ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

惑いの森~50ストーリーズ~/中村文則

2015-01-30 | 読書
植物になりたいと願う青年。毎夜、午前一時に現れる男。
言葉を探し続ける郵便局員―どこか奇妙で、愛おしい人々。
切なく、温かいショート・ストーリー集。
ゆるやかに連鎖していく、それぞれの人生の、50の物語。
(「BOOK」データベースより)

==========================================
Web文芸誌『マトグロッソ』(そんなのあるんだ!初めて知った)に
掲載された28編に、書下ろし22編を足しての作品のようです。
1、2ページずつの本当のショートストーリーですが、まさに深い森に迷い込んで
いくような、不思議世界。私はこういうの好きなんです~

文則くんらしさを形成する、小さな要素のよう。
脈絡もない空想だったり、ある作品の基礎と思わせるものだったり、
自身の人格だったり。

中でも、Nの憂鬱、Nの失踪、Nの逮捕・・・などの
『N』シリーズ(自分のこと、ね)は、なかなか面白かったな!
彼にこんなユーモアがあったなんて、ちょっとホッとしたくらい。
もちろん、ブラックですけどね!(笑

物悲しい夜に、パラパラと適当にページを繰って、1つ2つ読むと
ちょっとだけ現実ではないどこかへ連れてってもらえるような本かな



去年の冬、きみと別れ/中村文則

2015-01-25 | 読書
ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。
彼は、二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けていた。
調べを進めるほど、事件の異様さにのみ込まれていく「僕」。
そもそも、彼はなぜ事件を起こしたのか?
それは本当に殺人だったのか?
何かを隠し続ける被告、男の人生を破滅に導いてしまう被告の姉、
大切な誰かを失くした人たちが群がる人形師。
それぞれの狂気が暴走し、真相は迷宮入りするかに思われた。
だが―。日本と世界を震撼させた著者が紡ぐ、戦慄のミステリー!
(「BOOK」データベースより)

================================================
いよいよ文則作品全制覇が目前に近づいてきましたー

本作は、今までのような、ある人間の暗部を深く探るというテイストではなく
あくまでもストーリーを重視した、どちらかというとエンターテイメント性が
高いものですね。
相変わらず暗くて重いことには変わりはないけど、テンポとか構成とかで
サクサク読めて、面白かったです。

ただねー、カポーティの「冷血」と、芥川の「地獄変」のこと言いすぎ!(笑
言いたいこと分かるけど・・・
もっと文則くんらしさを表現して欲しかったなぁ。

どなたかのレビューに書かれていた通り、
『ストーリーに重きを置こうとするほど、筆者の持ち味であった文章が
失われていくのを感じる。』
って、うん、納得!!

これからが楽しみです。
「掏摸」がピークであってほしくない



ブルージャスミン

2015-01-21 | 映画
ジャスミン(ケイト・ブランシェット)は夫ハル(アレック・ボールドウィン)と
ニューヨークで贅沢な生活を送っていたが、全てを失い、サンフランシスコに
暮らす妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)のアパートに身を寄せる。
過去のセレブ生活にとらわれ、神経をすり減らしていたジャスミンだったが、
ある日お金持ちの男性ドワイト(ピーター・サースガード)と出会い、
自分の身の上について嘘をついてしまう。
(Yahoo!映画あらすじより)

====================================================
ケイト・ブランシェットがすごいね。やっぱり。
心のバランスを崩して、大きな声で独り言つぶやきながら歩くおばさん!
リアル!!

莫大な財をなした夫も、実は法に触れるか触れないかのグレーゾーン。
今までは能天気に夫の仕事には無関心でいたジャスミンも、浮気が発覚するや
一気にキレて警察に夫の不正を通報し、自分も全てを失う。

贅沢な暮らしが本来のあるべき場所。
スマートなライフスタイルが本当の私。
妹の彼氏を蔑み、田舎の生活を小バカにして、周りを敵だらけにする姿は
痛々しいんだけど、なんだか彼女を憎めないのはどうしてでしょう。
人って誰にでも、自分を良く見せたいがための、ちょっとした嘘って
多かれ少なかれあると思うんだよね…。

人生のどん底に突き落とされて、精神を病んでいくという悲惨なストーリーでは
あるものの、どこかしらユーモラスで悲壮感が無いのは、ウディ・アレン監督の
目論みでしょうか?

