ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

ななつのこ/加納朋子

2012-06-27 | 読書
表紙に惹かれて手にした『ななつのこ』にぞっこん惚れ込んだ駒子は、
ファンレターを書こうと思い立つ。
身辺を騒がせた〈スイカジュース事件〉をまじえて長い手紙を綴ったところ、
事件の“解決編”ともいうべき返事が舞い込んだ! 
こうして始まった駒子と作家のやりとりが鮮やかにミステリを描き出す、
フレッシュな連作長編。

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全く知らなかった作家ですが、私がハマった長岡弘樹さんの小説の
解説に出てきたので、見逃すワケにはいかなかったんです

文体が私の好みのものではなく、かなり違和感を感じながらも
読み進めていきました。
慣れるまでに時間がかかりました。
・・・が。
面白かったです!

構成が秀逸。
「ななつのこ」という小説を買った駒子という主人公が
日常生活の様々を描きながらも、この「ななつのこ」という
短編小説の1つ1つと絡ませていく。

そして、その名のとおり、本作も7編の短編で構成されている
のですが、最終章ではそれまでの6編が全ての伏線になっていた
ことを思い知らされる、驚きの結末が

でも、本作をミステリーというカテゴリーに括るのか!?
と思うほどの、これは何ともいえない不思議な小説です。

[新しい読者には、一切の先入観を廃てて、虚心に
 読まれんことを勧めたい―――]と、
解説にもあるとおり、です

感想が支離滅裂ですが、やはり長岡弘樹風の、人情味あふれる
読後感爽やかな、ミステリーです。

加納朋子、もいっこ、読んでみますっ!

キット、ずっと、こんな感じ。

2012-06-26 | 日記
最近、小袋に入ってるキットカットありますよね。
裏に文字が書ける付箋みたいなスペースあるのご存じですか?

それを見た隣の席の同僚が、
「わーすごい!名前書くとこがある!」

私「・・・え、それってメモ書くとこでしょ。
 頑張って、とか、お疲れ様、とか。」

同僚「・・・

食べ物に対する執着で、こんなにも物事の捉え方が変わる、
という興味深い一例でした

悪人

2012-06-20 | 映画
吉田修一のベストセラー小説の映画化。
他人と理解しあうことなく、孤独な日々を生きている人間たち。
彼らは他者との触れ合いを拒絶しながらも渇望しており、ちょっとしたきっかけで
犯罪に巻き込まれていく。
彼らは善人でも悪人でもなく、善人でも悪人でもあるのだ。
そんな二つの顔を持つ主人公・清水祐一を演じるのは、妻夫木聡。
髪を金髪にし、これまでの爽やかなイメージとは違った一面を見せる。
馬込光代役の深津絵里も、清純派のイメージをかなぐり捨て、
性欲やエゴイズムを持った生身の女性の姿をリアルに演じている。
(goo映画より)

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個人的には原作の評価が低かったので、見るつもりは無かったけど
見た人全員が「すごく良かった!」というので、深津絵里好きもあり
遅ればせながら・・・。

いやーー、ホントね。すごい
「原作に優る映画無し」の私のポリシーを覆す3本目(くらいの
傑作でした!!

本読んだ時は、首かしげながらパタンと閉じましたが、
映画は泣きました、エンドロールまでボーッとして眺めてました。

なんてったってキャストが素晴らしい。
配役の勝利だね。
要になってるのは、柄本明と樹木希林です。
柄本明がねぇーーー!
娘の遺体確認に警察に行った時の演技。秀逸です。
思わず息を呑みました。

樹木希林はいつだって何の映画だって素晴らしいんだけど
本作でも、すごくすごく感動しました。
「殺人容疑で逃走中のお孫さんについて一言!」と詰め寄る
報道陣を振り切ってバスに乗った時の表情、もー鳥肌もんです。

いつも思うけど、本当に俳優さんってすごいよね・・・

はぁ。とにかく良かったです。
あ、主人公の2人には触れないまま終了しました

パン パカ Pan Cake!

2012-06-17 | 日記
ハワイで有名なEggs'n Thingsが、スティールパンのレッスンヤードから
すぐ近く、横浜山下公園店をオープンしたので
「レッスンの後に皆で行ってみようか~!」などと話していたらとんでもない、
朝9時のオープン前から既に200人が並んでいたとか・・・

だったら、いつもは混み合うモトヤが、案外空いててすぐ入れるんじゃない?
ってことで、行ってみたら大正解
都会の人の行動パターンって分かりやすいね・・・

ともあれ、私はここのパンケーキ・レストランは初めてで大感動
おいしーーーーー!

