ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

蛇行する川のほとり/恩田陸

2017-10-22 | 読書
あの夏の日、少女たちは川のほとりにある「船着場のある家」で合宿を始めた。
夏の終わりの演劇祭に向けて、舞台背景の絵を仕上げるために。
それは、楽しく充実した高校生活の最高の思い出になるはずだった。
ひとりの美しい少年の言葉が、この世界のすべてを灰色に変えるまでは…。
そして、運命の歯車は回り始めた。
あの遠い夏の日と同じように―。運命の岸辺に佇む少女たちの物語。
(「BOOK」データベースより)

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はい、はい、はい。来ました。
私の中での恩田さんのイメージっぽいやつ

不穏な空気感の中で進んでいく、あの独特の感じね。
ミステリーなんだろうけど、登場人物それぞれの想いというか思惑が
交錯していく中で、それがリアルなのか虚構なのか曖昧な感じに
描かれていて、心理的な駆け引きみたいな面もあり謎めいています。

美しく憧れの先輩である香澄と芳野から合宿に誘われ、有頂天になる毬子。
それを快く思わない友人の真魚子。
香澄のいとこである謎の少年月彦や、その友達という暁臣。

それぞれの登場人物が抱える過去の忌まわしい事件の思いが重なり、
毬子の中でも記憶が少しずつフラッシュバックのように蘇ってくる感じは
引き込まれました。
そして真相に辿り着く最後のいわゆるネタばらし的な展開は
悪くなかったし(こら
あと、恩田さんらしくない爽やかなエンディングも良かったかな。

高校生にしては大人すぎる子たちばかりでしたが!



未来に向かって

2017-10-20 | 日記
2020年のオリンピックイヤーに向けてなのか、
よく分からんけど、私が住んでる品川地区はここんとこ
道路工事を始めとする公共工事や、マンション建設のラッシュです。
毎日ワンコらの散歩する範囲内だけでも最低3棟のマンションが建設中。



私もいつまで東京におるか分からんし、別にいいんだけどさ。
なんか。
なんつーか。

現在、過去、みら〜い〜♪あの人に逢ったな〜ら〜

限られた人生の色々を想う秋の寒い夜長。
金曜だから許してね。

上と外/恩田陸

2017-10-20 | 読書
両親の離婚で、別れて暮らす元家族が年に一度、集う夏休み。
中学生の楢崎練は小学生の妹、母とともに、考古学者の父がいる
中央アメリカのG国までやってきた。ジャングルと遺跡と軍事政権の国。
そこで四人を待っていたのは「軍事クーデター」だった。
離れ離れになる親子、二度と会えないかもしれない兄と妹!
密林の中の謎の遺跡と神秘の儀式。絶え間なく二人を襲う絶体絶命のピンチ。
ノンストップの面白さで息もつかせぬ1350枚。
(「BOOK」データベースより)

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いやーーーーー、ほんと、息もつかせてもらえんかったわ
すごかった。疲れた!笑

内容も知らずに読み始めたので、始めの方は「これ一体なんの話よ?」と
ミステリーなのか、怪しい宗教系なのか、何となくストーリーに乗れず
モヤモヤしながら読んでいましたが、途中から話が見えてきて
これってアドベンチャーやんと俄然スピードがあがり
のめり込みました。

途中何度も「えっと、中学生のお兄ちゃんと、小学生の妹よね…」と
確認してしまうくらい、スーパータフな兄妹の脱出系冒険物語です!!
ジャングルの中に突然放り出されて、自力で生き延びる策を練っていくなんて
こんな子供おらんやろー
しかも、次から次へと過酷な試練が待ち受けてるの。
やっと一つクリアしても、すぐに次の危険が迫ってきてさぁ。
私だったら1日で死んでしまうわ

でも、いいの。小説だから。フィクションだから!
すっごく楽しかったです

打率2割の恩田さんですが、今まで私が選んだ作品が悪かったのかしら。
ヒットが続いてます!祭りはまだ続きます!




ドミノ/恩田陸

2017-10-16 | 読書
一億円の契約書を待つ、締切直前のオフィス。
オーディション中、下剤を盛られた子役の少女。
推理力を競い合う大学生。
別れを画策する青年実業家。
待ち合わせ場所に行き着けない老人。
老人の句会仲間の警察OBたち。
真夏の東京駅、二七人と一匹の登場人物はそれぞれに、何かが起こる瞬間を待っていた。
迫りくるタイムリミット、もつれ合う人々、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、
運命のドミノが次々と倒れてゆく!
抱腹絶倒、スピード感溢れるパニックコメディの大傑作!

