ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

リトル・シスター/レイモンド・チャンドラー

2012-10-31 | 読書
「あなたはとことん見下げ果てた人間です」私は二十ドルぶんの通貨を、
デスクの向こう側に少し押し出した。
「君は二十ドルぶん、彼のことを案じていた。しかし何を案じているのか、
もうひとつよくわからない」行方不明の兄オリンを探してほしい―
私立探偵フィリップ・マーロウの事務所を訪れたオーファメイと名乗る若い娘は、
20ドルを握りしめてこう言った。
いわくありげな態度に惹かれて依頼を引き受けることとなったマーロウ。
しかし、調査を開始した彼の行く先々で、アイスピックでひと刺しされた死体が!
謎が謎を呼ぶ殺人事件は、やがてマーロウを欲望渦巻くハリウッドの裏通りへと誘う…。
村上春樹が「愛おしい」作品と呼び、翻訳を熱望した『かわいい女』ついに半世紀ぶりの新訳なる。
(「BOOK」データベースより)

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春樹さん訳だからこそ、頑張って読めた

「ロング・グッドバイ」「さよなら、愛しい人」に続く3冊目の
マーロウ・シリーズ、春樹訳バージョンですが、
本作はちょっと・・・厳しかった

春樹さんご本人も、あとがきで
++++++++++
プロットにいささかの無理がある。~中略~
僕は何度もこの小説を読み返しているし、このように翻訳までしているのだが、
結局誰が誰を殺したのかと訊かれると、急には答えられない。
++++++++++
と言っている通り、あまりにも話しが入り組んでいて、脈絡が繋がらない部分もあり
うんうん言いながら何とか読み進めました。

ただ、最後はチャンドラー特有の、寂寥感ただようエンディングで
産みの苦しみをしばし忘れさせてくれるものでした。
変な言い方だけど

二十歳の誕生日の夜に

2012-10-28 | 日記
自分の誕生日が、数日前に通過しました。
普段だったら、犬を相手にTVを見ながらダラダラ飲むのが常ですが
今年は近所に住む会社の同僚が
「私もその夜、ヒマだし。娘連れて行くよ、誕生日会だ!」と
ケーキを持って遊びに来てくれました。


誕生日にケーキなんて、ウン十年ぶり?かな(笑
小3の女の子が、うちの犬を執拗に追いかける賑やかな一夜でしたが
楽しかったです
ありがとう。

既にタイトルに厳しいツッコミがあったような気がしますが、
もちろん二十歳などではありません。
誕生日をきっかけに、久しぶりに村上春樹さんの「バースデイ・ガール」を
読み返しました。
ある女の子が二十歳の誕生日の夜、風邪をこじらせた友達の代わりに
ウエイトレスのアルバイトに出るという話です。
誰も顔を見たことのない店のオーナーの老人に、誕生日の夜にひとつだけ
願いを叶えてあげると言われ・・・

私はこの話がすっごく好きで、二十歳の時点で、たった一つだけ
何かを願うとしたら、何なんだろうな、と想像を膨らませます。

人生の折り返し地点を過ぎてしまった今、自分のこの生活は、
果たして願いが叶っているものなのか、自分が掴んだものなのか
はたまた運に左右されたものなのか・・・

主人公の女性が最後に言います。
「人間というのは、何かを望んだところで、どこまでいったところで、
自分以外にはなれないものね」

そうそう、人間、分相応が一番

新しい一年も適当にやっていこ~。

季節はずれの?

2012-10-24 | 日記
犬の散歩道に沿ってオシロイバナが満開です!


しかし。
秋めいた冷たい風を感じながら、なんか、違和感・・・

オシロイバナって、子供の頃の夏休みのラジオ体操のイメージだもの。
集合場所の公園に行く途中で、いつも皆でオシロイバナ摘んで
遊んでたなぁ~。と。
ガクの部分をそーと引っ張ってパラシュートにしたり、
花をつぶしてマニキュアにしたり。

これも地球温暖化の影響なのかな?

そぉなん?

劔岳 点の記

2012-10-19 | 映画
明治40年、地図の測量手として実績を上げていた柴崎芳太郎(浅野忠信)は
突然、陸軍参謀本部から呼び出される。
「日本地図最後の空白地点、劔岳の頂点を目指せ」
―当時、ほとんどの山は陸地測量部によって初登頂されてきたが、
未だに登頂されていないのは劔岳だけだった。
柴崎らは山の案内人、宇治長次郎(香川照之)や助手の生田信(松田龍平)らと
頂への登り口を探す。
その頃、創立間もない日本山岳会の会員も剱岳の登頂を計画していた。
(goo映画より)

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監督の木村大作さんが、
「映画の撮影に行くんじゃありません、これは苦行です」と
宣言していた通り、自然の迫力はさすが圧巻でした。

一切CG無しのリアルってんだから、本当に俳優さんたちは
大変です。。。
特典映像で、香川さんと浅野さんのインタビューがありましたが
「配役は、根性がありそうな順で声をかけられたようです、
 これって光栄なのかな(笑)」
みたいな事を言っていましたが、浅野さんも凍傷寸前のとこまで
いったらしく、やはり俳優魂スゲー

圧倒的な自然の迫力と美しさは、本当に素晴らしく
感動するよ。いいよ。すごいよ!

