生は先頭に立ち、図書館の中をぐるぐると巡り案内し始めた。
「ここには辞典が、こちらにはこんなジャンルの本が」等と、大まかに次から次へと説明していく。
そして最後におっしゃった。
「自分で調べるのが勉強です」と。
この講義がきっかけで、その後に先生のゼミを選択したと言っても過言ではない。
“自分で調べることの大切さ”を学生生活の最初に教わったことはとても大きかったと思う。今も心に刻んだままだ。

あらゆる情報であふれている現在、その中からより良いもの・真実を見極めることに難しさを感じることがある。
特に今、コロナ禍でいろいろな情報が飛び交っている。中でも、いのちに直結する医療に関してはとても重要だ。
そんな時、恩師の姿勢と言葉を思い出す。
医療において基本の“き”を示した上で、それに沿って発信して下さる方の言葉は信頼できるし、ありがたい。

ここまで綴りながらずっと頭の中に浮かんでいたことがある。
「難しいことを難しく書くのは下手な文章だ。難しいことをやさしく表現できるのが上手い文章。人に伝わらなければ意味がない」
これも先生から教わったことである。
決して難しいことを書こうとしたわけではないけれど。
果たしてこの文章で、先生への思いが少しは伝わったのだろうか…。

F先生、最初の講義で一生ものの教えを授けて下さりどうもありがとうございました。
またいつの日か、先生の講義を聴けたらなと思います。

*写真は、大学4年の時のFゼミの仲間たち。撮影者はF先生。
 一番高いところまでのぼっているのが私です。
 楽しかったな。

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