彼女が帰ってくるまでの2時間は、まさしく、いても立ってもいられませんでした。
でも、そんな心配も杞憂だったようです。
ニコニコ顔の彼女が、山のような洋服を抱えて、無事に戻ってきたのです。
しかし、心配性のワタシは次の心配を探し出すことに成功していました。
「あんた、洋服のお直し、できるんだろうな?」
「・・・・・・・・ミシンの経験はたくさんあるから・・・・大丈夫だヨ・・・・」
やっぱり・・・・。
やったこともないのに、契約を採ってくるとは、どういう神経なのでしょうか。
「大丈夫だヨ。一生懸命やればできるヨ」
ま、いいか。
最悪でも、損害を賠償すればよいのだ。
そう考えると、気が楽になりました。
彼女とつきあってからは、ハラハラドキドキの連続でした。
ここら辺りで、腹をくくるしかないのです。
「いざとなったら、上海に逃げるぞ」
一つのお直しに、数時間ないし半日かけて、朝10時から、夜11時まで、休み無く仕事を続けます。
もっと速く起きて、仕事をすればよいのに、と思うのですが、睡眠時間については、彼女は妥協しません。
この時点では、理由はよく解りませんでした。
食事もあっという間に造り、食べ終えます。
「弁当でも採ったら? お金はようちゃんが出すよ。それとも弁当を買ってこようか?」
「ダメ。贅沢です」
なにしろ、初めての仕事です。
やはり、何度も失敗しているのでしょう。
ミシンをかけてはほどき、を繰り返します。
一週間ぐらい経ってから、品物をお店に届けに行きました。
クレームがつかないかしら。
契約をうち切られないかしら。
心配するな。してもしょうがない。
理屈では解っていますが、心配せざるをえません。
結果は?
「ハオ(好)だって」
この一言を聞いた途端、身体から力が抜けました。
「あなたのお直しは、しっかりしてキレイだって」
「よかった~!」
ところで。
「しっかり、ってどういう意味ですか?」
訳を聞いてみると、今まで使っていたお直しさんに不満があって、そこに運良く彼女が割り込むことに成功した、ということでした。
「いいかい。ビンボウニンの財産は信用だけですよ。どんなに時間がかかってもよいから、きれいなものを造るように。
それと納期は絶対に守るように。
納期は品質と同じです。
また、ミスはいけませんよ。
特に、連絡不足によるミスはいけません。
少しでも解らないことがあったら、面倒くさがらずに、必ず問い合わせをすること。
電話代はいくらかかってもよいからね。
それから、あなたは小さな会社の社長と同じなのですから・・・」
この長い説教に、指図されることの大嫌いな彼女のかんしゃくが爆発しました。
彼女は自分が威張っていないとダメなのです。
だから会社勤めもダメなのです。
「う~る、う~る、うるうる、うるさいヨ!!」
ワタシも負けていません。
「うる、うる、は女子高生が泣くときにつかう言葉だ。おまえみたいなおばさんが使うんじゃない!」
「??? なに言ってんだかわかんないヨ。静かにするヨ!」
とにかく山は越えたようです。
今日も、彼女は日本に来て、初めてみた、というエプロンをキュッ!と締め、口をへの字に結んだ得意のガンバル顔になり、リズムをとって気合いを入れます。
「しごとヨ。シゴト♪ ♪ 」
でも、そんな心配も杞憂だったようです。
ニコニコ顔の彼女が、山のような洋服を抱えて、無事に戻ってきたのです。
しかし、心配性のワタシは次の心配を探し出すことに成功していました。
「あんた、洋服のお直し、できるんだろうな?」
「・・・・・・・・ミシンの経験はたくさんあるから・・・・大丈夫だヨ・・・・」
やっぱり・・・・。
やったこともないのに、契約を採ってくるとは、どういう神経なのでしょうか。
「大丈夫だヨ。一生懸命やればできるヨ」
ま、いいか。
最悪でも、損害を賠償すればよいのだ。
そう考えると、気が楽になりました。
彼女とつきあってからは、ハラハラドキドキの連続でした。
ここら辺りで、腹をくくるしかないのです。
「いざとなったら、上海に逃げるぞ」
一つのお直しに、数時間ないし半日かけて、朝10時から、夜11時まで、休み無く仕事を続けます。
もっと速く起きて、仕事をすればよいのに、と思うのですが、睡眠時間については、彼女は妥協しません。
この時点では、理由はよく解りませんでした。
食事もあっという間に造り、食べ終えます。
「弁当でも採ったら? お金はようちゃんが出すよ。それとも弁当を買ってこようか?」
「ダメ。贅沢です」
なにしろ、初めての仕事です。
やはり、何度も失敗しているのでしょう。
ミシンをかけてはほどき、を繰り返します。
一週間ぐらい経ってから、品物をお店に届けに行きました。
クレームがつかないかしら。
契約をうち切られないかしら。
心配するな。してもしょうがない。
理屈では解っていますが、心配せざるをえません。
結果は?
「ハオ(好)だって」
この一言を聞いた途端、身体から力が抜けました。
「あなたのお直しは、しっかりしてキレイだって」
「よかった~!」
ところで。
「しっかり、ってどういう意味ですか?」
訳を聞いてみると、今まで使っていたお直しさんに不満があって、そこに運良く彼女が割り込むことに成功した、ということでした。
「いいかい。ビンボウニンの財産は信用だけですよ。どんなに時間がかかってもよいから、きれいなものを造るように。
それと納期は絶対に守るように。
納期は品質と同じです。
また、ミスはいけませんよ。
特に、連絡不足によるミスはいけません。
少しでも解らないことがあったら、面倒くさがらずに、必ず問い合わせをすること。
電話代はいくらかかってもよいからね。
それから、あなたは小さな会社の社長と同じなのですから・・・」
この長い説教に、指図されることの大嫌いな彼女のかんしゃくが爆発しました。
彼女は自分が威張っていないとダメなのです。
だから会社勤めもダメなのです。
「う~る、う~る、うるうる、うるさいヨ!!」
ワタシも負けていません。
「うる、うる、は女子高生が泣くときにつかう言葉だ。おまえみたいなおばさんが使うんじゃない!」
「??? なに言ってんだかわかんないヨ。静かにするヨ!」
とにかく山は越えたようです。
今日も、彼女は日本に来て、初めてみた、というエプロンをキュッ!と締め、口をへの字に結んだ得意のガンバル顔になり、リズムをとって気合いを入れます。
「しごとヨ。シゴト♪ ♪ 」