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野党もメディアも相続税にはなぜか無関心

2008-08-01 13:56:05 | Weblog
 09年度の税制改正に向け、自民党税制調査会では相続税の強化が浮上しているそうです。相続税は03年度に最高税率が70%から50%に下げられましたが、今回は逆に課税強化が議論されるそうです。逆進性が問題になる消費税の増税とセットにして批判をかわそうとする意図があるとも言われています。

 不思議なことは野党もメディアも相続税の問題に極めて無関心なことです。税率が下げられた03年の際もほとんど報道されず、議論になりませんでした。今回も同様に無関心が主流です。相続税の重要性をどう認識しているでしょうか。

 相続税は世代の交代時にリセットし、スタート時の機会均等を実現するという大切な役割を担っています。相続税が低ければリセット機能が弱くなり、生まれながらに格差がつくという好ましくないことになります。しかし相続税が高すぎると資産を税率の低い外国へ移したり、子供に財産を残せなければ働く意欲が弱まるなど、様々な要素があり簡単な問題ではありません。

 相続税は約1.5兆円で税収としてはそれほど大きいものではありませんが、機会均等を実現する最も強力な手段です。そして機会均等はその重要性に見合うだけの関心が払われていないように感じます。

 今回は課税最低額の引き下げ案が有力とされていますが、前回緩和された累進度はどうするのかなど、議論すべきことは少なくありません。機会均等は社会の基本的な理念に関わることであり、経済格差と同様、政策を批判する上で重要な基準にもなり得るものと思いますが、メディアも野党も関心がないのはなんとも理解ができません。

 メディアが無関心を続ければ、国民が知らぬ間に少数の関係者だけで決まったということになります。法曹3000人、裁判員制度などの司法改革は国民の多くが知ったのは決まった後でした。大事なことを広く知らせるのがメディアの期待される役割のはずです。食品偽装や殺人事件を騒ぎ立てるクセがついてしまい、そちらを重要と考える体質になったのでしょうか。

 高所得者は資産も多い傾向があり、相続税の強化を喜びません。高所得を稼ぐマスコミの幹部や野党の幹部は、機会均等より自分の子供に財産を残すことが大事なのでしょうか、と勘ぐりたくなります。


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