ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

平気ってのが難しいんだよね

2019-09-11 | 日記
昨日、テレ朝で樹木希林さんの特別番組やってましたね。
https://www.tv-asahi.co.jp/kikikirin/#/

今まで私はこのブログで何回でも希林さんの稀有な存在と
素晴らしさをお届けしてきてつもりでしたが、
この番組を見て、更に・深く・本当に感動しまくりました。
この女優を亡くしたことは、日本映画界のとんでもない損失ですね。
途方に暮れます

映画界だけでなく、CMやドラマの世界でもやはりスゴすぎる存在感を
放っていたようです。
だってあの是枝監督が「樹木希林さんに認められたくて」と言うくらいですから。



この写真はとても希林さんらしいお茶目な一枚だと思いますが
実はとあるCMディレクターが、アインシュタインの有名なあの「ベー」の写真から発想し
希林さんの遺影と、娘の也哉子さんのベロを合成させて作ったという
これまたウルウルポイントが高い逸品でした。

晩年のそれぞれの映画作品の共演者たちからの裏話で、本当に彼女が
生れながらの表現者であり、人間としても特別な何かを持っていたのだと
改めて感じました。

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おごらず
人と比べず
面白がって
平気に生きればいい
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こんなこと誰が言えるでしょう。
心から尊敬です。
合唱

最後の息子/吉田修一

2019-08-21 | 読書
新宿でオカマの「閻魔(えんま)ちゃん」と同棲する「ぼく」。
友だちのオカマがホモ狩りにあって殺された事件を契機に、
気楽なモラトリアム生活がうまくいかなくなってしまう。
家族との関係、元彼女との再会、閻魔ちゃんとの生活……
自分がどうしたいのかわからないまま、ビデオ日記を見返してゆく。
そこに映っていたものは?
文學界新人賞を受賞した表題作の他に、長崎の高校水泳部員たちの
夏の一瞬を爽やかに描いた「Water」、「破片」を収録。

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「おっさんずラブ」や「きのう何食べた?」にハマってからというもの、
BLを暖かい眼差しで見られることから、本作も何だかとてもグッときました。
良かったです

特に「Water」は瑞々しすぎる青春小説で、特に良かったなぁ
歳のせいなのか、以前にも増して青春モノに弱い気がする今日この頃。
眩しいす。眩しすぎる。若いって素晴らしい

「破片」はちょっと独特な雰囲気の短編でした。
早くに妻を亡くし男手一つで息子2人を育てた長崎の田舎の
酒屋のオヤジと、屈折したその息子たち。
ほんの心のかすり傷からでも膿んで大きな病になっていくのか。。
男だけの殺風景なやり取りの中、それでも親子としてのか細い絆のような
ものがあるのか。
他の2作とは違う、少し重めのストーリーでしたが、吉田修一らしくもあったかな。


☆☆

キツツキと雨

2019-08-18 | 映画

小さな山あいの村にやって来たゾンビ映画の撮影隊。
なぜだか手伝うことになった木こりの克彦(役所広司)は、
プレッシャーに弱く使えない新人監督の幸一(小栗旬)にイライラする。
しかし、幸一は克彦との交流で自分を取り戻していき、
二人のいい関係がイマイチかみ合わなかった撮影現場にも
不思議な影響を与え始め……。
(Yahoo!映画あらすじより)

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さすが沖田修一監督!
素敵な映画でしたーーーー!

こういうコミカルな立ち回りさせたら、役所広司の右に出る人はおらんね。
男前だから余計におかしいのかな。
この人の演技力には本当に参っちゃう。

気の弱い監督の幸一にイラつきながらも、お節介なオヤジ根性全開で
あれこれと世話を焼いているうちに皆に溶け込んでいく克彦。

映画の成功祈願で甘いものを絶っている幸一に、克彦が無理やり
あんみつを口に押し込むシーン。
とても良いシーンで、ジーンとしたなぁ
改めて、小栗旬も良い演技する俳優さんですね。

やはり他人に必要とされてこその人生。
認めてもらうことの素晴らしさ。

波打ち際に置かれた、立派な丸太で作られた重すぎるディレクターズチェアで
飾られる最後のシーンもクスリと笑えてよかったな。
あー、ほのぼのした

ジャッジメント/小林由香

2019-08-17 | 読書
大切な人を殺された者は言う。「復讐してやりたい」と。
凶悪な事件が起きると人は言う。「同じ目にあわせてやりたい」と。
犯罪が増加する一方の日本で、新しい法律が生まれた。目には目を歯には歯を―。
この法律は果たして被害者とその家族を救えるのだろうか!?
第33回小説推理新人賞受賞。大型新人が世に問う、衝撃のデビュー作!!
(「BOOK」データベースより)

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うーん。なんかエグいの読んじゃったな
心情的に訴えたいことは分かるけど。
復讐法かぁ。。
被害者遺族は、旧来の法に基づく判決か、自らの手で犯罪者から受けた被害内容と
同じ形で刑を執行できる復讐法のどちらかを選べる。
言ってみれば近未来SF的な「そんなのあり得ないよ」だけど
内容としては報復殺人と言う意味で全くあり得る話でもあり。。

被害者遺族たちの苦悩、葛藤、よく描かれていると思うけど、どうしても
深く感情移入まではできなかったかな。
自分の大切な人が殺されたら、ここまで出来るだろうか。
でも、そんなの実際にその立場にならないと1ミリも語れないよ

5つの事件を描く短編集のような形式で、「応報監察官」という、復讐法に立ち会う
役人からの目線で語られていく。
こんなやるせない仕事ないよすぐに病んじゃう。

やはり人間は心の生き物。
法律だけで何かが解決するわけではありません。
色々と考えさせられる物語でした。


☆☆

明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち/山田詠美

2019-08-15 | 読書
ひとつの家族となるべく、東京郊外の一軒家に移り住んだ二組の親子。
澄生と真澄の兄妹に創太が弟として加わり、さらにその後、千絵が生まれる。
それは、幸せな人生作りの、完璧な再出発かと思われた。
しかし、落雷とともに訪れた“ある死”をきっかけに、澄川家の姿は一変する。
母がアルコール依存症となり、家族は散り散りに行き場を失うが―。
突飛で、愉快で、愚かで、たまらなく温かい家族が語りだす。
愛惜のモノローグ、傑作長篇小説。
(「BOOK」データベースより)

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お盆は久しぶりによく本を読んだなー
てか、山田詠美!!まだ書いてたのか!笑
20年ぶりくらいかしら?
若い頃は好きでよく読んでいたけど、途中から体質に合わなくなってきて
多分、読まなくなった頃から彼女もそんなに執筆してないと思うけど、
久しぶりに読んでも、やはり山田詠美らしい文章で、懐かしく心地よかった。

とある家族の物語。
「私」「おれ」「あたし」「皆」と、章ごとにそれぞれの視点から描かれる。
家族って外から見てもその実は分からない特殊な組織だよね。
人が似るのは血の繋がりよりも生活習慣。
同じ食べ物を体に取り入れて、同じ所に身を置いていると魂が似てくる。
そして、全ての家族と唯一血の繋がりを持つ末娘の千絵が
「血って時々すごく濃くて、時々すごく薄い」と言う。
なんか納得!!

とても良い作品でした。