ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

犯罪者/太田愛

2019-03-21 | 読書
白昼の駅前広場で4人が刺殺される通り魔事件が発生。
犯人は逮捕されたが、ただひとり助かった青年・修司は搬送先の病院で
奇妙な男から「逃げろ。あと10日生き延びれば助かる」と警告される。
その直後、謎の暗殺者に襲撃される修司。
なぜ自分は10日以内に殺されなければならないのか。
はみだし刑事・相馬によって命を救われた修司は、相馬の友人で
博覧強記の男・鑓水と3人で、暗殺者に追われながら事件の真相を追う。
(「BOOK」データベースより)

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「幻夏」があまりにも良かったので、姉妹作にすぐ着手!
相馬・鑓水・修司の強力タッグが生まれるきっかけとなった最初の作品。
いやーー、それにしても凄い。
これがデビュー作
よくもまぁ、これだけ骨太の小説書けますね
ボリュームも内容もストーリー展開も、どれを取っても大満足。
お腹いっぱい

通り魔事件に巻き込まれる修司、大手食品メーカーの中迫、
与党重鎮の磯部、産廃業者の真崎、幼児に発症する原因不明の難病。
いくつものストーリーが並行し、スピード感のある展開で
ハラハラドキドキ、ぐいぐい引っ張られていき途中でやめられなーい!

そして、いくつもの点が繋がってきた時の高揚感ったら。
殺し屋が追っかけてきて怖いし、涙もろいおばちゃんには男の友情が
切なく心に響くし、もう忙しいったらありゃしない。

スピード感だけでなく、相馬と鑓水、修司3人それぞれが抱えている過去が
更に内容の面白さの層を厚くしてるし、
同時に企業の隠蔽体質という社会問題にも切り込んでいき、スケール感!
とにかく、すごい小説です。

…それにしても、なんで「犯罪者」なんて、漠然としたタイトルにしたのかな。
それだけが少し不思議

ま、とにかくこれは文句なしの満点です!


フーガはユーガ/伊坂幸太郎

2019-03-17 | 読書
常盤優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。
双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと、
そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと。
僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。
(「BOOK」データベースより)

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久しぶりの伊坂の新作・・・が。
今までにない読後感の悪さで、切なすぎる

ファンタジー(というかフィクション?)の部分が根底にありながらも
児童虐待やDV、いじめ等、現実世界の悲惨なシーンがリアルすぎて
結構つらかった。。
小玉ちゃんの虐待のくだりなんて、不快感でページが進まなかったし。

いつもの、死神とか殺し屋とか、まぁ悪い奴はいっぱい出てきても
伊坂ワールド特有の爽快感みたいなものに救われて楽しく読めるのが
常だったので、本作にはちょっと驚いたかな。

でもまぁ、ずっと同じテイストのものを書くのも作家としての
成長がないから、色々なスタイルに挑戦したいって雑誌のインタビューで
言ってたし。
そりゃ挑戦も必要か。

後味の悪さと、作品の出来とは全く関係ないとは思うんだけど
うーーん。まだちょっと消化できない感じなので、星は3つにしておこう。

☆☆