噛みつき評論 ブログ版

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人命より不祥事優先の朝日新聞 古扇風機にご注意

2007-08-28 18:01:45 | Weblog
 8月20日、37年前に製造された扇風機が原因で火災が起き、2名の死者が出た。朝日新聞は24日の朝刊30面にこの事故を小さく載せた。その記事は三洋電機製の該当機種について注意を促す内容が主であった。

 一方、日本経済新聞は同日朝刊にこの記事を載せたが、面積は約3倍あり、三洋電機製だけでなく古い扇風機一般について、火災の危険を知らせる内容であった。

 過去10年で扇風機火災による死者10人という消防庁の調査を、朝日も25日に載せたが、これも日経に比べると半分程度の大きさである。

 製品が原因で死亡事故が発生すると大々的に報じるのが朝日のやり方であった。いや死亡事故にならなくても、不二家事件のように食中毒の僅かな可能性だけでも、トップ記事にしていた。もっともこのような傾向は朝日だけではないが。

 扇風機による火災は10年間で454件、死亡10人、負傷76人という。決して無視できるリスクではない。朝日が連日トップに扱った松下のリチウム電池の発熱事故(全世界で火災はなし)に比べると確率、被害の大きさとも比べようがないほど重大である。

 事故原因に過失や不祥事があると、これでもかというばかりに大きく扱うが、今回の事故のように、原因が経年変化によるもので、製造者の責任が問えない場合はこんなに小さい扱いになるのは、如何なる基準によるものなのか。

 朝日新聞だけをざっと読む限り、古い扇風機一般の危険性を理解できない人が多いと思われる。危険を広く知らせ、人命や財産を守るという報道の役割をどう考えているのだろうか。

 購読紙は朝日と日経だけなので他紙の扱いはわからないが、参考までに各紙のWEB版での扇風機火災記事の件数を挙げると、朝日4件、読売8件、産経7件であり、朝日の冷淡さが目立つ。

 一方、記者の無知の例として、8月22日の毎日新聞の憂楽帳「扇風機」から抜粋する。
 『長年使っているこの扇風機とは37年間のお付き合い。機能は至ってシンプルだが、使い始めた中学時代から現在まで、一度の故障もなく涼を与えてくれた丈夫な扇風機だ』

 偶然にも同じ37年前の製品だ。物を大事にするのも結構だが、扇風機の場合は少し事情が違うことも、新聞記者ならば公表前に知ってほしい。

 この10年間の火災事故被害は、危険を周知できていれば減少させることができる性質のものである。メディアの職務怠慢と言えなくもない。

 怖いのは、いつも不祥事やスキャンダル報道に偏っていれば、いつの間にかそれがあたりまえになり、本来の役割を忘れることだ。

 ちなみに24日の朝日のトップは中華航空機事故の「ボルト脱落 タンク破る」であった。これを知ったところで、飛行機に乗るとき、ボルトを調べるわけにはいくまい。