ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

花様年華

2014-11-27 | 映画
「欲望の翼」「ブエノスアイレス」のウォン・カーウァイ監督が
トニー・レオン、マギー・チャン主演で描く大人の恋愛ドラマ。
1962年、香港。新聞社の編集者であるチャウ(トニー・レオン)夫妻が
アパートに引っ越してきた日、隣の部屋にもチャン(マギー・チャン)が
夫と引っ越してきた。
チャンは商社で秘書として働いている。
ふたりとも忙しく、夫や妻とはすれ違いが多かった。
やがて、チャウは妻がチャンの夫と不倫していることに気づく。
怒るチャウは復讐心からチャンに接近するのだが……。
(Yahoo!映画解説より)

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トニー・レオンがエロくてカッコよくてシビレる件。
…は置いといて

まぁ、とにかくウォン・カーウァイ的映像美。
こんな映像は他ではあんまり無いんでしょうね。
色使いが素晴らしい。
あと、映像の美しさと音楽とがあまりにもマッチしすぎていて
陶酔しちゃう

マギーちゃんの美しさはもちろん、シーンごとにくるくる変わる
ドレスの柄が素敵すぎて、更なるその美しさたるや、筆舌に尽くしがたい。

と、終始まるでアートを見ているような受け止め方ですが、
ストーリーも、切ない大人の寸止め恋愛なカンジがこれまた
たまらん。

恋愛映画はこういう物悲しいストーリーにつきます。
儚いからこそ美しいのよん

忘れられたワルツ/絲山 秋子

2014-11-27 | 読書
地震計を見つめる旧友と過ごす、海辺の静かな一夜(「強震モニタ走馬燈」)、
豪雪のハイウェイで出会った、オーロラを運ぶ女(「葬式とオーロラ」)、
空に音符を投げる預言者が奏でる、未来のメロディー(「ニイタカヤマノボレ」)、
母の間男を追って、ピアノ部屋から飛び出した姉の行方(「忘れられたワルツ」)、
女装する老人と、彼を見下ろす神様の人知れぬ懊悩(「神と増田喜十郎」)他二篇。
「今」を描き出す想像力の最先端七篇。
(「BOOK」データベースより)

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久しぶりのイトヤマさん。短編でもイトヤマさんらしさ全開す。
「恋愛雑用論」
「強震モニタ走馬燈」
「葬式とオーロラ」
「ニイタカヤマノボレ」
「NR」
「忘れられたワルツ」
「神と増田喜十郎」

どのお話も、震災後の「今」の何気ない日常。
でも、震災のことを真正面から書いているわけではなくて、
うっすら匂わせるだけ。

その事が今に直接繋がっているわけではないけど、「風が吹けば~」方式で
何かが遠くどこかで影響しあい、今の日常があるというような不思議な空気感
でした。

きっと何度も読めば読むほど味が出てくるような感じかな~

モチーフとしては村上春樹の「神の子どもたちはみな踊る」にちょっと
似てなくもないけど、あそこまで直截的ではなくて、
そこはイトヤマさんらしく、柔らかくスッと心に響くようなストーリーでした。

伊坂幸太郎が、書評で
「今年一冊しか読めないのならば、この本を読めばいいような気がします。」
と言っていたらしいのですが、私にはそこまでの感受性が無く…


☆☆

世界の果て/中村文則

2014-11-26 | 読書
部屋に戻ると、見知らぬ犬が死んでいた―。
「僕」は大きな犬の死体を自転車のカゴに詰め込み、
犬を捨てる場所を求めて夜の街をさまよい歩く(「世界の果て」)。
奇妙な状況におかれた、どこか「まともでない」人たち。
彼らは自分自身の歪みと、どのように付き合っていくのか。
ほの暗いユーモアも交えた、著者初の短篇集。
(「BOOK」データベースより)

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今までに無いテイストでしたねぇ。
全てが夢の中…のような、不思議な異次元の世界観。
ねじれた世界にふと迷い込んでしまったような。

