噛みつき評論 ブログ版

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登山道にロープ設置をやめようという動き…切れて事故になれば責任問題?

2008-01-31 11:26:52 | Weblog
 登山道の危険な箇所にはロープや鎖が設置してあることが多い。おかげで登山者は危険箇所を安全に通過することができる。だが、管理が行き届いているわけではないから、切れかかったロープもある。

 ロープなどの利用は登山者自身の判断と責任で行われてきたのだろう。また通りがかりの登山者がロープなどの補修をすることもあったと思われる。

 ところが、登山道の整備を長年実施している団体で、今後ロープの取付をやめようという動きがあることを知った。ロープの切断などにより利用者が負傷・死亡した場合、損害賠償を請求される恐れがある、というのがその理由である。

 合繊ロープ(安価な標識用ロープが多く使われる)は日光によって徐々に劣化する。十分な管理ができない以上、無償の設置者に訴訟リスクまで負担しろとはとても言えない。訴訟になっても設置者の責任は免れるかもしれないが、訴訟のわずらしさは避けられない。

 背景には、事故の責任者を厳しく問う世の風潮がある。事故の責任者を苛烈なまでに追及するマスメディアの報道は責任追及があたりまえという風潮を培ってきた。医療の分野では、医療側は訴訟リスクを避けるため、訴訟リスクの高い救急患者受入れの消極化、積極的医療に代わり消極的・防衛的医療、などの防衛策を採ってきた。(医療崩壊を推進するマスコミ報道 参照)

 世の中の流れは、信頼から不信・敵対へ、自己責任から他者の責任追及へと、徐々に変わってきたように見える。当然、紛争は多くなり、解決は裁判でどうぞ、となる。ここにつけ込んだのが、司法試験合格者6倍の3000人を企てた司法改革推進者達だ、というのは少々気の回しすぎか。

 彼らが目指したのは法が支配する世界、法化社会などといって日常のことまで法の関与を徹底させることではなかったか。でなければ6倍も必要な筈がない。法律家が至る所にいて、常に彼らに法律上の相談して物事を進めるような社会はどうかと思う。

 話がそれたが、権利を主張し、責任を追及することに熱心な社会では、リスクのある仕事の引受け手がなくなるのは当然である。もし登山道のロープが切れて死亡事故が起こり、マスコミが設置者の責任を言い出したら、全国の山からロープや鎖が消えることは間違いなさそうだ。