ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

静かな爆弾/吉田修一

2016-10-31 | 読書
テレビ局に勤める早川俊平はある日公園で耳の不自由な女性と出会う。
音のない世界で暮らす彼女に恋をする俊平だが。
「君を守りたいなんて、傲慢なことを思っているわけでもない」
「君の苦しみを理解できるとも思えない」「でも」
「何もできないかもしれないけど」「そばにいてほしい」。
静けさと恋しさとが心をゆさぶる傑作長編。
(「BOOK」データベースより)

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海の底のような、静かな小説でした。。
文章で、ここまで寂寞とした雰囲気が出せるのか!すごいぞ、修一

恋愛小説でありながら、報道の世界で仕事に追われる俊平の躍動感との
コントラストが、余計に響子の静かな世界を際立たせている。

音のありすぎる世界の怖さ、不気味さ。
健常者としては当たり前のことが、響子と一緒にいることで
恐怖という側面を帯びてくるってのが、なるほど、考えさせられました。
最後の神宮球場の場面ね…
私の中では観客全員がデスマスクをしているようなイメージに変換。
一つの事象は見る人・感じる人によって全く違うんだなぁ

あと、書きすぎてないのがよろしい!
恋愛小説なのに、クールで淡々として、何も余計なことを書いていない。
途中で、この2人は本当に恋人なんだっけ?と確認したくなるくらい
恋愛に関する描写は無い。
なのに、秋の終わりのような物悲しく寂しい時に、一枚のブランケットに
包まれるような2人の淡く暖かい優しさのようなエンディング!
なんて、なんて素敵な小説でしょう。
久しぶりにまた吉田修一をいくつか読んでみよう。
うん。


⭐︎

カイロ・タイム〜異邦人〜

2016-10-18 | 映画
ジュリエット(パトリシア・クラークソン)は、国連で勤務する夫のマーク
(トム・マッカムス)と合流してバカンスを過ごす目的でカイロを訪れる。
だが、空港には夫の姿はなく、かつて彼の警備担当だったエジプト人タレク
(アレクサンダー・シディグ)が彼女を迎えに来ていた。
マークの到着が遅れるとわかり、 ジュリエットはタレクの経営するコーヒー店を
のぞきに行く。
(Yahoo!映画あらすじより)

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カイロというエキゾチックな街並み、そして象徴のピラミッド。
惹かれ合う二人。
はかなくて切ない大人の恋
もう、ただそれだけで美しい映画でした〜。うっとり

突然、知らない土地に一人でほったらかされたら。
そこに素敵なエジプト人の男性が優しくガイドしてくれたら。
そしてその場所が美しいなら。

あんた、そりゃーーねぇ!
もう、やーね。

ようやく二人の心が通い合ったところに、戻ってくるよね〜、旦那が。
まぁ普通のシナリオならそれが定石だよね〜。

刺激的なストーリー展開があるわけではないけど、
切ない出会いが風景にマッチする、綺麗な映画でした。
音楽も良かったな。

そう、すべては秋のせい

痴人の愛/谷崎潤一郎

2016-10-14 | 読書
生真面目なサラリーマンの河合譲治は、カフェで見初めた美少女ナオミを
自分好みの女性に育て上げ妻にする。
成熟するにつれて妖艶さを増すナオミの回りにはいつしか男友達が群がり、
やがて譲治も魅惑的なナオミの肉体に翻弄され、身を滅ぼしていく。
大正末期の性的に解放された風潮を背景に描く傑作。
(「BOOK」データベースより)

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読書の秋ですからね。
たまには日本文学を再読してみるのも、これまた一興かと思いきや
谷崎って殆ど読んだことないじゃん!

夏目漱石、芥川龍之介、太宰治…あたりが好きでたくさん読んだけど
意外や谷崎さん未読でした。

それにしてもやっぱり近現代文学は、肌に合います。好きです。
何とも言えないあの独特の語り口調と雰囲気が。
旧字体だから時々読めないのに入り込めるあの世界観が(おい!