・月の下の子供
・ゴミ屋敷
・戦争日和
・夜のざわめき
・世界の果て
の5編からなる短編集ですが、表題作「世界の果て」は、更に
5つのストーリーからなる連作超短編、という趣向を凝らしたもの
でした。
嫌いじゃなかったかなー。暗いけど
自分の部屋で死んでいた知らない犬を、どこかに捨てようと
一晩中、自転車に乗せて彷徨うその姿は、悲しいような
どこか可笑しいような…
犬って、彼のストーリーの中では、受難の象徴みたいになってんだよね。

本人が後書きで書いているように、
「世の中に明るく朗らかな小説だけしかなくなったら、
それは絶望に似ているのではないかと個人的には思っている」
とあるように、うん、自他共に認める暗くて暗い小説!!

もっと突き進みます!


☆☆

何もかも憂鬱な夜に/中村文則

2014-11-20 | 読書
施設で育った刑務官の「僕」は、夫婦を刺殺した二十歳の
未決囚・山井を担当している。
一週間後に迫る控訴期限が切れれば死刑が確定するが、
山井はまだ語らない何かを隠している―。
どこか自分に似た山井と接する中で、「僕」が抱える、
自殺した友人の記憶、大切な恩師とのやりとり、
自分の中の混沌が描き出される。
芥川賞作家が重大犯罪と死刑制度、生と死、
そして希望と真摯に向き合った長編小説。
(「BOOK」データベースより)

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文則に戻ってきました…が、何もかも憂鬱だ
また重い塊が圧し掛かる。

ただ、今までの雰囲気とは少しだけ違うような。
根底に流れるテーマは同じなんだけど、死刑制度というリアルな部分が
浮き彫りになってるからかな。
より心に響く部分が多かった。

死刑を執行するなら、確実さと、公正さが必要。
マスコミや世間が騒ぐか騒がないかで影響されるようじゃ、
”死刑”という人殺しの理由が不確実すぎて、刑務官はたまらない。

というような、主任の言葉が深く心に残ったな。
こういう話はよく耳にするけど、正常な精神ではもたない。

被害者の遺族にとっては、殺してやりたい犯人でも、刑務官にとっては
毎日会話を交わし、時には心まで通わせられるような、単なる人間だと
思うと、殺人の責任と、その人のもつ命とは、別物なのか、と。
深く考えさせられましたね。。。

時系列に読んでいっていますが、文則の思いと表現が次第に明確に
なってきている気がする。
生と死。

本当に、昨今稀に見るスゴイ作家だよね。



だから荒野/桐野夏生

2014-11-19 | 読書
46歳の誕生日。身勝手な夫や息子たちと決別し、主婦・朋美は1200キロの旅路へ
「家族」という荒野を生きる孤独と希望を描き切った桐野文学の最高峰!
(「BOOK」データベースより)

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いや~、久しぶりの桐野大先生。
いまだかつて、こんなに読後感の爽やかな作品があったでしょうか!(笑

同年代主婦の立場として、すごく小気味よいストーリーで
だからこそ入り込めたのかな。一気に読んじゃいました

主婦って、何でもやって当たり前の存在なんだよね。
夫や子供達からは文句ばかりで、感謝の言葉などかけられたことは
一度も無い。
自分の誕生日なのに、自分で予約したレストランまで運転手をさせられ、
おめでとう、と言われるでもなく、店の料理が不味いやら、だからお前の
料理は下手なんだやら、ぶつぶつ言われれば、そりゃー反旗を翻すさ!

いきなりそのまま車ごと家出するなんて、慎重派の私には、とても
そんな勇気は無いけど、でもやれたらきっと気持ちいいだろうな~って。

色々な人に騙され、世の中は疑うことだらけで、でも家は荒野で。
八方塞り。逃げ場ないじゃん!
でもこれは、希望の物語なんです。

後味悪いのが醍醐味の桐野さんなのに、なんだか人が変わったみたいに
爽快だし、それがちょっとコナレテないから、☆は4つで!



