噛みつき評論 ブログ版

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本当は頭の悪い人

2010-05-10 09:39:22 | Weblog
 与謝野馨氏は街頭演説で、同じ東大卒の鳩山由紀夫首相を「本当は頭の悪い人」と発言されたそうです。よくぞ言われたと思います。私も半年ほど前からまったく同じことを思っていましたが、個人のHPと言えども文字にするのは憚られました。バカ呼ばわりとあまり変わりませんから。

 与謝野氏の演説は「試験の答案は書けるけど、責任感を持ってモノを考えることができない人。弟の邦夫さんもそう言ってました」と続きます。これにも納得できますが、「本当は頭の悪い人」や「平成の脱税王」発言は与謝野氏の強い危機感を示すものと思われます。

 鳩山氏の首相としての資質に問題があるということはもはや議論の余地のないことと言ってよいでしょう。しかし腑に落ちないのはなぜ資質に問題のある人物が民主党の代表に選ばれたのかということです。メディアが伝える鳩山氏の言動からでも容易にわかることが、身近にいる議員達にわからなかったというのは不思議です。

 また、普天間問題だけでなく、高速道路料金問題、郵政問題などのたび重なる首相の不手際に対して与党内から目立った批判が出ないことも不思議です。なにか鳩山氏を批判できない事情があるのでしょうか、それとも誰かの言論統制が効いているのでしょうか。

 与謝野氏は文芸春秋5月号で民主党の政治を「悪しきアマチュアリズムによる権力の乱用に過ぎない」と総括されていますが、なかなか的を射た言葉だと思います。頂点に立つ鳩山首相自身が「学ぶにつけ、沖縄に存在する米軍全体の中で海兵隊は、抑止力が維持できるという思いに至った」と、今、学ばれている最中であることを公然とお認めになっており、アマチュアリズムを証明したことになります。

 十分に学ばれてプロの政治家になられるまではたして何年くらいかかるのでしょうか。その間に財政破綻や外交の失敗などの取り返しのつかない重大事が起こらないとは限りません。

 9日の日経の「風見鶏」は対米戦争に大きくかかわった近衛文麿と鳩山首相の類似を指摘し、政治不信の後、米英との戦争に走った過去の教訓を今こそ肝に銘じるときだと、危機感を露わにしています。

 漢字の読めない首相や、「申される」というように尊敬語と謙譲語を混ぜて使われる首相が続きました。政治に必須のことではないとは言え、かつてあまり見られなかった現象です。お二人に共通することは豊富な資金力ですが、それにものを言わせて首相になったという勘ぐる人もいることでしょう。それを否定するためにも月1500万円の「子供手当て」の使途を明かして欲しいものです。もし使途が公正なものと判明すれば、選んだ側の目がひどく曇っていたということなるでしょう。まあどちらも歓迎できるものではありませんけれど。

 しかしLOOPYなどと言われ、資質まで酷評されても職を投げ出さず、発言はころころ変わっても「決して変わることのない権力への執心」はまったく尊敬に値します。もっとも単なる「厚顔無恥」と解釈することも可能ですが。

 困ったことに、制度上、この政権はあと3年あまりも続く可能性があります。そのことに対し、マスメディアの危機感はいささか少なすぎるように思う次第です。