お母さんを持ってくる １６

さて、上海でのお嫁さんの行動計画ですが、
空港に到着したその足で、お母さんが
入っているホームに行きます。

そこで、退居手続きをして、一晩泊まり
次の朝、お母さんのマンションに引っ越します。

引っ越しには、元嫁さんが手伝いに来てくれる
ことになっています。

こういう親族間の助け合いは、中国人は上手です。

そのマンションを拠点にして、親族訪問ビザ取得の
手続きをし、お母さんを日本に持ってくる、いや
連れてくる、という手はずです。



嫁さんが家を出てからだいぶになります。

もうそろそろホームに到着したころです。

頃合いを見計らって、ホームのお母さんに
電話しますが誰もでません。

退居や引っ越しの準備で忙しいのでしょうが
それでも心配です。

その後、何度も電話しましたが誰も出てくれません。

とうとう、その日は連絡が取れませんでした。

連絡が取れない、なんてのは永い結婚生活で
初めてでした。







ＡＬＡ！中国

お母さんを持ってくる １５

小心者のワタシは、万全のお嫁さん対策
を施しておきます。

「俺も、一緒に行きましょう。一ヶ月は無理だけど
　数日なら大丈夫だ」

この二枚舌提案は、予想通り、即座に却下されました。

「ブヨウ（不要）です。お金がもったいないです」

しめしめですが、勿論、そんなことはおくびにも出しません。

「それでは、せめて成田空港まで見送りますよ」

「ブヨウ（不要）です。電車のお金がもったい無いです」

まあ、荷物は手提げバック一つですから、ワタシが
付き添う必要はないでしょう。


会社が暇になるや、お嫁さんは休みをとって
帰郷です。

ワタシが見送りしない帰郷は、結婚してから初めてでした。

心配性のワタシは心配します。

電車の切符は買えるだろうか、無事に空港に着ける
だろうか、飛行機に乗れるだろうか・・・。

一人で外国まで来て、住まいを探し、職を探し
ワタシを騙して結婚させた女性です。

ワタシなどより、はるかにたくましいはずですので
心配無用なはずですが、どうしても心配になります。







ＡＬＡ！中国

お母さんを持ってくる １４

オウチに帰り、早速お嫁さんと相談です。

お母さんのパスポートは期限が切れていますので
取り直すことから始めなければなりません。

パスポートを取り、それから上海の日本領事館
で親族訪問ビザを申請します。

ビザが降りるのに一週間。

トータルで、どうしても一ヶ月ほどかかりますが、
お母さん一人では無理です。

それで急遽、お嫁さんが上海に帰郷し、
親族訪問ビザ取得に必要な書類と共に、お母さんを
日本に持ってくることになりました。

一ヶ月です！！

一ヶ月もお嫁さんが不在になります。

その間、何をしようがワタシの自由です。

自由だあ、自由だあ！　と叫びたくなりました。

その後に来るであろう艱難辛苦などは考えません。

一ヶ月後の一万円よりも、目の前の三千円です。

浅はかで軽率なワタシの目の前には、バラ色の世界が
地平線の果てまで広がっています。





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お母さんを持ってくる １３

行政書士さんはたいそう親切な人で、
ワタシのオウチに来て説明しても良い、との
話しでしたが、オウチはなにしろ来客用に出来て
いません。

客用の湯飲み茶碗一つありません。

客用どころか、ワタシ達夫婦の湯飲みさえありません。

そもそもお茶の用意がありません。

それで、ワタシが行政書士さんの事務所に出掛けることに
なりました。


当日になりました。

自宅をかねている事務所で、行政書士さんと
お話です。

事情はメールで事前に説明していましたので
話しはスムーズです。

行政書士さんによると、まずは親族訪問ビザで
来日させ、それから老親扶養ビザを申請する
ことになる、とのことでした。

やはり老親扶養ビザ取得は非常に難しいとのことです。

親族訪問ビザは、三ヶ月ですから、その間に
必要書類を準備し申請を済ます必要があります。






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