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【七段花】
この花を眺めていると、思い出す二人の男性がいる。
ひとりは、幼馴染みのお父様。
「真理ちゃん、六甲の幻の花と呼ばれるアジサイをお客様から頂いたけ~、あげるわ」
と、ひと枝下さった。
挿し木にしたその枝から育った苗は、毎年可憐な花を咲かし続ける。
もうひとりは、父。
6月生まれだからだろうか、紫陽花が好きだった。
庭で数種類の紫陽花を育てていた。
あれから10年になるだろうか。
(絶対に似合うわ!)と見つけた七段花が描かれたシャツを、誕生日に贈ったことがある。
父はとてもお洒落だったので、プレゼント選びも楽しませてもらった。
幼馴染みのお父様と、私の父。
ふたりとも緑の手を持っていて、本当に花を咲かすのが上手だった。
今頃きっと、空の上で園芸話に花を咲かせていることだろう。
今年も、七段花の咲く季節になりました。