ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

恋人たち

2017-01-27 | 映画
橋梁点検の仕事をしているアツシ(篠原篤)には、愛する妻を
通り魔殺人事件で亡くしたつらい過去があった。
自分に関心がない夫と考え方が違う姑と生活している瞳子(成嶋瞳子)は、
パートの取引先の男と親しくなったことから平凡な日常が変わっていく。
エリート弁護士の四ノ宮(池田良)は友人にひそかな思いを寄せていたが、
ある日、誤解が生じてしまい…。
(Yahoo!映画あらずじより)

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恋人たち?
何でこのタイトル?
題名からは想像できない、くらーい映画です。

小さな田舎町に暮らす、主人公3人それぞれの日常生活を描いているだけで、
何か刺激的なストーリー展開があるわけでもないのですが
痛いほど人間の感情が丁寧に描写されてて、心臓をぎゅーっと掴まれるような
すごく生々しい映画でした。

妻を通り魔に殺された男
夫と姑の3人で退屈な日々を暮らす主婦
パートナーや友人をなくしていくゲイの弁護士

主役の3人とも素人に近い無名俳優ってのが、その生々しさを
圧倒的にリアルに描けている要因なのかも。

演技の未熟さは拭えないんだけど、それでも最後、妻の遺骨の前で
「お前がいなくなってから、俺は何もできなくなった」と泣きじゃくるシーンには
心揺さぶられました。

人はどうしたって、人のためにしか生きられない。

暗く閉塞感のある日々から抜け出せなくても、それでも生きて行くしかない。
そうしていれば、ほんの小さな光が見えるかもしれない




リリーのすべて

2017-01-21 | 映画
1926年デンマーク。風景画家のアイナー・ヴェイナー(エディ・レッドメイン)は
同じく画家の妻ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)に女性モデルの代役を依頼される。
その際に、自身の内面にある女性の存在を感じ取る。
それ以来リリーという女性として生活していく比率が増していくアイナーは、
心と体の不一致に悩むことに。
当初はそんな夫の様子に困惑するゲルダだったが、次第に理解を深め……。
(「Yahoo!映画」あらすじより)

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大した情報もなく、なんとなく借りたDVD(こういうパターン多い
でしたが、世界初の性別適合手術を受けたデンマーク人画家の伝記に基づくストーリー
だったようです。
軽い気持ちで見てしまうと、結構ガチで重い。

そして、とても切ない夫婦の愛の物語です。

今でこそ性同一性障害という言葉は普及しているけど、100年近くも前の話。
本人も自分に起こっていることに戸惑うが、それ以上に愛する夫が
女性になっていく妻の混乱ぶりは推して知るべし。
それでも、唯一の理解者として、懸命に夫を支え続けるゲルダの献身に
感動です

まだ性別適合手術など成功例もない時代、ただ本当の自分になりたい一心で
ドイツの病院へ手術を受けに行く決心をする。

ノーマルな人には想像もつかない苦しみだと思うし、簡単に感情移入なんて
出来ないけど、エディ・レッドメインの迫真の演技は本当にすごかったです…
華奢な体に真っ白い肌、しなやかな仕草。
最後はもう完全に女性にしか見えなかった。
すごい役作りなんだろうな…。
ただただ美しく儚いリリーになりきってます


キャロル

2017-01-14 | 映画
1952年のニューヨーク。
デパートでアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は、
娘へのプレゼントを探すキャロル(ケイト・ブランシェット)に応対する。
優雅で気品に満ちた美しさを誇るも、謎めいたムードもある彼女に
魅了されたテレーズ。彼女にクリスマスカードを送ったのを契機に、
二人は会っては話をする仲になる。
娘の親権をめぐって離婚訴訟中の夫と争うキャロルと恋人からの求婚に
思い悩むテレーズ。そんな中、彼女たちは旅行に出掛けるが……。
(Yahoo!映画あらすじより)

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・・・ぼー。

いやー、すごかった。
ケイト・ブランシェットの圧倒的な美しさと妖艶さ。
大迫力!!美しさの迫力ってすごいね。
ラストシーンのケイトの様々な感情を含んだ淡い微笑みが
いつまでも脳裏から離れません…。

