わんちゃんがやってきた その72

ミックスのアキオ君は、プーチャンよりも
毛が多いし、身体も大きいので
さすがのお嫁さんも四苦八苦です。

あの悲鳴は、そうした過程で毛でも挟んだのか、と
気楽に考え引き返します。

少し経つと、またもやアキオ君の
悲鳴です。

再び跳んで行きます。

相変わらず、二人とも
「ナニモナイ」
の顔です。


アキオ君とお嫁さんの周りは、
カットした毛が散乱して山のようです。

その量は半端ではありません。
マジで、何かに使えないか、と思った
ほどでした。

犬の毛マット、蒲団なんて聞いたことが
ありませんから、おそらくダメなんでしょう。

さて、アキオ君の床屋も終わりました。

フサフサしていた毛はあらかたカット
され、プーチャン同様みすぼらしくなりました。

プーチャンと違うのは、毛が長いので
全身が虎刈りになってしまったことです。

これが思春期の女の子だったら
絶望のあまりの自殺ものです。

放送大学でやっていたのですが、
人間に最も近いチンパンジーですら
絶望なんて感情は無いそうですから
ワンコにも無いと思います。

だから、ワタシが思うほど、本人達は
悲観していないのでしょう。






ＡＬＡ！中国

わんちゃんがやってきた その７１

「これじゃホームレスの犬だよ」
と抗議しますが、お嫁さんは意に介しません。

「まあ、こんなにみすぼらしくなっちゃって
　可哀想に」

という、ワタシの悪口も馬耳東風です。

※馬耳東風とは
春風が吹くと寒い冬が去って暖かくなるだろうと人は春の訪れを
思い喜びますが、馬は耳を撫でる春風に何の
感動も示さないということから、
他人の意見や批評を聞き入れずに心に留めない
たとえとして「馬耳東風」と言うようになりました。
この出典は李白だそうです。


トイプー、プーチャンの惨劇が終わったので
次はミックス、アキオ君の番です。

あの悲劇が繰り返されるのかと思うと
もう限界です。

見るに堪えなくなった
ワタシは自室に引き上げます。

見えないモノは存在しないのです。


しばらく、お嫁さんとアキオ君の話し声
がしていたのですが、
突然、アキオ君の悲鳴が上がりました。

慌てて跳んで行きます。

「お、おい、どうした？」
「ナニモナイ」

と、お嫁さんは平然としています。

本当かよ。

あのアキオ君の悲鳴はただ事では無かった
ように思えますが、
被害者のアキオ君も、ナニモナイ、という顔をしています
ので、大丈夫なんだろうと判断し
自室に引き返します。





ＡＬＡ！中国

わんちゃんがやってきた その70

1時間ほどして
トイプーのプーチャンの床屋が
いやトリミングが終わりました。

不器用なお嫁さんですから
手こずるかとおもいきや、思いのほか
スムーズに事が済みました。

プーチャンは、お嫁さんにタコタコ（抱っこ）
されると静かになるのです。

それは床屋をやっている間も同じで
されるがママでした。


お嫁さんとプーチャンの周りは、
刈り取った白い毛が散乱して
雪のように積もっています。

この毛、捨てるのはもったいない。
座布団などに何かに使えないかな
と考えたほどです。


で、肝心のプーチャンはどうなったか
というと。

あの愛らしい丸い顔と身体が激変しました。

ゴボウみたいに細くミジメな格好になりました。

羊毛を採るために、羊を押さえつけ、バリカンで毛を
刈り取るのをテレビで視たことがありますが
刈り取られた羊ちゃんは、すっかりと
痩せ細り、可哀想になります。

プーチャンも、人前で
オールヌードにされ、貧相な肉体を
世間に晒されたという感じです。





ＡＬＡ！中国

わんちゃんがやってきた その69

で、トリミングに失敗したお嫁さんは、
自分でやると言い出しました。

「大丈夫？」
「こんなもの、誰でも出来ますですヨ」

短くするだけなら、出来るでしょうが
キレイにカットするのは、素人では無理だと
思います。


で、ハサミを取り出し、まずは小さい
プーチャンからです。

トイプーのプーチャンは、ちょこまかと
動き回るし、ワンワンうるさいのですが
どういう訳か、たこたこ（抱っこ）
すると静かになります。

ぬいぐるみのお人形さんみたいに
動かなくなります。

これに対し、アキオ君はたこたこが
嫌いらしく、抱き上げると激しく
もがきます。

だから、プーチャンで練習して、次は
ミックスのアキオ君、という順番になります。


お嫁さんはプーチャンを膝に乗せて、
カットを始めます。

それを心配顔で見つめるアキオ君です。

そんなアキオ君にワタシが忠告です。

「おい、これが終わったら今度は
　お前の番だぞ。覚悟しておけ」
「ワン」

果たして二人の運命はどうなることでしょう。





ＡＬＡ！中国

わんちゃんがやってきた その68

以前にも紹介しましたがお嫁さんはケンカが
大好きなのです。

ワンコチャンを飼うと、年に一度の
狂犬病注射があります。
それで獣医さんのところへ
夫婦二人と二匹、合計四人で出かけます。

我が家から徒歩で数十歩ぐらいのところに
動物病院があります。
隣、といっても良いぐらいに近いです。


注射は一瞬でした。
普段は騒がしいトイプードルのプーチャンですが
注射には全く動じませんでした。
表情も変えません。

それに対し、普段は沈着冷静なミックスアキオ君は
大騒ぎです。

皆で押さえつけて注射ですが、
可哀想なことに泣きそうな
顔になりました。

犬もこんな表情をするんだ、と驚きます。


そんなこんなで
無事に注射は終わったのですが
獣医さんの提案で出された
フィラリアのお薬の値段が、高い安いでお嫁さんと
獣医さんがケンカになりました。

穏やかに話せば、と思うのですが、
お嫁さんには、強気に出ないと舐められて損する、という
先入観があります。

何しろ、性悪説に凝り固まっているお嫁さん
です。
相手の言動を悪く悪く解釈します。

それでケンカになり、とうとう出入り禁止に
なってしまいました。

幸いにも、動物病院は近所に沢山あります
ので、実害はないのですが、気分は悪いです。

こんなお嫁さんのケンカを事前に防止した
ワタシはマジで平和賞ものだと思う次第です。





ＡＬＡ！中国