噛みつき評論 ブログ版

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棒読み答弁を恥じない人たち

2012-02-02 09:58:21 | マスメディア
 国会中継はたまにしか見ません。答弁に立つ大臣らが他人の書いたものを棒読みするのを聞いてもあまり面白くないからです。顔を下向けたままの棒読みも少なくありませんが、それさえ恥しいという気持ちがないようです。「皆で棒読みすれば怖くない」なのでしょう。棒読みは録音再生機と大差ありません。

 "素人"を自任する防衛相まで誕生したように、棒読みが普通になったおかげて誰でも大臣が務まります。職務に伴う専門知識がなくとも大丈夫です。少子化担当相など、民主党政権になってから7人目だそうです。平均在任期間はなんと4ヶ月。優秀な方々が7人もかかればさぞかしご立派な仕事ができたことでしょう。

 資質が問われるような大臣が続出しましたが、これはその仕組みの副作用でしょう。またこのために議論が儀式化して本来の面白さが失われ、国会や政治への関心の低下を招いたとも考えられます。

 一方、現在の小選挙区比例代表並立制では政党の力が選挙結果に大きく影響します。そのため候補者の適性や能力などの影響力は相対的に低くなります。○○チルドレンが大量生産されるのはこの選挙制度のおかげでしょう。芸能人やスポーツ選手などのように、政治家として有能でなくても政治家になれる道が開かれました。これを民主政治と呼ぶのでしょうか。「棒読み可」の慣習はこの選挙制度をしっかりと支えています。

 しかしながら政治家にとってコミュニケーション能力はきわめて重要です。自分の知識と自分の言葉で説明できない人はやはり資質に問題があると言わざるを得ません。

 いっそのこと、棒読み答弁をやめることにしては如何でしょうか。テレビカメラが望遠で答弁者の視線とその先にある"読本"を交互に映し出せば格好悪さが引き立つでしょう。メモ程度は仕方がないにしても、録音再生機のように全文朗読という恥ずかしいものだけは止めてほしいものです。もしそうなれば、資質に問題がある大臣はいなくなるでしょう。もっとも大臣が足りなくなるかもしれませんが。

 ついでながら、ふさわしくない人物を任命したのではないかと野田総理の任命責任が取り沙汰されています。しかし、もしかすると民主党にはふさわしい人物がどこにもいないと考えるのが自然かもしれません。