どうやったらこんなにふわっふわに焼けるんだろ??
粉も売ってたけど、それを買えばこうなるとは思えない。

ランチメニューからスィーツ系まで、種類もすっごくたくさんで、迷う迷う。
あーー、幸せな一時だった

パン・ライブ、もうすぐです。
元気が出ました、頑張るぞ

夜かかる虹/角田光代

2012-06-16 | 読書
ひとり暮らしの私を突然男連れで訪ね、男を置いて帰ってしまった妹リカコ。
外見はそっくりで性格は正反対、甘い声で喋り、男に囲まれ、私を慕いながら、
一方で恋人まで奪おうとする妹。
痛くて切ない姉妹関係をリアルに描く表題作をはじめ、人とのつながり、
自分の居場所を誠実に問う作品集。
(「BOOK」データベースより)

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はい、黒角田です。
表題作「夜かかる虹」と、もう一編「草の巣」という中篇が
収められています。
心が弱く、傷を負った主人公達が内面をさらけ出し、半ば狂気に走り
泣き叫び、そしてふと正気に戻った時、心の静けさが訪れる。

文庫解説で藤田香織さんがこう言っています。
+++++++
「はぁー・・・」
角田光代さんの小説を読み終えて、顔を上げた瞬間、
私はいつもそう声に出してしまいます。
+++++++

全面同意
疲労感でもない、高揚感でもない、ほんと、何とも言えない
「はぁー・・・」なんだよね。

特に「草の巣」は不思議な作品でした。
アルバイト先の飲み屋に客として時々やってくる、冴えない中年男。
ふとしたことから男のトラックに乗り込み、ただひたすら
一緒に走るという、意味の無い毎日を過ごす女。

読みながら「これ、どういう結末にもってくのかなぁ?」と
角田さんの小説読んでる時には、あまり思ったことのない
不安感に襲われました

そして結果は「はぁー・・・」なんだけどね

マザーウォーター

2012-06-15 | 映画
豊かな水の流れを持つ街・京都を舞台に描いた人間ドラマ。
ウイスキーしか置かないバーを営むセツコ、コーヒー店を開いたタカコ、
豆腐屋のハツミら“水”にこだわる3人の女と、彼女たちにかかわる人々の
日常をつづるヒューマンドラマ。

あれー、監督はてっきり荻上直子さんかと思って見たら、
松本佳奈さんだって。長編監督デビュー作。らしい。ふむふむ。

それにしても、何でしょうね、この独特の世界観
「かもめ食堂」「めがね」「プール」等々。何ちゃないんだけど
人と土地との関係性。
淡々と過ぎていく毎日。
おおよそ人の生活なんてこういうものなんです。
退屈といえば退屈ですが、私、こういうの嫌いじゃないです。

正しく食べるという意味。
かきあげのシーン、やられました
やっぱり何といっても、もたいまさこ!!でしょう。
のっぺりしたストーリーの中、端々にピリッとしたスパイスを
効かせています。

もたいまさこが住む家、小林聡美のパスコのイングリッシュマフィンの
CMに出てたとこだー。
ステキだなぁ~、やっぱり京都いいな

凍りついた香り/小川洋子

2012-06-12 | 読書
今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えている。
まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。
それから一滴の香水で人差し指を濡らし、もう片方の手で髪をかき上げ、
私の身体で一番温かい場所に触れた―。
孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数学の問題…いくつかのキーワードから
死者をたずねる謎解きが始まる。
(「BOOK」データベースより)

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はぁ…
小川さんの世界は、いつも完璧なまでに儚く美しい
本作は中でもファンタジー色が強く、一瞬別世界にトリップできます。

香りって、特定の人との思い出や記憶とすごく結びつきやすい感覚です。
例えば、雑踏の中で誰かとふとすれ違った時の匂いで、
あ、あの人元気かな、どうしてるかな、とか

調香師という特殊な職業でストーリーがより感覚的に広がる、このカンジ。
大切な人を失い、その人の過去をたどる静かな物語。
そして、静かに再生を予感させる物語。
うつくしい、静謐な物語。

ふぅ。