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えーーーーー!!
なになに、恩田さん、こういうのも書けちゃうワケ
伊坂か、はたまた奥田英朗かと思うくらいの内容に驚き

もう、タイトル通り、まさにドミノ!
ドミノ倒しのように、ほんの一つのきっかけが、全く関連のない人たちを
どんどん巻き込んでいき、壮大なスケールのドタバタ劇へと発展

東京駅という限られた範囲の中で、ものすごいドラマが展開していく。
東京駅の構内図が頭に入っていないと、すこし臨場感には欠けるかもしれないけど
ストーリーとしては完璧!
ハラハラしてゲラゲラ笑えて、とにかく楽しめます

これは間違い無く一気読み。
色々書いても野暮なだけなので、これにて失礼!




チョコレート・コスモス/恩田陸

2017-10-15 | 読書
芝居の面白さには果てがない。一生かけても味わい尽くせない。
華やかなオーラを身にまとい、天才の名をほしいままにする響子。
大学で芝居を始めたばかりの華奢で地味な少女、飛鳥。
二人の女優が挑んだのは、伝説の映画プロデューサー・芹澤が開く
異色のオーディションだった。
これは戦いなのだ。知りたい、あの舞台の暗がりの向こうに何があるのかを―。
少女たちの才能が、熱となってぶつかりあう!興奮と感動の演劇ロマン。
(「BOOK」データベースより)

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恩田陸祭り、はじまります〜

そもそも私は恩田さんとウマが合わないんです。
打率は2割ってとこなんだけど、でも当たるとものすごく飛ぶんです。
で。
久しぶりに手を出してしまいましたが、まずはコレ、ホームランです

すんごくハマりました。
何故ならば、ガラスの仮面だからです!

読み始めてすぐに引き込まれ、途中からは「もう、これって北島マヤまんまだよね?」と
興奮を抑えきれず、響子のポジションもまんま亜弓だし、ガラスの仮面世代の
私達にとっては、問答無用でのめり込める内容となっております。

で、あとがきを読んでみると、やはり
初めて週刊誌の連載依頼を受け、オーディションの話を書きたい、
連載なんだから「次回はどうなるのか乞うご期待」みたいにしたくて
まさにガラスの仮面を下敷きにして書いたとのことでした。

それにしても、やはり恩田さんは、ミステリアスなものより、
「夜のピクニック」を代表とする青春もののような作品の方が
うまいんじゃなかろうか?と思う。秋を感じる今日この頃🍁



羊と鋼の森/宮下奈都

2017-10-09 | 読書
ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。
言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。
ピアノの調律に魅せられた一人の青年。
彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、
祝福に満ちた長編小説。
(「BOOK」データベースより)

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ピアノの調律というテーマにふさわしく、まさに名実ともに
美しい話でした
途中、小川洋子さんじゃないよね?と思わせるような文体と
静かな雰囲気で、音の話なのに音が無いように感じる瞬間さえ。

それにしても、調律ひとつでここまで音楽が覆るのかという程、
繊細な作業なんだなー、と改めて感動
コンサートホールごとに反響が違うから、会場に合わせて細かく
調律を変えるなんてね
プロの職人技です。

私もピアノをやっていたから、昔、家に調律師さんが来ていたのを
覚えているけど、まぁ、それとはレベルが違うよね(当たり前か

ストーリーとしては、主人公の青年が調律師として成長していく
葛藤や人間関係がメインですが、終始漂う上品な雰囲気がとっても
心地よく、やっぱり本屋大賞の作品はハズレ無しだね!



燻されてなんぼ。

2017-10-08 | 日記
日曜日。
朝からのレッスンが終わるのは14時で、お腹ペコペコだというのに、どのお店も
ランチタイムの終了時間で、いつもランチ難民になってしまう…
が、ようやく見つけた、夕方までランチをやってくれてる素敵な燻製のお店。

柄本明似のとても感じ良いご主人が、のんびり対応してくれるのも、いとをかし。


厳選豚の燻製ランチは、自家製のバケットが付いてくるというので
「私、つまみで飲みたいので、単品でお願いします。」と言うも
「うちのバケットは、大きくて美味しいよー。食べないなら包んであげるから
 持って帰ればいいよ。」という柄本明に甘え、燻製豚をつまみにどんどん生ビールを飲む。
うめーーーーーー!