ただね・・・
最後のオチがね・・・
オチっつーか、この映画のクライマックス、様々な試練を乗り越え
ついに登頂!!って、それで終わりでよくね?
まぁ、実話に基づくストーリーとのことでしょうが、そこは
ちょっと脚色してもねぇ?(そう思うよね、そこのあなた?
詳しくは書きませんが、最後、かなり肩透かし食わされました。

まぁ、総評としてはいつものごとく。
やっぱり、香川照之、すごい!最高

美味しいコーヒーのおまじない

2012-10-17 | 日記
平日のレッスンは20時から始まるので、忙しいと会社からそのままダッシュで
飲まず食わずで22時頃まで練習なんですが(必死か
仕事を少しでも早く上がれると、必ず立ち寄るちっちゃなデザート・カフェが
近くにあります。
コーヒーにこだわるマスターが1人でやってる、とても素敵なお店なんですが
な、なんと「コピ・ルアックを限定入荷しました」と

コピ・ルアック、ご存知でしょうか?
ジャコウネコの糞から採られる未消化のコーヒー豆なんです!
ジャコウネコは熟した美味しい果実だけを選んで食べ、その種子にあたる
コーヒー豆は消化されずそのまま・・・てへへ。

映画「かもめ食堂」で、コーヒーを美味しく淹れるおまじないとして
ペーパーに入れたコーヒー粉のてっぺんに人差し指をちょいと差し込み
「コピ・ルアック」とつぶやく場面、有名ですよね~(マニアックすぎるか

非常に希少価値が高く、今回、仕入れ先でも抽選となり、何と当たったん
ですよ~!と。

しかし何と、一杯、2000円・・・です

マスター曰く、値段の割には、別に大した味じゃないけど
レアものに対する値段です、お祭りですから!と。

うーーん、話の種に飲んでみたいけど、2000円かぁ
うーーん、うーーーん、うーーーん、

あ、マスター、もう時間なんで、レッスン行かなくちゃ!
また今度

犬の散歩の好都合なところ

2012-10-14 | 日記
今年は少し遅いとのことですが、ようやく金木犀の香りが漂う
季節となりました。

あー、秋だな

犬の散歩をしていると、
花の香りに誘われて立ち止まったり、
見事なうろこ雲だなーと空を見上げたり、
キレイねー、と、よそんちの玄関先に咲く花を
しげしげと覗き込んだり、

一人でやってると不審者のような行動も、
傍らに犬さえ連れていれば、自然な行動になる場面って
たくさんあります。

どもども、ありがとう

おと・な・り

2012-10-05 | 映画
人気モデルの撮影に忙しい日々を送りながらも、風景写真を撮りたいという
思いを抱えるカメラマンの聡(岡田准一)。
一方、フラワーデザイナーを目指して花屋のバイトをしながら、
フランス留学を控えた七緒(麻生久美子)。
同じアパートの隣同士に暮らす、30歳、恋人なしの二人は、
顔を合わせたことは一度もない。
口ずさむ「風をあつめて」のメロディー、フランス語、コーヒー豆を挽く音・・・。
いつしか互いの生活音に癒しを感じるようになる。

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映画も久しぶり~!
岡田くん、めっちゃ顔きれーー!
麻生久美子、超カワイイ~!
イェーーーーイ

隣同士に住んでて、一回も顔合わせないなんて、あり得ない~。
とか
隣の生活音が、そこまで筒抜けなのって、ちょっと引くわ~。
とか
色々と突っ込みどころ満載ではありましたが、
主人公2人がキレイなのと、風景がキレイなのと、
ゆっくりとしたテンポのミニシアター系のストーリーで
癒されました。

ロケ地のアパートは鎌倉で、映画のキーとなる湖は東京と埼玉の県境辺り
らしいです。
こういう、ゆっくりと過ごす生活、憧れるわ~

サラダ好きのライオン/村上春樹

2012-10-03 | 読書
もう10月なんですね・・・
いつもながら、9月と3月は繁忙期につき、記憶があまりないまま
次の月に突入するのが常です。
歳のせいか、体力急速低下
仕事から帰ってきたままの格好で朝まで死んだように寝てました

そんなワケで落ち着いて本も読めず、でも、そんな時こそ
読書欲が沸くのって、昔からだよなー。
試験勉強中に限って本が読みたくなる。とか

で、「村上ラヂオ」第三作。です

こういう3、4ページのチャーミングなエッセイを、
寝る前に1つずつ読んで眠りにつくのって、幸福です

その中に、「秋をけりけり」というエッセイがありました。

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新しい下駄を買つたからと
ひよつこり友達が訪ねて来た。
私は丁度ひげを剃り終へたところであつた。
二人は郊外へ
秋をけりけり歩いて行つた。
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木山捷平の「秋」という詩(昭和8年)らしいです。
春樹さんは、秋がやってくると、どこかの時点で、この詩をふと思い出す、と。
(どこかの時点、ってとこがグっときますよね

確かに、素敵な詩です。
なんちゃないけど、丸ごとその情景が浮かんできます。
肌に感じる、初秋特有の温度感まで。

これを読んで、私もふと顔をあげ、
「あー、10月、か。」と思いました。
ようやく季節が変わってくれるかな。

今年の夏はしんどかった。グッバイ