そしてラストシーンもまた良い!
いつでもハッピーエンドとはいかない。
堕ちたからって再生の物語が準備されてるわけではないのだ。
でも、何とか生きていくしかないのです!

風立ちぬ

2015-01-16 | 映画
大正から昭和にかけての日本。
戦争や大震災、世界恐慌による不景気により、世間は閉塞感に覆われていた。
航空機の設計者である堀越二郎はイタリア人飛行機製作者カプローニを尊敬し、
いつか美しい飛行機を作り上げたいという野心を抱いていた。
関東大震災のさなか汽車で出会った菜穂子とある日再会。
二人は恋に落ちるが、菜穂子が結核にかかってしまう。
(Yahoo!映画あらすじより)

===================================================
本作は賛否両論あったみたいですが、私は好きでした!!
確かに、子供向けではないね

現実世界と二郎の空想世界のパラレルワールドが不思議な感覚を作り出して
画面の美しさに拍車をかけていますね。
そう、とにかく美しいんです

純粋に美しい飛行機を作りたいという技術者としての熱い思いは、
ゼロ戦という悲惨な戦争の道具の製造とは、全く別の世界として描かれています。
そこへ、同世代に生きたというだけで(そうなのか?
堀辰雄の「風立ちぬ」とコラボさせたというのが、さすが宮崎駿の手腕なんでしょうね。
単なるゼロ戦設計者のお話に終わらせず、結核患者との切ない恋愛物語だけでもなく。

観終わった後の、寂寥感&放心感・・・
こういうのって、なかなか今までのジブリではありませんでしたね。

いやはや、とっても良い映画でした

小さいおうち

2015-01-15 | 映画
健史(妻夫木聡)の親類であった、タキ(倍賞千恵子)が残した大学ノート。
それは晩年の彼女がつづっていた自叙伝であった。
昭和11年、田舎から出てきた若き日のタキ(黒木華)は、
東京の外れに赤い三角屋根の小さくてモダンな屋敷を構える平井家の
お手伝いさんとして働く。
そこには、主人である雅樹(片岡孝太郎)と美しい年下の妻・時子(松たか子)、
二人の間に生まれた男の子が暮らしていた。
穏やかな彼らの生活を見つめていたタキだが、板倉(吉岡秀隆)という
青年に時子の心が揺れていることに気付く。
(Yahoo!映画あらすじより)

============================================
メインストーリーがタキの自叙伝(回想)で進んでいくっていう構成が、
話に厚みが出てて良かったな~。

確か、この映画で黒木華ちゃんが何か賞を取ったと記憶してるけど
本当にこの子は何とも言えない不思議な魅力を持ってるねぇ。
美人でもないんだけど、印象深いステキなお顔

裕福な奥様と若い青年との禁じられた恋、ってありがちなやつですけど
私が、どーもモヤモヤしているのは、奥様が板倉青年と会って家に戻ってきた時
タキちゃんが「出かける前と、帯のお太鼓の模様が右と左と逆だ…」と気付き、
奥様の不貞を勘ぐるというシーン。

逆に巻いていくと、お太鼓部分には手先の筋が付くだろうし、いくら慌てたとしても
これはあり得ないのではないか?と、一番ピリッとさせるシーンで
ウダウダ考えこんでいる間に、話が進んでいっちゃいました(笑

そ。
半年ほどまえから着付けを習い始めまして(!)
こういう細かい事に気付けるのも、これはこれで進歩かと

あ、上手に着物が着られるようになる!ってのは今年の目標の1つかもね。
話逸れましたが、映画はなかなか良かったですよ。
松たか子の着物ファッションもステキで見ごたえあったし


こんな風に暮らしていきたい

2015-01-15 | 日記
今更ですが、明けましておめでとうございます。
2015年ですって
エヴァンゲリオンの設定の年になっちゃいましたが、
使徒の襲来もなく、平和に年が明けてよかったです。

今年の抱負っつーの?目標とかバシっと決めなきゃ
このままダラダラと無為に年を重ねていきそうですが、
今ごろあけおめブログとか書いてる時点でダメですね。
だったら焦らず、今月いっぱいかけて考えるか!

まずは年末年始に観ためた映画の感想文などをボチボチ
アップしていきたいと思います。


こんな風に陽だまりでウトウトしながら幸せ感じられるような
平穏な一年を願いつつ・・・

今年もよろしくお願いします