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オリンピックマラソンと英語民間検定試験、2つの大失敗

2019-11-03 22:00:01 | マスメディア
 オリンピックマラソンと競歩の地域変更、英語民間検定試験の直前の延期、どちらもおおぜいの偉い(と思われている)人々がよってたかって、何年もの長時間の議論の上、決定されたものである。それがどちらも直前になって、「これはまずい」ということになった。わけのわからない子供達だけで決定したことを大人が見て、「これはまずい」ということならわかる。今回、決定したのはタダの大人ではない。専門家、学識経験者などの優秀・有能(であるはずの)人たちがこんなアホなことしか決められないとは。

 このように思うのは私のような素人でも彼らの決定がおかしかったと思うからである。真夏の東京でマラソンなんて狂気の沙汰と言ってもよい。その日の天候によるから確定的なことは言えないが、悪くすれば38℃、湿度70%はあり得る。国の期待を背負う真面目な走者であれば、死ぬまで走る者が出るかもしれない。この暑さがマラソンに適しないことには誰もが気づいていたと思う。しかし大きな声にはならなかった。メディアにもその気がなかったからであろう。

 経験のない過酷な環境でマラソンを実施するには遮熱舗装などの弥縫策を講じる前に実験を行うのが常識であるし、それが不可能であったわけではない。あったのは怠慢と無責任と発想の貧困である。これだけの大規模な大会である以上、それくらいのことはやってしかるべきだと思う。それともスポーツ界ではこういうのが常識なのだろうか。

 英語民間検定試験も直前の延期というお粗末なことになったが、結果的には望ましいこととなった。これまでの経緯を簡単に述べると、2013年10月 内閣の諮問機関「教育再生実行会議」の提言を受け、2014年12月 中央教育審議会が、20年度からの新学力評価テストの実施、英語に民間検定試験の活用などを答申、17年7月 文科省がセンター試験に代えて「大学入学共通テスト」の実施と英語民間試験利用を発表、となる。中央教育審議会の答申から5年経つが、この間、教育や行政の専門家(である筈)の人々が寄ってたかって議論をしてきた。

 中止になった理由は地域的、経済的な不公平性に加えて、難易度の異なる試験を入試の合否判定に使うことの難しさとされる。どれもとっくの昔からわかっていたことである。とくに難易度の異なる各試験を公平に評価することは難しく、誤差がさけられない。

 2019年9月16日に朝日に掲載された朝日と河合塾の共同調査では大学の6割、高校の9割が「問題ある」と回答したという。しかし残念なことに萩生田文科相の「身の丈」発言が出るまでは、このような反対の声は大きく報じられることはなかった。

 この二つの恥ずかしい問題は似ている。大きな組織が何年もかかって決めたことがスカタンであったことである。しかもその経過は公表されているのに、メディアや野党は是正に何の役割も果たさなかった。メディアが騒いだのは文科相の「身の丈」発言がきっかけであった。メディアは英語民間検定試験にはあまり関心がないが文科相の失言には飛びついた。それがよい結果になったとはまさに皮肉である。

 メディアも野党もモリカケ問題など与党の揚げ足取りばかりに関心を集中して来た結果ともいえる。政府を監視するというご自慢の役割はどうしたのか。与党政権を倒すことばかり考えているようだが、仮にそれが成功して、2つの民主党が韓国ように「共に民主党」となって政権をとれば悪夢の再来があるだけで、誰も望まないことである。

 大勢の人々が議論し、間違った結論を出すという結果を再発させないためには 中央教育審議会や文科省など、この問題にかかわり、英語民間検定試験の決定に関係した人々を明らかにし、人選に問題がなかったかを確認すべきであろう。これならメディアや野党がするだけの意味がある。文科省は以前にもゆとり教育という大失敗をやった前科があるだけに見過ごせない。


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