主人公が「ナオミ」ってことだけは知ってたんだけどね(有名か。
噂に違わず悪い女でしたよ〜。
でも、あらすじにあるような、どぎつい感じではないよ。
きっと当時はショッキングな内容だったのかもしれないけど、
今読むと、まったく。むしろ健全ですね!
表現は品行方正、全然エロくないのに、妖艶な感じが出せるってとこが
日本文学の素晴らしさかな!

今の小説家たちは、表現が露骨すぎるんだよね。
グロかったりエロかったり仔細に説明しすぎるときあるよね。
そこまで書かなくても、読み手の力を信じて欲しいわ…
なーんてね。何で上から?笑(まだボブ・ディランの余波が…

とにかくしっかりしろ、譲治!
いつの時代もお前のような男がいるからダメなんだ

⭐︎

リトル・フォレスト〜夏・秋/冬・春〜

2016-10-06 | 映画
映画もね、結構見てて感想が溜まってるんだけど、なかなかアップできずにいます…
とりあえず、秋の夜長にオススメなのは、コレ


都会で生活してみたもののなじめなかったいち子(橋本愛)は、
故郷である東北の小さな集落・小森に戻ってくる。
近所にはスーパーもコンビニもないため、自ら作物を育て、
野山で採ってきた季節の食材で日々の食事を作り、
自給自足の生活を送っていた。
不便ではあるが季節の移ろいを感じ、自然の恵みを食べながら、
いち子は生きる活力を蓄えていく。(夏・秋)

都会から東北の小さな山村・小森に帰郷したいち子(橋本愛)は、
自ら農作業に励み収穫した作物や、山菜、木の実など四季折々の恵みを
使って日々の食事を作る生活を送っていた。
冬は雪に覆われるなど自然の厳しさに改めて直面するも、
生きるために食べ、食べるために自分で作るシンプルな暮らしを通じ、
自分の生き方を見つめ直していく。(冬・春)
(Yahoo!映画あらすじより)
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生きるとは食べること。
食べるとは自然と向き合うこと。
何か特別なストーリーがあるわけではなく、小森という村の四季を全身で
感じながら暮らす一人の女性を描いた、本当にシンプルな映画です。
ただそれだけなのに、飽きさせず、見入ってしまいました。

2本立てだし、長くはあるけど、本当に良い映画です
※ちなみに「夏・秋」から見なきゃダメですよ。順番大事です

結局は、季節のものをシンプルにいただくのが何よりのご馳走なんだよね!
都会にいると、豪華なレストランやオシャレな料理が溢れていて
ご馳走の定義が違ってくるんだけど、やはり私はこういう原点な感じに
すごく魅かれます。
あと、橋本愛ちゃんが役にハマってた!すごく透明感があって素敵だった

人間も地球に住むただの動物。
秋ですね

自然治癒力の低下と地球温暖化について

2016-10-06 | 日記
スーパーで買い物をしていたら館内放送で
「スマートフォンの位置情報サービスを利用したゲームアプリを
 ご利用の方は、周りのお客様にご迷惑になりますので云々…」
と流れているのを聴き、その意味が脳に到達するまでに
すごーく時間がかかりました

ポケモンGOって、一時期のブームと思っていたけど、まだ流行ってんの?
全くわからないけど。

さて。
東京は今日も32℃
10月に入って2日目の真夏日です。

・・・地球、大丈夫かな。

何を着て出かければいいのか、さっぱり分かりません。
あと、真夏と同じ半袖のパジャマ着てタオルケットだけで寝てますが、
間違ってますかね?
それでも夜中暑くて眼が覚めちゃうけど。
でも、朝起きると喉がカサカサして、葛根湯をゴクゴク飲んでも
イマイチ体調が戻りません。

そんな10月。
おくとーばー。