わんちゃんがやってきた その２４

書類は総て書き直しです。

選択肢が多い、つまり自由がある、
というのは大変です。

買う前に悩むだけでなく、買ってからも
これで良かったのか、と悩むからです。

ワタシの、そんな思惑など、私には関係ない、
と、お嫁さんは、他の店員さんと、首輪とか首紐を
見に売り場に戻ります。


話しは変わりますが、このワンコちゃん。
クビのところにマイクロチップが埋め込まれ
ワンコの履歴が判るようになっているそうです。
時代ですねえ。


店長さんがワタシに質問です。

「名前はどうします」
「イヌ、にするそうです」
「い、イヌですか？　そ、それは、
　ユニークなお方ですね」

目を丸くしていました。

まあ、イヌでは可哀想なので、役所に届け出る
名前は別のにするつもりですが。

それにしても、役所に届け出たり、狂犬病の注射をしたりと
色々と大変だそうです。

「先ほど、不要とうかがいましたが
　保険はどうします？　入ることをお勧めしますが」
「不要です」

「入らないと、結構お金が掛かりますよ」
「いりません」

ワタシは、つねづね、ペットショップなる存在を
苦々しく思っていました。

しかも、今回は意に沿わないワンコを買わされます。
なんだかんだと、結局お金を払うのはワタシです。

それで。
この若い女性の店長さんをいじめて
ウップンを晴らすことにしました。






ALA中国！

わんちゃんがやってきた その２３

お嫁さんが豹変しました。

「やはり、最初のわんちゃんにします。
　可哀想です」
「おい、今更変更かよ」

と、これはワタシですが、
さすがに店長さんも、一瞬ですが、ムカついた
ようです。

顔が引きつっています。


お嫁さんは、最初に出くわしたミックス犬のワンコが
印象に残っているのです。

元気が無い、というのもお嫁さんの同情を
掻き立てたのでしょう。

お嫁さんは気が強いのですが、弱者には
優しいところがあるのです。

だから、中国の農民には同情を惜しみません。
ところが、しかしです。

ワタシは、十分に弱者なのですが、ワタシには
ちっとも優しくしてくれません。
どうしてでしょう。


それはとにかく、なにしろ
他人の思惑や迷惑など眼中にないお嫁さんが
絶叫します。

「変えるヨ～！！」

結局、最初の元気がないミックスの
下痢ワンコに決定しました。






ＡＬＡ！中国

わんちゃんがやってきた その２２

その後、色々と注意事項の説明です。

「人間の食事は与えないでください」
「どうしてですか？」

「美味し過ぎて、ドッグフードを食べなく
　なるからです」
「へ～、なるほど」

「それから、わんちゃんにブドウやタマネギ、チョコは
　厳禁です。
　特にチョコレートはいけません。
　死にますよ」

これには驚きました。
チョコで死ぬのかよ・・・。
今後はドックフード以外の食い物を与えるときは
いちいち調べる必要があるな、と思いました。

「それから１週間はケージの中で飼ってください」
「理由は？」

「ケージに慣れさせるためです」
「ふ～ん・・・」

「保険はどうします」
「不要です」

と、これはお嫁さんです。

「オウチに連れて帰った晩は、鳴きますよ」
　ク～、ク～。

店長さんはワンコの真似して鳴いてみせます。

「鳴いても無視してください」
「どうしてですか？」
「構うと、それが癖になり、もっと鳴くようになります」

やれやれ、ワンコのしつけは大変そうです。

それでは、これで契約成立、書類も総て署名が終わり、
さあわんちゃんの引き渡し、という段階になって
再び事件発生です。






ＡＬＡ！中国

わんちゃんがやってきた その２１

「やはり、小さい方にしますヨ」

その時には六時をとっくに過ぎていました。

早速契約にはいりますが、こういうのが
苦手なお嫁さんですので、話しをするのは
ワタシです。

店長さんがワタシに質問です。

「ワンちゃんのお迎えについては
　御家族様は全員同意していらっしゃいますか」

思わず、
していらっしゃいません、同意しません、
と絶叫したくなりましたが、
嫁さんが背後にいますので、言えません。

日本から言論の自由が奪われた瞬間です。

「あ、は、ハイ、同意していらっしゃいますです・・」

同意しないと言えば、売らないのかしら？

それにしても「お迎え」かよ。
葬式みたいだな・・・・・。
いや、葬式だとお見送りか・・・。
でも、あの世からお迎え、という言い方もあるな。

そんな、どうでもよいことが頭を駆け巡ります。


店長さんから、何枚もの書面を渡され､
あちこちに署名するよう促されました。

「俺が署名するのかよ」

お嫁さんは澄ましています。

「そうですヨ」






ＡＬＡ！中国

あけましておめでとうございます。

新年好！



今年もよろしくお願いいたします。