ガソリン生活/伊坂幸太郎

2014-11-17 | 読書
実のところ、日々、車同士は排出ガスの届く距離で会話している。
本作語り手デミオの持ち主・望月家は、母兄姉弟の四人家族(ただし一番大人なのは弟)。
兄・良夫がある女性を愛車デミオに乗せた日から物語は始まる。
強面の芸能記者。不倫の噂。脅迫と、いじめの影―?
大小の謎に、仲良し望月ファミリーは巻き込まれて、さあ大変。
凸凹コンビの望月兄弟が巻き込まれたのは元女優とパパラッチの追走事故でした―。
謎がひしめく会心の長編ミステリーにして幸福感の結晶たる、チャーミングな家族小説。
(BOOKデータベースより)

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異色!!
だって・・・主人公は「車」なんですもん。
緑のデミオ。
終始、車が語るんです。「僕」って…
喋って・考えて・推理するんです。

この何とも奇妙な世界観に入り込むまで、若干時間がかかりましたが
そこはさすがに伊坂くん。
ストーリーは抜群
いつものように張り巡らされた伏線と、程よいタイミングでの回収、
ドキドキハラハラ感と、クスッと笑える感と、ホロリと切なくなる感。
あの、よく分析とかに使われる五角形のチャートあるじゃない?
あれの分布が完璧なんですよね!

まぁ、擬人化するにも程があるって感じはしますが、
開いた口が塞がらない→ 開いたボンネットが塞がらない
地に足が付いていない→ 地にタイヤが付いていない
などとデミオくんがペラペラよく喋るので、途中からだんだん面白くなってきてね

でも、実はこうやってモノにも心があるのかも。
もっと色々なモノ、すぐに捨てずに大切に使わなきゃ・・・
と反省したような、してないような

途中、ちょっとしたエピソードで、別の小説のネタを差し込んだりする
(やっぱりアノお金は警察官が盗んだのか!?笑)
遊び心はさすがだし、気持ちよく謎も解決して、そして最後はホッコリ

やっぱり、伊坂はイイネ!





菊葉荘の幽霊たち/角田光代

2014-11-13 | 日記
友人・吉元の家探しを手伝いはじめた“わたし”。
吉元が「これぞ理想」とする木造アパートはあいにく満室。
住人を一人追い出そうと考えた二人だが、六人の住人たちは、
知れば知るほどとらえどころのない不思議な人間たちばかり。
彼らの動向を探るうち、やがて“わたし”も吉元も、
影のようにうろつきはじめている自分に気づき…。
奇怪な人間模様を通じて、人々の「居場所」はどこにあるかを
描く長篇。
(「BOOK」データベースより)

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なんだか不思議なお話だったなぁ…

でも、縁もゆかりも無い東京で、隣近所との付き合いも無いマンションに
住んでいる私としては、分からないでもないかな。
今の住まいが「自分の居場所」と言い切れるか??

家ってなんだろう。
家族がいて、その土地に愛着を持って、心寛げる場所?

子供の頃、親に守られ、兄弟でワイワイ言いながら楽しく過ごしていた、
あれこそが『家』だったのかな…。
今の自分にはそれが持てていないし、そういう場所に憧憬とか羨望とかが
あるってことは、居場所lessなのかしら。

ある意味、深すぎる小説です。
どよーん



真夏の方程式/東野圭吾

2014-11-12 | 読書
夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家経営の旅館で過ごすことになった少年・恭平。
一方、仕事で訪れた湯川も、その宿に宿泊することになった。
翌朝、もう1人の宿泊客が死体で見つかった。
その客は元刑事で、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。
これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは。
(「BOOK」データベースより)

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珍しく読書熱とスピードが加速しています。
そういえばコレ読んでなかったなぁ~、と東の圭吾。

