ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

人質の朗読会/小川洋子

2016-01-16 | 読書
遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた。
紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる。
祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは人質たちと
見張り役の犯人、そして…
しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。
(「BOOK」データベースより)

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もうこれは完全に小川ワールドですね。
すごく良かった

地球の裏側のとある国でのツアー旅行中、反政府ゲリラに人質として
捉えられてしまった8人の日本人が紡ぐ8つの物語。
人質たちは閉じ込められた山小屋で、
「自分の中にしまわれている過去、未来がどうであろうと決して
 損なわれない過去の思い出」を朗読しようと決める。


やまびこビスケット
B談話室
冬眠中のヤマネ
コンソメスープ名人
槍投げの青年
死んだおばあさん
花束

それぞれの人生で、ある日すっぽりと異次元に迷い込んだような
不思議な体験。
自分にも、人生で何かひとつでも語れるような物語があるだろうか。

「冬眠中のヤマネ」は好きだったな~
露店商の老人と、中学生の僕の奇妙な物語。
片眼の老人が路上で売る手作りの縫いぐるみは、どれもガラクタかと見間違うほど
奇妙なものばかり。
アルマジロ、オオアリクイ、疥癬で脱毛したアライグマ、ラクダとアルパカの混血…

どんなに想像力を働かせても、その縫いぐるみ達の造形が浮かばないのは
逆に面白かったな
頭の中で漠然と描いていた、冬眠中のヤマネも、最後に「ボケットの中に」とか
「キーホルダーとして」などと書いてあり、
「え!そんなに小さいモノだったの? 」と一人驚き…(笑

本当にもう、小川さんの創造の世界には凡人の私はついていけません!


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