ふぅ。

今月末はコンサート。
あっという間に1シーズン過ぎるのが怖い…。
今回は、うちの天才アレンジャーが珍しくABBAに手を付けてくれて
スティールパンで”踊る女王”やっちゃうよ〜

政と源/三浦しをん

2017-10-07 | 読書
東京都墨田区Y町。つまみ簪職人・源二郎の弟子である徹平(元ヤン)の様子がおかしい。
どうやら、昔の不良仲間に強請られたためらしい。
それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが―。
弟子の徹平と賑やかに暮らす源。妻子と別居しひとり寂しく暮らす国政。
ソリが合わないはずなのに、なぜか良いコンビ。
そんなふたりが巻き起こす、ハチャメチャで痛快だけど、どこか心温まる人情譚!
(「BOOK」データベースより)

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しをんさん、あなたやっぱり素晴らしいね
作風の幅が広いことにはいつもながら脱帽です。

江戸っ子で幼馴染の源二郎と国政。
いい歳した爺さん2人が不器用で素直になれず、意地っ張り同士なのに
やっぱりお互いを心配して過ごす日常が、愛おしくてたまらない!

ガサツな源と、神経質な政。
友達って案外こういう真逆なタイプの方がうまくいくよね。
自分のことを考えても、本当に仲が良い友達って私と違うタイプが
多い気がするもんね

長く生きていると、奥さんに先立たれたり、家庭に問題があったり
そりゃー色々とあるだろうけど、自分が歳をとった時に
そばに気の置けない友がいてくれるということは、
人生で一番の贅沢じゃなかろうか!

とっても素敵な、そしてわりと現実味あるストーリーで
本当に楽しめる作品でした!!




ロングレンジ/伊坂幸太郎

2017-10-06 | 読書
久しぶりに実家に帰ったわたしは、引きこもり中の弟にある大事な相談をするが…。
もうすぐ結婚30周年を迎える両親、単身赴任中の夫とその妻、2年ぶりに会う姉弟。
ひとつの家族をめぐる物語。
いまだ出会いを探している人も。
すでに誰かに出会っている人も。
伊坂幸太郎の電子書籍オリジナル短編。
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Kindle限定で199円のお買い得商品です!
ひとつ前にアップした「無事これ貴人」も同じく。
わざわざ文芸雑誌なんて買わないけど、その中にちょっとだけ入ってる好きな作家の
書き下ろしが、こうやって安値で切り売りされるなんて電子書籍の良いところだよね。

本作は、短編なので劇的なストーリー展開があるわけではないけど、
伊坂らしいオシャレで軽快な会話をベースにしながら、
家族ってどこもこの程度の秘密はあるよね、色々あるけどやっぱ家族って良いよね、
みたいな、ほっこりした感じの話でした。
軽く読むにはとってもお手軽で楽しめましたよ。


☆☆

無事これ貴人/伊坂幸太郎

2017-10-06 | 読書
明らかに遺産目当てで見舞いに訪れた甥を、「金目のものは全部処分した」と
告げて追い返した男は、目の前の病院の女性スタッフに、涙混じりで唐突に過去を語り出す。
その男を検温するために病室に入ってきた看護師は、ピンチになると、どこからともなく
現れては救ってくれる謎の男が、実は死んだはずの父なのではないかと疑っていた…。
すべてはどこかで繋がっている、のか?
連鎖が連鎖を呼び、小さな日常の果てに、あり得ない光景が浮かび上がる。
これぞ小説の醍醐味。だからフィクションは面白い。小説新潮2016年3月号掲載。

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短い話ではあるけど、伊坂の最も得意とするオムニバス形式の、
次々に人と話が繋がっていく小気味良いテンポのストーリー

題名である「無事是れ貴人」というのは、
何事もない、自然体の自分の中にこそ全部がそろっていて、そのことに気づいて
悟りをひらく者こそが貴い人。
・・・と、いう意味らしい。最近人から聞いたんだ、と黒澤が言っていました。笑

誰もいないと思って空き巣に入ったら、部屋にひきこもりの青年がいて
さすがの黒澤も「俺も堕ちたもんだ」と、その青年と語りあう場面です。
やっぱり、彼が出てくると、なんつーか、ちょっとホッとするよね。(ね?

短い割に要素がたくさん詰め込まれてて、楽しかった


☆☆