てか、今調べたら、ケイトと私、同じ歳だった…

マジか。。
神様、人って不公平に出来ているのね…

この映画は、ただひたすら、キャロルの美しさとテレーズの可憐さを
愛でる作品となっています。
が、ストーリー展開は秀逸で最後まで惹きつけられる。
最後、どうなるのかしら!と切ない思いを抱きながら観てしまうという意味では
やはりラブロマンスのカテゴリーなのかしらね。

内に秘めた思いを静かな眼差しやちょっとした仕草で表すキャロルと
自分の気持ちを理解出来ず持て余すような若く未熟なテレーズの対比が
素晴らしい。
ちょっと肩に手を置く仕草でさえ、官能的…

新年一発目としてはかなり濃かったけど、間違いなく
素敵な映画でした

永い言い訳/西川美和

2017-01-09 | 読書
長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓。
悲しさを“演じる”ことしかできなかった津村は、同じ事故で母親を失った
一家と出会い、はじめて夏子と向き合い始めるが…。
突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。
人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語。
(「BOOK」データベースより)

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何という繊細さ…
さすが西川監督。
参ったな、年初から完全にノックアウト
泣きます。泣かずにはいられません。必ずティッシュのご用意を。。

西川さんの人間観察力と、それを表現する言葉の深さ、多様さには脱帽です。
それってどういう種類の才能なんでしょうね…?
凡庸な私たちは自分の気持ちさえ持て余し、説明できずモヤモヤするというのに。

人としての幸せとか不幸とか、そういうことを最大のテーマとしているはずなのに
一切そういう言葉を使わず、場面描写と語り手が入れ替わる手法で描ききる筆力。
スンバラシイです

衣笠幸夫(津村)の見苦しいまでの卑屈さ、自分勝手さ、人としての小ささを
見事に表現した数々の印象的なシーン。

真平と灯と一緒になって公園の噴水でずぶ濡れになって遊ぶ場面。
水を掛け合い「あははは〜っ」て、よくある幸せイメージそのものの
完全なる幸せの到達点。
一方、真平の運動会の夜、鍋パーティーに家族が鏑木さんを呼んだことで
その絶頂から叩き落とされ、自分の居所を失ったという被害妄想から
周りの全てをブルドーザーでなぎ倒していく勢いで罵詈雑言を吐きまくる
幸せからどん底に落ちた時の両極端の見事なまでの対比描写!!

「人生が180度変わるのに、一日は十分すぎる長さなのだ」
という幸夫の言葉は、突き刺さりました。本当にその通りだ
何の努力もせず、当たり前に今日と同じ明日が来るなんて傲慢なのかも。

本当に人が愛しくなる素敵すぎる作品でした。
映画は・・・どうなんだろうね?



明けまして2017年、そして酉年は

2017-01-05 | 日記
遅くなりましたが明けましておめでとうございます!

いやー、参りました。
年末年始、完全に寝込んでおりました
こんな散々な目にあったお正月は初めてじゃないかな。
年末から少し調子は悪かったけど、ただの風邪と軽く考えていたところ
まぁ、ダラダラズルズルと引きずったわー。
歳なのね。そうよ、歳なのよ。
年女だもの!コケッコー!!

一気に熱でも上がれば諦めもつくけど、ただ絶不調なまま、回復力だけが無い。
母が田舎から上京して来ていたので、せっかくのお正月なのにどこにも連れていって
あげられないのも申し訳なく、元旦は東京タワーから富士山を見ましたよ!(意識モーロー)


毎日、ちょこちょこと外出しては、午後からはダウンして寝る…という。
幸先の悪い年初となりました。
が、一年分の病気をここで済ませたと思いたい。

まだ若干ぼーっとしていて、今年の抱負やら、新年の誓いやら、何も考えられない
状態ではありますが、
皆様の健康を心から祈願いたしまして、今年もどうぞよろしくお願いいたします!

↓心配して添い寝している風を装い、単にぬくぬくお布団で眠る娘達。

こいつらは今年も元気です!!