読みやすい文体、一気に読ませるストーリーはさすがですが
彼の作品によくあるタイプの『献身系』ですねー。
小説なんだから、フィクションと分かってはいるものの、
非現実的すぎて「普通そこまでしないでしょ!」と、
本来の感動ポイントで心の底から感動できない…
(私の性格に問題アリなんだとは思うけど。)

いくつかの事件と過去・現在が絡み合っているんだけど、
でも結局、メインストーリーの殺人の動機は曖昧模糊としているし
トリックも、うーーーーんって感じで、
最後ちょっと失速、というのが正直なところかな。

湯川教授が完全に福山雅治になっとるのも、いけん。
やっぱりあまりにも鮮明にビジュアル化されると、自分の読書世界に
浸れない部分ってあるよね~


☆☆

紙の月/角田光代

2014-11-09 | 読書
わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が1億円を横領した。
梨花は海外へ逃亡する。
彼女は、果たして逃げ切れるのか?
あまりにもスリリングで狂おしいまでに切実な、角田光代、待望の
長篇小説。
(「BOOK」データベースより)

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一気に読んじゃったなぁー。
横領したお金、いつバレるんだろうと、ドキドキしちゃって

とにかく、出てくる女性は全員狂ってます。
お金や経済が、人間の価値、人生の価値を決めると信じて疑わず
でも、その信念を突き進んだ終着点には、何だか物悲しい荒涼とした
心の砂漠のようなものが待ち受ける。
果たして彼女達は、どこで間違ってしまったんでしょう。

いや、間違ったというか、お金に捕らわれるのって、これはもう完全に病気か。
心の病。
物事の善悪とか、モラルの問題とかじゃなくて、病気なんだから仕方ない。
お薬飲んで治るといいのに…

お金はあっても無くても苦しいのかな。
「助けて、助けて」と、みんな苦しんでた。
「早く見つけて、ここから出して」という全員の心の叫びは痛々しいばかりで
さすが角ちゃん、描写力が素晴らしい

生まれながらのお金持ちは別だけど、殆どの一般人は、毎日スイートルームで
シャンパン開けたり、値段も見ずにデパートで買い物したりしても、
いつかそれが楽しくなくなる瞬間が来るってのは、何となく分かる気がする。
分相応に生きるのが、平和でしょう。

映画、公開中だっけ?
宮沢りえは、良い演技するんだろうな~





ブルーバレンタイン

2014-11-06 | 映画
結婚7年目を迎え、娘と共に3人で暮らすディーン(ライアン・ゴズリング)と
シンディ(ミシェル・ウィリアムズ)夫妻。
努力の末に資格を取って忙しく働く妻シンディに対し、夫ディーンの仕事は
順調ではない。お互い相手に不満を募らせながらも、平穏な家庭生活を何とか
守ろうとする2人だったが、かつては夢中で愛し合った時期があった…。
(Yahoo!映画あらすじより)

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・・・最近「何でこの映画借りたんだっけ?」とDVDが届いてから思うことが
多い。ボケ?

観終わってから再度「この映画、何だっけ?」とネットを覗く。(重症
サンダンス映画祭やカンヌ国際映画祭などで注目されたんだね。
ふむふむ。(だからかなぁ??

多分、その道のプロの目線から言うと、映像美がうんたら、
瑞々しい感情の動きがうんたら、かんたら、ぽんたら…となるのかも
しれませんが、恋愛感情が欠落している私から見て簡単に言うと、
「若い頃に熱烈に愛し合って結婚しても、そのうち醒めてしまうものよ。」
っていう映画です

だって、他人の子を妊娠してる彼女を、愛してるからと丸ごと受け止めて
家族になろうなんて、そんなに優しく愛されたのに、「もう無理!」とか
すぐに諦めない!!
なーーんて思ってしまう、体育会系の考え方。間違ってます…かね?
男女の機微は奥深いのです。

すみません。
やっぱり恋愛映画は向いてないな