わんちゃんがやってきた その１１

そうこうしていると、茶色の赤ちゃん
トイプードルと出逢いました。

小さな四つ足をしっかりと踏ん張って、
真っ黒な目でワタシ達を見つめています。

「これは可愛い」

二人で眺めていると、若い女性の店員が
近寄って説明です。

「この子は、泣いたり吠えたりしませんよ」

ウチはマンションですから騒音被害が一番心配に
なります。

「吠えないんですか？」
「この子が吠えたところは一度も見たことありません」

これなら、とワタシの心も動きますが、嫁さんは
触手を動かそうとしません。

値段が３０万もするからです。

３０万なら、ハイスペックのＰＣが買えるし、
ソープも１０回は楽しめるな、と悪い計算が
頭を走ります。

結局、もう少し考えてから、ということで
その店も後にしました。




次の休日は、柴犬専門店に出かけます。

テレビで、柴犬のドラマをやっていたのですが
お嫁さんはそのムクムクした芝の子犬に魅了
されたらしいのです。

「柴犬は日本の伝統の犬なんでしょ？」
「そうらしいね。だから日本の風土に合っていて
　病気に強くて飼いやすいらしいよ」

「でも、大きいんでしょ？」
「豆芝とか、極小豆芝とか、小豆芝とか、
　チワワよりも小さいのがいるらしい」

「それにしますか？」
「犬はダメだよ。約束したでしょ。見るだけだって」

「見るだけだから見に行きます」







ＡＬＡ！中国

わんちゃんがやってきた その１０

結局、今日は見るだけ、という約束通り
本当に見るだけで終わりました。

ワタシはいささか驚きました。
お嫁さんが、約束をちゃんと守るなんて、
非常に珍しいことです。

約束はしたけど、約束を守ると言った
覚えは無い、なんてことにはなりませんでした。

やはりわんこを飼うのは、お嫁さんとっても
大きな問題らしいです。

再び、片道三時間の夜道を連れ立ってかえります。



やれ一安心と思ったのもつかの間、次の
休みの日に、他のペットショップに案内させ
られました。

電車で３０分ぐらいのところにある、大きな
お店です。

異臭に慣れたのか、殊更臭いは気になりませんでした。
お店は沢山のお客さんで溢れ、犬と猫以外にも
ウサギとネズミがおります。
お魚もいました。


ハリネズミは、まるでおもちゃみたいに
可愛いです。

「おい、飼うならこれにしようよ」

ハリネズミなら、吠えないし、手間もお金も掛からない
でしょう。

しかし、テレビに感化されているお嫁さんは見向きも
しません。

「うさちゃんはどうよ」

ウサギなら、吠えませんが、あちこちに丸い
玉みたいなウンコを
ばらまく、という欠点があります。

しかし、お嫁さんはやはり首を縦に振りません。





ＡＬＡ！中国

わんちゃんがやってきた その９

その、雑種の、いやミックスわんこの赤ちゃんは、
グタ～、と腹ばいになったまま、ぴくとも
動きません。

他の子犬たちが、しゃかしゃかと動き回って
いるのとは対照的です。

「病気かしら？」
「だから安いのかな」

しかし、見切り品には、ことのほか弱いお嫁さんです。
お嫁さんの目は、その値段の安いわんこに釘付けです。
それこそ刺すような目つきでにらみつけています。
慌てて念押しします。

「おい、見るだけ、という約束だよな」
「判っているヨ」

さすがに、衝動買いは控えたようです。


それにしても、色々なわんこがありますね。
洋犬が圧倒的です。

ワタシとしては日本的な感じが
する柴犬が好みなんですが、
マンションで飼うには、少し大きすぎるような
気がします。

飼うのを諦めさせる為に色々と工作します。

「メスの方が飼いやすいらしいよ」
「そうなの？」

「そうなんだって。人間もだけど、メスの方が
　温和しくて、病気にも強いんだって」
「温和しいのか？」

お嫁さんをみていると、あまり説得力がある
とも思えないのですが、犬の世界は違うのかも
しれません。

「これは男だ」
「だから元気が無いのか」
「きっとそうだよ」

と、ワタシも,矛楯だらけの
でたらめの思いつきで
説明です。








ALA!中国

わんちゃんがやってきた その８

一番値段が安い、オスのわんこの前でした。
他のと比べると、半値近い価格です。

「こんな時にも、値段かよ」

説明書きには、パピヨンとチワワの
ミックスとあります。
パピチワ、というそうです。

お嫁さんが質問です。

「ミクスって何ですか？」
「お父さんとお母さんの種類が違う、という
　意味です。つまりお父さんが日本人で
　お母さんが中国人、といった具合です」

ミックスなんて、まあしゃれたネーミングです。
昔は雑種と言いませんでしたかね。
雑種というと、なんか差別的な臭いがして
可哀想に感じます。

調べたところ、ミックスと雑種は、
本当は同じだけど、違う意味
で使われているとのことでした。

パピヨンというのは、フランス語で
蝶々という意味です。
耳の形などから、そうネーミングされた
モノでしょう。

目が大きいフランスの小型犬です。
チワワは、世界最小の小型犬です。

そのわんこは、まだ赤ちゃんで、
体重が１㎏にも満たないのですが
あまり元気がありません。






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