ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

微笑む人/貫井徳郎

2015-12-18 | 読書
エリート銀行員の仁藤俊実が「本が増えて家が手狭になった」という理由で
妻子を殺害。
小説家の「私」は事件をノンフィクションにまとめるべく取材を始めた。
「いい人」と評される仁藤だが、過去に遡るとその周辺で、不審死を遂げた
人物が他にもいることが判明し…。
戦慄のラストに驚愕必至!ミステリーの常識を超えた衝撃作、待望の文庫化。
(「BOOK」データベースより)

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いやーーーーーー!これは無いわ
これがミステリの新しい手法と言われても、私はNOですなぁ。

出だしから、妻子を殺した犯人は仁藤だと分かっている。
ただし動機が異常すぎて本当の事とは思えず、作家の「私」は仁藤の
本質に迫りたいと、同僚や同級生たちに取材を申し込み、本当の理由を
探ろうとする。
しかし、仁藤に対する周囲の評判はすこぶる良くて、悪く言う人は皆無。
皆が口を揃えて「彼に限って人なんか殺すはずはない。」と言う。
だが、大学、高校と過去を遡って調べれば調べるほど、彼の周囲で新たな
不審死が浮かび上がり、ますます仁藤への疑惑は深まっていき…

と、先が気になり、どんどん進んで行くんだけど、残りページ数が少なく
なってきても、なかなか話は進まず、大丈夫か!?と思っていたところ、
全然大丈夫じゃなーーーーーい
もう全然モヤモヤが止まんないから、ネタバレ覚悟で言うけどさぁ。
マスコミの報道のやり方を批判したかっただけ?

猟奇的殺人事件が起こると、なんちゃら評論家みたいな人が出てきて
勝手な想像と決めつけで犯人の心の闇を解き明かしたような気になっている
マスコミ全体への嫌味?

人は所詮、他人のことなど理解できない。
それが家族や友人であろうとも。
自分がよく知っているつもりでも実は「何ひとつ」知らないのではないか。
でも、分からないのは不安だから、分かったふりをして安心しようとしている。
大丈夫、私たちの周りにはそういう人はいないし、事件なんて起こらない、と。

でも、そんなことない。
あんなに穏やかで優しい隣人が。
知った時にはもう遅く、事件は起きている。

常識では考えられないような犯罪が増えている現代社会、
事件とヒントだけ提示するから読者一人一人が考えて答えを出してくれって
それは無いんじゃないのぉ~
これが究極のミステリなんて言わせない!


⭐⭐⭐⭐


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