<歩く様子は、まるで動物の歩行と同じ…>
北海道内では、テレビや新聞で「風を食べて動く生命体・ストランドビースト展」の宣伝がされています。風を動力源として、砂浜を走る新しい生命体を、オランダ語で、ストランド(砂浜)ビースト(生命体)といいます。それは、オランダのアーティスト「テオ・ヤンセン」よって、生み出されました。この作品展は北海道では初めてであり、日本初公開作品5点を含む12点が展示されています。実際に動く巨大なストランドビーストを、体感できるほか、その構造や動きの仕組みを明らかにし、テオヤンセンの作り出す世界の魅力に迫ります。(一部、パンフレットによる)
ということで、興味津々、8月3日(土)に、札幌に行く機会があり、会場の「札幌芸術の森」に行ってきました。一般的に芸術作品は写真撮影禁止が多いのですが、この作品展はすべて写真・動画の撮影がOKなのがうれしいですね。
芸術の森へは、札幌駅から地下鉄南北線で終点真駒内まで約20分ほど。さらに30分ごとに運転されている芸術の森行きのバスで30分ほどです。通常1300円の入場料が65歳以上の高齢者は1100円でした。展示会場は二つに分かれていて、芸術の森バス停に近い、第2会場(工芸館)は入場無料、さらに奥の第1会場(芸術の森美術館)が有料となっています。
巨大なストランドビーストが、風を受けてオランダの砂浜を走るさまは、まさに圧巻。
芸術の森入り口のバス停にはテオ・ヤンセン展の巨大広告が立っている。黄色っぽい紫陽花が今が最盛期と花を添えています。
第2会場に入ると、巨大な竹細工のような作品が数点目に飛び込んでくる。
少し撮影位置をずらすと、前方に大きな耳を持ち、体中が波打つ巨大なムカデのようにも見える。最初これらの作品は竹細工のように見えましたが、ビニールパイプだそうです。日本では塩ビ管と呼ばれるネズミ色のパイプ(水道管に使われる)ですが…オランダでは黄色っぽい色なんだそうです。
オランダの砂浜を歩くストランドビースト。2017年製作で「アニマリス・ムルス」(高さ3m、幅13m、奥行き6m)と、オランド語の作品名がつけられています。
主要な作品には、このようなポスターが壁に貼られています。上の丸みを帯びた画像は、このポスターを魚眼レンズで撮ったものです。
さて、入館料を払って、第1会場に入ってみます。土曜日ということもあって、結構な数の入館者がおります。
館内なので風はないので、手押しで体験できるコーナーもありました。私もこの作品を前後に動かしてみましたが、意外と軽かったことにびっくりでした。
ストランド・ビーストを構成する材料が展示され、組み方が示されています。左のパイプが骨格をなすメイン材料です。一見、色から察して竹のように見えますが、これはビニールパイプなんです。日本では大型店の資材売り場で、誰でも購入できるビニールパイプ(塩ビ管)です。右は使用済みのペットボトル。ここに空気を取り込んで、足の部分に送風します。
様々な部品を組み合わせ、結束バンドでつなぎます。
パイプを加工している光景が放映されています。
砂浜は平たんではありません、ムカデのように歩くのが効率的なようです。
大広間では、歩行実験用のビーストが待機中でした。1時間ごとに実験が行われます。
室内には一目見ようと大勢の見学者が集まってきました。いよいよ実験ですが、室内なので、風がありません。
左端に座るオランダ人の係員が、コンプレッサーから、ペットボトルに、圧搾空気を注入します。すると前方のビーストが正面の観客に向かって数歩歩きだしました。
観客の目の前まで歩く様子に、大きなため息と拍手が沸き上がりました。
館内の一角には、ストランドビーストのミニチュア判が数体置かれていて、うちわでスクリュー型の羽を仰ぐと、動き出しました。
スクリュー型の羽は、日本でいう風車に似ていて、風を受けた方向とは違う、45度の方向に進みます。これらのミニチュア判のビーストは、1セット2500円でお土産品として販売されておりました。
<テオ・ヤンセン氏 略歴>パンフレットから転載