海辺のねこ

どんな日もかけがえのない一日。

鎮魂

2015-03-16 | 音楽
今回で第七回を数える「日本縦断和太鼓コンサート」、テーマは「鎮魂」でした。

第一回から今回までずっと毎年チケットを購入していますが、実は一度だけ観に行けなかった回があります。
それは、2011年3月13日に開催された第三回。
東日本大震災直後であり、父のことがあって必要最低限しか家から出なかった時でもありました。
後日、観に行った友人から聞きました。
思いが込められたとても素晴らしいコンサートだったと。

今回のコンサートももちろん、太鼓・笛・津軽三味線・歌のどれもが素晴らしかったです。
さらには、第三回のコンサートに触れながらのMCも。
倉敷天領太鼓・小山代表の「忘れない」という言葉が心に沁みました。
藤本容子さんのおっしゃった「太鼓の音も声も波動です。波動は消えません。目に見えないけれど、遠くまで届いて励みになればと思います」という内容のお言葉が印象的でした。

藤本さんの話を聴きながら思い出したことがあります。
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いつか読んだ本(『ものがたり交響』谷川雁)にこんなことが書いてあった。
“すべての物質は化石であり、その昔は一度きりの昔ではない。いきものとは息をつくるもの、風をつくるものだ。太古からいきもののつくった風をすべて集めている図書館が地球をとりまく大気だ。風がすっぽり体をつつむ時、それは古い物語が吹いてきたのだと思えばいい。風こそは信じがたいほどやわらかい、真の化石なのだ”
星野道夫『イニュニック[生命]』(新潮文庫)
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もしかすると、今、私の周りを包んでいる風は、遠く離れた場所であなたがおこしたものかもしれません。
呼吸をしたり、話をしたり。
かつて、太鼓を打って、楽器を演奏して、歌を歌っておこした風かもしれません。

今日も風を感じて過ごします。
私もあなたを忘れない。



【追記】
会場で、お仲間さんはもちろん、幾人もの知り合い(中にはとっても久しぶりの方も)に出会いました。
同じ時を過ごし思いを共有した皆さん、どうもありがとうございました。