ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

孤狼の血/柚月裕子

2018-12-06 | 読書
昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、
ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上とコンビを組むことに。
飢えた狼のごとく強引に違法捜査を繰り返す大上に戸惑いながらも、
日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。
やがて金融会社社員失踪事件を皮切りに、暴力団同士の抗争が勃発。
衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが…。
正義とは何か。血湧き肉躍る、男たちの闘いがはじまる。
(「BOOK」データベースより)

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良かったーーーーー!!!
最近読んだ中ではダントツ面白かった!
警察モノだけど、ミステリーとはちょっと違うし、ハードボイルドって訳でもないし
どういうジャンルに当たるか分からないけど、途中けっこう泣きました…

柚月さんは初めて読みましたが、何より驚くのが、これだけ大迫力のヤクザものを
女性作家が書いているということ。
広島というホンマもんの舞台で、どっちが警察かヤクザか分からないような
おっとろしい広島弁でおっちゃん達が怒鳴りあう。
ものすごい力強い筆致!!
あ、あなた本当に一般市民の女性ですか?
(ウィキペディアによると、岩手県出身の綺麗なお姉さんですけど

でも、暴力団抗争というハードなストーリーなのに、途中涙が止まらないシーンが
あったりとか、あと、読後の爽快感が素晴らしすぎるとか
やはりそういう部分は、女性ならではの繊細な表現とか構成にあるのかなぁ
なんて思ったりもして。

そして、今さらこんなに一人で盛り上がってるけど、既に映画化もされてたのね!
知らなかった…出遅れ感、満載やん
大上役は、役所広司・・・か。
うーん。
私の中ではもうちょっと小汚い感じが良かったけど。
永瀬正敏とか。ちょっと若すぎるかな?

多分、個人的にこういうマフィアの抗争的なのは好みなんだよね。
なんつったって、初めて買ったDVDはゴッドファーザープレミアムBOXやし
殺し殺され残虐なのは嫌いだけど、何よりも絆なんよね。
ファミリーとしての結びつき。テーマは家族の愛の物語なのよ、結局。
義理と人情、友情、愛情

あー!続編も出てるっ。読まなきゃ!!


誰もいない夜に咲く/桜木紫乃

2018-12-06 | 読書
親から継いだ牧場で黙々と牛の世話をする秀一は、
三十歳になるまで女を抱いたことがない。
そんな彼が、嫁来い運動で中国から迎え入れた花海とかよわす、
言葉にならない想いとは―(「波に咲く」)。
寄せては返す波のような欲望にいっとき身を任せ、
どうしようもない淋しさを封じ込めようとする男と女。
安らぎを切望しながら寄るべなくさまよう孤独な魂のありようを、
北海道の風景に託して叙情豊かに謳いあげる、傑作短篇集。
(「BOOK」データベースより)

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久しぶりに読んだ桜木さん。美しいお話でした…
暗く厚い雲に覆われた荒野を思わせるような、この人が描く独特の世界観、
大好きです。
ストーリーも文章も美しいけど、この雰囲気こそが美しさを支えていると
思う。うまく表現できないけど。

全七編の短編集。
どの作品も、暗く寂しく苦しい。
孤独を埋めるため束の間のぬくもりだけを求めるような刹那的な日々。
うーー。読んでて重かった

でも、表題作の「波に咲く」や、着付師の女性が暴力夫との訣別を決心する「絹日和」
シングルマザーになる私のもとに昔家族に暗い影を落とした男から思わぬ贈り物が届く
「根無草」、なんかは、最後に一条の光が刺し、救われるような気持ちになります。
よわーーい光だけけどね

「風の女」は、書道家の姉妹の話で「無垢の領域」の原石と思わせるストーリー。
桜木さんの世界観、ほんとシビれます・・・



授乳/村田沙耶香

2018-12-03 | 読書
受験を控えた私の元にやってきた家庭教師の「先生」。
授業は週に2回。火曜に数学、金曜に英語。
私を苛立たせる母と思春期の女の子を逆上させる要素を
少しだけ持つ父。その家の中で私と先生は何かを共有し、
この部屋だけの特別な空気を閉じ込めたはずだった。
「――ねえ、ゲームしようよ」。

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表題作の他、
ハムスターのぬいぐるみに異常な愛情を注ぐ「コイビト」と、
貧血で倒れた私を介抱してくれた要二のマンションの一室で
繰り広げられる歪んだ生活「御伽の部屋」の全三編。

もぅ、闇がスゴイ!!

コンビニ人間で止めときゃよかったかな〜
村田さん、ホントになかなかのもんだね。
歪んだ感情や愛情表現がシュールすぎて、凡庸な私には追いつけない
部分が多かったかな。

大学で授業を受けたり、家族とご飯を食べたりしている間は全て眠っている
のと同じ。ハムスターのぬいぐるみ「ホシオ」と過ごす至福の時間だけが
本当の私が生きている時間…って、もはやホラーに近くないかい?

感受性が豊かな人が読むと揺さぶられるのかもしれないけど
ちょっと私には高度すぎたかな。ハハハ



☆☆☆